優利加さんのブログ
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米地銀発の金融不安は後1~2週間以内に収束するか?
先週金曜日の米国株式相場は反落した(DJIA -384.57 @31,861.98, NASDAQ -86.76 @11,630.51, S&P500 -43.64 @3,916.64)。ドル円為替レートは131円台前半の先週末比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が93に対して、下落銘柄数は1,723となった。騰落レシオは103.31%。東証プライムの売買代金は2兆9764億円。
TOPIX -30 @1,929
日経平均 -388円 @26,946円
米シリコンバレー・バンク(SVB)の破綻に端を発した混乱が続ている。米地銀のファースト・リパブリック・バンクは前日に大手11行が300億ドルの預金支援を表明すると10%上昇したがその翌日はまた急落して32.8%安となった。その結果、週間では71.8%安となった。他方、欧州の名門クレディ・スイスはスイス国立銀行から最大540億ドルの借り入れを発表したが、そのADR(米国預託証券)も7%下げた。米国の地銀発の金融不安は大西洋を超えて広がり、僅か1週間でクレディ・スイスが破綻寸前まで追い込まれ、金融システム全体への不安が増している。その間、クレディ・スイスは1日当たり100億スイスフラン(約1兆4000億円)もの預金が流出した。クレディ・スイスの財務指標は当局がG-SIB(Globally Systematcialy Important Banks:グローバルなシステム上重要な銀行、日本では3メガバンク)に求める厳しい水準を上回っているが、市場での信用を失い流動性が急速に失われたため、自力での回復は絶望的となった。
3月19日(日)にはスイスの大手金融UBSがクレディ・スイスを買収する(クレディ・スイスの破綻でなく救済)と発表し、さらに、日米を含む6中央銀行が協調して銀行に対するドル供給を強化すると発表した。しかし、それでも本日の東京市場では、金融システムの混乱が世界景気を悪化させるのではないかという不安が高まり、売り優勢となった。さらに、明日3月21日は日本が祝日のため株式市場は休場となるので手仕舞い売りが出易かった。
今回のクレディ・スイスの救済措置で争点になりそうなことは、ファイナンス理論に逆らうかのように、株価は一定の価値が維持されるのに対して、金融機関が発行する劣後債(償還期限がない社債:弁済順位は低いが利回りは高い)の一種であるAT1債(160億スイスフラン=約2兆2,700円)の価値がゼロになることである。ファイナス理論では、まず株主が責任を問われ、次にAT1債や劣後債、そして普通債の順番で損失が発生するはずである。今回の措置はスイス金融市場監督機構(FINMA)がAT1債の減損を決めて同行に通知した(発行条項に、公的支援があった場合は元本割れになると書いてある)。AT1債の発行残高は世界で約2750億ドル(約36.3兆円)もあり、これで財務不安がある他の金融機関のAT1債に売り圧力が掛かりやすくなる。銀行の自己資本を規制するバーゼル3に対応して、AT1債は自己資本に算入できるので欧州系の銀行の多くが発行しているし、日本のメガバンクも発行している。これに対して、米系金融機関は優先株の発行で資本増強を図ってきた。今回は破綻処理ではないので、株主責任を国が追求したのではなく、「国からの支援があった場合は元本割れとなるという」AT1債の条項のみが抵触したと解釈できる。
日経平均の日足チャートを見ると、前営業日は反発したが、本日はほぼ「振り分け線」で大きく反落した。やはり、ほぼ定石通りの動きとなった。米中堅地銀初の金融不安が瞬く間にクレディ・スイスへ飛び火して、あたかも武田信玄が動き始めると僅か1週間で名門大名の今川氏の本拠地である駿府が陥落したように、欧州の名門銀行も身売りに追い込まれた。崩れるときには速いものである。以前にも書いたが、米国が急速に利上げすると確実に世界のどこかで危機が発生して来た。歴史は繰り返さないが、韻は踏む。3月21~22日の米FOMCでは0.25%の追加利上げが見込まれており、その通りの結果となれば株式相場には中立と見る。万が一、血迷って0.50%にしたら世界中の株式相場はパニック売りの嵐になるだろう。
デモ銘柄の4902コニカミノルタのポジションは変わらず[0-6]のままです。波乗り銘柄N1もそのままですが、もう一つの波乗り銘柄N2は再び全つなぎとしました。
33業種すべてが下げた。下落率トップ5は、海運(1位)、倉庫・運輸(2位)、不動産(3位)、陸運(4位)、空運(5位)となった。
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