TOPIX -22 @1,975
日経平均 -369円 @27,104円
2月の米S&Pグローバル製造業・サービス業PMI速報値が8カ月ぶりに好不況の分水嶺となる50を超えて、市場予想を上回る強い結果となったため、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げが長期化するとの見方が強まった。その結果、米10年長期金利(=1年債流通利回り)は前日の3.82%台から一時は3.95%台へ上昇して昨年11月10日以来の高水準となった。さらに悪いことは重なるもので、ホームセンター大手のホーム・デポの2022年度第4四半期(11-1月期)決算は売上高が予想を下回り、2023年度通期が減益になるとの見通しが示されたことで、株価は7.06%下げた。これらにより市場センチメントが急速に悪化して、主要3株価指数は揃って2%以上大幅下落した。
米国株の大幅下落を受けて、本日の日経平均も大きく下落し、下げ幅は一時400円を超えた。米国の高金利が長引きそうだという見通しを背景に、資本コストが上がることにより理論株価が下がるファーストリテイリングや東京エレクトロンなどの成長株を中心に売られた。他方、高金利がメリットになるメガバンクは下げが小さいか小幅高となった。また、世界的に鉄鋼市況が回復しており増益見通しの日本製鉄などの鉄鋼株およびトピー工業などその周辺銘柄も持続的な上昇が続いている。
日経平均の日足チャートを見ると、大きくギャップダウンして始まりさらに下げ幅を拡大して、上向きの25日移動平均線を割り込む長陰線で終えた。1月24日にギャップアップしてから形成していた保ち合いレンジの下限を下抜けた。このまま深い押し目を形成しに行くかどうかは今日と日本が休日である明日の米国株式相場次第だろう。
デモ銘柄の4902コニカミノルタは全玉利食い手仕舞いしてポジションは再びゼロとしました。
米ホーム・デポの決算に見られるように、米消費者の購買意欲は今の段階では表立って目に見えないところで減退している可能性が高い。さらに、ロシアのウクライナ侵攻が1年以上経過しても未だに出口が見えて来ないため先行きの不安が消えない。資源価格が上昇してインフレを促進し、それを抑え込むために米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめとする世界主要国の中央銀行は高金利政策を取っている。また、人手不足が賃金を上げるのだが、一度上がった賃金は下降硬直性があり、なかなか下がらずそれがインフレを招く。米国では1月の非農業部門の雇用者数が52万人も増加し、18万人という事前予想を大きく覆した。さらに失業率は3.4%まで低下して何と53年ぶりの低さとなった。
色々な業種の中でも特に製造業は景気減速の悪影響を受けやすい。高金利政策にも拘わらず、米国経済指標は依然として強い結果が次々と出ているため、景気悪化はほとんどないと思うかもしれないが、金融政策というものはかなり遅効性があり、効果が出るまでに時間がかかる。このまま高金利が長く続き、誰の目にも明らかに「経済減速」を通り過ぎて「景気後退」が分かる時には既にかなり悪化している。そうなれば、製造業の売り上げは大きく落ち込むはずである。モノ作りが得意な日本の製造業は直撃をくらうことになる。そのようなシナリオが現実化するかどうかは今の段階ではまだはっきりしないが、確率は5分5分と見る。だから株価指数は横ばいが続いているのだろう。フェデラルファンド・レート(FF)金利先物市場から計算すると、利上げのターミナル・レート(終着点)は2月初めには4.8~4.9%だったものが、現在は5.3%台まで上げて来た。利上げ停止点が近いとの見通しから一時期は米景気はソフトランディング(軟着陸)かノーランディング(無着陸)さえあると期待されて株価は反発していた。だが、その期待は急速に萎みつつあるようだ。
33業種中、海運と医薬品を除く31業種が下げた。下落率トップ5は、電気機器(1位)、繊維製品(2位)、電気・ガス(3位)、その他製品(4位)、非鉄金属(5位)となった。