10月6日以来の上値抵抗線を上抜けできるか?

優利加さん
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昨日の米国株式相場は大幅続伸した(DJIA +417.06 @31,499.62, NASDAQ +92.90 @10,952.61, S&P500 +44.59 @3,797.34)。ドル円為替レートは148円台後半での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,353に対して、下落銘柄数は406となった。騰落レシオは89.42%。東証プライムの売買代金は2兆7990億円。

TOPIX +20 @1,907
日経平均 +275円 @27,250円

先週の米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道(FRBによる金融引き締めのペースが鈍りそう)を引き続き支援材料として米国株式相場は2日連続で大幅続伸した。昨日と異なり、香港ハンセン指数も上海総合指数も続落はしたが下げ幅は僅かとなったため大きな日本株の株安材料とはならなかった。その結果、日経平均の上げ幅は一時360円まで拡大した。ただ、中国新指導部による経済政策に対する不透明感は消えず懸念は続いている。

日経平均の日足チャートを見ると、本日のザラバでは、上値抵抗線として意識される10月6日の戻り高値@27,399円と10月19日の戻り高値@27,371円に迫る27,337円まで上げた。この上値抵抗線を一気に上抜けできればしばらくは上方向の弾みが付くはずだか、さてどう動くか。

政府・日銀は外為市場でゲリラ攻撃のようにドル売り・円買いの覆面介入を単独で実施ているようである。単独の為替介入は短期的(数日から精々1週間)には効果があるが、トレンドを転換することはできない。その理由を整理しておくと次のようになる。

(1)世界全体の為替取引の量と比べるとたった一つの中央銀行が介入可能な金額はあまりに小さい。
(2)プラザ合意の時のように、協調介入でもなく、トレンドを後押しするような介入でもない。ブレトンウッズ体制崩壊後の過去の歴史を振り返ると、トレンドを反転させようとする市場介入はほとんど失敗して来た。
(3)円売り・ドル買い介入と違い、円買い・ドル売り介入はそもそも売るためのドルが必要であり、日本の外貨準備が上限となるので、投機筋から見透かされる。
(4)日本の経済構造の変化により製造業の多くが生産拠点を海外へ移転してしまったため、日本からの輸出が減少しているところへ、原油高をはじめとするエネルギー価格の急上昇と円安が重なり、日本は貿易黒字体質から貿易赤字体質へ急転換している。このまま行けば2022年度は20兆円の貿易赤字となりそうな勢いである。これだけ巨額の円売り・ドル買いをすれば強烈な円安・ドル高となるのは当然である。それに加えて、拡大する日米金利差がキャリー・トレードなどに投機筋を突き動かして追い打ちをかけている。

以上のことから、足元の円安・円高を反転させるために何ができるかというと、政府・日銀はほとんど有効な手段を持っていない。次の2つを待つしかない。

(1)海外へ移転した日本の製造業が国内回帰する。
(2)欧米のインフレが収まり、金融引き締め政策が終了し、再び金融緩和政策の方へ振り子が戻り始める。

33業種すべてが上昇した。上昇率トップ5は、海運(1位)、ゴム製品(2位)、石油・石炭(3位)、電気機器(4位)、情報・通信(5位)となった。

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