TOPIX -5 @1,916
日経平均 -159円 @27,154円
世界中の市場関係者が注目していた米連邦公開市場委員会(FOMC)が声明を発表した。事前の予想通り、3回連続の0.75%(通常は1回で0.25%)の利上げを決めた。しかし、予想外のことも入っていた。政策金利は2022年末までに4%を超えるシナリオが示された。これは11月のFOMCで連続4回となる0.75%の利上げを実施しても尚、12月にはさらに0.5%の利上げを想定しているからだ。エコノミストの間ではFRBは政策金利を2023年末までに4.65%を超えて5%近くまで上げるという見方も出てきた。つまり、景気を犠牲にしてでも「より高く、より長く」金融引き締めを実施して何としてもインフレを退治するというFRBの強い意志表明である。米株式相場は一旦下げてから、過去の経験則通り上昇したが、その後は売りが圧倒的に優勢となり大きく下落した。米国株式市場は超タカ派となったFRBの金融引き締め政策はインフレを抑え込むことを超えて米国経済を後退に追い込む「オーバーキル」となることを織り込み始めたようだ。ダウ工業株30種平均の日足チャートには既にそのサインが出ている。
これを受けて、本日の日本株全般も大きく下げる銘柄が多く、日経平均は一時360円近く下げた。海運などの景気敏感銘柄は特に売られた。ただ、日銀の金融政策決定会合で現状の大規模金融緩和政策の継続が決まると、24年ぶりに145円台まで進行した円安・ドル高の恩恵を受ける自動車など輸出関連銘柄に買いが入り、日経平均は下げ幅を縮小させた。さらに日本株にとってプラスの材料は、新型コロナウィルス感染に対する水際対策を緩和するのでインバウンド需要が高まり関連銘柄の上昇が期待され、日本株相場を下支えするはずである。
本日、株式市場が終わってから、午後5時過ぎに政府・日銀が外為市場でドル売り・円買いの市場介入を実施した。日銀による単独介入である。40分ほどで5円も円が急騰した。1985年のプラザ合意の時とは対照的に、「単独介入」でしかも相場の「トレンドに逆らう」市場介入なので、短期的には効果があるが、中長期的にはほとんど効果がない。効果がないこと百も承知の上で、「何もしない」日銀に対する世論の風当たりを緩和するために「なにかをやった」感を出すために渋々やったという印象を受けた。円安・ドル高の原因が消えない限り、基調としての円安・ドル高は変わらない。日本経済の構造変化と輸出産業の国際競争力の悪化により、貿易黒字・経常収支黒字が恒常的に大きく減少している。それに加えて、昂進するインフレに対処するため米国、EUに加えて英国も金融引き締めに舵を切った中で、世界の先進国で唯一日銀だけが大規模金融緩和を継続している。その結果、資金は金利の高い国へ流れるという「アセット・アプローチ」理論によりドル高・円安が進んでいる。第二の原因である日米金利差による円安・ドル高効果は米国の高金利政策が終われば、放っておいても次第に弱まってくる。しかし、第一の原因である日本経済の構造変化と輸出産業の国際競争力の悪化はより厄介な問題である。
日経平均の日足チャートを見ると、2日連続でギャップダウンしながら下げた。昨日は陰線だったが、本日は陽線で終えたところから判断すると、当面は十分安くなったので「お買い得だ」と思う投資家による押し目買いで拾う動きが強くなったということであろう。
本日、以前から注目していたK株を1枚買い建てた。5月には底打ちしてから緩やかな上昇トレンドを描いている。業績見通しの変化がこの動きを裏付けている。
33業種中21業種が下げた。下落率トップ5は、海運(1位)、保険(2位)、繊維製品(3位)、サービス(4位)、銀行(5位)となった。