TOPIX -39 @1,947
日経平均 -796円 @27,819円
8月の米消費者物価(CPI)が市場予想(前年同月比8.0%増)を上回り(前年同月比8.3%増)、インフレを抑え込むために連邦準備制度理事会(FRB)がますます金融引き締めに動くとの懸念が高まった。FRBは政策金利を4%強まで引き上げるという見方が有力となり、少なくとも今年いっぱいは大幅利上げを続けるとの見方が支配的となった。米長期金利が急上昇し、ドルが主要通貨に対して買われてドル高・その他通貨安が進んだ。今年末から2023年にかけて米国経済は景気後退局面に入るとの懸念が急速に高まってきた。これを受けて、ダウ工業株30種平均は1,276ドル急落し、今年最大の下げ幅を記録した。本日の東京市場でもこの流れを引き継いで幅広い銘柄が売られてほとんどの銘柄が下げた。特に高PERの値がさ成長株は大きく売られた。ただ、航空、鉄道、百貨店などインバウンド銘柄の一部は堅調な動きだった。
日銀が為替介入の準備として行う「レート・チェック」を実施したと報道されたことも株価指数先物の売りを誘った。以前にも整理して述べたが、日銀の為替介入には障害が多く、例え実施したとしても効果は非常に限定的且つ短期だろう。その理由は大きく分けて3つある。第一に、ドル安になると輸入物価が上がるのでインフレと格闘している米国の理解が得られない。第二に、円売り・ドル買い介入と違い(財務省短期証券FBを発行して円資金を調達し、外為特会で一般会計とは別管理される)、円買い・ドル売り介入するには売るためのドルが必要だが、これには限りがある。外貨準備のほとんどを占める米国国債を売ると米長期金利を上昇させてますます円安・ドル売りを促進してしまい逆効果となる。第三に、1985年のプラザ合意後の円買い・ドル売りの協調介入の時はドルが既に下落基調にあったために、ドル売りによるドル安誘導は成功したが、今回はトレンドに逆らいながらドル高全面高基調の中でのドル売り介入、しかも日銀の単独介入をすることになりほぼ確実に失敗する。
日経平均の日足チャートを見ると、大きく逆ダウンして始まりさらに下げて長大陰線を引いた。25日移動平均線だけでなく10日移動平均線も下抜けし、辛うじてほぼ水平となっている260日移動平均線で今日のところは止まった。下げ過ぎ感もあり、明日は少しくらいは反発すると思われるが、その後は不透明である。
33業種中、空運と鉱業を除く31業種が下げた。下落率トップ5は、ゴム(1位)、電気機器(2位)、精密機器(3位)、化学(4位)、サービス(5位)となった。