TOPIX -11@1,916
日経平均 -196円 @27,430円
8月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数が市場予想を上回ったため、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融引き締めを長期化するとの観測から米株式相場は下落した。これを受けて、本日の日本株全般も売り優勢となった。高PERの成長株や景気敏感株を中心に売られ、日経平均の下げ幅は一時350円を超えた。今週末にはSQがあるため、プットオプションの売り手が権利行使に備えてデルタ・ヘッジのために株価指数先物を売った分が株価の下げを加速したと見られる。
日米の金融政策のベクトルの違いから円安・ドル高がさらに進行して1ドル=144円台の水準となった。1985年のプラザ合意以降の急激な円高基調に対応して、日本企業の多くが生産設備を海外へ移転させて来たため円安になっても日本からの輸出は以前ほど増加しなくなっている。他方、2011年3月の東日本大震災時の福島の原発事故に怯えて日本中の原発を止めて来た。その結果、発電のために原油や天然ガスなど化石燃料の輸入を大幅に増やして来たことで、巨額の輸入が続いている。そのため、日本は1960年代から何十年も貿易黒字が当たり前だったのが、今では貿易赤字にすらなる年も珍しくなくなって来た。以前は国全体として貿易黒字で稼いだ巨額のドルを売っていた(円高・ドル安)のに、今では輸入のために不足するドルをドル買い(円安・ドル高)している。しかも、このドル買いは実需なので買い切りであり、売り戻すことはなく、中長期トレンドを形成する主要因となる。それに加えて、短期的には金利が高いドルへ世界中のお金が流れているため、円安・ドル高に弾みが付いている。但し、世界の外為取引の約9割は実需ではなく、短期的に売買益を稼ごうとする投機取引なので、ドル買いポジションをそれほど長く維持することはなく、比較的短期間で反対売買をする。そのため、何かのきっかけで急激に円高・ドル安に振れることも十分想定される。例えば、リーマンショックの時のキャリー・トレードの巻き戻しにより急激に円高になった時のように。
いよいよ大手海運株の総崩れとなってきた。一時的に戻す局面があるはずだが、そこは絶好の戻り売りのポイントと考えられる。大手海運会社が持ち分法で連結利益に加算しているコンテナ船事業は2020年春以降、コンテナ運賃の異常な急上昇により巨額の利益を計上してきたが、コンテナ運賃が遂にピークアウトし始めた。
33業種中23業種が下げた。下落率トップ5は、海運(1位)、鉱業(2位)、石油・石炭(3位)、水産・農林(4位)、サービス(5位)となった。