TOPIX -35 @1,925
日経平均 -399円 @27,595円
ペロシ米下院議長が台湾を訪問するとの報道があり、米中関係や台湾情勢が緊張化するとの懸念が高まり売りが優勢となった。同時に地政学リスクの高まりによりリスクオフ相場となり、リスク資産の株が売られる一方、安全資産とされる米国債が買われて長期金利は低下し、さらに「安全資産」とされる円が買われて円高・ドル安が進んだ。そのため輸出関連銘柄を中心に幅広い銘柄が売られた。香港株、上海株、台湾株が大幅に下げた。日経平均の下げ幅は一時400円を超えた。
少し前までは日米金利差の拡大を理由に円売り・ドル買いによる円安・ドル高が進行していたため、円防衛のために日銀に対して金融引き締めを求める評論家も少なくなかった。その機に乗じてキャリートレード(金利が低い円でお金を借り、円売り・ドル買いによりドルを手に入れて金利が高いドルで運用する手法)をはじめとして巨額の円売り・ドル買いのポジションが積みあがっていた。つまり、円売りにポジションが傾き過ぎていた。この円ショート・ポジションは実需ではないので、かならず、きっかけ次第で近い将来に反対売買が起こる性質のものであった。これは外為相場の原理原則の一つである。足元では、もともと米国の景気悪化懸念から米金利(7月中旬には3.0%前後)は低下傾向(今は2.5%台)だったため日米金利差は徐々に縮小しており、さらに、本日、地政学リスクの上昇によりリスクオフ相場となり安全資産である米国債が買われて長期金利がさらに低下し、さらにもう一つの「安全資産」である円が買われたため、傾き過ぎていた円売り・ドル買いポジションの巻き戻しが急速に起っている。その結果が、急速な円高進行である。
日経平均の日足チャートを見ると、260日移動平均線の上に僅かに浮上していた株価が、本日、再びその下へ沈んだ。さらに、上向きの10日移動平均線も割り込んだ。下向きの260日の引力の強さを改めて印象付けた。
33業種中、海運を除く32業種が下げた。下落率トップ5は、医薬品(1位)、機械(2位)、精密機器(3位)、卸売り(4位)、鉱業(5位)となった。