リボミックは工業的な生産が可能な抗体医薬品とも言えるRNAアプタマー(アプタマー)を創薬の柱にしている企業です。
リボミックの立ち位置を再生医療関連銘柄で例えるとステムリムになぞらえ、間葉系幹細胞の開発を進めるサンバイオやヘリオスに対し、ステムリムは再生細胞を呼び起こすためのペプチドを開発しています。
ペプチドは化合物であるため従来の細胞医薬品に対して品質管理やコスト面での優位性を備えます。
細胞医薬品とペプチド程の差は無いにしろ、高分子化合物の抗体に比べて、中分子化合物のアプタマーはこの2点の優位性を備えています。
また、分子量の大きさのため、抗体では治療作用を発動させることが困難なターゲットも存在し、抗体が効かないターゲットに対して中分子のアプタマーが力を発揮するケースも想定されています。
このように、次世代の抗体医療と期待されるRNAアプタマーを用いるリボミックですが、その開発は思うように進んでいません。
主力パイプラインである滲出型加齢黄斑変性(wetAMD)を適応とする試験では、リボミックが望んだような結果が得られませんでした。
wetAMD治療薬の開発では、既存薬(抗VEGF)の治療歴がある患者に対しての有効性を求めていましたが、前述の通り、それが得られなかったため、今後の開発では既存薬との有効性に関する真っ向勝負や、併用療法の有効性を実証していく必要があり、フェーズ2aからの仕切り直しが求められる状況に置かれています。
軟骨無形成症を適応とする開発も進めるようですが、それもまだ医薬品医療機器総合機構(PMDA)からの試験計画書の受理を待っている段階です。
創薬では苦労を重ねている一方、リボミックはアプタマーによる創薬プラットフォームの開発では一定の成果を上げています。
最近ではアプタマー創薬プラットフォーム「RaptGen」を開発し、アプタマー生成の精度と速度の改善や、新たなアプタマーの生成が期待されます。
先に述べた通り、アプタマーは次世代の抗体医療と期待されています。
そのため、リボミックの創薬開発状況を省みると、同社の価値評価は創薬開発から創薬プラットフォームへと移り変わります。
今後のリボミックはGPCR創薬プラットフォームを持つそーせいグループや、ペプチド創薬プラットフォームを持つペプチドリームのように、RaptGenのライセンスを交えた創薬契約を軸に事業を進展させるのではないでしょうか。
その場合、創薬株で上位2社のように、大きな成功を収める可能性が株価に対する評価に加わると思われます。