TOPIX -42 @1,901
日経平均 -837円 @26,987円
5月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で8.6%上昇し、市場予想および4月の実績値である8.3%を上回った。米インフレ率の再加速を警戒して、米FRBが一段と金融引締めに動く(次回は0.5%ではなく0.75%アップ)と見て米長期金利は3.1%後半まで上昇した。これを受けて、金利上昇による景気悪化だけでなく、金利上昇により資本コストが上がるために理論株価が大きく低下しやすい高PERのハイテク成長株は下落した。主要3株価指数が揃って大幅下落した。S&P500は直近高値からの下落率が20%を超えており、「弱気相場」に転換したとの見方が出てきた。この流れを受けて、東京市場でも、機械、電機、自動車(円安進行にもかかわらず)など景気敏感株が売られた。ドル円為替レートは一時1ドル=135円台となり、1998年以来の円安・ドル高水準となった。しかし、円安によるメリットよりも景気悪化懸念の方が強く、輸出関連銘柄も売られた。日経平均の下げ幅は800円を超えた。
1998年度の日本の製造業の海外生産比率は10%だったが、2020年度には22%まで上昇した。それだけ国内産業が空洞化しており、日本の産業競争力が低下している。円安になっても以前ほど輸出量が増えない構造となっている。他方、原油価格(WTI)は1バレル=120ドルまで上昇しており、24年前の8倍となっている。そこへ円安が重なり輸入インフレが加速しているため、交易条件が急速に悪化して日本の富が海外へ流出している。
日経平均の日足チャートを見ると、大きくギャップダウンして始まりさらに下げて長大陰線で終えた。2日連続で窓を空けて1,200円以上も急落したので、明日は下げ幅が縮小すると思われるが、米国株式相場が大きく続落しているので日経平均ももう一回大きく下げるかもしれない。「円月殺法音無しの構え」により心と建玉の準備をしていた人は、先週金曜日の時点で売り玉が建っているはずだか、売りつなぎ玉はまだ維持すべきである。
33業種すべてが下げた。下落率トップ5は、機械(1位)、電機(2位)、輸送用機器(3位)、サービス(4位)、非鉄金属(5位)となった。