TOPIX -26 @1,943
日経平均 -422円 @27,824円
欧州中央銀行(ECB)が7月に量的緩和を終了し、利上げに転じる方針を示した。その後のインフレ見通し次第では9月には大幅な利上げ(+0.50%)に踏み切る可能性も示した。既に金融引き締め局面に入っている米国に加えて欧州も金融引き締め局面に移行することになる。これを受けて、欧米株式市場では株価が大きく下落した。東京市場でも、機械、鉄鋼、非鉄など景気敏感株の売りが目立った。ただ、6月10日から観光目的のビザ発給が再開されたことから百貨店や不動産など内需関連銘柄の一角は買われた。
日経平均の日足チャートを見ると、上値抵抗線として意識されていた3月25日の戻り高値@28,338円にワンタッチしただけで下に弾き返された形となった。米国に続いて欧州も金融引き締めを開始することが背景にあるため、そのネガティブ・インパクトは暫く続きそうである。今日現在は上向きの10日移動平均線の上に株価は位置するが、来週以降もそれを続けるのは難しそうになってきた。一旦は調整らしい調整をすると見ておこう。
日米欧の金融政策の違いから、2002年に記録した135円台中ばを通り過ぎるとチャートに節目らしい節目がないため、ドル円為替レートが1ドル=150円まで円安・ドル高になると懸念する声が出てきた。さらにこのまま円安・ドル高が続くと1998年の「アジア通貨危機」の再来まで危惧する識者の記事も目立つようになってきた。中国をはじめとするアジア諸国の輸出競争力が落ちることにより経常収支が悪化する。すると、アジア諸国からリスクに敏感な外貨が大量に逃避して現地通貨が大きく売られ、場合によっては通貨切り下げまで追い込まれるというシナリオである。現時点では杞憂に過ぎないと思うが、心の隅には置いておきたい。
33業種すべてが下げた。下落率トップ5は、機械(1位)、精密機器(2位)、石油・石炭(3位)、鉄鋼(4位)、医薬品(5位)となった。