TOPIX -25 @1,860
日経平均 -508円 @26,403円
ディスカウントストア大手の米ターゲット(TGT)やホームセンターの米ロウズ(LOW)など小売企業の決算が市場予想を下回った。新型コロナによる供給網の混乱や、ロシアのウクライナ軍事進攻によるエネルギー価格上昇により米国では急速なインフレが進行しており、消費者物価指数(CPI)は40年ぶりの高さである。中国はゼロコロナ政策を推し進めて経済活動を抑圧しており、その悪影響は中国国内に留まらず、グローバル・サプライチェーンを通じで世界景気にも及んでいる。これらのことを複合的に考慮すると、米国の景気減速が濃厚となってきた。
株式相場にとってさらに悪いことに、米連邦準備制度理事会(FRB)は積極的に金融引き締めを進めており、6月からは国債等の保有資産を減らす量的引き締め(QT)も開始する。3年で保有資産を現在の9兆ドルから3兆ドル減らして6兆ドルとなる見通しである。3兆ドルとは円に換算すれば390兆円という途方もない大金を金融市場から吸い上げることを意味する。これらの悪材料が複雑に絡み合い、結果的にFRBは必要以上に景気を冷やすオーバーキルを引き起こすのではないかという懸念が急速に高まり、昨日、米主要3株価指数は揃って急落した。この流れを受けて、本日の日経平均は下げ幅が700円を超える場面もあった。米株価先物指数が日本の取引時間で下げ幅を縮小させると、日経平均先物は買い戻されて下げ幅を縮めた。
日経平均の日足チャートを見ると、ギャップダウンで寄り付いた後さらに下げたが、その後切り返して「たくり線」となった。安値圏での「たくり線」は反発の兆候である。よほど大きな悪材料がさらに出てこない限り、通常は少なくとも一旦は下げ止まるのだが、果たしてどう動くか?
33業種中31業種が下げた。下落率トップ5は、海運(1位)、保険(2位)、サービス(3位)、精密機器(4位)、小売り(5位)となった。