木下 晃伸さんのブログ

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【投資脳のつくり方】30年代にはならない理由

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■いつもお読みいただき、ありがとうございます。
経済アナリスト、木下晃伸(きのしたてるのぶ)です。

■本日の日経平均株価は前日比194円17銭安の8328円41銭と
3営業日ぶりに反落。
アジア各国の株価下落も手伝い、一時は昨日のように再びプラスに転じるか、
というタイミングもありましたが、結果として大きな下落となっています。

ただし、多くの投資家は“10月に経験した暴落が再び起こるのかどうか”
という点に焦点が集まっているように思います。

私は、自分自身の取材と、来年度業績予想を考慮した場合、
7000円を一時割り込んだタイミングは、仮に到来するとしても、
そこは、パニック的な売りとなり、再び反発することになると考えています。


■問題は“来年度業績予想の確信度。

今期は多くの企業で業績予想を行なってきましたが、
下方修正も多く飛び出したのが特徴。
また、業績が堅調でも株価はズルズルと下落する、という事態も起こりました。

ただ、そうした状況を経過し、企業価値、
これは企業が生み出す収益を考慮していくと、
来期、上場企業が利益を“半減”させるレベルが、
日経平均株価7000円割れ、という水準だと考えています。


■その仮説を多面的に分析する上で、本日お届けするコラムが、
一つの切り口になるのではないか、と考えています。

それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。


※本資料の利用については、必ずプロフィール画面の
重要事項(ディスクレーマー)をお読みいただいた上、ご利用ください。

┏━ 【経済アナリストが斬る!投資に役立つ3大ニュース】 ━━━━━┓

1.30年代にはならない理由
2.米シティ、5万人削減
3.GM、全スズキ株売却

http://www.terunobu-kinoshita.com/20081118-toushinou.pdf

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1.30年代にはならない理由

(出所)2008年11月18日付日本経済新聞朝刊17面より

 ●金融サミットの意義を歴史から探る
 ●株価が反転基調になるために必要な施策とは?
 ●真っ暗だからこそ見るべき仮説を打ち立てておく

世紀のイベントとして期待された「金融サミット」に対しては、
投資家は今のところ冷淡な対応に終始している。
しかし、歴史を紐解いてみると、今回のイベントは
“大底”を感じさせる象徴的なものになる可能性を秘めている。

考えてみたいのが、30年代にも金融サミット同様のイベントが開催された。
33年6月、ロンドンで「世界経済会議」が開かれたのだ。

当時の報道では、サウスケンジントン地質博物館に自治領も含め
67カ国の代表が集まり、英国王ジョージ五世が開会を宣言したという。
世界の失業者が3000万人を数え、国際貿易が量で4分の3、
価値で3分の1に激減している実情をあげ
「今や協調を基礎とする努力なくして、経済回復は各国自身にとっても、
世界にとってもまったく不可能」と訴えた。
しかし、主要国が自国の利害を言い立てて協調できずに破局対立、
会議は46日目に無期休会となった。

では、株価はどうか。結果的に足並みが乱れたものの、
会議が開催されたタイミングをボトムに株価は反転基調となった。
しかし、ピークを回復するまでには至らず、その後大戦等を踏まえ、
ピーク回復には25年の歳月を要した。

今回は、多少の利害衝突があったものの、
世界恐慌に対して各国が力を合わせることが確認された。
世界中の国々が、迅速な利下げ、巨額の景気対策を打っている。
効かないわけがない。時間がかかるが、徐々に効き始めるだろう。
そうなると、業績悪化局面は来期まで続くだろうが、来年春頃には、
そのさらに翌年を見越した投資家が買いを入れ始める。
目先ではなく、今は2010年3月期に増益になるかどうかを
チェックし始めるタイミングだ。


2.米シティ、5万人削減

(出所)2008年11月18日付日本経済新聞朝刊9面より

 ●過去最大級のリストラ策をシティグループが発表
 ●“収益”はよくとも“資産”が苦しいと評価されない
 ●平時に戻る時、苦しんだ会社の株は最も評価されることとなる

米大手銀シティグループは17日、
全従業員の約15%に相当する5万人を削減すると発表した。
シティは今年5月に今後2―3年かけて不採算事業を
4000億ドル規模で圧縮する再建策を発表しているが、
金融危機や世界的な景気後退を受けた追加的なコスト削減が狙い。

ヴィクラム・パンディット最高経営責任者(CEO)が17日、
従業員向けの説明会で人員削減策を明らかにした。
今回の追加リストラで全従業員は30万人弱とピークだった2007年末から2割減少し、
09年の経費は年500億―520億ドルと07年実績比で2割程度削減する。
削減対象となる人員は投資銀行から間接部門まで幅広く行なうようだ。

そうなると、たしかに、シティの7―9月期決算は28億ドルの最終赤字で、
赤字は4四半期連続であった。
しかし、最終損益は昨年四半期がピークで減少している。
つまり、“収益”状況は改善傾向にある。
今回のリストラで収益は100億ドル(約1兆円)の改善となるのであれば、
もう少し評価されてもおかしくはない。

しかし、この発表がかえってシティの株価下落を引き起こしてしまったのは、
投資家は収益ではなく“資産”に注目しているためだ。
つまり、いくら収益が黒字であっても、資産が毀損されていると、
短期的な流動性確保に瀕した場合、破綻に追い込む可能性が高いからだ。
不況時にキャッシュフローが問題となるのは、米国でも日本でも同様の構図だ。

金融サミットが開催され、
“あらゆる追加的措置をとる”との首脳宣言が採択された。
それがどう現実化してくるのか、まずは救われる金融機関自体が
自助努力を行なうことが国民感情的にも必要だ。
それは雇用がなくなる、というのが一番シンボリックである。
これから各社が一斉にリストラをさらに行なっていく。
そのつらい過程を乗り越えた暁に、回復が待っている。


3.GM、全スズキ株売却

(出所)2008年11月18日日本経済新聞朝刊1面より

 ●瀕死に苦しむGMが、虎の子のスズキ株を全株手放す
 ●後ろ盾を失ったスズキには逆風なのか?
 ●成長性高いインドの短期的な変動をチャンスと捉える

スズキは17日、米ゼネラル・モーターズ(GM)が保有するスズキ株
(発行済み株式の約3%)全株を取得すると発表した。
18日にGMが市場で売却し、スズキが約223億円で買い取る。
経営危機に陥っているGMは資金繰り悪化に対応して、資金確保を急いでいる。

これにより、スズキはGMとの27年に及ぶ資本提携を解消する。
では、スズキにとって何か問題が生じるか、と言えば、
現時点では協調関係は続くとしていることを考慮すれば問題は少ない。
それ以上に問題なのは、同社の連結純利益の5割超を稼ぐインドビジネスの行方だ。

最近では、金融恐慌の影響もあり、自動車販売は減速傾向にある。
しかし、多少の波はあっても
高成長の見込めるインド市場であることに変わりはない。
その中で、スズキ車のシェアは約50%。
実際、インドを訪問した今年2月、驚く程スズキ車ばかりだった。

スズキはここ数年、インドにおける積極投資を続けてきた。
それは、トヨタなど、現在のインドにおける競合である現代、
タタとはレベルが変わる競合がインド市場に参入してくる前に、
インド国内におけるシェアを維持しなければならない、と考えたためだ。

しかし、ここ数ヶ月で環境は激変した。
スズキが、投資をしてきたことが、今は苦しいが数年後生きてくる。
目先は新興国の問題で株価が下がろうとも、
長期投資家にとってスズキは長期投資に耐えうる魅力ある企業だと考える。


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■編集後記
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金融サミット後の株価が芳しくありません。

いままでのようにイベントがあって大きく下落、
(または上昇)する流れからすると、嫌な空気が流れていると感じます。
感覚的に。

今は、もう一段の下落に備え、現金比率を高めておくことは必要です。
積極的になるのは、“イベント”が発生したとき。

上昇するにせよ、下落するにせよ、本日のような株価推移のタイミングでは
短期トレーディングを心がけるのであれば別ですが、
少し長い期間を投資に当てるのであれば、
焦って飛び出すタイミングではない、と考えています。


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