地政学リスクによる株価調整はそれほど長くは続かないが・・・

優利加さん
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先週金曜日の米国株式相場は続落した(DJIA -232.85 @34,079.18, NASDAQ -168.65 @13,548.07, S&P500 -31.39 @4,348.87)。ドル円為替レートは114円台後半の先週末比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が621に対して、下落銘柄数は1,466となった。騰落レシオは98.17%。東証1部の売買代金は2兆3068億円。

TOPIX -14 @1,911
日経平均 -211円 @26,911円

緊迫化して来たウクライナ危機を受けて、日経平均は続落して始まり、下げ幅は一時570円を超えた。しかし、バイデン米大統領がプーチンロシア大統領との首脳会談を原則として受け入れたとの報道が伝わると、下げ幅を縮小した。海運や陸運などの景気敏感株の下げが目立った。

足元ではロシアによるウクライナ侵攻を懸念して株価が調整しているが、経験則では地政学リスクによる株価調整はそれほど長くは続かない。1973年の第4次中東戦争以来、合計16回の大きな地政学リスクが顕在化した。16回中14回は半年後から1年後には株価は大きく上昇した。残り2回(第4次中東戦争と米国同時多発テロ)は株価の下落が長引いた。これは景気後退と地政学リスクの顕在化が重なっていたからである。

米国では40年ぶりの高いインフレ率を抑え込むために、FRBが3月にも金利引き上げを実施することがほぼ確実となってきた。年内に5~7回の利上げがあるとマーケットは読んでいる。現在の米国のインフレは主に供給サイドの詰まりで起っているもの、つまりコスト・プッシュ・インフレである。需要サイドの過剰で起るディマンド・プル・インフレなら利上げを含む金融引き締めが効果的であるが、コスト・プッシュ・インフレを抑え込むにはそれほど効果が高いとは思えず、景気を過剰に冷やして不況に落とし込むリスクの方が高いのではないだろうか。もし、そうなれば、株式相場に与えるダメージはウクライナ危機よりも大きく、且つ、長期的になるだろう。

日経平均の日足チャートを見ると、前日と同じくギャップダウンして始まったが、切り返して長い下ひげを引いた陽線で終えた。連続2陽線で下げている。明らかに下げ渋りを見せており、悪材料が緩和されれば大きく反発する兆候である。現在のウクライナの緊張が後どれくらい続くか予断を許さないが、話し合いで解決するなら後1~2週間以内が限度だろう。

33業種中29業種が下げた。下落率トップ5は、金属製品(1位)、海運(2位)、陸運(3位)、電気機器(4位)、水産・農林(5位)となった。

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