TOPIX -15 @1,931
日経平均 -228円 @27,233円
昨日はロシアによるウクライナ侵攻に対する警戒感が後退して日経平均は600円近く反発したため、もともと今日は利益確定売りや戻り待ちの売りが出易かった地合いに加えて、ウクライナを巡る地政学リスクが改めて意識されたため売りが優勢となった。後場になると、親ロシア武装勢力が実効支配する地域で「砲弾と手りゅう弾を発射した」と報道されるとリスクオフの観点から株価は下げ足を速めた。反対に、外為市場では安全通貨とされる円の買いが優勢となり円高・ドル安が進んだ。日経平均の下げ幅は一時380円に迫った。
1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公開された。利上げペースやバランスシートの縮小に関しては目新しい記述はほとんどなく、市場が警戒していた金融引き締めに過度に積極的な内容ではなかった。そのため、金融引き締めに対する緊張感がやや和らいだ。
先週末時点での信用買い残は4週連続で減少して3兆2874億円(前週比マイナス323億円)となった一方、信用売り残は3週連続で増加した。つまり、信用倍率が低下して需給面からは株価は上げやすくなっている。悪材料が続いているのでさらなる下落に賭けて信用売り残が積みが上がるのだが、どんな悪材料でもその内に相場に織り込み済みとなる。そこへ何かのきっかけで悪材料がその力を失い始めると一気に踏み上げられて株価は急反発することがある。
欧州の長期金利が徐々に上昇しており、日本国債からドイツ国債などに乗り換える動きが進んでいる。そのため、円相場は対ドルだけでなく対ユーロでも円安圧力が高まっている。国際決済銀行(BIS)が2月17日に発表した1月の実質実効為替レート(2010年=100)は67.55まで低下してきており、これは1972年以来の円安水準である。ただでさえ、過去30年間、先進国および新興国の中で唯一、日本だけが一人当たり所得は横ばいが続いていて相対的に貧しくなっているのに、円安効果も重なるとさらに貧しくなる。英国、ドイツ、スイスなど欧州先進国は勿論、シンガポールやオーストラリアへ旅行しても現地の物価の高さ、つまり日本人の所得の相対的低さを痛感するばかりである。
日経平均の日足チャートを見ると、下向きの25日移動平均線にまた弾き返されるように長陰線で下げて、10日移動平均線の下に沈み込んだ。ただ、長めの下ひげを引いたので、下げ渋り感もある。
33業種中26業種が下げた。下落率トップ5は、サービス(1位)、倉庫・運輸(2位)、情報・通信(3位)、輸送用機器(4位)、不動産(5位)となった。