アメリカ金利とウクライナ問題と

動点Pさん
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こんにちは。動点Pです。

さっそく指数を確認しておきましょう。

                     値    前週比  年初来
S&P500       4418.64     -1.82%     -8.03%
NASDAQc   13791.15    -2.18%    -13.00%

S&P500(週足) Stoch RSI %K 10.24 < 20

先週はギクシャクしながらも持ち直してきたように見えましたが、金曜日の取引終了間際に一気に下げました。まず木曜日、アメリカ消費者物価指数 CPI が7.5%と発表され、みたことのない異常な高さに市場が動揺しました。政策金利の利上げがさらにスピードアップされるのではないかという憶測が広がったからです。そして翌日、その動揺も覚めやらぬまま、ロシアのウクライナ侵攻の危機が伝えられると市場は一気に下げました。なんだか急に市場は混沌としてきました。

今後、少なくとも短期的には株価は下がると思います。ウクライナ問題でリスクが上がっているので、機関投資家もリスクオフのために資金を一旦引き揚げる方向に動くと思われるからです。ここで買い向かうのか、手仕舞うのか、というのは投資家によって異なると思いますが、私は手仕舞う方向で考えています。石油、エネルギーは引き続き持ち続けますが、その他は多少損切りしてでも一旦降りようと思います。

金曜の早朝にアメリカ大統領補佐官がロシアのウクライナ侵攻危機について記者会見しました。彼が「空爆の危険が高い」と説明したのはおそらく時間稼ぎと思います。衛星写真などから状況は分析されているはずですし、こうして「空爆の準備をしていることは知っているんだぞ」というメッセージをロシア側に伝えることで行動を制限する効果があるものと思います。現状のニュースをみるだけでも、これが軍事演習だと言うのはかなり難しいでしょう。

【解説】 ウクライナでの開戦、どうやって分かるのか/ BBC

もちろん最終的に判断するのはプーチン大統領ですが、実際に侵攻が起きる確率は5分5分といったところでしょうか。紛争、戦争といったものは多くの人を傷つけるので本当にやめてもらいたいです。平和を願っています。

市場のもう1つの懸案事項はアメリカのインフレ率と政策金利のかい離です。現在アメリカのインフレ率は7.5%である一方、政策金利は0.25%です。このようなかい離は過去を振り返っても事例がありません。そのため多くの人がこれからどうなるのか、このかい離が市場にどのような影響を与えるのかわかっていません。

Consumer Price Index/ U.S. Bureau of Labor Statistics

発表されたCPIを詳しく見るとエネルギーのインフレが27%と、目を引きますが、食料品も7%と上がっています。肉・魚・卵は2020年から2021年比で12%以上値上がりしていて、消費者としてはかなりつらい状況になりつつあるようです。

ちょうどミシガン消費者信頼感指数の2月分が発表されたのでそちらも確認してみます。

Index of Consumer Sentiment/ University of Michigan

2月の結果は61.7となっていて過去10年で最悪の数字となっています。コメントをみると年収10万ドル以上の世帯でもこの値が低下してきているとのことで、どうも悪いインフレが広がりつつあるようです。賃金インフレも起きているとはいっても、全員に起きているわけではないでしょうし、いつも買っているものの値段が上がっていくのは心理的なダメージが大きそうです。

そのためFRBがインフレをほどほどに抑え、アメリカの景気を維持できるかどうかが注目されています。しかしこのタイミングでロシアのウクライナ侵攻問題が起きたことで、ガソリン、天然ガス、農作物の値段がむしろ上がっています。

たとえば「とうもろこし先物」はこんなかんじ。

ウクライナは小麦やとうもろこしなどの一大生産地であり、かつ輸出国なのでここが侵攻されると西側諸国にこうした穀物や農産品が入ってこなくなると考えられています。

FRBはまさに頭を抱えている状態と思います。このままインフレを放置しても、国債金利は上がり株価は下がりますし、経済もボロボロになっていきます。かといって政策金利を上げても、株価は下がりますし、正常な金利まで上げるには遠い道のりです。難しい綱渡りが続きます。

最後に少しだけ付け加えると、エネルギーでは石油、天然ガス以外でも、石炭関連も急上昇しています。アメリカの石炭銘柄というと $BTU $ARCH 辺りです。日本で石炭といえば話題の三井松島(1518)ですが、こちらは地域的な問題もあるのでよくわかりません。

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日本市場はというと、週明けはおそらくアメリカ市場にあわせて落ちると思います。かといって今の日本の株価が積極的に上を目指す材料もないので、それほど期待できない相場が続くと思っています。

先週の話題は、日銀が国債の無期限買い入れを発表したことです。

日銀 国債無制限買い入れへ 長期金利上昇で利回り調整/ NHK

円安がさらに進むことはほぼ間違いなさそうです。

今期の決算発表もいろいろと発見があっておもしろかったです。印象に残ったのはコマツなど中国での売上が大きく落ち込んでいる企業が多かったことです。中国の経済のニュースはあまり聞きませんが、思っている以上に中国の景気は悪いのかも知れないと思いました。


今日は雨も降っていて気分も下がり気味ですが、こんなときは甘いものを買って家でのんびりしますー。

ではではー。
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