ちょっと運動して来るわ。
家族にそう言い残すと、俺は近くの××公園へと向かった。
××公園、俺の家から歩いても2~3分位。
かなり大きく、休日ともなると家族連れで一杯になる。
さらに××公園のいい所は、公園内に1周1キロ位のアスファルトの周回コースがあるところだ。
「おっ!いるいる。」
1周1キロのコースを、ジョギングしたり走ったりしてる人が多い。
俺の場合は、勿論歩き。走るのは疲れる・・ていうか、走れない。
「さて、今日は5周をノルマにするかな。」
5キロ歩く事を自分に課した。
その前に・・誰か目標を決めないといかんな。
そう、自分の前を行く人物を目標にすればいい。離されずに歩くのだ・・。
前を歩く集団がいた。
タオルを巻いた中年のオバサン集団、その数4人。
「アレはダメだな。何か喋りながら歩いてるし、目標にはならんな」
俺は、オバサン集団を目標から外した。
さらにその前、赤いジャージの女子中学生発見。
「アレはどうかな?」
しかしすぐに諦めた。赤ジャージの女子中学生は走っていた。
走ってちゃイカンな、走ってちゃ。
ハアハア・・・。
俺の脇を何人かが抜いていった。
「早!」
歩き始めて10分位経過・・・
抜かれる一方だ。しかも俺は誰も抜いてない。
「そんなに遅いとは思えんがなぁ・・何でだろう。」
そうこうする内に大分暑くなって来た。汗が・・・
前を歩いて(走って)いる人物のほとんどが、半袖、ジョギングパンツ。
俺は?
コテコテのダウンジャケットみたいのに、分厚いズボン・・・
こ、これは
とても運動しに来た姿ではない。
さらに言えば、ハンカチの一枚も持ってないではないか!
一体俺はここに何しに来たのだ?
基本的な姿勢が違うのよ、姿勢が。
赤ジャージの女子中学生が俺を追い抜いた。
とうとう周回遅れになってしまった。
というか・・
よく見れば、見覚えのある服装が何人も俺を追い抜いていた。
正真正銘、見事なまでの周回遅れ。
ま、まあいい。別に競ってるわけではないんだから・・。
後ろから足音が迫ってきた。さらに俺を抜こうというのか?
しかも歩きで・・。そう、この足音は走ってるものではない。
後ろにいる人物は、確かに歩いている。
走ってる人物に抜かれるのはいいが、同じ歩きとなると・・・
ここは、頑張らねばならん!抜かせてなるものか。しかし
軽く抜かれた。ハアハア言いながら抜いていった。
誰よ?
げ!
どう見ても普通のオバサンではないか!クソっ!
ここは当然、普通のオジサンとして抜き返すのだ。男子の沽券にかかわる。
しかしながら、どう頑張っても・・・
抜けません!
抜けないどころか、その差は広まる一方。
ダメだ。無理したらいかん。腰が痛くなる。
そうだ、多分あのオバサンは普通のオバサンじゃないんだ。
学生時代、陸上の選手だったに違いない。きっとそうだ。
適当に言い訳をしながら歩いていると、後ろから更なる足音が・・・。
しかもまた歩きだ。ええい、いっその事ここまで走って来い。
しかし、なかなか近づいて来ない。どうやら話しながら歩いているようだ。
え?
話しながら歩いている?どこかで聞いたフレーズだ。
確か、この記事の前半で書いた・・・。ま、まさか?
あの集団?4人連れの?中年の?・・・オバサン達?に
抜かれんの?俺?
もう帰ろう・・・。