アステナホールディングスのニュース
~医薬・ヘルスケア、ファインケミカルへ事業変革が本格化~
【ポイント】
・2023年11月期の業績は下期から好転しており、来2024年11月期は本格的に向上してこよう。現在は先行投資の谷間で、外部環境の変化に対応してきた。大型M&AのPMI(経営統合)を進め、新規需要の開拓や設備投資という点で、次第に効果が表面化しよう。
・CMCを担うスペラファーマの新規需要開拓が進んでいる。進行基準なので、受注増が売上に効いてくるにはタイムラグがある。医薬品の薬価改定が、皮膚の塗り薬で当社にプラスに働いており、収益面で改善効果が出ている。半導体・電子部品関連の表面処理薬品は、半導体関連が動き出しており、来期には好転しよう。
・中長期ビジョンAstena 2030“Diversify for Tomorrow.”では、①医薬品・ヘルスケアでのプラットフォーム戦略、②塗り薬や表面処理薬品でのニッチトップ戦略、③ファンドを活用したソーシャルインパクト戦略を推進する。
・具体的には、CMCのプラットフォームを軸に、新たなニッチトップを目指す。2020年に買収したスペラファーマをコアに、医薬品の開発・製造(CDMO)では、塗り薬に加えて注射剤分野へ展開する。これまでのM&Aを軸とした投資額は全体で約110億円、のれんの償却を入れても営業利益の拡大余地は大きい。
・1)抗がん剤向けなどの高活性原薬や中間体などAPI(有効成分)分野の強化、2)CMC研究開発受託事業の拡大、3)パワー半導体分野での新しい表面処理薬品、4)シルバー世代に強みを持つ化粧品分野の広がりなどをリード役に、事業投資が活発化している。一方で、採算の低い一般用医薬品の卸からは撤退した。これらを含めて、商社から研究開発型製造機能へのシフトを進めており、製造比率は7割に近づこう。
・2025年11月期までの3ヵ年計画では、売上高593億円、営業利益22億円、ROE 5.6%を目標とする。過去のピーク利益水準に戻す予定で、十分達成できよう。ビジネスモデルの変革に、新規需要が乗ってくれば、回復のピッチが早まろう。まずはPBR1.0倍が実現できる市場開拓の進展と業績の向上に注目したい。
目次
1.特色 医薬品、医薬品原料、化学品で製造機能を強化
2.強み スペラファーマ買収を機に持株会社化を推進
3.中期経営計画 10年ビジョンで収益力の向上を目指す
4.当面の業績 先行投資の谷間を経て回復へ
5.企業評価 ビジネスモデルの変革に期待
企業レーティング | B |
---|---|
株価 (2023年11月21日) |
511円 |
時価総額 | 209億円 (40.77百万株) |
PBR | 0.75倍 |
ROE | 3.3% |
PER | 22.4倍 |
配当利回り | 3.5% |
総資本 | 67144百万円 |
純資産 | 27229百万円 |
自己資本比率 | 40.4% |
BPS | 685.9円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2015.11 | 55422 | 559 | 694 | -143 | -4.3 | 6.0 |
2016.11 | 55121 | 977 | 1071 | 8 | 0.3 | 6.0 |
2017.11 | 57387 | 1571 | 1778 | 1241 | 37.9 | 7.5 |
2018.11 | 60083 | 1849 | 2000 | 1414 | 43.8 | 10.5 |
2019.11 | 61647 | 2121 | 2318 | 1533 | 47.0 | 13.0 |
2020.11 | 65341 | 2035 | 1968 | 1983 | 60.3 | 16.0 |
2021.11 | 72322 | 2233 | 2420 | 1736 | 46.9 | 18.0 |
2022.11 | 49636 | 819 | 887 | 579 | 14.6 | 18.0 |
2023.11(予) | 56000 | 1100 | 1100 | 700 | 17.7 | 18.0 |
2024.11(予) | 59000 | 1500 | 1400 | 900 | 22.8 | 18.0 |
2025.11(予) | 63000 | 2300 | 2200 | 1400 | 35.4 | 18.0 |
(2023.8ベース)
(注)(予)はアナリスト予想。ROE、PER、配当利回りは2024.11期予想ベース。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/asutenaHD202311.pdf
(開示)日本ベル投資研究所は、事業変革に関する実態と手続きの詳細を分析するために、当社株式10000株を少数株主として中長期的に所有している。〔アナリストレポートの原則についてはこちら〕
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