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―「2025年問題」が需要を後押し、QOL向上と人手不足解消で成長産業へ―
今年も残すところ2週間を切ったが、2025年を振り返ると、約800万人に及ぶとされる「団塊の世代」が全て後期高齢者である75歳に達する、「2025年問題」が現実として訪れた年となった。高齢化社会が進展するなか、「高齢化社会」に関連する産業は成長が期待される分野であり、株式市場でも息の長いテーマとして知られている。
こうしたなか、「2025年問題」で巨大な潜在需要が「確信」へと変わる高齢者向け食品(シニアフード)への関心が高まっている。民間企業の調査によると市場は拡大を続けており、中期的な成長にも期待が持てる。関連銘柄に注目したい。
●フレイル予防で食事を通した健康維持への関心高まる
高齢者の健康寿命が延伸するなか、食事を通した健康維持への関心が一段と高まっている。加齢や疾患によって身体的・精神的なさまざまな機能が徐々に衰える「フレイル」を予防するため、また誤嚥(ごえん)のリスク低減など生活の質(QOL)を高める上で食事は非常に重要であるという認識が広がっている。
シニアフードといえば、以前は柔らかさや飲み込みやすさばかりが重視されていたが、最近では「おいしさ」へのこだわりが顕著だ。食欲の減退は低栄養につながるため、食べる楽しみを提供し、低栄養を予防するためには見た目やおいしさが欠かせない。農林水産省が普及を後押しする新しい介護食品の分類である「スマイルケア食」の浸透や、噛む力に合わせて分類された「ユニバーサルデザインフード(UDF)」の普及もあって、かつての「離乳食のような食事」から、見た目も味も良い「普通食」に近いシニアフードへと変わりつつあり、これもニーズの裾野を広げている。
●高齢者向け調理品市場は1兆円を超える規模へ
実際、シニアフード市場は順調に規模を拡大している。矢野経済研究所(東京都中野区)が24年10月に発表した「介護食、高齢者食、病者食の市場に関する調査を実施(2024年)」によると、23年度の介護食、高齢者食、病者食を合算した国内市場規模は、加工食品が前年度比2.7%増の1998億円、調理品(病院や施設の給食、弁当などの配食サービス)が同3.5%増の1兆5555億円と推計。28年度には加工食品が2215億円、調理品が1兆7232億円まで拡大すると予測している。
同社では、高齢化や単身化を背景に介護食、高齢者食の加工食品や調理品の市場は今後も拡大すると予測。国の政策やライフスタイルの変化から、高齢者の居場所が病院から施設へ、そして施設から在宅へとシフトしていることも、利便性の高いシニアフードの需要を押し上げる要因となっている。
●配食サービスは高齢者の日常生活支援の重要な要素
また、特に調理品市場の拡大は、前述の要因に加えて、調理負担の軽減や栄養摂取・管理への関心の高まりが追い風になっている。介護現場における深刻な人手不足により、介護施設などでは一から調理することが困難になっており、アウトソーシングするケースが増えている。
介護施設以外でも、「買い物弱者」に代表される買い物の困難さや、手間や時間といった施設とは異なる調理負担から調理品へのニーズは高い。経済産業省が25年5月に発表した「高齢者・介護関連サービス産業振興に関する戦略検討会」の取りまとめでは、地域福祉の課題解決と産業活性化を両立させる「産福共創」というコンセプトを提示。そのなかで配食サービスは、高齢者の日常生活を支援する重要な役割を担う一つとして位置づけられている。
そこで今回は、成長が期待できるシニアフード業界から、注目銘柄をピックアップしてみたい。
●シニアフードの関連銘柄
シルバーライフ <9262> [東証S]は、高齢者向け配食サービス「まごころ弁当」などの展開や高齢者施設への食材販売、更に冷凍弁当の自社・OEM販売などを手掛けており、25年10月末時点で920店舗のFC店舗を展開。圧倒的な販売規模により、生産性や仕入れ、コスト面でスケールメリットを享受している。近年では介護施設の人手不足を背景にした施設向け冷凍食材や、調理負担軽減につながる直販における冷凍弁当の販売が増加。12月11日に発表した26年7月期第1四半期単独決算は、営業利益1億9800万円(前年同期比14.4%増)と2ケタ増で着地。通期では食材製造の内製化や物流のルート便構築を進め同10億4000万円(前期比22.3%増)を見込む。
ワタミ <7522> [東証P]は、配食サービス最大手の「ワタミの宅食」を展開しており、単なる弁当の配達だけではなく、配送スタッフによる「見守りサービス」を付加価値として展開。自治体との連携も強化しており、インフラとしての側面も強まっている。11月12日に発表した26年3月期上期連結決算では、広告宣伝費の積極投資などで同事業が減益となり、全体でも営業利益21億3900万円(前年同期比4.1%減)となった。広告投資の積極化から同事業は通期でも減益を見込むが、外食事業の主力業態の堅調などもあり、通期では同46億円(前期比0.7%増)を見込む。
キユーピー <2809> [東証P]は、1998年に日本で初めて家庭用介護食を販売。現在では噛む力や飲み込む力に合わせた4種類のやわらかさの「やさしい献立」シリーズを展開する市販用介護食の大手。主食から副菜、デザートにいたるまで幅広い商品ラインアップが特徴だ。25年11月期は、10月2日に発表した第3四半期累計連結決算で営業利益が270億6200万円(前年同期比9.2%減)で通期計画に対する進捗率は78%。通期では同345億円(前の期比0.5%増)を見込む。また、12月3日には26年3月2日出荷分から家庭用商品の一部と、4月1日出荷分から業務用商品の一部をそれぞれ値上げすると発表しており、今期以降の業績への寄与が期待されている。
ファンデリー <3137> [東証G]は、栄養士監修のもと、食事コントロールを通して血液検査結果の数値改善を目指す健康食宅配サービス「ミールタイム」を展開するMFD事業が主力。26年3月期上期単独決算は、伸び悩んでいた同事業の売上高が回復に向かったことに加えて、国産ハイブランド冷凍食品「旬をすぐに」を展開するCID事業の原価率改善効果などで営業利益が4200万円(前年同期1億2800万円の赤字)と黒字に転換。通期では同8600万円(前期1億3300万円の赤字)を見込む。
このほか、子会社が栄養補助食品や流動食を展開する森永乳業 <2264> [東証P]、生協向けの夕食宅配(配食)の製造を受託するカネ美食品 <2669> [東証S]、医療・福祉施設や介護弁当に利用される骨なし魚のパイオニアである大冷 <2883> [東証S]などにも注目したい。
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