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*09:53JST 荏原製作所:海外売上比率は60%超え、ベンチマークは時価総額10兆円超えるグローバル企業
荏原製作所<6361>は、ポンプ・コンプレッサーをはじめとする産業機械を中核としながら、精密・電子、インフラ、環境、エネルギーといった多様な分野に幅広い製品とサービスを展開している。創業は1912年、長年培ってきた流体制御技術と機械加工技術を基盤に、社会インフラや産業基盤の根幹を支えている。2024年12月期におけるセグメント別売上構成比は、精密・電子32.1%、建築・産業27.5%、エネルギー24.3%、環境10.1%、インフラ5.9%となっており、バランスのとれた事業ポートフォリオを構築している。また、世界41の国・地域に拠点展開するなかで海外売上比率は60%に達しており、グローバルな事業展開が特色である。標準ポンプ国内シェア&冷却塔国内シェア1位、石油・ガスプラント(ダウンストリーム)向けコンプレッサ世界シェアトップ、排水機場用ポンプ国内シェア1位、CMP装置,ドライ真空ポンプ世界シェア2位など、多くの製品において国内外でプレゼンスを発揮している。
同社は、製造・販売に加えて、納入後の保守・修繕(サービス&サポート)までを含めた一貫体制を整えており、各セグメントで高収益のサービスビジネスを拡大している。また、精密・電子セグメントでは、半導体製造装置や真空ポンプを中心に高度な技術を提供しており、生成AI関連など最先端領域への対応力でも競争優位性を有している。同社の強みは、グローバル市場における総合力と、セグメントごとの特化技術の融合が挙げられる。たとえば、インフラ事業では国内外の大規模下水処理・排水ポンプ案件において、長年の実績と信頼性が評価されており、南米や東南アジアでの大型受注も進んでいる。また、精密・電子分野においては、生成AIの拡大を背景とした半導体投資に伴う真空装置の需要に対応しており、特に台湾や韓国市場で大手顧客との安定的な取引関係を構築している。
2025年12月期第1四半期の受注高は1,998億円(前年同期比4.3%増)、売上収益は2,126億円(同9.7%増)、営業利益226億円(同17.1%増)と、いずれも第1四半期として過去最高を更新した。営業利益の増加要因は、主に精密・電子およびインフラセグメントが牽引。精密・電子が生成AI向け半導体投資の継続に、インフラセグメントも国内では国土強靭化関連、海外では南米での大型下水案件受注により好調を維持し、収益面でも拡大が見られた。一方、エネルギーセグメントでは受注が前年の大型案件反動減により減少し、営業利益も前年の一時益剥落や固定費増が影響し減益となったが、売上自体は北米を中心に順調に推移した。建築・産業セグメントや環境セグメントも地域や案件ごとに強弱はあったが、全体では安定した動きを見せている。
市場環境を見ると、インフラ分野では国内において国土強靭化政策が引き続き設備投資を下支えしており、海外では地球温暖化・異常気象により世界各地で洪水被害が年々増加し、河川排水ポンプは一定の需要が継続。また、精密・電子分野では、世界的な生成AI関連の投資が続く中、真空技術の高度化ニーズに対応する必要性が高まっており、同社の真空ポンプ技術に対する期待も大きい。エネルギー分野もLNGが5%台成長、エチレンが4%台成長の見込みとなっている。
今後の見通しについて、2025年12月期の通期業績予想は連結売上収益9,400億円(前期比9.2%増)、営業利益9,000億円(同3.8%増)で据え置かれているが、足元の実績進捗は順調であり、特に生成AI関連や国内インフラ需要に支えられた精密・電子およびインフラセグメントが業績牽引役となる見通しである。営業利益については、成長投資、基盤投資を戦略的に進めつつ、過去最高水準の営業利益額を見込む。同社では、各グローバル拠点で域産域消が一定程度進んでおり、米国への輸出入の影響は現時点では限定的であるが、今後の追加施策によっては影響が出る可能性もあり、対中制裁や関税政策の影響には引き続き注視が必要。北米でのエネルギー投資動向や部品調達のリスク管理が収益確保の鍵を握る。関税の影響によるコストアップに対しては、適切な価格設定および製品・サービスの付加価値向上で対応していく。
同社は事業規模、収益性、資本効率は大きく向上したものの、ベンチマーク企業の一つであり、類似する市場で事業を展開するグローバル産業機器同業A社からはいずれの指標も大きな差があると認識しているもよう。今後の経営方針を掲げているが、複数の事業、製品、サービスを保有する同社の事業ポートフォリオの独自性を活かし、精密・電子、建築・産業、エネルギーを成長ドライバーとして、いずれの指標(売上収益・営業利益率・ROE)も更なる向上を図り、グローバル・エクセレント・カンパニーとしてもう一段の進化を目指すようだ。FY35に向けた事業ポートフォリオの進化のイメージも開示しており、インフラ、環境の基盤事業で安定したキャッシュを生み、建築・産業やエネルギー、精密・電子分野で成長を図っていく。育成事業として水素事業も掲げており、これはエネルギー事業で収益化を図る。
同社は、株主価値向上のための指標としてTSR(株主総利回り)を重要視しており、経営の重要指標であるROEとともにTSRを各影響因子に分解した上で、個別施策と結びつけてその改善を推進している。PBR水準を意識しつつ、ROEの向上と中長期的なTSRの最大化を目指している。中計において、配当性向35%以上を目安とする方針を掲げていた。実際、2019年12月期を起点としたとき、同社のTSRは5年で約4倍、年率31.9%のパフォーマンスをたたき出している。総じて、同社はグローバルに通用する技術力を持つ中、特に生成AI、国土強靭化、インフラ老朽化といった構造的テーマが同社の事業と高い親和性を持つことから、中長期的にも堅実な投資対象として注目に値する企業である。同社のベンチマーク企業の時価総額は12.3兆円程度となるが、荏原製作所のここからの成長性に期待しておきたい。
<HM>
同社は、製造・販売に加えて、納入後の保守・修繕(サービス&サポート)までを含めた一貫体制を整えており、各セグメントで高収益のサービスビジネスを拡大している。また、精密・電子セグメントでは、半導体製造装置や真空ポンプを中心に高度な技術を提供しており、生成AI関連など最先端領域への対応力でも競争優位性を有している。同社の強みは、グローバル市場における総合力と、セグメントごとの特化技術の融合が挙げられる。たとえば、インフラ事業では国内外の大規模下水処理・排水ポンプ案件において、長年の実績と信頼性が評価されており、南米や東南アジアでの大型受注も進んでいる。また、精密・電子分野においては、生成AIの拡大を背景とした半導体投資に伴う真空装置の需要に対応しており、特に台湾や韓国市場で大手顧客との安定的な取引関係を構築している。
2025年12月期第1四半期の受注高は1,998億円(前年同期比4.3%増)、売上収益は2,126億円(同9.7%増)、営業利益226億円(同17.1%増)と、いずれも第1四半期として過去最高を更新した。営業利益の増加要因は、主に精密・電子およびインフラセグメントが牽引。精密・電子が生成AI向け半導体投資の継続に、インフラセグメントも国内では国土強靭化関連、海外では南米での大型下水案件受注により好調を維持し、収益面でも拡大が見られた。一方、エネルギーセグメントでは受注が前年の大型案件反動減により減少し、営業利益も前年の一時益剥落や固定費増が影響し減益となったが、売上自体は北米を中心に順調に推移した。建築・産業セグメントや環境セグメントも地域や案件ごとに強弱はあったが、全体では安定した動きを見せている。
市場環境を見ると、インフラ分野では国内において国土強靭化政策が引き続き設備投資を下支えしており、海外では地球温暖化・異常気象により世界各地で洪水被害が年々増加し、河川排水ポンプは一定の需要が継続。また、精密・電子分野では、世界的な生成AI関連の投資が続く中、真空技術の高度化ニーズに対応する必要性が高まっており、同社の真空ポンプ技術に対する期待も大きい。エネルギー分野もLNGが5%台成長、エチレンが4%台成長の見込みとなっている。
今後の見通しについて、2025年12月期の通期業績予想は連結売上収益9,400億円(前期比9.2%増)、営業利益9,000億円(同3.8%増)で据え置かれているが、足元の実績進捗は順調であり、特に生成AI関連や国内インフラ需要に支えられた精密・電子およびインフラセグメントが業績牽引役となる見通しである。営業利益については、成長投資、基盤投資を戦略的に進めつつ、過去最高水準の営業利益額を見込む。同社では、各グローバル拠点で域産域消が一定程度進んでおり、米国への輸出入の影響は現時点では限定的であるが、今後の追加施策によっては影響が出る可能性もあり、対中制裁や関税政策の影響には引き続き注視が必要。北米でのエネルギー投資動向や部品調達のリスク管理が収益確保の鍵を握る。関税の影響によるコストアップに対しては、適切な価格設定および製品・サービスの付加価値向上で対応していく。
同社は事業規模、収益性、資本効率は大きく向上したものの、ベンチマーク企業の一つであり、類似する市場で事業を展開するグローバル産業機器同業A社からはいずれの指標も大きな差があると認識しているもよう。今後の経営方針を掲げているが、複数の事業、製品、サービスを保有する同社の事業ポートフォリオの独自性を活かし、精密・電子、建築・産業、エネルギーを成長ドライバーとして、いずれの指標(売上収益・営業利益率・ROE)も更なる向上を図り、グローバル・エクセレント・カンパニーとしてもう一段の進化を目指すようだ。FY35に向けた事業ポートフォリオの進化のイメージも開示しており、インフラ、環境の基盤事業で安定したキャッシュを生み、建築・産業やエネルギー、精密・電子分野で成長を図っていく。育成事業として水素事業も掲げており、これはエネルギー事業で収益化を図る。
同社は、株主価値向上のための指標としてTSR(株主総利回り)を重要視しており、経営の重要指標であるROEとともにTSRを各影響因子に分解した上で、個別施策と結びつけてその改善を推進している。PBR水準を意識しつつ、ROEの向上と中長期的なTSRの最大化を目指している。中計において、配当性向35%以上を目安とする方針を掲げていた。実際、2019年12月期を起点としたとき、同社のTSRは5年で約4倍、年率31.9%のパフォーマンスをたたき出している。総じて、同社はグローバルに通用する技術力を持つ中、特に生成AI、国土強靭化、インフラ老朽化といった構造的テーマが同社の事業と高い親和性を持つことから、中長期的にも堅実な投資対象として注目に値する企業である。同社のベンチマーク企業の時価総額は12.3兆円程度となるが、荏原製作所のここからの成長性に期待しておきたい。
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