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【QAあり】コマースOneHD、「futureshop」の機能拡張や新規事業の創出に注力 2025年3月期は中計策定時よりも増収増益を見込む
目次
清水究氏(以下、清水):株式会社コマースOneホールディングス、取締役管理本部長の清水です。本日は、当社グループの事業計画および成長可能性に関する事項についてご説明します。
スライドは資料のアジェンダです。多くの項目があるため、計画の重要な部分と進捗したところのみをピックアップしてご説明します。
グループミッション
目指す姿としてのグループミッションは、あまり変更がなく以前と同じです。
中期経営戦略骨子
2025年3月期を初年度とする中期経営計画の概要として、中期経営計画の骨子をご説明します。スライドに記載の3つの軸に沿って成長させたいと考えています。
1つ目はコア事業の成長です。フロントサイドとして、フューチャーショップでは価値創造を可能にする機能強化、並びにサービス事業領域を拡大させていきます。バックオフィス側のソリューションを提供するソフテルでは、現状の「通販する蔵」をバージョンアップさせたSaaSソリューションの提供を進めます。
2つ目は成長事業のグループシナジーです。コア事業の成長においてフロントとバックのソリューションを両軸で強化することにより、マルチチャネルに対応したSaaS型Eコマースプラットフォームに進化させ、多店舗展開しているEC事業者のマルチチャネルEC戦略を支援していきます。
3つ目は新規事業です。EC事業にとどまらず、周辺事業並びに社会課題を解決するような技術・事業等を共創して、新たな新規事業をおこしていきたいと考えています。
2027年3月期目標
スライドは中期経営計画の定量目標です。2027年3月期において、売上高は54億1,100万円、営業利益は10億1,100万円、親会社株主に帰属する当期純利益は6億8,100万円、ROEは20パーセントを目標値として事業を進めていきます。売上高に関しては、3年間の年平均成長率19パーセントを目標値としています。
成長戦略
中期経営計画をもう少し掘り下げてご説明します。まずは成長戦略の基本方針です。各社がそれぞれのマーケットでしっかりと事業ポジションを押さえて、お客さまの信頼を獲得し、力強く成長していくことを基本としています。
それぞれの成長をもとにグループ一体となり、新たなサービスも立ち上げて育てながら、各社のサービスが点と点でつながり線となり、面としてよりシナジーを創出し、市場を押さえていきたいと考えています。
中期成長方針
成長戦略の中の、中期成長方針です。グループ各社の専門性の高いサービスを「futureshop(フューチャーショップ)」に取り入れ、より強固なプラットフォームを実現していきたいと考えています。「futureshop」の顧客基盤を活用し、グループ各社でサポートしながら、強いプラットフォームに進化させていきたい考えです。
また、バックヤードのソフテルや、新たにグループインした空色が「futureshop」の成長を支えるオプション・ツールを提供することで、お客さまにとってシンプルでわかりやすく、一元的で利便性の高いツールに進化させ、成長させていきます。
フューチャーショップの成長戦略
フューチャーショップの成長戦略です。フューチャーショップの成長戦略として、機能拡張によりターゲット領域を拡大し、カスタマーサクセスのノウハウを活かして支援事業領域を拡大していきます。
また、新規事業の領域をしっかりと伸ばしていきたいと考えています。支援領域と機能拡張の2軸で成長させていくことで面を取っていき、強固なプラットフォームになってシェアを獲得していきたい考えです。
機能拡充については、2022年より先行投資としてエンジニアリソースを割いて開発スピードを上げています。一部はすでにリリース済みですが、開発スピードを上げたことで順次リリースが予定されており、投資も行いつつ早期に回収を図っていきたいです。
futureshopのバリューチェーン
「futureshop」のバリューチェーンについてです。当社グループの強みは、カスタマーサクセスが価値の源泉であることです。カスタマーサクセスは、当社グループがテーマとしている、人に寄り添いながら成長を支援していくことを実践、実行しています。お客さまの相談に乗りながらニーズやトレンドを的確にキャッチし、それを開発に活かして運用し、お客さまの成長を後押しする流れを作っています。
具体的には、売上アップ支援コンサルティングや担当者育成カリキュラムなど、多くのセミナーを実施しています。メール・電話サポートでは、日々の起こりうることに対して迅速に対応する体制を築いています。
中規模ECはサービスに対して非常に厳しいお客さまが多いのですが、お客さまの期待に応え満足度を上げることで、お客さまの課題やニーズを把握して、当社グループの戦略に活かすことができています。まさに、ここが当社グループの価値の源泉、バリューチェーンだと考えています。
フューチャーショップの成長サイクル
フューチャーショップの成長サイクルについてです。当社グループの基本方針は、お客さまにEC戦略を自走化していただくことにあります。お客さま自身で運用し、成長していただくために、当社グループは伴走者としてサポートしています。お客さまのGMVを伸ばし、ARPU・契約継続率向上を生み出す循環型ビジネスモデルです。
これらを支えるのが「commerce creator(コマースクリエイター)」というローコードCMSです。こちらは、難しいプログラミングが不要なコンテンツマネジメントシステムで、ある程度の知識があれば店舗の誰が対応してもECを運営できるサービスのため、管理コストが格段に低くなります。
現在のソリューションの中心は「futureshop」の「commerce creator」で、これらをより大きく伸ばしていきたいと考えています。
また、SNSインフラを活用しながらEC事業の成長を目指す場合などは、リッチコンテンツの作成と管理が重要な課題となります。そのようなデザインの自由度と管理の容易さの両面を兼ね備えたのが、こちらのプラットフォームです。
フューチャーショップの競争優位性
フューチャーショップの競争優位性です。「commerce creator」の特徴としては、ローコードCMSで、ブランドの世界観を表現するデザインカスタマイズ性が非常に高いことが挙げられます。
また、月額固定の課金モデルを採用しています。そのため、お客さまが売上を伸ばせば伸ばすほど、従量課金のように料金が高くなってコストメリットが取れなくなるのではなく、その分ROIが高くなるというモデルです。
当社グループは100を超えるパートナー企業に支えられています。
フューチャーショップはカスタマイズを行いませんが、実績のあるツールとシステムとの連携により、拡張性と安定性を確保し、カスタマイズと同等レベルもしくはそれ以上のソリューションを提供しています。
サポート力については、当社グループのサービスはSaaS型のビジネスモデルで、同じデータベース上にすべてのお客さまがデータを蓄積しているため、レポート機能での分析も容易です。
お客さまの強みや弱みを偏差値的な数値で可視化したデータをもとに、当社グループのラーニングカリキュラムやカスタマーサポートなど、コンサルテーションで活用していただき、お客さまの成長サイクルに貢献していきたいと考えています。
お客さまの自走力を強化するためのサポートも、当社グループがお客さまに選んでいただいている大きなポイントだと考えています。
一方で、それをビジネスモデルとして見た場合、ROIの高いビジネスモデルであり、さらに再現性、伴走力におけるカスタマイズ性とメンテナンス性の高さが当社グループの競争優位性です。
拡張性と安定性、市場への影響力については、多くのパートナーと連携する中で、数多くの成功事例を出しています。このような成功事例を見ながら、他のショップを参考にしつつ、導入したり、場合によっては模倣したりと、市場をリードするEC事業者に非常によく使っていただいていることも強みです。
また、従量課金ではなく月額固定のサービスモデルを採用しているため、成長した際のROIが向上し、解約率も抑えられると考えています。
futureshopのカスタマーサポートの強み
「futureshop」のカスタマーサポートの強みは、スライドに記載のとおりです。
顧客から堅実な成長と持続的な収益性を享受
開発領域についてです。「futureshop」が強い領域は、アパレル・ファッション、インテリア・雑貨・日用品、アウトドア・スポーツです。デザイン性や表現の自由度が高いことによるコンテンツマネジメントの容易さを背景に成長してきました。
昨今の機能追加とバージョンアップにより、それ以外の食品、スイーツ、健康食品といった新しい領域を強化しながら、さらに拡大していこうと考えています。
データを分析すると、中でも一番伸びたのは食品・スイーツの領域です。当社グループは3年前から食品等をECで販売する際に必要となる機能開発を進めてきました。前期にリリースし、今期から攻めていくところです。
Commerce Connect
バックオフィス側のSaaS型ソリューションについてです。消費者に向き合うフロントオフィス側については、「futureshop」におけるSMのEC戦略やマルチチャネルを使った戦略を実行します。
一方で、バックオフィス側では、SaaSソリューションでありながら今までカスタマイズ要望が多かった機能をモジュール化することで、拡張性が高まります。それにより業務の効率化を図り、お客さまの収益の最大化にも取り組んでいきたいと考えています。
futureshop × commerce connect マルチチャネルデータ活用支援
成長戦略の2つ目にお話ししたグループシナジーの結果、可能となるマルチチャネルデータ分析についてです。ECモール、自社サイト、リアル店舗のデータ、POSレジなどすべての店舗データを活用しながら、一元的に管理していきます。
さらにダッシュボードも用意し、ECの運用をより効率化することで、当社グループのビジネスチャンスが創出されると捉えています。
futureshop × commerce connect 共創シナジー
「futureshop」と「Commerce Connect(コマースコネクト)」という2つの商品、ソリューションを掛け合わせることで、マルチチャネルのデータを取得します。これにより、新しいビジネスチャンスの創出と成長を実現させていく考えです。
futureshopのアライアンス:プラットフォーム連携
「futureshop」を中心としたプラットフォームを、グループのリソースを利用して強化します。その上で、さらに幅広いソリューションやプラットフォームと連携することで、多様化していく顧客ニーズに対応していきたいと考えています。
futureshopのアライアンス事業の強み
「futureshop」のアライアンス事業の強みはスライドに記載のとおりです。
空色が開発するUGCソリューション
ECサイトにおけるWeb接客サービスを提供している空色が、新たに開発しているUGCソリューションについてです。
UGCは、口コミのことです。空色は、口コミをしっかりサイト上に集める機能を開発しています。口コミの数はECサイトにおける販売数に相当な影響を与えるため、新たに開発しているところです。
テクノロジーを活用する人の力を最大化させるプラットフォーム
成長戦略の3つ目の新規事業、事業共創プラットフォームについてご説明します。EC事業者へのプラットフォームの提供にとどまらず、当社グループがミッションとして掲げている「テクノロジーを活用する人の力を最大化させるプラットフォーム」の実現を目指しています。
今まで培ってきた当社グループのノウハウやソリューション、開発等のあらゆる資本と、社内外を問わず活用可能なテクノロジーを掛け合わせていくことで、社会課題を解決できるような新規事業の創出を目指し、プラットフォームの構築を準備しているところです。
認識するリスク
事業計画の進捗において、認識すべきリスクはスライドに記載のとおりです。
財務戦略骨子
財務戦略について、スライドに財務戦略骨子を記載しています。こちらは中期経営計画からほぼ変えていません。計画を進める上で、企業価値最大化を図ることが最大の目標です。目標値であるKPIはROE20パーセントとし、これを達成するために3つの方針を定めています。
1つ目は株主還元です。配当性向30パーセント以上を目標値としています。自己株式の取得についても、状況を見ながら機動的に実施していく方針です。また、内部留保されたキャッシュについては、積極的に成長投資を実施し、中長期におけるEPS成長を加速させることで、株主還元を拡大していこうと考えています。
2つ目は資本構成です。事業成長と企業価値向上のために、最適な資本構成を構築する方針です。
3つ目の成長投資は、コア事業と新規事業に分けています。コア事業では、人材投資を源泉とした機能・プロダクト・事業領域の拡張に投資していきます。新規事業では、積極的かつ戦略的に投資を実施していきます。
2024年3月期実績および2025年3月期業績予想変更方針
中期経営計画を発表してから今期のはじめまでに差異が生じたため、その内容と今後の方針をご説明します。前期は、ARPUの向上とコストコントロールにより、中期経営計画策定時の開示予算よりも増収増益となって着地しました。
2025年3月期は利用料金の改定等による既存売上の増加と、ライブコマース、広告運用等による新規売上の増加を見込んでいます。また人員拡大等の先行投資を実施しつつ、AIの活用等による事業効率の改善や、新規投資先からの持分法利益の取り込みにより、中期経営計画策定時よりも増収増益となる想定です。
ROE推移
目標値であるROEの推移です。2023年3月期は16.9パーセント、直近の2024年3月期は17.2パーセントとなっています。2025年3月期から2027年3月期にかけて、ROEを20パーセントまで高めていく計画です。
配当政策
配当政策です。内部留保の確保はもちろんのこと、バランスを考慮しながら株主還元を実施していきたいと考えています。今期、来期を含め、今後収益を安定的に確保できると考えているため、配当性向については30パーセント超を目標値としています。
スライドのグラフは、結果より進んだ場合の予測イメージです。2027年3月期にはEPSを94.68円まで高める計画で、この30パーセント程度を配当に回していきたいと考えています。
売上高推移
グループ全体の売上高の推移です。グループごとに区切っており、2025年3月期から2027年3月期にかけて、売上高成長率は年平均19パーセント程度を計画しています。
主要グループの成長率としては、フューチャーショップは6.2パーセント、ソフテルは27.6パーセントで、バックオフィス側を強化していく方針です。
営業利益推移
営業利益の推移です。お話しした成長戦略の実行により、利益目標を達成していきます。
今期以降、主に「futureshop」の機能拡張、支援領域の拡大と、ソフテルが提供するバックオフィスのSaaS型ソリューションである「Commerce Connect」による共創シナジーの発揮により、成長していきたいと考えています。
キャッシュ・アロケーション 2025 – 2027累計
キャッシュ・アロケーションについてです。中期経営計画は基本的に3年間で考えているため、2025年3月期から2027年3月期の累計期間において営業キャッシュ・フローで21億円を稼ぐ場合、株主還元に5億1,000万円、新規事業に6億8,000万円、コア事業に9億1,000万円と、バランスよく投資していこうと考えています。
加えて、営業キャッシュ・フローにおいては必要に応じて負債を利用するかもしれません。ROE20パーセントを達成するために、状況に応じ、機動的に自己株式の取得も行っていきます。
人材戦略策定
人的資本戦略についてご説明します。中期経営計画を達成するために、事業を支える人材にしっかり投資していく方針です。スライドの左側には、実現させたい未来として「テクノロジーを活用する人の力を最大化させるプラットフォーム」を掲げています。
人材戦略については、ROE20パーセントを達成するための課題として、多様な人材の確保、シナジーの強化、生産性向上・維持の3つを考えています。人材戦略を進めていく中で、1人当たりの収益率向上、売上CAGR15パーセントの維持、エンジニア人員の年10パーセント確保を目標とし、中期経営計画をしっかり進めていきます。
質疑応答:今後の営業活動資金と配当原資との関係について
質問者:2023年度から記念配当も含め、初めて配当が実施されましたが、今後の営業活動資金と配当原資との関係について教えてください。
清水:中期経営計画の達成に向け、新規開発やマーケティング、並びに成長投資分野への資金投下はメリハリをつけて実施していきます。その上で、配当性向30パーセントを基本方針としています。
質疑応答:「futureshop」価格改定の影響について
質問者:「futureshop」の価格改定の影響について教えてください。
清水:一部の顧客からの解約はあるものの、今のところ大きな影響はなく、既存顧客の多くは価格改定にご理解いただいていると考えています。人件費等の物価上昇については、コスト削減努力を続け、サービスの利便性向上に努めながら、経営努力によって賄いきれない部分は値上げで対応していく方針です。
質疑応答:中期経営計画について
質問者:昨年発表した中期経営計画の1年目より2025年3月期ガイダンス予算の方が上振れしていますが、中期経営計画の進捗はどのように考えるべきなのか教えてください。
清水:現時点においては、2027年3月期の定量目標の見直しはありません。当期は、計画策定時よりも「futureshop」におけるARPUの向上が見込まれるため、順調に進捗すると想定しています。また現時点においては、適切な経営判断と必要な投資をしっかり積み重ねていくことで計画は達成できると考えています。
一方で、変化する市場環境に適応するため、計画実行には柔軟な経営判断が必要になります。よって、不確実性が含まれるため結果が計画と乖離する可能性があり、その場合においては状況を見極めながら目標値の更新を適時に開示させていただきます。
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