HENNGEのニュース
【QAあり】HENNGE、APRUが急伸し、HENNGE One事業は前期比+23.1% 将来成長のための人材獲得力に課題
2024年9月期第3四半期決算説明
小椋一宏氏(以下、小椋):みなさま、こんにちは。HENNGE株式会社代表取締役社長兼CTOの小椋です。当社グループの決算説明動画をご視聴くださり、ありがとうございます。
本日は、取締役副社長の天野から2024年9月期第3四半期の業績についてご説明した後、私から通期業績見通しに対する進捗、成長戦略および当四半期の所感についてお話しします。どうぞよろしくお願いします。
連結業績サマリー(対前年同期比、9か月累計比較)
天野治夫氏(以下、天野):天野治夫です。2024年9月期第3四半期の連結業績についてご説明します。
連結業績のサマリーは、スライドのとおりです。当四半期は2023年11月10日開示の通期業績予想に対して、概ね順調に推移しています。
売上高の推移
連結売上高の四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。HENNGE One事業の売上高は、すべてリカーリングの性質を持っており、四半期ごとに増加する傾向となっています。特に当四半期は、4月からHENNGE Oneの価格改定が始まったことで大きく伸長しました。
売上高(対前年同期比、9か月累計比較)
連結売上高の前年同期比は、スライドのとおりです。HENNGE One事業の売上高は、前年同期比で順調に推移しました。
売上総利益の推移
売上総利益および売上総利益率の四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。
売上総利益(対前年同期比、9か月累計比較)
売上総利益および売上総利益率の前年同期比は、スライドのとおりです。為替変動やセキュリティ強化などによるHENNGE Oneのインフラコスト増や、開発人員の拡充などがあったものの、ARPU(ユーザあたり単価)の上昇などの結果、売上総利益率は上昇しました。引き続き、高い水準を維持しています。
営業費用の構造(対前年同期比、9か月累計比較)
営業費用の構造の前年同期比は、スライドのとおりです。売上原価は、為替変動やセキュリティ強化などによるHENNGE Oneのインフラコスト増加、および開発人員の拡充などにより増加しました。
人件費等は、人員の増加が進んだことに加え、2023年4月の営業職手当の導入などにより増加しました。
広告宣伝費は、大阪・東京での「Japan IT Week」や自社イベント「HENNGE Unveiled」など、引き続き積極的に活動した結果、前年同期とほぼ同水準となりました。その他販管費は、主にオフィス増床に伴う費用が増加しました。
その他、人員増に伴う社内システムの利用料、対面での活動が盛んになったことに伴う旅費交通費などが増加しました。
営業費用の構造(対前四半期比)
営業費用の構造の前四半期比は、スライドのとおりです。人件費等は、人員の採用が進んだことにより、増加しました。
広告宣伝費は、「Japan IT Week 春」への出展や「HENNGE Unveiled」の開催などの結果、増加しました。その他販管費は、主にオフィス増床に伴う費用が増加しました。
売上高と営業費用の推移
売上高と営業費用の四半期での推移は、スライドのとおりです。
従業員(アルバイトを含まず)の構成
当四半期末時点での従業員の構成と人数は、スライドのとおりです。
従業員(アルバイトを含まず)の推移
従業員数の過年度からの推移は、スライドのとおりです。当四半期は、前期末比25名の純増となりました。
事業トピックス
事業の進捗についてご説明します。事業トピックスはスライドのとおりです。
HENNGE Unveiled
2024年4月に、自社イベントである「HENNGE Unveiled」を開催し、ファイルの情報漏えい対策サービスである「HENNGE File DLP」を発表するとともに、最新の市場ニーズに対応したHENNGE Oneのリブランディングを行いました。
標的型攻撃メールに対する訓練サービス「HENNGE Tadrill」と、サイバー攻撃対策サービス「HENNGE Cloud Protection」を加えたCybersecurityを新設し、Identity、DLPと合わせて3つのカテゴリでサービスを提供していきます。
今後も最新の市場ニーズに対応し、テクノロジーの解放の実現に取り組んでいきます。
第3四半期の広告宣伝活動
東京で開催された日本最大級のITイベント「Japan IT Week」や、大阪で開催された販売パートナー向けの「HENNGE Oneパートナーミーティング」、全国各地で開催されたさまざまなイベントなどで、リブランディングしたHENNGE Oneの新たな価値をご理解いただく活動を実施してきました。引き続き、活動量が多い状況となっています。
本社オフィスを増床
2024年6月に東京都渋谷区にある本社オフィスを増床しました。これまで以上に組織内のコミュニケーションを活性化することで、今後の成長加速につなげていきます。
HENNGE One KPIのハイライト(対前期末比、9か月進捗)
KPIの進捗についてご説明します。前期末からのHENNGE Oneの各KPIの進捗は、スライドのとおりです。
HENNGE One KPI(対前年同期末比)
HENNGE OneのKPIの前年同期末比は、スライドのとおりです。
HENNGE One 平均月次解約率の推移
HENNGE Oneの平均月次解約率は、スライドのとおりです。従来の解約理由に加え、当四半期では、価格改定をきっかけとした解約が発生しました。
比較的大きめの企業の解約などもあり、解約率は上昇しましたが、解約率の推移は期初想定の範囲内であり、引き続き非常に低い水準を維持していると考えています。理論上の平均契約年数は15年以上です。
HENNGE One 契約企業数と契約ユーザ数の推移
HENNGE Oneの契約企業数と契約ユーザ数の四半期ごとの推移は、スライドのとおりとなりました。
低価格プランの廃止を含む価格改定をきっかけとした解約の影響などがあった一方、販売パートナーとの連携強化が進んだことにより、比較的中小規模の契約を安定して獲得することで、契約企業数は堅調に増加しました。
契約ユーザ数は、比較的大きめの企業の解約の影響などもあり、スライドのグラフのような伸びとなりました。
HENNGE One ARRとARPUの推移
ARRとARPUの四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。当四半期のARPUは、2024年4月からの価格改定の影響により、大幅に上昇しました。
当四半期末時点で、価格改定の対象となる既存顧客のうち、企業数ベースで約3割の移行が完了しました。その3割の企業のうち、比較的大きめの企業の数が他の四半期に比べて多かったこともあり、ARPUの伸びにつながりました。
以上の結果、ARRは大幅に上昇しました。引き続き、HENNGE Oneの価値をご理解いただくための活動を進めていきます。
2024年9月期の方針
小椋:2024年9月期の通期業績見通しに対する進捗についてご説明します。2024年9月期の方針は、スライドのとおりです。
2024年9月期の方針の進捗
前四半期末時点からのアップデートについてご説明します。HENNGE One事業は、ARRおよび2024年4月からの価格改定の状況を含め、期初想定に対して引き続き順調に進捗しています。
また、マーケティング活動も順調に進捗しており、広告宣伝費の年間総額は期初業績予想どおりとなる予定です。
一方で、人員計画は期初計画の人員純増数を大幅に下回り、25名前後での着地となる見込みです。
当期は、より高い付加価値を生み出すことのできる体制を意識した、質の高い人材の採用を推進してきました。しかしながら、このような人材を獲得する際の競争の厳しさ、採用マーケット全体からの当社の認知度の低さ、そして採用力の不足などにより、採用が難航しています。
当社のビジネスモデル上、当期の採用不振が、短期的な業績に及ぼす影響は軽微であると考えています。しかし、会社の変化に応じて求める人材を継続的に採用していくことが当社の成長には不可欠であり、現在の状況は中長期的な機会損失につながり得ると強く懸念しています。
引き続き人材獲得力の向上に努めるとともに、当面の対策として、当第4四半期中に1億円程度の期初計画外の採用広告を実施する予定です。
連結業績見通し(通期)
当四半期の決算発表日現在、通期業績予想に対し、各段階利益は上振れる可能性があります。特に当期純利益については、当四半期での特別利益1.8億円の計上により、上振れの可能性が高くなっています。
しかしながら、先ほどお伝えした1億円規模の計画外の採用広告投資に加え、将来成長に資する投資の機会を引き続き探っており、現在進行中の第4四半期には積極的に費用を投下する見込みです。そのため、現時点においては、各段階利益の上振れは業績予想の修正基準には至らないと見込んでいます。
業績予想の修正は行いませんが、今後万が一、通期業績予想に修正の必要が生じた場合には速やかに開示します。
経営理念
当社の成長戦略についてご説明します。HENNGEの経営理念は、「テクノロジーの解放」です。私たちはテクノロジーが大好きで、テクノロジーが世の中を良くしていくと強く信じています。この力をできるだけたくさんのお客さまに届けることによって、世の中を少しでも良い方向に動かしたいというのが、私たちの思いです。
HENNGEは創業以来25年以上、この「テクノロジーの解放」を理念として掲げており、さまざまな分野・方法でテクノロジーを解放してきました。その結果、SaaSはテクノロジー解放のための、最もフェアで洗練された効率的な手段であるとの考えに至っています。
私たち自身もSaaSを提供しており、お客さまのSaaS活用を通した変革を応援していきたいと考えています。
LTV最大化
このようなテクノロジーの解放を通して、私たちがお客さまに届けているテクノロジーの総量かつ、私たちの理念の実現の証左となるのが、LTV(ライフタイムバリュー)、すなわち、私たちが保有する契約の総価値です。私たちの成長戦略は、このLTVの最大化を目指しています。
LTVの最大化、つまり、将来にわたって得られる累計売上総利益額の最大化を追求することで、さらなる事業成長のための投資を増額しても、安定的に利益を増やすことのできるモデルを、堅固なものにしていきたいと考えています。
現在、平均契約年数と売上総利益率は、すでに高い水準にあります。したがって、LTVの最大化にはARRの最大化が必要な状況です。そのため、私たちは投資対効果の高い活動を積極的に行い、ARRを積み増すことに注力します。
ARR最大化
ARRは、3つの要素に分解できると考えています。契約企業数、平均ユーザ数、ユーザあたり単価(ARPU)です。
成⻑戦略の進捗 (HENNGE One)
HENNGE Oneにおける3つのKPIの実際の推移は、スライドの表のとおりです。
HENNGE Oneを主力とする当社グループのビジネスは、基本的にサブスクリプションモデルです。当期中に獲得した契約は、解約されない限り積み上がっていき、翌期以降の売上の基盤となっていきます。ご覧のとおり、HENNGE OneのARRは、順調かつ安定的に積み上がってきていることをご確認いただけるかと思います。
高いARR成長率を実現・維持するためには、新規顧客獲得体制を強化しつつ、お客さまに提供できる価値を増やし続け、その価値をしっかりと伝え、理解を促す活動によって、契約企業数とARPUを伸ばしていくことが重要であると考えています。このサイクルを今後も継続していくことで、中期的なARR成長を実現したいと考えています。
お客様の変革を応援するHENNGE Oneファミリー
HENNGE Oneはこれまで、パワフルな新機能や新サービスを追加し続けることで、価値向上を実現してきました。
2024年4月に開催した「HENNGE Unveiled」では、最新の市場ニーズに対応したHENNGE Oneのリブランディングを行いました。2024年7月には「HENNGE File DLP」「HENNGE Tadrill」をHENNGE Oneの新機能として追加したほか、「HENNGE Access Control」にユーザープロビジョニング機能を追加するなど、HENNGE Oneは進化を続けています。
今後も、お客さまに届けるテクノロジーの総量を最大化するために、HENNGE Oneの価値向上にとどまらず、お客さまのSaaS活用の分野で必要となる新製品・新機能・新サービスをどんどんと追加・提供していきます。また、HENNGE Oneの利用促進を通して、SaaS活用によるお客さまの生産性向上をこれからも強力にバックアップしていきます。
HENNGE One ARRの成長戦略
ご説明したような活動を通して、CAGR(年平均成長率)が20パーセント台中盤となる、中期的なARR成長を実現します。まずは、2025年9月期までにHENNGE OneのARR100億円以上の水準を目指します。
最後に、当四半期を振り返ると、機能の充実を伴う価格改定によってHENNGE OneのARPUとARRは大きく上昇し、ARRは100億円へ着実に近づいています。その後の成長の礎も築かれている状況だと考えています。
一方で、採用の不振は中長期的な機会損失につながる大きな課題となっています。引き続き、人材獲得力の向上に努めていきます。
以上、駆け足でしたが、当社の2024年9月期第3四半期の決算についてご説明しました。
司会者:質疑応答に移ります。なお、事前にご質問いただくことが多いと想定した項目については、当社のIRサイトでQ&Aを開示しています。併せてご覧いただければ幸いです。
質疑応答:当四半期のトピックスについて
司会者:ご質問をお待ちしている間に、当四半期のトピックスをぜひお聞かせください。
小林遼氏(以下、小林):先ほど小椋がお伝えしましたが、この四半期を振り返ると、HENNGE One事業の価格改定が始まり、我々が見ている限りでは順調に進んでいるとポジティブに評価しています。
解約率が上がっている事実はありますが、我々としても、価格改定をした時に解約率がまったく上がらないという想定はしていませんでした。解約率の推移は我々が想定した範囲内だと評価していますし、引き続き低解約率を維持できていると自負しています。
加えて、HENNGE Oneのリブランディングを行い新機能も発表しています。リブランディングに関しては、我々がさらに変化していくことを伝えるとともに、機能追加を通じて「HENNGE Oneを使うと良いことが起こるかもしれない」と明確に伝えていきたいと思っている、そんな活動の一環です。
一方で、採用は難航しています。退職者はいるものの、どちらかというと、採用する力が足りていないというのが現状です。ご説明したとおり、当面の対策として1億円規模の計画外の採用広告費を投下し、テコ入れを図りたいと思います。
短期的には、このような一度の対策で大きな効果が出るとは思っていません。しかし、中長期的に我々がこの先も人材採用を進めていくための気づきが得られるよう、活動を行いたいと思います。その成果については今後中期目線、長期目線でご説明していきたいと思っています。
質疑応答:新機能の特徴と単価向上への影響、顧客の反応について
司会者:「新機能の特徴と今後の単価向上にどの程度つながるか、足元の顧客の反応はどうか教えてください」というご質問です。
小林:この度7月に、「HENNGE File DLP」と、「HENNGE Access Control」のユーザープロビジョニング機能を新しく追加しています。
定量的な話に関してはなかなかお伝えできませんが、「HENNGE File DLP」を発表した時点の適時開示でも記載のとおり、大きな影響がすぐに出るとは想定していません。
昨今の社外へのファイル送付による情報漏えいを防ぐ必要性の高まりにより、脱PPAP対策として「HENNGE Secure Download」を提供しています。それに加えて、企業においてはファイルをクラウド上で直接やり取りするニーズがあると考えていますが、これを実現するには非常に高いハードルがありました。それは、誰がどのようなファイルをどこに提供したかは実際には見えないため、セキュリティリスクが大きかったためです。
この「HENNGE File DLP」は、それらを可視化することができるため、セキュリティが担保される機能となっています。
ユーザープロビジョニング機能に関しては、IDライフサイクルの管理を行うことで、セキュリティと利便性が向上します。例えばHENNGE Oneと連携されたSaaSプロダクトのIDを自動で作ったり、退職者のIDを自動で削除したりすることが可能になります。
顧客の反応としては、「HENNGE File DLP」に関してはある程度の反響があると思っています。これは、みなさまが実際に困っていたということの表れだと思います。
ユーザープロビジョニング機能に関しては、現時点で連携できるSaaSの数が少ないためまだ大きな反響はありませんが、今後連携SaaSをさらに増やすことで、我々のARPU向上のドライバーの一つとなることを期待しています。
質疑応答:価格改定の対象者と新プランへの移行進捗について
司会者:「4月からの価格改定は、新規顧客に加えて既存顧客の更新契約も対象でしょうか? もしそうだとしたら、既存顧客の契約については4月から6月の間にどの程度新プランに移行したのでしょうか? また、計画として7月から9月にはどの程度の移行を見込んでいますか?」というご質問です。
小林:4月からの価格改定については、新規顧客には新プランが適用され、新しい価格で提供することになっています。既存顧客についても、4月以降に契約更新を迎える方々から順次新しい価格が適用されることになっています。
企業数ベースで言うと、4月から6月の間で、既存顧客の新プランへの移行割合は30パーセント程度です。9月までの実績はまだ出ていないため、次回の決算発表の際にお伝えできればと思います。
質疑応答:価格改定による新規顧客獲得への影響について
質問者:価格改定に関して、新規顧客の獲得にはどのような影響が出ていますか? 特に他社と比較した際に、価格の優位性が低下したことで新規顧客の獲得ペースが鈍化するなどの影響が出ているかについて、教えてください。
小林:新規獲得への影響については、現在の商談状況等を見る限り、大きな影響は出ていないと認識しています。
我々は新機能を追加し、注力するエリアも変化しています。また、我々が提供する価値はどんどん上がっているという認識の中で価格改定を行っています。そのため、他社サービスと比較しても魅力あるものになっていると自負しています。したがって、新規獲得への影響はあまり大きくないと考えています。
質疑応答:ARPUの推移について
質問者:ARPUについてです。今回既存顧客の3割が新プランに移行し、かつ比較的規模の大きい顧客の移行が多かったため、前四半期と比較してARPUが上昇しました。今後、四半期ごとに見た場合、ARPUの上がり方は次第に緩やかになると想定してよいのでしょうか?
小林:四半期ごとに見た場合、獲得企業数や属性に大きな季節性があるわけではないと以前よりお伝えしていましたが、やはり3月、4月には大きめの企業も含めて契約更新を迎える企業数が比較的多めで、ARPUの変動にも影響があったと理解しています。
そのため、第4四半期以降は、当四半期のような状況にはならず、緩やかな伸びとなっていくと想定しています。実数でお答えすることが難しいところですので、定性的にお答えします。
質疑応答:価格改定による解約率増加の見通しについて
質問者:解約率についてです。解約率は低い水準ではあるものの、今回の価格改定をきっかけとして多少増えたとのご説明でした。今後、解約率は今回の四半期がピークで徐々に落ち着くのか、あるいは、もうしばらく上昇する傾向が続くと見ているのか、どちらでしょうか? ご見解をお聞かせください。
小林:冒頭にお話ししたとおり、価格改定による解約率は一定程度上がるだろうと想定しています。この先の契約更新が進むと価格改定の影響を受けるお客さまが増えるため、解約率が下がることは考えにくいと思っています。解約率に関しては、引き続きある一定の影響があると考えていただければと思います。
質疑応答:解約したユーザの移行先について
司会者:「比較的大きめの企業の解約も含め、ユーザは別のサービスに移行しているのでしょうか?」というご質問です。
小林:すべてではありませんが、もちろん他社のサービスに移行される方もいらっしゃいます。
質疑応答:値上げによる新規顧客の獲得ペースの変化について
司会者:「新規顧客の獲得ペースは、値上げ前後でどのような変化がありましたか? 鈍化しているのか、もしくは直後と今とでは変わってきているのか、そのあたりのニュアンスを教えてください」というご質問です。
小林:新規顧客の獲得ペースは価格改定の前後でそれほど変わっていないと思います。契約企業数は前四半期比で61社の純増となっているため、ペースが落ちたように感じられるかと思いますが、新規顧客の獲得自体はあまり下がっていません。
今回、契約企業数があまり伸びなかった1つの要因として、今までライトユーザ向けプランとして展開していた「HENNGE One IdP Lite」の提供を終了した点があります。これにより、一定程度の解約数が出ました。これが影響し、契約企業の純増数の伸びが緩やかに見えるのではと思います。
新規顧客の獲得ペースは決して鈍化しているわけではなく、巡航速度で進んでいると捉えています。
質疑応答:競合他社について
司会者:「今の競合はどこでしょうか?」というご質問です。
小林:HENNGE Oneのリブランディングによって、Identity、DLP、Cybersecurityの3つのカテゴリとなりましたが、その3つ全ての領域をしっかりカバーする企業は他にいないため、実際のところ、競合がどこかというのは難しいご質問です。
IDaaSの部分に関しては、国内・海外ベンダーの顔ぶれはあまり変わっていないのが実情です。いろいろな新規参入がありますが、我々は長らく実績を積み重ねてきていますので、まだ競合として見る段階ではないというのが現状と認識しています。
質疑応答:第4四半期の見通しと広告宣伝費の用途について
司会者:「通期業績見通しから第4四半期の目標を逆算すると、売上高は22億5,500万円、営業利益は2,800万円となります。想定外の解約がなければ、価格改定効果で売上高が上振れする可能性もあると思いますが、いかがでしょうか? また、その理解でよろしいでしょうか?
利益面では、営業費用が22億2,800万円と、前四半期比で約3億3,000万円増えることになります。計画上の営業費用の内訳を教えてください。
また、広告宣伝費については計画の残り2億1,300万円に加え、計画外の採用広告投資として1億円規模を予定されています。合計すると3億1,300万円と、四半期の広告宣伝費としては非常に大きくなりますが、どのように使うのでしょうか?」というご質問です。
小林:まず売上高が上振れする可能性については、我々としてもそのようになればうれしいのですが、現段階では期初計画に対して順調であると評価していますので、まずは期初想定どおりにいってくれるとよいなと思っているところです。
営業費用が前四半期比で約3億3,000万円増えることになるというご質問については、決算説明動画の中でもお伝えしたとおり、今、我々は採用に関してかなり苦しい状況ですので、そのテコ入れのために計画外で1億円使うということが1点あります。
また、こちらのスライドにも記載しているように、主にオフィス増床に伴う費用が増加し、上半期にほとんどかからなかったものが下半期に集中してかかってくるところが違いかと思います。
さらに、我々のHENNGE Oneというプロダクトは「AWS」をインフラとして使っています。そちらについても、我々自身のセキュリティを高める必要があるため、セキュリティ面への投資を当第1四半期から継続して実施しており、増加分の費用の中に含まれています。
これら以外にも、もう少し時間が残っていますので、この第4四半期中に来期以降の成長につながるような投資ができるのであれば、積極的に探していきたいと思っています。どこまで見つけられるかというのが1つのポイントです。
また、広告宣伝費の計画の残りが約2億円、その他採用広告として計画外の1億円でどのようなことを実施するかというご質問については、まず、約2億円に関しては通常の四半期とあまり変わらず引き続き、各種イベントへの参加や登壇等に実施していくことになると思っています。また、HENNGEのブランド価値を高めるべく、8月にはNulbarichとコラボを実施しております。
その他にも、我々が今までしてこなかったかたちでアピール度を高めるような活動を継続的に行いたいと思っています。
質疑応答:人員増加の効果について
司会者:「値上げによる解約はある程度は不可避だと思いますが、営業を含め人員をしっかり増やせた場合は、通常の解約の抑制を図ったり、新規獲得の増加ペースを加速させたりすることが可能であるという理解でよろしいでしょうか?」というご質問です。
小林:人員をしっかり増やせた場合、おっしゃるように可能な部分は大きいと思っています。
HENNGE Oneを使っていただいているお客さまの中には、例えばHENNGE One Basicのようなセットプランを購入してIdPの機能は使っていたものの、Emailセキュリティの中の機能を十分に使えていないという方もいらっしゃいます。その理由として、我々からのアピールが足りなかったこと、HENNGE Oneを十分に活用していただくための理解に資する情報をしっかりと提供できていなかったことがあると捉えています。
体制を強化することで、そのようなギャップが埋まり、解約率が低下する可能性はもちろんあると思います。実際に抑制につながるかはわかりませんが、仮定の1つとしてはありえるのではと思っています。
質疑応答:採用強化に向けた取り組みについて
司会者:「採用に関して、追加のプロモーションに加え、オフィスの増床もプラスに働くでしょうか? また、採用部門のトップも含め、人事部の強化についてはいかがでしょうか? どういった問題として捉えているのか、現状をお聞かせください」というご質問です。
小林:プロモーションに加えてオフィスの増床もプラスになるかについては、総じてプラスであると思っています。
我々も新しいフロアに入ってみて、今までと異なる環境・雰囲気で働けることは新鮮です。新しく入社される方も同じように感じていただけると思っています。
採用部門に関してはご説明したとおり、採用力強化がマストであり、なにか足りない部分があるのだろうと認識しています。
体制強化ももちろんですが、我々の採用ブランド力が足りないなど、どちらかというと採用マーケット全体からの当社の認知度の低さが課題であると捉えています。この先の採用状況を少しでも改善するための当面の施策として、まずは計画外の費用投下を行うという考えです。
質疑応答:来期以降の株主還元について
司会者:「来期もこのまま成長していくと、売上高は100億円を超えることが想定されます。一方でコストは、M&Aなどのイレギュラーを除くと、オーガニックベースで大きくは増えないと想定されます。来期のキャッシュフローを考慮すると、先行投資を行ったとしてもある程度は株主還元に回してよい気がするのですが、そのあたりの考え方を教えてください」というご質問です。
小林:積みあがっていくキャッシュをどのように使っていくのかについては、大きな課題であると認識しています。株主還元も決して無視しているわけではなく、これから我々がますます成長し、さらに利益を出していけるようになれば、必然的にこの議論に至ると捉えています。どこかのタイミングで社内の意見が出るまで、お待ちいただければと思います。
天野氏からのご挨拶
天野:みなさま、本日はお集まりいただき、誠にありがとうございました。今後も成長のための投資をしっかりと行い、全社一丸となって中期的な業績の向上に努めていきます。引き続きよろしくお願いします。
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