デジタルグリッドのニュース
【質疑応答】デジタルグリッド株式会社(350A) 新規上場記者会見
デジタルグリッド株式会社
設立:2017年10月16日
事業内容:電力及び環境価値取引プラットフォーム事業
IPO情報
■吸収金額 96.0億円■業績の伸びの推移
■株主構成およびロックアップ
出典:EDINET閲覧(提出)サイト(https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100VF5C.pdf?sv=2020-08-04&st=2025-04-23T06%3A41%3A20Z&se=2030-03-18T15%3A00%3A00Z&sr=b&sp=rl&sig=SyD%2F7fS7bUpDyAsqL8CDQGRIajVLGAV5ijpi4lkHIq4%3D)
質疑応答:事業への投資について
質問者:調達した資金は主に蓄電池事業に投資されるとのことでしたが、具体的な目標をお持ちでしたら教えてください。例えばキロワットでどれくらいとか、案件数がどれくらいとか、共同出資分を含めてどのくらいとか、何か数字をお持ちでしたら教えてください。
豊田裕介氏(以下、豊田):今回、オーバー・アロットメント分を含めて調達額が約20億円になると思います。この20億円のほぼすべてを蓄電池に投資していく予定です。
具体的な案件ベースでは、おそらく高圧では4、5件程度、10メガワットから12メガワット程度の規模感になると思います。これらをなるべく早いタイミングで実施していく予定です。
投資の計画にすでに投資をしている金額を書いていますし、土地も押さえています。東京都から補助金をいただいており、プロジェクトを進める責務もあります。そういったものは前倒しで実施していく予定です。
これをどこまで拡大していくかですが、我々自身の投資に加えて、アグリゲーションの取り組みも並行して行っています。トータルで2030年までに100万キロワット程度を目指していきたいと考えています。
質問者:アグリゲーションはすでに行われているのでしょうか?
豊田:はい、現状では2件ほど蓄電池に指示を出させていただいています。両方とも我々のアセットではなく、他社さまが所有されているものをアグリゲーションだけしている状況です。
質疑応答:投資家に訴求する上で注意していることについて
質問者:御社の事業は目に見えないものなので、初めて見た時に少し理解するのが難しいと感じました。投資家に訴求する際にスライドの中で注意をされていることがあれば教えてください。
豊田:なるべくスライドで伝わるように努力はしています。こんなの思いついたらみんなできるんじゃないの? と言われた時に、うちは拠点ごとにAIを持たせてやっているんです、と言っています。AIに詳しい方がいたら、ここまではできるかもしれませんが、実は外れた時のリスクがバカにならないところがあって、エンジニアリングに詳しい方だけでは取りきれないリスクがあります。
例えば、100キロワットの電気を使いたかったとして、ドライヤーや電子レンジで120キロワットを使ってしまった場合、停電が起こるわけではなくて、電力会社の送配電部隊が20キロワットをバックアップしてくれているんですよ。その対価にペナルティー制があったりするんです。
正確に予測できていればそういう無用なリスクを取らなくて済むのですが、それが外れてしまうと、いくらで対価を払えばいいのかがわからないんですよ。そこのリスクが大きいがゆえに、この部分のドメインやオペレーションを深く理解していないといけない世界だと思っています。投資家の方にはその部分をご説明しています。

電力という世界で上場している会社がいろいろいる中で、市場が高騰した時に「会社は大丈夫ですか?」とご心配をいただくことも多いので、そこは私たちは市場が高騰したら仕入れが悪くなるというわけではなく、場を提供しているだけですよ、とご説明をしています。
資料の中の棒グラフが右肩上がりに上がっていると思いますが、この起点は2022年で、電気が高騰している時です。市場の状況によらずお客さまの数や収益は増えているということをお伝えして、ご納得いただいている状況です。
質疑応答:阿部力也氏へのコメントについて
質問者:デジタルグリッドルーターを開発した阿部先生(阿部力也氏)に何かコメントがあればお聞かせください。
豊田:私たちの創業はハードウェア、ソフトウェアのプラットフォームだけではなく、それに付随するDGR(デジタルグリッドルーター)などを主にやってきました。その中でわかってきたこともあり、ピボットしてソフトウェアに移ってきたところはあります。
ただソフトだけに完結しないのがエネルギーの世界で、蓄電池に関しては今後はハードにも進んでいくということをやっています。なので阿部先生の世界観にはこれからも注力していきたいと思っていますし、今日は阿部先生と鐘を鳴らせたので個人的にも感慨深く思っています。
質疑応答:事業会社との関わりについて

質問者:会社を設立した際にたくさんの会社が出資をされたと思います。会社の立ち上げに関わった事業会社との関係、配当だけなのか、さらに何かあるのかを教えてください。
豊田:事業会社さまに関しては、実証の場を提供していただき大変助かりました。残念ながら諸事情により上場株を持てない方々もいるのですが、それで取引が終わってしまうことはないですし、引き続き密に連携を取っていきたいと思っています。
質疑応答:競争優位性について
質問者:成長戦略の中で蓄電池事業が1つの柱になると思うのですが、現在多くの会社が蓄電池事業に参入しようとしている中で、どのように競争優位性を出していくのかをお聞かせください。
豊田:我々の競争優位性は大きく2つあります。1つ目はソフトウェア開発力です。黒川(黒川達也氏)を中心とするエンジニアチームが内製化してコアのプロダクトをすべて自社で開発しています。
蓄電池の制御には多くの試験をパスする必要があり、また、蓄電池メーカーやパワーコンディショナーとの組み合わせによって可能なことが変わってきます。さらにその上にエネルギーマネジメントシステム(EMS)が重なります。これらの組み合わせは非常に多岐にわたりますが、我々は優先順位をつけて迅速に開発を行うことができます。
また、500ページにも及ぶ需給調整市場の取引ガイドラインを読み込み、各種要件を満たすように実装していくという非常に地道な作業も必要ですが、これらを迅速に行える技術力を持っていることが我々の強みです。
2つ目は金融出身者が多いことです。私も嶋田(嶋田剛久氏)もゴールドマン・サックス証券の出身で、他にも投資銀行出身のメンバーがいます。マーケットのリスク管理やリスクマネジメント能力が高いのが特徴です。
インバランスのリスク管理など、この5年間、市場が大きく変動する中でマネジメントしてきた経験があります。市況のアルゴリズムやリスクマネジメント能力と、ソフトウェアの技術開発力の2つを活かして競争優位性を出していけると考えています。
質疑応答:株価の受け止めについて
質問者:株価の受け止めと今後の価値向上に向けての取り組みについて教えてください。
豊田:正直に申し上げて、株式市場全体の歴史的な低迷の中での上場となり、非常に厳しい船出だったと認識しています。我々自身も、このタイミングで上場すべきかどうか、かなり議論を重ねてきました。
しかし、多くの投資家の方々に期待していただいているからこその初値だと考えています。我々はまだ成長の余地があると考えています。既存ビジネスの拡大に加えて、蓄電池を中心とした新規事業にも注力していきます。
今後もさらなる成長を目指して、精一杯がんばっていきたいと思います。株主のみなさまの期待に応えられるよう、全力を尽くしてまいります。
質疑応答:経営目標と計画について
質問者:経営目標と経営計画について教えてください。
豊田:基本的には、会社説明資料の10スライド目にあるKPIが重要になってきます。契約数が伸びてきた背景には、電力メニューの構造的な状況が変わり、市場連動型の料金体系を求めるお客様が増えてきたことがあります。
特に法人のお客さまを中心に、電力料金に対する感度が非常に高くなっています。少しでもコストカットできる可能性があればと、多くのお問い合わせをいただいている状況です。 この2年間で、拠点数が267から4,200に増加しています。15倍から20倍近く増えているわけですが、営業人員を急激に増やしたわけではありません。内製化だけでなく、外部のパートナー企業にもご協力いただく中で成長を実現してきました。
今後の戦略としては2つあります。1つは引き続きパートナー企業を中心とした拡大です。もう1つは、これまで蓄積してきたデータを活用した戦略的な営業展開です。例えば、東北エリアの病院や九州エリアのパン工場が電気代で困っているという具体的な情報が集まってきているので、それを元にした攻めの営業ができるようになってきています。
加えて、直販の営業人員も現在採用を拡大しているところです。自社での案件獲得も強化していきます。これまではお問い合わせに対応するだけで精一杯でしたが、今後はデータを活用した戦略的な営業展開を行っていく予定です。
質問者:まだまだシェア拡大の余地があるということですね。
豊田:そのとおりです。16スライド目に記載していますが、日本の電力総使用量は現在8,800億キロワットアワーで、2040年には9,000億キロワットアワーから1兆キロワットアワーになると言われています。
そのうち、約3分の2が法人需要です。つまり、6,000億キロワットhから7,000億キロワットh近くが我々のターゲット市場です。ただし、リスク許容度や既存の電力会社との関係などから、すぐに切り替えられないお客様もいます。
そういった要因を考慮して、我々がターゲットとしている市場は全体の10パーセント程度、つまり現在のシェアの10倍程度の規模があると考えています。
さらに、このダイナミックプライシング市場自体も拡大傾向にあります。これは日本のエネルギー調達の国策が変化していることも影響しています。例えば、LNG(液化天然ガス)の調達方法が変わってきており、従来のような長期契約が難しくなっています。その結果、固定価格のメニューを提供することが難しくなってきています。
このような構造的な変化により、我々のようなプラットフォームを通じてリスクを抑えたり、価格を最適化したりするニーズが高まっていると考えています。
話者:実はこれまでの成長はだいたい5人ぐらいの営業メンバーで、それこそパートナーさんと連携をしながらなんとかやってきたというのが歴史としてあります。その営業リソースを足元で12、13人ぐらいと、ここ1年でかなり採用活動を強化してきました。これから20人体制までは拡大していこうと思っています。
パートナーとの連携だけではなく、お客さまと対話しながらやっていく。もちろんAIは活用するのですが、人が介在することで安心感のあるかたちでユーザーの増加を狙っていきたいと考えています。
質疑応答:PPAについて
質問者:事業計画書を見ると、PPA(Power Purchase Agreement)が飽和してきているように見えるのですが、そのとおりなのでしょうか。
豊田:案件の規模の大きさが主な理由かなと思います。低圧は開発難易度が低く、毎月のように開発できるので毎月のように増えています。比較的連続性がある中で増えていくのに対して、バーチャルPPAやフィジカルPPAは小さいものを束ねるのもけっこう大変です。場合によっては特別高圧になったりして、運転開始までに一気にドーンと積み上がる性質を持っているため、四半期でまったく積み上がらない、ということもあります。

例えば、この間LINEヤフーさんとヴィーナ・エナジーさんに70メガの案件をやっていただいたのですが、2026年くらいにスライドのグラフ緑色の部分に(バーチャルPPA)70メガ分、ポンっと乗ってくる。我々としては、可能性が高まってきている印象があります。
PPAのオークションを開催しているのですが、反響は日に日に良くなっていて、足元では339メガワットの登録があって、マッチングが行われているので、PPAマーケットはどちらかというと加熱方向かなあと思っています。
逆にグラフの黄色いところが伸びているのは、低圧の割合がかなり多いところになりますので、継続的に増え続ける性質があるとご理解いただければと思います。
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