『人の行く 裏に道あり 花の山』に従えば、ドル買い・ユーロ売り?

著者:津田隆光
投稿:2015/03/26 20:51

ドル高が米企業業績に悪影響?

ドル/円がやや下押し基調となっている現在、「ドル高が米企業業績に悪影響」とのワードが独り歩きする格好で主要なドル売り要因になっているかのような論調も取り沙汰されていますが、はたしてそれは正しい見方と言えるのでしょうか?

当然、相場に「正解」「不正解」というのはなく、マーケットで起こっている事実こそが正しいという前提に立つ必要がありますが、そろそろ桜の開花時期に合わせて、『人の行く 裏に道あり 花の山』という相場格言や見方も忘れるべきではありません。

ウォール街の格言にも『Buy when others sell, Sell when others buy』(=人が売るときに買い、人が買う時に売れ)というのもあり、古今東西、付和雷同型の投資スタイルを戒める格言が存在し、その“歪み”や“乖離”を確認・検証する作業は非常に大事とも。

まず「ドル高が米企業業績に悪影響」を与えているか否かについてですが、先般のコラムにも記載した通り米国は“偉大なるドメスティック・カントリー”とも言われる通り、米経済に占める内需の割合は85%を占め、ドル高の影響を受ける外需の割合は15%に過ぎません。

当然その15%の外需を無視する訳にはいきませんが、ドル高(この程度で“ドル高”という表現を使用するのもいかがなものかと個人的には思いますが・・・)が米国のマクロ経済を大幅に悪化させる“悪玉筆頭”とはなり得ないことはその割合からも明白。

しかも経済の牽引役となっているアップル(3/19にダウ平均に採用)に代表される高度サービス産業においては、その製造過程を海外にアウトソースしているケースも多く(アップルは来年横浜に技術開発センターを建設予定)、むしろ“ドル高”には恩恵が。

同時に、先のFOMC声明文をよくよく咀嚼してみると、FRBによる利上げが白紙撤回になった訳ではなく、市場の“利上げ時期の思惑”が揺れ動いているだけ。つまり、リフトオフ(=利上げ)開始の“離陸地点”が焦点となっているに過ぎず、離陸自体は時間の問題であることを再確認すれば、安易なドル安・円高論に付和雷同すべきでないと考えますが、いかがでしょうか?

ユーロ/ドルは1.1000ドルに抵抗勢力が?

これはユーロ/ドルにも当てはまり、量的緩和を実施するユーロと、その緩和をストップし利上げタイミングを計るドルの大きな方向性を予測することはそう難しい作業ではないと考えます。

現在、ドル高牽制発言を主体とするユーロの買い戻しが起こっていますが、多くの通貨の基点日とも言える2/3の高値(1.1532ドル)と直近安値の3/13安値(1.0457ドル)を結んだフィボナッチ・リトレースメント50%戻し水準が1.0995ドル。1.1000ドル近辺での根強い“抵抗勢力”を勘案すると、当該レベルでの戻り売りも一案と考えます。
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想