110円台を回復したドル円の今後・・・・・

著者:柳澤浩
投稿:2014/10/01 15:32

日銀の追加緩和観測の行方に注目・・・・

 本日、ドル円は2008年8月以来の110円台回復の局面を見せました。昨日の海外市場で、ユーロドルが一時、1.25ドル台まで下落した事や、本日、豪小売売上高が予想を下回った事で豪ドル/ドルが0.86ドル台に反落した事等、全般的なドルを買う動きが続いている事により、ドル円もじりじりと値を上げる動きを見せた訳です。

 又、今日は10月1日で、日本の機関投資家にとっては、期明けとなりますから、昨日までの様に、期末前で動けない状態は脱した事となります。この為、再び、外債投資等に積極的な姿勢が見られる可能性は高く、円を売る動きが再び強まる事で、ドル円、クロス円が下支えられる事となりそうです。

 一方、本日、日銀短観が発表されましたが、大企業製造業業況判断DIは予想外に改善しており、設備投資計画も予想を上回っていました。この為、黒田・日銀総裁の強気な姿勢は裏付けられた事になり、10月の日銀追加緩和の可能性はなくなったものと思われます。

 但し、昨日発表された8月の鉱工業生産指数や家計支出等が弱い数字となっており、7~9月期のGDPの伸びも期待された程のものにならない可能性も高まっています。この数字が消費税再増税の判断に関わっているだけに、この数字が発表された後の11月日銀決定会合は注目される事になります。

 この様に考えると、日銀の追加緩和への期待が当面維持される事となりますから、ドル高・円安トレンドも基本的には維持される事となります。唯、短期的には黒田総裁の強気発言等が、その期待を剥落させる事になる可能性もあり、ドル円、クロス円の押し目を形成する局面となりそうです。
柳澤浩
(株)FXプライム byGMOチーフアナリスト
配信元: 達人の予想