長期金利は緩やかに上昇
2014年日本株式市場展望 PART1では、「株価は業績と金利の関数である」と述べた。
株価 = 業績/金利 … 式(1)
そして PART1 では主に分子の企業業績について述べたので、PART2 では分母である金利を中心に議論すると予告した。その中核は来年の最大の投資テーマになると考える日銀の追加緩和であり、それによって大きく相場展開が異なる2つのシナリオを提示すると述べた。
その前に、もう一度、式(1)を確認しよう。 株価は業績の伸びに比例して上昇するが、金利の上昇は株価の下落要因となる。式(1)の両辺を業績で割って、式(2)のように変形すれば、金利上昇(分母の拡大)はバリュエーションを低下させ、株価の頭を抑える働きをすることが分かる。
PER(株価収益率) = 株価/業績 = 1/金利 … 式(2)
長期金利は緩やかな上昇を辿るだろう。それはバリュエーションの上昇を抑制し株価の重石となる。しかし、金利の上昇ペースが緩やかなものに保たれる限りは、深刻な悪材料にはなるまい。要は業績拡大と金利上昇の兼ね合い、バランスの問題だ。金利が上昇する分だけ、業績拡大を反映して株価が上がるペースを削ぐことになるが、むしろそれは健全な株価形成のあり方だと言える。
長期金利は緩やかな上昇を辿ると述べたがそれは「道理」というものだ。日銀が2%の物価目標を掲げて金融緩和を続けている。当初「2年で2%」とのコミットメントを示したわけだから、市場では「2年で2%」は難しいという声が上がる。では、「2年」にこだわらなければどうだろう。先日、今年最後の金融政策決定会合後に開かれた記者会見の席で、黒田日銀総裁は「金融政策はオープンエンドか」と問われて、「そうだ。量的質的金融緩和を決定したときからいつも、2%の物価安定目標おを実現し、安定的に持続するまで継続すると言っている」と答えた。早晩、日銀はこのオープンエンドの金融政策、時間軸の延長を正式に表明するだろう。この点は結構重要なので後でまた触れたい。
物価が上がるまで金融を緩和する、というからには、いつかは物価は2%まで上昇するだろう。既に物価は上がり始めている。足元では生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)が前年比で 0.9%上昇し、黒田総裁は「年内には1%を若干上回る可能性が高い」と述べた。日銀が 10 月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で示した 14 年度見通しの中央値である 1.3%(消費増税の影響除く)も視野に入る。黒田総裁は「これまでの経済・物価の動向は極めて順調に想定している」と表向きは余裕の表情である。
株価 = 業績/金利 … 式(1)
そして PART1 では主に分子の企業業績について述べたので、PART2 では分母である金利を中心に議論すると予告した。その中核は来年の最大の投資テーマになると考える日銀の追加緩和であり、それによって大きく相場展開が異なる2つのシナリオを提示すると述べた。
その前に、もう一度、式(1)を確認しよう。 株価は業績の伸びに比例して上昇するが、金利の上昇は株価の下落要因となる。式(1)の両辺を業績で割って、式(2)のように変形すれば、金利上昇(分母の拡大)はバリュエーションを低下させ、株価の頭を抑える働きをすることが分かる。
PER(株価収益率) = 株価/業績 = 1/金利 … 式(2)
長期金利は緩やかな上昇を辿るだろう。それはバリュエーションの上昇を抑制し株価の重石となる。しかし、金利の上昇ペースが緩やかなものに保たれる限りは、深刻な悪材料にはなるまい。要は業績拡大と金利上昇の兼ね合い、バランスの問題だ。金利が上昇する分だけ、業績拡大を反映して株価が上がるペースを削ぐことになるが、むしろそれは健全な株価形成のあり方だと言える。
長期金利は緩やかな上昇を辿ると述べたがそれは「道理」というものだ。日銀が2%の物価目標を掲げて金融緩和を続けている。当初「2年で2%」とのコミットメントを示したわけだから、市場では「2年で2%」は難しいという声が上がる。では、「2年」にこだわらなければどうだろう。先日、今年最後の金融政策決定会合後に開かれた記者会見の席で、黒田日銀総裁は「金融政策はオープンエンドか」と問われて、「そうだ。量的質的金融緩和を決定したときからいつも、2%の物価安定目標おを実現し、安定的に持続するまで継続すると言っている」と答えた。早晩、日銀はこのオープンエンドの金融政策、時間軸の延長を正式に表明するだろう。この点は結構重要なので後でまた触れたい。
物価が上がるまで金融を緩和する、というからには、いつかは物価は2%まで上昇するだろう。既に物価は上がり始めている。足元では生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)が前年比で 0.9%上昇し、黒田総裁は「年内には1%を若干上回る可能性が高い」と述べた。日銀が 10 月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で示した 14 年度見通しの中央値である 1.3%(消費増税の影響除く)も視野に入る。黒田総裁は「これまでの経済・物価の動向は極めて順調に想定している」と表向きは余裕の表情である。