*08:31JST アイカ工 Research Memo(1):造作風洗面化粧台など住器建材が好調、中国市況は軟調も増収増益
■要約
アイカ工業<4206>は、東京証券取引所(以下、東証)プライム市場及び名古屋証券取引所(以下、名証)プレミア市場に上場する化学・建材メーカーである。化学とデザインの融合により新たな価値を創造し、接着剤や建設樹脂、機能材料などの化成品セグメントと、メラミン化粧板やメラミン不燃化粧板「セラール」、住器建材などの建装建材セグメントを展開している。同社は国内トップシェアを持つメラミン化粧板や、塗り壁材「ジョリパット」など、機能性と意匠性を兼ね備えた商品開発に強みを持つ。また、海外展開にも注力しており、アジアやオセアニアを中心に拠点を拡大し、2025年3月期の海外売上高比率は48.0%に上っている。近年は、サステナビリティ経営や人的資本戦略にも注力し、持続可能な社会への貢献を目指している。
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高で前年同期比1.0%増の121,351百万円、営業利益で同1.5%増の13,348百万円、経常利益で同3.1%増の14,671百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同6.4%増の9,424百万円となった。売上高、営業利益、経常利益、中間純利益は過去最高となった。中期経営計画で掲げるROE10%以上に対してもおおむね計画どおりに推移しており、収益性の向上が維持されている。化成品セグメントは小幅に減収減益となったが、堅調な建装建材セグメントで打ち返し、全社では増収増益となっている。稼ぎ頭である建装建材セグメントについては、国内の高付加価値商品が全社収益をけん引したほか、海外は商品ミックスの改善や原材料価格が想定を下回ったことにより増益を確保した。一方、化成品セグメントは、国内では価格転嫁等が奏功したが、中国市況の価格競争激化が重石となり収益性は低下した。
2. 2026年3月期通期の業績見通し
2026年3月期通期の連結業績は、売上高について前期比6.6%増の265,000百万円、営業利益は同5.8%増の29,000百万円、経常利益は同4.6%増の30,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同8.3%増の18,300百万円と、いずれも過去最高を更新する計画である。ROEは10%以上とし、経常利益は現中期経営計画の目標値を1年前倒しで達成する見通し。中間期までの進捗率はおおむね計画どおりであり、通期予想は据え置かれている。化成品セグメント、建装建材セグメントともに高付加価値化戦略を継続し、前期以上の売上高を計画している。中国市況の悪化など懸念する向きもあるが、国内では化成品・建装建材ともに価格転嫁やコストダウン効果が継続しており、海外市況におけるボラティリティに対しても十分にコントロール可能と考える。
3. 中期経営計画の進捗状況
現在の中期経営計画(2024年3月期~2027年3月期)においては、収益性の改善、成長事業の創出・育成、健全な経営基盤の構築を基本方針に掲げ、主な財務目標は、売上高300,000百万円、経常利益30,000百万円、海外売上高比率50%以上、ROE10%以上(2027年3月期)となっている。足元の進捗状況は非常に順調で経常利益については、目標値を1年前倒しで達成する予想である。今回、同社からはM&Aを中心に全方位で投資機会を模索しているとのコメントがあった。M&Aによるプラットフォーム構築、販路拡充を目的に、北米・インド、次いで一部東南アジアなどが候補地として考えられる。次の成長ステージに向けては、海外の収益性強化、高付加価値商品の拡充、M&Aなどによる成長投資がテーマになると考える。
■Key Points
・化成品と建装建材の2本柱
・国内の建装建材が、高付加価値商品で成長を牽引
・2026年3月期中間期は順調に進捗。通期計画は据え置き
・16期連続の増配、27期連続で減配なし(増配銘柄)
・海外の収益性強化、高付加価値化の進展、M&Aなど成長投資がアップサイド要素
■会社概要
化学とデザインを融合する化学・建材メーカー。グローバル化と高付加価値化に注力
1. 会社概要
同社は、東証プライム市場及び名証プレミア市場に上場する化学・建材メーカーである。化学とデザインの融合により新たな価値を創造し、接着剤・建設樹脂・機能材料などの化成品セグメントと、メラミン化粧板・メラミン不燃化粧板「セラール」・住器建材などの建装建材セグメントを展開している。「挑戦と創造」を社是として、経営理念は、「共生の理念のもと、たえざる革新により新しい価値を創造し、社会に貢献する」としている。経営方針としては、以下の7項目を掲げている。
1) 化学とデザイン:化学とデザインの力で独創性のある商品をつくり、豊かな社会の実現に貢献する
2) グループシナジー:技術・素材連携やチャネル活用を追求し、グループシナジーを創出する
3) No.1:事業分野や地域におけるNo.1商品を拡充する
4) グローバル:海外における生産・販売拠点と人材の充実を図り、グローバル市場で持続的な成長を目指す
5) 人材と組織:人材を最も重要な経営資源と捉え、相互理解と成長を通じ、活力あふれる人材・組織を形成する
6) コンプライアンス経営:法令や社会秩序を守り、公正で透明性の高いコンプライアンス経営を実践する
7) 安心・安全への約束:ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、「信頼される品質の確保」や「環境に配慮した事業活動」を推進する
2. 沿革
同社は1936年に愛知化学工業(株)として設立し、日本初のユリア樹脂接着剤を製造するなど化学メーカーとして事業を始めている。その後、1950年代にメラミン樹脂技術を導入し、1960年にはメラミン化粧板「アイカ」を発売し、化粧板分野に進出した。1966年に現社名へ変更し、1975年には意匠性に優れた塗り壁材「ジョリパット」を発売するなど、建材分野に強みを持つ「総合建材メーカー」への転換を進めた。
1984年、業界に先駆けて単色をシステム化した化粧板「アイカカラーシステム105」を発売し、1980年代には化粧板の国内トップメーカーとしての地位を確立した。また、1989年にはメラミン不燃化粧板「セラール」を発売し、1990年代にはキッチンパネルとして広く採用され、ブランド力を高めた。
2010年代からはM&Aを活用したグローバル戦略を本格化している。具体的には、2012年にはダイネア社のアジア太平洋部門子会社を取得し、アイカ・アジア・パシフィック・ホールディング社を設立。以降、2018年にエバモア・ケミカル・インダストリー社を、2019年にはウィルソナート社のアジア太平洋地域子会社を取得し、アジアでの体制を強化してきた。また、1962年より東証へ上場を果たしているが、2022年には市場区分の再編により東証プライム市場へ移行し、上場企業としての信頼性も高めている。
足元では、独自性の高い高付加価値商品を軸に収益性の強化を図りつつ、グローバル市場、特に成長著しいアジア地域での拡大を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦 健太郎)
<KM>
アイカ工業<4206>は、東京証券取引所(以下、東証)プライム市場及び名古屋証券取引所(以下、名証)プレミア市場に上場する化学・建材メーカーである。化学とデザインの融合により新たな価値を創造し、接着剤や建設樹脂、機能材料などの化成品セグメントと、メラミン化粧板やメラミン不燃化粧板「セラール」、住器建材などの建装建材セグメントを展開している。同社は国内トップシェアを持つメラミン化粧板や、塗り壁材「ジョリパット」など、機能性と意匠性を兼ね備えた商品開発に強みを持つ。また、海外展開にも注力しており、アジアやオセアニアを中心に拠点を拡大し、2025年3月期の海外売上高比率は48.0%に上っている。近年は、サステナビリティ経営や人的資本戦略にも注力し、持続可能な社会への貢献を目指している。
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高で前年同期比1.0%増の121,351百万円、営業利益で同1.5%増の13,348百万円、経常利益で同3.1%増の14,671百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同6.4%増の9,424百万円となった。売上高、営業利益、経常利益、中間純利益は過去最高となった。中期経営計画で掲げるROE10%以上に対してもおおむね計画どおりに推移しており、収益性の向上が維持されている。化成品セグメントは小幅に減収減益となったが、堅調な建装建材セグメントで打ち返し、全社では増収増益となっている。稼ぎ頭である建装建材セグメントについては、国内の高付加価値商品が全社収益をけん引したほか、海外は商品ミックスの改善や原材料価格が想定を下回ったことにより増益を確保した。一方、化成品セグメントは、国内では価格転嫁等が奏功したが、中国市況の価格競争激化が重石となり収益性は低下した。
2. 2026年3月期通期の業績見通し
2026年3月期通期の連結業績は、売上高について前期比6.6%増の265,000百万円、営業利益は同5.8%増の29,000百万円、経常利益は同4.6%増の30,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同8.3%増の18,300百万円と、いずれも過去最高を更新する計画である。ROEは10%以上とし、経常利益は現中期経営計画の目標値を1年前倒しで達成する見通し。中間期までの進捗率はおおむね計画どおりであり、通期予想は据え置かれている。化成品セグメント、建装建材セグメントともに高付加価値化戦略を継続し、前期以上の売上高を計画している。中国市況の悪化など懸念する向きもあるが、国内では化成品・建装建材ともに価格転嫁やコストダウン効果が継続しており、海外市況におけるボラティリティに対しても十分にコントロール可能と考える。
3. 中期経営計画の進捗状況
現在の中期経営計画(2024年3月期~2027年3月期)においては、収益性の改善、成長事業の創出・育成、健全な経営基盤の構築を基本方針に掲げ、主な財務目標は、売上高300,000百万円、経常利益30,000百万円、海外売上高比率50%以上、ROE10%以上(2027年3月期)となっている。足元の進捗状況は非常に順調で経常利益については、目標値を1年前倒しで達成する予想である。今回、同社からはM&Aを中心に全方位で投資機会を模索しているとのコメントがあった。M&Aによるプラットフォーム構築、販路拡充を目的に、北米・インド、次いで一部東南アジアなどが候補地として考えられる。次の成長ステージに向けては、海外の収益性強化、高付加価値商品の拡充、M&Aなどによる成長投資がテーマになると考える。
■Key Points
・化成品と建装建材の2本柱
・国内の建装建材が、高付加価値商品で成長を牽引
・2026年3月期中間期は順調に進捗。通期計画は据え置き
・16期連続の増配、27期連続で減配なし(増配銘柄)
・海外の収益性強化、高付加価値化の進展、M&Aなど成長投資がアップサイド要素
■会社概要
化学とデザインを融合する化学・建材メーカー。グローバル化と高付加価値化に注力
1. 会社概要
同社は、東証プライム市場及び名証プレミア市場に上場する化学・建材メーカーである。化学とデザインの融合により新たな価値を創造し、接着剤・建設樹脂・機能材料などの化成品セグメントと、メラミン化粧板・メラミン不燃化粧板「セラール」・住器建材などの建装建材セグメントを展開している。「挑戦と創造」を社是として、経営理念は、「共生の理念のもと、たえざる革新により新しい価値を創造し、社会に貢献する」としている。経営方針としては、以下の7項目を掲げている。
1) 化学とデザイン:化学とデザインの力で独創性のある商品をつくり、豊かな社会の実現に貢献する
2) グループシナジー:技術・素材連携やチャネル活用を追求し、グループシナジーを創出する
3) No.1:事業分野や地域におけるNo.1商品を拡充する
4) グローバル:海外における生産・販売拠点と人材の充実を図り、グローバル市場で持続的な成長を目指す
5) 人材と組織:人材を最も重要な経営資源と捉え、相互理解と成長を通じ、活力あふれる人材・組織を形成する
6) コンプライアンス経営:法令や社会秩序を守り、公正で透明性の高いコンプライアンス経営を実践する
7) 安心・安全への約束:ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、「信頼される品質の確保」や「環境に配慮した事業活動」を推進する
2. 沿革
同社は1936年に愛知化学工業(株)として設立し、日本初のユリア樹脂接着剤を製造するなど化学メーカーとして事業を始めている。その後、1950年代にメラミン樹脂技術を導入し、1960年にはメラミン化粧板「アイカ」を発売し、化粧板分野に進出した。1966年に現社名へ変更し、1975年には意匠性に優れた塗り壁材「ジョリパット」を発売するなど、建材分野に強みを持つ「総合建材メーカー」への転換を進めた。
1984年、業界に先駆けて単色をシステム化した化粧板「アイカカラーシステム105」を発売し、1980年代には化粧板の国内トップメーカーとしての地位を確立した。また、1989年にはメラミン不燃化粧板「セラール」を発売し、1990年代にはキッチンパネルとして広く採用され、ブランド力を高めた。
2010年代からはM&Aを活用したグローバル戦略を本格化している。具体的には、2012年にはダイネア社のアジア太平洋部門子会社を取得し、アイカ・アジア・パシフィック・ホールディング社を設立。以降、2018年にエバモア・ケミカル・インダストリー社を、2019年にはウィルソナート社のアジア太平洋地域子会社を取得し、アジアでの体制を強化してきた。また、1962年より東証へ上場を果たしているが、2022年には市場区分の再編により東証プライム市場へ移行し、上場企業としての信頼性も高めている。
足元では、独自性の高い高付加価値商品を軸に収益性の強化を図りつつ、グローバル市場、特に成長著しいアジア地域での拡大を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦 健太郎)
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