【質疑応答】株式会社パワーエックス (485A) 新規上場記者会見
株式会社パワーエックス
設立:2021年3月
事業内容:大型蓄電池の製造・販売、EVチャージステーションのサービス展開
登壇者名
株式会社パワーエックス 取締役代表執行役社長CEO 伊藤正裕 氏
質疑応答:Power Base第2製造棟の建設計画について

質問者:資金調達の使途についてうかがいます。設備投資としてPower Baseの第2製造棟の建設が盛り込まれています。岡山県玉野市に土地建物を借りているというお話がありましたが、第2製造棟は別の場所に建設するのでしょうか?
伊藤正裕氏(以下、伊藤):私たちが自社で所有している土地の上に1号棟が建っており、こちらをPower Baseと呼んでいます。その土地の半分ほどが空いているため、空き地を活用して2号棟を建設します。もちろん、1号棟の改修についても常時行い生産能力を高めていきますので、そのようなことに資金を充当する予定です。
質問者:現在借りている場所は引き続き利用される予定でしょうか?
伊藤:当面の間は継続して利用する予定ですが、状況に応じて柔軟に対応していきたいと考えています。
質疑応答:防衛関連の受注と離島・海上での蓄電池活用について
質問者:造船関係について、現在は政府の後押しもあり、今治造船を筆頭に国策として支援していく動きがあります。将来的には防衛関連の受注も見据えていると思いますが、そのあたりについて考えをお聞かせください。
伊藤:電気を運ぶために、私たちの大型蓄電池を船に乗せたいという思いがあります。これは一般的な電気運搬船ではなく、バージといういかだのようなものとして検討を進めています。
離島や海上に向けた蓄電池やエネルギー供給とは非常に相性が良いと考えています。公には発表していませんが、実は離島の案件もすでに手がけています。エネルギーを貯める必要がある場所という意味では、海上や離島周辺も含まれますし、有事に備えるという観点からも、非常に可能性がある産業だと思っています。
質問者:有事に備えるというのは、例えば尖閣諸島のような、ある程度大きなところに蓄電池を置いておくといったイメージでしょうか?
伊藤:私たちはメーカーですので、お客さまがどのようにご利用になるかはお客さま次第です。具体的に防衛関連の案件がトレンドになっているというよりは、防災も含めた需要があるということです。
そもそも、離島にある発電所は現在非常に老朽化しており、ディーゼルで稼働しています。そのため、まずは安定的な電源供給という観点から、蓄電池の採用が先決だと考えています。
質疑応答:EVCS事業の今後の展開について

質問者:現在、BESS事業が売上の80パーセント以上を占めていると思いますが、EVCS事業については今後の進出拡大などはあるでしょうか? 戦略などもあれば教えてください。
伊藤:EVCS事業については、今年は相応の投資を行いました。年末に向けて、新たにEV充電ステーションがオープンするところもあります。
一方で、現在の国内EV市場は鈍化しています。EV車が普及していなければ充電システムも売れませんし、充電する方も減ってしまいます。これは非常に単純な話で、国内EVの普及率に合わせて投資を調整していきます。そのため、現段階においては、前年度を上回るような投資は控える方向で検討しています。
来期のガイダンスを出す際には私たちの正式な見解をお示ししますが、市場が若干スローダウンしているのは事実であり、それに合わせて事業のほうも調整していきたいと考えています。
質疑応答:初値の受け止めと投資家とのコミュニケーションについて
質問者:初値の受け止めについてうかがいます。初値は好調でしたが、結局ストップ高となりました。投資家からの評価をどのように受け止めていらっしゃいますか?
伊藤:株価はみなさまが評価されることですので、そちらについてのコメントは差し控えます。
電力やエネルギーは奥が深く、投資家の方々も「日本の現状はどうなっているのだろうか?」というところから理解を深めていく段階にあるという印象です。そのため、私たちの方針としては、IRは厚めに行っていきたいと考えています。
ちょうど今朝、私が会社の事業内容を説明する15分ほどの動画を公開しました。私たちが取り組んでいることをなるべく透明性を持って伝え、どのような需要や環境で事業を行っているのかをアップデートしていくことで、プロの投資家だけでなく、一般の投資家の方々にも早期にご理解いただけるようにがんばっていきたいと思います。
率直に、今日初めて私たちのことを知って、「聞いたことのない会社で、蓄電池と言われても評価しづらい」と感じている方がたくさんいらっしゃると思いますので、私たちのほうからしっかりとコミュニケーション活動を強化していきたいと考えています。
質疑応答:蓄電池市場の将来性と生き残り戦略について
質問者:投資家からの期待は高い反面、蓄電池の市場はルール変更などもあり、先が見通しにくいのではないかという見方もあります。あらためて、今後生き残るための戦略があれば教えてください。
伊藤:専門的な話になりますが、昨今「需給調整市場」というものができました。この市場の上限価格は現在19円で、この1年間はだいたい17円あたりで推移しています。この価格水準ですと、蓄電池を所有している方が、特に一次調整力で運用されるとものすごいIRR(内部収益率)になります。本来なら5年から6年かけて回収するはずの蓄電池のコストを数ヶ月で回収してしまうケースもあるほどです。そのため、現在は蓄電池に対する需要が非常に高まっています。
需給調整市場はどこが正常な価格なのかと考えると、弊社の見解としては、現在審議会などで議論されている7円、あるいは揚水発電と同等の4円という正常な価格になったとしても、健全なIRRが出ると考えています。
仮に今の過熱感が冷めたとしても、エネルギー企業が保有するインフラとしては、どれだけ厳しく見積もっても4パーセントから6パーセント、場合によっては10パーセントくらいのIRRが算出できます。蓄電池の価格が一定以上安くなると、電気を貯めれば絶対に元が取れるストレージパリティという水準にもすでに到達しています。
日本のエネルギー価格や電力価格から逆算すると、蓄電池市場は今が過熱しすぎで、少し落ち着いたところで極めて健全に伸びていくと考えています。私たちが示している300ギガワットアワーという見通しは、そのように正常化された市場における需給バランスだと考えていますので、まだまだ成長の余地はあるという印象です。
質疑応答:中国メーカーとの差別化について
質問者:蓄電池市場には中国メーカーも進出してきており、何年後に何ギガワットアワーといった目標を立てて事業を展開しています。御社として、受注見込みではなく、具体的な目標があれば教えてください。国産であることや保守メンテナンスを強みとする中で、コスト面では中国系が強いことや、中国企業が日本の有力企業と組むことで日本企業に負けない品質に迫ってくる可能性があると思います。彼らとどのように差別化していくのか、それを裏付ける競争力についての考えをお聞かせください。
伊藤:まず、中国製の蓄電池の競合についてですが、正直なところ、お客さまの層がかなり違うという印象です。私たちが支持をいただくことが多いのは、長期間ご自身で使われるケースです。品質をよく見定めて、長期的に安定して使うことを前提にご自身で購入されるエネルギー企業さまは、PowerX製を選ばれることが多いです。
若干バブル気味な蓄電池市場は、実は蓄電所が転売されている状態です。とりあえず蓄電所を作って、金融系の方に2倍から3倍の価格で転売するということが横行しており、こうしたお客さまはどちらかというと値段だけで選ばれます。
では価格差がそれだけあるのかと言いますと、私たちのシステムは中国製の蓄電池システムと比べて、システムレベルの価格で10パーセントから15パーセントほど高いという印象です。しかし、それだけの付加価値はあると考えています。
また、蓄電池は時間帯によっては主電源になり得る可能性すらあります。その主電源を預ける存在として、やはり経済安全保障が重要視されます。蓄電池は電力のコントロールそのものですので、非常に安全性とコントロール性が高いものが求められます。
昨今の報道では、太陽光発電設備についても、国内セキュリティ認証を受けたIoT機器の使用が2027年から義務化されることになりました。どのような制御システムで、どのようなコンピューターやソフトウェアで動いているかわからない蓄電池に、電力を預けられないというのが最近のトレンドとして色濃く見えています。
現在の価格設定と、私たちが提供できる国内コントロールによる安全性、そして代理店ではなくメーカーが直接行う長期保守という点で、優位性があると考えています。
長期的な目標については、日本の市場規模に合わせて最大限がんばっていきたいと思っています。ただ、投資家のみなさまに申し上げるとすれば、私たちはトップラインばかりを求めて、ボトムラインを削ってまでマーケットシェアさえ取ればいいとは思っていません。健全な成長企業にならなければならないと感じていますので、「どんな案件でも取れればいい」という考えで事業は行っていません。良い案件をお客さまと一緒に進めていきたいと思っています。
質疑応答:パワーコンディショナーメーカーとの連携について
質問者:パワーコンディショナーメーカーとは現在どのくらいの企業と連携しているのでしょうか?
伊藤:お客さまがパワーコンディショナーを指定されるケースも多々あり、これまでに4社、5社ほどのパワーコンディショナーメーカーとの実績があります。ただし、私たちが販売するものについては、1社に集中して行っているケースが最近は多いという印象です。
質疑応答:IPOを選択した理由について

質問者:グロース市場の上場基準引き上げや、株主からの圧力などを理由に非上場を選ぶ会社が増えているなど、いわばIPOに向かい風が吹く中で、あえて上場を選んだ理由を教えてください。また、今回の上場に際して何か苦労したことがあれば教えてください。
伊藤:私たちのお客さまは、本当に大手企業ばかりです。さらにエネルギー分野ということもあり、取引先や製品は保守的な基準で選ばれるケースが多いです。そのような中で、スタートアップである私たちが数十億円単位の基幹インフラを受注するには、もう少し信用度を上げたいと考えました。厳しい上場審査がある中で、あえてIPOを行うことで、一定以上のガバナンス体制の構築に取り組んできたつもりです。
蓄電池事業への長期的なコミットメントであるとご理解いただきたいです。もしこれがプライベートラウンドでファンドなどに買われてしまうと、その後この会社がどうなるかわからない、という不安から長期的に使う蓄電池は買えません。「私たちは蓄電池にコミットしています」「お客さまにお納めしたものにコミットしています」「長期的にきちんとインフラを作ります」という気持ちを込めて、IPOを選びました。
質疑応答:チャイナリスクとサプライチェーン戦略について
質問者:岡山県の工場で組み立てていらっしゃるバッテリーのセルは、主に中国から調達しているとうかがっています。昨今懸念されているチャイナリスクについてどのようにお考えでしょうか? また、将来的にセルまで含めて自社製造することは検討されていますか?
伊藤:私たちの蓄電池システムの中にある「セル」というのは、日本語で「単電池」のことを指します。単3や単4の乾電池のようなもので、制御系はついていません。そのため、私たちはこのセルを仕入れて、制御コントロール、冷却、直流電力制御といった部分をすべて内製で作っています。
現在、私たちが選んでいるのは、中国産のリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)という、燃えにくいことで有名な種類の電池です。特に、エネルギー密度が200ワットアワー毎リットル未満の、どちらかといえばコモディティ化している電池です。これは自動車に搭載される電池の半分以下のエネルギー密度です。
数ヶ月前に米国と中国の間で中国が輸出規制を発令した際は、電池も対象に含まれていましたが、500ワットアワー毎リットル以上の高密度の電池のみでした。
私たちはサプライチェーンの多重化を今、一生懸命進めています。2027年よりも前に、今から1年未満のうちに東南アジアからの供給を開始する契約はすでに結んでいます。また、国内のセルの利用についても前向きに検討しています。
これは意図的なビジネスモデルです。その時々で一番良い電池セルの技術を採用し、サプライチェーンを確保する方針です。このコモディティ化した電池の生産拠点は、北米、東ヨーロッパ、さらに東南アジアへと広がっており、安定的に供給が受けられる国は多数出てきました。そのようなところにしっかりと分散して、リスクを軽減したいと考えています。
現状においては、前回の輸出規制から見ても、どちらかというとリスクが低めのコモディティ製品を調達しているということです。
質問者:セルの自社生産は検討されていますか?
伊藤:セルの自社生産は、現時点では検討していません。
質疑応答:海上での蓄電活用と今後の展開について
質問者:先ほど、海上輸送と蓄電池は非常に相性が良いとおっしゃっていましたが、これについて、より詳しくうかがいたいです。また、電気運搬船ではなく、今はバージのほうで考えられているとうかがいましたが、それらの開発はどのように関係しているのでしょうか?
伊藤:まず、電気運搬船より先にバージが実用化されると思います。そう遠くないうちに製造に入れるレベルまで詰めてきています。以前発表しましたが、最初の案件は屋久島から種子島への電力輸送にバージを使うというものです。屋久島の水力発電による余剰電力を電源として、船に貯めて種子島へ運びます。
蓄電池と離島の相性が良いとお話ししたのは、離島はまさに「マイクログリッド」になっているためです。太陽光発電もあれば火力発電もあり、その間に蓄電池が入ることで、実はエネルギー効率が非常に上がります。エネルギーの安定供給にもつながりますし、台風などの災害時にも非常に強いという利点があります。そのため、電気運搬船のみならず、陸上にも蓄電池を設置するという組み合わせが、離島における施策として極めて有効だと考えています。
関連銘柄
| 銘柄 | 株価 | 前日比 |
|---|---|---|
|
485A
|
1,730.0
(15:30)
|
+300.0
(+20.97%)
|
関連銘柄の最新ニュース
-
[PTS]ナイトタイムセッション17時30分時点 上昇123銘柄・... 今日 17:33
-
東証グロース(大引け)=値下がり優勢、PowerX、monoAIがS高 今日 15:33
-
東証グロース(前引け)=値下がり優勢、PowerXがS高 今日 11:33
-
きょうのIPOの終値、PowerXはS高に上昇し取引終える◇ 12/19 15:46
-
東証グロース(大引け)=値上がり優勢、カルナバイオ、アップバンクがS高 12/19 15:33
「#IPO」 の最新ニュース
新着ニュース
新着ニュース一覧-
今日 21:35
-
今日 21:10
-
今日 20:54
-
今日 20:51
