楽観と警戒が共存するAIバブルは大事故にはならない!? 今後数年はキャッシュを高めてすぐに動ける投資スタンスが有効
マネックス証券のチーフ・ストラテジスト、広木隆氏が、株式や債券などの相場見通しなどを解説する「マーケットの歩き方」。広木氏は、AIブームは一見すると好調に見えるものの、AI関連企業同士の資金循環等、構造面にリスクが潜むと指摘。クラッシュしても中規模にとどまる可能性が高い一方、今後に備え、キャッシュや安全資産を確保しつつ冷静な投資姿勢を保つ重要性を強調しました。(※2025年12月8日収録のマネックスオンデマンドYouTube動画に基づく内容です)
マーケットの歩き方(2025年12月版):AIバブルへの警戒

広木隆氏:マネックス証券の広木隆です。2025年12月になりました。今年最後の「月刊マーケットの歩き方」を始めます。資産の評価、ウェイトなどは変えていません。今回のポイントは、AIバブルへの警戒です。
AIブームはバブル的様相を呈している

レポートなどにも書いてあるとおり、現在のAIブームはバブルであり、行き過ぎだと思います。ただ、「バブル」という言葉にはいろいろな意味があり、「株式相場で異常に株価が変わりすぎている」というのが典型的な「バブル」ですが、株式相場にはそこまで影響していません。
NVIDIAなどを筆頭によく言われますが、PERがそこまで高いわけではないため、あれだけの高収益を上げている成長企業かつリーディング銘柄に、あの程度のバリュエーションがつくのは普通で、「バブル」とは言えないと思います。株価が異常な値段をつけてファンダメンタルズから乖離しているわけではありません。
1980年代、日本では市場のPERが60倍から70倍と異常な水準を記録しましたが、今回はまったくそんなことはないのです。ましてや日本株に関して言えば、まったく割高感のない正常なバリュエーションです。だからこそ、日本株はずっとオーバーウェイトでいられます。少々バリュエーションが高いのは、米国株のごく一部の銘柄だけです。
そのような意味では、株式市場の「バブル」だと言っているわけではありません。
AIセクターの相互投資と危険性
より危ないのはAI関連企業の相互投資が少し食い合っていることです。製品(半導体)を購入するための資金を顧客に提供するベンダーファイナンスや、1セントストックのようなものでコールオプションを与えるなど、錬金術のような手法によって、互いの企業価値を高め合っている様子が見受けられます。
例えばオラクルは、業績自体は好調ですが、債務が大きいという状況があります。新興企業もまた、ファイナンスをつけて資金を調達するなど、外部から資金を引き込んでいることもあります。
AI関連企業の内輪で完結していれば問題が限定的ですが、外部から資金を引っ張ってきていることや、SPC(特別目的会社)などに付け替えてオフバランス取引を行うこと、つまり自分のバランスシートに計上しないことが問題です。
ファイナンスした資金をSPC、SPV(特別目的事業体)などに付け替えるようなことを始めています。これは「いつか来た道」であり、非常に危ないです。どこかでガクッと下落すると思います。それがいつになるかはわからないので、今から警戒すべきです。
今後の見通しと対策
現段階でのAIバブル崩壊への対策としては、資産配分の逃げ場として、キャッシュ(現金)や金などの安全資産のウェイトを上げていくことが有効です。
これが2025年最後の私からのメッセージです。AIバブル崩壊が来年の2026年に来るのか、2027年、2028年に来るのかはまったくわかりませんが、今から警戒をしておいたほうがよいと思います。
ただし、励みになることとして2点が挙げられます。
1つ目は、先ほど申し上げたように、株価が割高ではないため、クラッシュしても大暴落にはなりません。
2つ目は、現在ほどバブルがはじける前から不安が煽られている例はないということです。通常はもっと楽観ムードに浮かれており、気づかないうちにドンと下がってから、初めて「ああ、バブルで浮かれていたな」と後悔します。
しかし今は、楽観と警戒が共存し合っている状況です。仮にそのような状況下でAIバブルがはじけたとしても、散々「バブルだ、危ない」と言われているため、そこまでの大事故にはなりません。中程度の規模の悲惨さで終わるはずです。
投資スタンスとまとめ
そのような意味ではそこまで恐れる必要はないですが、ここからの数年間はキャッシュを貯めておいて、なにか下落の要因が来た時にすぐに買えるような投資スタンスがよいと思います。
基本的に市場は強く上がっていくと思います。米国の利下げや日銀の利上げも打ち止めが予想されますが、どこかで下落が来た時に、バッと買えるように腹八分くらいで走り続けるのがよいでしょう。
相場の心構えとして、しばらくはAIバブルのクラッシュがあっても驚かず、動揺しないという心持ちが必要になってくると思います。
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