【IRアナリストレポート】EMシステムズ(4820)

著者:鈴木 行生
投稿:2025/09/04 10:27

~薬局・クリニック・介護 /福祉施設の三位一体で、完全課金型ビジネスを推進~

ポイント
・今上期(2Q累計)は、営業利益2080百万円(前年同期比+70.4%)と極めて好調であった。前期に加速した電子処方箋の導入や資格確認システム関連について、政府の方針変更で補助金サポートの継続的な延長が追い風となった。

・国の支援策は、医療DXの推進を加速させようとしている。補助金の効果は顕著で、これが医療DX推進の継続的なドライバーとなるか、今後の政策的支援の動向が注目される。厚労省の2040年に向けた医療DXの制度的対応では、1)電子カルテの情報共有サービス、2)マイナンバーカードを利用した情報連携などに力を入れていく。

・当社にとっては、DX推進で需要が盛り上がるのはありがたい。一方で、急増する需要への対応は一時的コスト増にもなる。それでも収益面では大いにプラスとなる。但し、反動減はいずれ出てこよう。それを前提として計画を組んでいく。

・上期の需要増が今期の需要をすべて先取りしたわけではないので、通期の業績も会社計画を上回ってこよう。来期については、一時的需要増の反動減を予想するが、本来の領域が伸びてくるので、中期計画2年目の業績計画は概ね達成できよう。

・國光社長は、厚生行政のフォローの風が一巡する今下期以降に、当社の実力が試されると認識し、本来の経営に全力を入れている。調剤システムは、当社の実力が抜きん出ており、強さをより発揮することで、業界をリードしていく。製品のポートフォリオの見直しも、MAPsシリーズへの特化という形で進めていく。これによって、開発やサービスの効率が上がってこよう

・新長期ビジョンと新中期3ヵ年計画では、クラウド型のシステム基盤を強化しつつ、医科システム事業と介護/福祉システム事業の黒字化を図る。3年後の2027年12月期には営業利益で40億円を目標とするが、これは十分射程内にある。

・今後3ヵ年は、配当性向100%の実行で株主還元を充実させ、M&Aを含めた成長投資は借入金で対応する。収益力の好転につれ、ROEの向上と共に株価は見直されてこよう。

目次
1.特色薬局向け処方箋処理システム(レセコン)で業界トップ
2.強み画期的なMAPsシリーズの開発が進展
3.中期経営計画完全ストック型月額課金ビジネスモデルが本格化
4.当面の業績今2025年12月期は減益幅が縮小へ
5.企業評価ストック効果の拡大局面へ

EMシステムズ <4820>
企業レーティング A
株価
(2025年9月3日)
760円
時価総額 536億円
(70.51百万株)
PBR 2.57倍
ROE 11.1%
PER 23.2倍
配当利回り 4.6%
総資産 28991百万円
純資産 20495百万円
自己資本比率 70.4%
BPS 294.8円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2017.3 13676 2597 3163 2116 30.2 7.75
2018.3 13953 3063 3618 2369 33.4 9.25
2019.3 13133 2622 3248 1971 27.9 9.50
2020.3 14023 1583 2179 1393 19.7 10.0
2020.12 9660 1037 1469 1062 15.0 10.0
2021.12 14436 1870 2607 1829 25.7 11.0
2022.12 16919 2395 2791 1893 26.8 12.0
2023.12 20355 2320 2869 1962 27.8 14.0
2024.12 24837 4464 5184 2425 34.5 35.0
2025.12(予) 23000 3220 3850 2260 32.7 35.0
2026.12(予) 22800 3300 3900 2500 36.2 38.0

(2025.6ベース)

(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。 2018年 3月 1日、2020年 1月 1日に各々1:2の株式分割を実施。それ以前の EPS、配当は修正ベース。 2020年 12月期より決算期を変更、この期は 9カ月決算。
 
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/emsisutemuzu202509.pdf

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム

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