【QAあり】True Data、3Qは減収も、大型案件の受注により4Q以降の再成長に向け順調、低採算案件の見直しが進み収益性が改善

投稿:2025/03/24 13:00

2025年3月期第3四半期決算説明会

米倉裕之氏(以下、米倉):株式会社True Data代表取締役社長の米倉です。本日は、当社の2025年3月期第3四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。限られた時間ですので、一部割愛しながらご説明します。

今回から、決算説明会資料を大幅に見直しました。上場してから3年が経ちまして、これまでオーガニックグロースで10パーセントから12パーセントの成長をしながら、事業成長の土台作りをしてきたのですが、3年間でほぼ完了したと考えています。

表向きは地味な期間でしたが、新たな成長のための土台を作るのは大事なことなので、それに着実に取り組んできました。その間、投資家のみなさまから厳しいお言葉をいただく局面もありましたが、昨年の11月頃、こうしたことが次々と動き出すフェーズに入りました。

IRは着実に行いたいと思っておりますので、開示やプレスリリースが続きました。この頃から、激励が混じり始めたと感じています。

ファンダメンタルズについては、現行の10パーセントから12パーセントの成長に、成長戦略の実行による成長がプラスされて、将来的な、非連続的な成長の可能性が出てきたと感じています。

この第3四半期で、その転換点に到達したという判断のもと、当社の進化に合わせて、決算説明会の資料をアップデートしました。本来は期の終わりや、中期経営計画のタイミングなどでアップデートするものだと思いますが、転換点に到達した今、IRを強化したいと思い、このようなかたちになっています。

中期的なトップラインのグロースの成長ペースが変化するため、ここから先は、バリュエーションにもコミットします。全社一丸となってバリュエーションにチャレンジするファイティングポーズを取ることを、経営の意志として明言します。

ただし、株価を引き上げるために、みなさまの期待をあおるようなことはしたくありません。例えば、2026年3月期のガイダンスで、今提示されているものより上がるのではないかですとか、本決算のタイミングで新中期経営計画が1年前倒しで出るのではないか、といった期待があることは認識しています。しかし、現時点で、そのようなトリッキーなことは考えていないということはお伝えしておきます。

応援していただいていることについては非常にありがたく思っています。進捗をリリースできるタイミングが来ましたら、即座にIRで発表いたします。

Agenda

カンパニーハイライトでは、現時点でアップデートされた当社のビジネスと成長戦略についてお伝えします。続いて、2025年3月期第3四半期の概況、そして加速する価値創造ストーリーについてご説明します。

True Dataが実現できること

スライドの図は、True Dataが何をする会社なのかを示しています。当社は、POSやID-POSと言われるリテールデータの精製・活用を通じて、メインのお客さまである小売業と消費財メーカーの収益をDXで最大化する会社です。どの会社よりも、お客さまの収益をDXで最大化できる会社であると考えています。

模倣困難性についてご説明します。スライドの図にある「リテールデータプラットフォーム」が模倣困難性だと考えています。単にAIやテクノロジーをお客さまに提供するだけではなく、このようなプラットフォームを用意することで、お客さまのデータを受け止め、安心・安全に活用いただける専用の環境を提供しています。

このプラットフォームの存在が、未来への成長のギフトであり、なかなか他社には真似ができないものだと考えています。

ビジネスモデル

このような我々の構えを通じて提供しているものが、「イーグルアイ(Eagle Eye)」と「ショッピングスキャン(Shopping Scan)」です。

「イーグルアイ」は、許可を取り、市場データとして統計化したデータを、消費財メーカーにマーケティングSaaSのかたちで提供しています。

同時に、「ショッピングスキャン」というマーケティングSaaSを使って、小売業のデータを価値に変えることを行ってきました。これらが当社の基本的なビジネスモデルです。

ソリューション Eagle Eye

「イーグルアイ」の簡単なサマリーです。現在、約150社のメーカーに年間平均500万円でサービスを提供しており、7億7,000万円のストック型の売上になっています。

ソリューション Shopping Scan

「ショッピングスキャン」では、小売業のデータを分析して活用することができます。

大手の小売業の場合、数百社のメーカーやサプライヤーと商品の取引をしています。メーカー側は、データを分析して、よりよいかたちで自社商品の訴求ができます。小売業側のバイヤーや商品部は、メーカー側の良い提案を受けて、より良い売り場を作ったり、より良い品ぞろえをしていくことができています。「ショッピングスキャン」を通じて、このようなことを実現しています。

競争優位性と主なクライアント

現在、ホームセンター、ドラッグストア、スーパーマーケットを合わせて国内全体で27兆3,000億円の売上市場規模があるとして、当社のデータプラットフォームで専用環境を作り、一緒に取り組んでいるデータは合計で約5兆円分になっています。

年間アクティブ数というのは、過去1年間でポイントカード等を使って買い物をされた実績数で、約6,000万人となっています。

このようなデータをそれぞれの価値に変えて、さまざまなメーカーに使っていただいています。市場がわかる統計データは、政府にもご利用いただくなど、いろいろなかたちで活用が進んでいます。

財務ハイライト

財務ハイライトについてです。売上高全体の85.9パーセントが、今ご説明したストック型サービスの比率です。売上総利益の年平均成長率は22.0パーセントと、高成長しています。

成長ロードマップ

成長のロードマップです。スライドで「NOW」と点線を引いているところが現在の位置です。従来のオーガニックグロースの10パーセント強のところは、当社の少ない営業の直販部隊が自ら販売して作ったストック型の売上です。

2024年11月からさまざまなリリースを出しました。スライドの右側に「販路」と記載していますが、サービスを一緒に売ってくださる強力なパートナーができました。直販営業以外に、これらの会社の販路を活用しながら、成長をドライブしていきます。

我々はそこにさまざまなツールを磨いて載せていくというフェーズに入っていくので、これからの成長のペースが上がっていくと考えています。

成長戦略① 既存サービスの拡販(顧客拡大)

成長戦略①の「既存サービスの拡販」は、お客さまの拡大です。先ほどお伝えしたように「イーグルアイ」の顧客が約150社あり、1社当たり年間500万円で、全体では7億7,000万円のストック型の売上を作っています。

伊藤忠商事の「FOODATA」は、食品の購買傾向や消費傾向がわかります。このサービスのID-POSの部分には、我々が提供したツールが埋め込まれています。伊藤忠商事には食品メーカー約1万社の取引先があるので、この部分が大きく加速する可能性があると考えています。

小売業についても約2,000社の取引先があるということなので、顧客拡大を図っていく一例としてご紹介しました。

成長戦略② ソリューションの拡充(単価上昇)

単価上昇についてです。先ほどお話しした、我々の模倣困難性を作っているリテールデータプラットフォームとして「ショッピングスキャン」が導入されておりますが、今後は、プラットフォームの上にAIなどを続々と載せていくことができます。これがクロスセルだと考えています。

ウエルシアではAI販促ソリューションというものを「ショッピングスキャン」のプラットフォームに載せました。これについてご説明すると、さまざまなお客さまが店頭に来て、ウエルシアで買い物をします。買い物の仕方や嗜好、価値観などの傾向は、お客さまごとに違います。販促について、例えば多種多様なクーポンをプッシュ型でどんどん送り続けると、嫌がられてしまいます。

そうならないように、ポイントカードからわかる買い物の傾向から、どのようなタイプの方で、どのようなものが嗜好に合っていて喜ばれるのか、というペルソナをAIが判断します。そして、その人に合ったかたちのクーポンを使った訴求を行います。こうした販促にAIを使用します。

それによって、お客さまが嫌がって離脱することを防止し、次第にウエルシアのファンになる効果を作り出します。

もう1つは収益成長です。我々は、お客さまの収益最大化を狙っていますが、このクーポンはメーカーが出すものです。メーカーのクーポンごとに、出したい期間や打ち止めにしたいタイミングなど、さまざまな制約があります。

メーカーや商品ごとにその制約が違う場合、全てを満たすように人の手でうまく組み合わせるのは、非常に骨が折れる作業です。

これをAIが、すべての条件が最適化されるように瞬時に判断します。デジタルのものも、レシートクーポンなどのオフラインのものも、すべて出し分けていきます。

この技術は、海外ではウォルマートなどの先進的なところで導入されていますが、日本ではまだありません。それを今回、初めて導入していただきました。

小売業でトップクラスの会社に導入していただいたことは、今後の営業的にも非常に大きな意味があると思っています。また、他のお客さまにも横展開が可能なソリューションです。以上は、ソリューションの単価上昇やクロスセル、アップセルの事例の1つとしてお話ししました。

成長戦略③ 守りのDXに参入(業容拡大)

業容の拡大についてです。スライド下部のアドバンテージ・パートナーズの例についてお話しします。東京海上スマートモビリティについては、後ほどお話しします。

世界全体で見ると、人口がどんどん増えていくフェーズに入っており、食料不足など、さまざまな問題が起こってくると思います。他方、日本の場合は人口減少が課題で、ドライバーが足りないといった人材不足が起こっています。また、コストの上昇にも直面していると思います。

このように日本市場では、採用ができない、コストがどんどん上がってくるということにあらゆる企業が直面していく状況にあります。そのような状況においては、最適化が必要になってきます。

売上を増やすとかファンを作るということはマーケティングにおいては攻めですが、攻めだけではなく、守りのほうのソリューションも我々は持ちたいという思いがあります。

日本において必要とされる最適化を生み出すようなもの、特にコスト面で貢献できるものを提供したいと考えています。従来はコンサルティングサービスで提供しているものを、我々はDXで提供できると考えています。

DXを活用することでもっとパワフルに展開できると思っていますし、さまざまな産業の多くの企業に広げていくという意味もあります。アドバンテージ・パートナーズに聞いた例では、9つのホテルで合計2,500万円程度のコストを削減できたそうです。

各社にコスト削減の専門人材がいるわけではありません。自社ではできないところを、DXを用いて代わりに行っていきます。市場としての大きな可能性も感じており、社会貢献という意味でも大きな意義があると考えて、期待している領域です。

4つの重点施策の進捗状況 (25/3期のアクション)

各施策の進捗状況についてです。スライドの右下の「人と組織の成長」「事業運営基盤の整備」についてご説明します。スタートアップで事業を行うからには、私だけではなく、社員も含めて、面白さやメリットなどを目一杯に感じながらチャレンジしていくことが非常に大事であり、健全であると思います。そこに、アントレプレナーシップというかたちでしっかりと注力しています。

また、入社後のオンボーディング、つまりは戦力化してキャリア開発をしていくことも非常に大事だと思っています。このあたりは、大きな進捗が見られたと思っています。

25/3期の主なIRニュース

こちらはご参考のスライドですので、説明を割愛いたします。

損益計算書サマリー

第3四半期の概況として、スライドに損益計算書のサマリーを掲載しています。端的に言うと、この第3四半期は戦略的に減収減益というかたちになっています。ただ、ここが端境期であり、第4四半期からは成長軌道に回帰していきます。

売上高

売上高についてです。一部契約打ち切り案件の影響があり、売上高に占めるストック型比率は94.0パーセントとなりました。

一方で、複数の大型案件の受注が決まっています。第4四半期以降の再成長に向けて、順調に進んでいると考えています。

また、第4四半期に入ってくる売上については、スポット型で大きく収益認識をする見込みです。今のところは順調ですが、開発を伴う大きな案件なので期ズレする可能性があるということはお伝えしておきます。

売上総利益・売上原価

売上総利益については、低採算案件の見直しを行っています。スライドのグラフのとおり、現在、その他原価などをどんどんコントロールして、スリム化しています。その中で、粗利率が前四半期比で3.1ポイント上昇しており、収益性が改善しています。

営業利益・販管費

営業利益についてです。人的資本への投資を強化しています。従来型の経営戦略では、人的コストが上がってくるのは良くないという考え方がありましたが、今のご時世では、むしろ良いことです。成長投資を確実に行い、その分成長を作っていくことが求められていると理解し、その範囲内で投資を強化しています。

第4四半期は、ストック型の積み上げによる再成長に加えて、スポット型の収益貢献を一定程度見込んでいるので利益確保が大きく進むと見込んでいます。

トピックス(1/5)

伊藤忠商事のトピックスは先ほどお話ししたとおりです。先ほど「販路」という言葉を使いましたが、パートナー企業と事業提携をしたのは、販売代理店として我々のサービスをただ売っていただく先を続々と作るためではありません。「FOODATA」という、先方のブランドで、先方が本気で運営しているサービスに、我々の「イーグルアイ」などが埋め込まれて、一緒になって価値を生み出していくイメージです。

トピックス(2/5)

東京海上スマートモビリティについてです。保険会社は、銀行業や保険業以外の新規事業ができるようになりましたので、それを模索しています。最適化という領域は、保険会社と非常に相性がいいと思っています。このような最適化の場合、AIが適正値を出します。発注や出店など、さまざまな点で最適値が出せます。

最適値が出せると、それ自体が先方のソリューションとなり、販売して収益が見込めるかたちになります。それを、我々が裏側で支えます。

ただし、最適値が出せたとしても、実際にはそうならないということが少なくありません。実際の着地ではぶれが生じます。保険会社にしてみると、そのぶれを保険でヘッジするという事業領域が新たに出てきます。

それによって、新しい保険サービスやリスクマネジメントができるようになり、新規の収益を作りながら、本業のほうもさらに進化していける関係になります。

トピックス(3/5)

Hakuhodo DY ONEについてです。デジタル世界でどのようなサイトを見て、どのような行動をしているかというデータを、国内最大級の3億8,000万IDを超える規模でお持ちです。

サイトの閲覧データから嗜好を推察し、マッチする広告を打つという手法があります。同様に、あるメーカーのこのブランドの商品を買っているのはこのような人だという購買の傾向は、我々のオフラインの購買データからわかります。

消費者に対してオンラインの広告を打った後、実際にどのような購買行動の変化があったのかを把握できます。効果検証ができることには大きな意味があります。

統計的に、こういった情報を確実にひも付けるようなテクノロジーやノウハウを合わせて提供して、実際にビジネスとして展開していきます。

トピックス(4/5)

ウエルシアの販促AIについては先ほどご説明したので、こちらの説明は割愛します。

トピックス(5/5)

ウエルシアには従来から「ショッピングスキャン」が入っていましたが、先ほどご説明した販促AIソリューションの導入が決まったことをリリースし、さらに第2弾のAIとして出店の売上予測ソリューションである「SalesSensor」についてもリリースしています。こちらをご説明します。

外食チェーンや小売業のように、次々と出店していくような業態があります。その時の動きですが、まず不動産の物件情報が出てきます。その物件に対して、自社で取りに行くのか検討が始まります。商圏調査などを行い、さまざまな情報から、「ここは押さえるべきだ」と判断しましたら、物件の獲得に取り組むことになります。

しかし、それまでには多くの人的パワーと工数、専門性が必要になってきます。これをAIによってある程度まで瞬時にできれば、競合に物件を取られる前に、先んじて動くことができます。そのような意味で、本業にプラスがあると考えています。

また、実際に出店してみたものの当初考えていた計画値と実態が合わないと、巨額の減損が出てしまいます。しかし、売上予測の精度が上がれば損失を圧縮でき、人件費等の効率化にも非常に有効です。

我々はリテールデータとDXによりお客さまの収益を最大化することを目指し、POSやID-POSを活用したAIをプラットフォームに搭載し、クロスセルを促進します。

通期計画の進捗状況

通期計画の進捗状況は、第3四半期までで、売上高は63.2パーセントとビハインドしています。営業利益は41.6パーセントと低位に見えますが、第4四半期に多額のスポット型売上高の計上を見込んでいますので、挽回は可能であると考えています。

大型の開発案件の期ズレリスクについて

大型案件は開発を伴うため金額も大きく、検収もありますので、期ズレリスクがある部分についてはスライドでご説明しています。

2026年3月期 数値目標

数値目標は、以前に開示したものから変わっていません。

26年3月期 数値目標達成に向けた成長イメージ

成長イメージについてです。スライドの図は以前も示したものです。従来から年間10パーセントから12パーセントほどのオーガニックグロースがありますが、本日ご説明した成長戦略の効果がこちらに加わってきます。それによって、トップライングロースをしっかりと引き上げていきたいと考えています。

さらに、赤色の部分については、バランスシートの活用といいますか、M&A等の外部成長にもしっかりと取り組んでいきます。この3つを合わせてトップライングロースを伸ばすことをもともとイメージしていましたが、かなり具体的に考えられるようになってきたと感じています。

価値創造の源泉と拡張可能性

当社はリテールデータがコアバリューになっています。また、プラットフォームを持っていますので、その上にソリューションをどんどん乗せていくことができます。そのような拡張性を備えていることに加え、それをさらに加速させていくためには人の力が必要ですので、組織力も強化しています。

①リテールデータがコアバリュー(1/4)

プラットフォームについては、単にお客さまの環境を用意してデータを入れているだけではなく、スライドに記載したような機能が備わっているため、他社が真似するのはなかなか難しいと考えています。

①リテールデータがコアバリュー(2/4)

今、さまざまな会社がデータビジネスに参入してきていますが、我々のプラットフォームは15年以上にわたりさまざまなデータを蓄積しています。最近参入した会社は新しいデータは持っていても、例えば「このようなイベントのときに何があったか」といった過去のデータは持っていません。したがって、当社にはそのようなアドバンテージもあります。

①リテールデータがコアバリュー(3/4)

こちらはリテールデータで一番大変なところですが、同じ商品でも店によって違う名称で登録されていたり、日付の表記がまちまちだったりします。これらをすべて一元化することでさまざまなデータの活用が可能になるのが、当社のデータプラットフォームの持つ価値だと思います。

①リテールデータがコアバリュー(4/4)

当社のデータは安全で使いやすいというのは言わずもがなです。

②高いソリューションの拡張性(1/3)

以上のように、「データで尖り、販路とツールでレバレッジをかけ、加速度的な成長を実現」させていくことが、アップデートされた我々の戦略となります。

②高いソリューションの拡張性(2/3)

ソリューションの拡張性についてです。スライドには販路をいくつか書きましたが、これは我々のツールの販売代理店を何社か増やしたという意味ではなく、あくまでも先方の主力ソリューションとして、先方と一緒に思いを持って販売しながら、我々にも収益が還元されるかたちになっています。

②高いソリューションの拡張性(3/3)

さまざまなソリューションについては先ほどご説明したため、割愛します。

③エンパワーメントな組織力(1/5)

組織力についてです。スライドでは「アントレプレナーシップ」と「プロアクティブ」を強調しています。

人材を育て、戦力にしていくことに注力しており、学びの奨励もしていますし、私自身、年1回は必ず全社員と1on1ミーティングを行っています。また、役員・従業員の株主化も加速させています。

③エンパワーメントな組織力(2/5)

組織力強化のモデルケースとして、当社社員3名の事例をご紹介します。1人目の古泉は前職で営業職を経験し、当社に中途入社しました。「当社は、新しい技術やサービスに対して非常に前向きな会社である」とコメントしています。

彼は現在、広告領域を中心にビッグデータ活用や効果向上プロジェクトを推進するデジタルソリューショングループのリーダーを務めています。このようなかたちで成長・活躍しています。

③エンパワーメントな組織力(3/5)

2人目の伊藤は、OA機器のリース企業で営業事務職を経験し、当社に中途入社しました。現在はさまざまな資格を取得し、生成AIを活用した社内オペレーションの改革などを推進するグループのリーダーを務めています。

③エンパワーメントな組織力(4/5)

3人目の和田は繊維関連の専門商社の営業職を経験し、当社に中途入社しました。さまざまな資格も取りながら、現在は重要なDXプロジェクトのプロジェクトマネージャーとして活躍しています。

このように、業界経験者でなくても、入社してから成長して、戦力として活躍していくケースが増えています。

③エンパワーメントな組織力(5/5)

さらに、「株主と役員・従業員のインセンティブの構造の一致」を図っていきます。スライドの左側は私の事例ですが、右側にあるとおり、従業員持株会を作りました。20パーセントのプレミアムを付けて、全社でバリュエーションにチャレンジしていくような構造を作っています。

④加速度的な成長を実現(1/2)

スライドの図のようなサイクルで、今後、加速度的な成長を実現していこうと考えています。

④加速度的な成長を実現(2/2)

以上で、私からのご説明を終わります。

質疑応答:ウエルシアへの新サービス導入効果と小売他社への展開について

司会者:「ウエルシアへの貴社サービス導入によって、どの程度の業績貢献を見込んでいますか? また、他の小売業への展開はどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。

米倉:業績貢献について具体的にお答えするのは非常に難しいのですが、ウエルシアのDXによる収益最大化を一緒に目指していくかたちになります。一部、今期の第4四半期で業績に貢献する予定ですが、来期に本格化して、その後もっと拡大していくことを予想しています。

第1弾のAI販促ソリューションでは、ウエルシアの会員をファン化するという本質的な部分と、収益拡大に取り組みます。今まではさまざまなクーポンを人力で配布していたため、その業務効率化という意味もありますし、メーカーごとのクーポンの条件設定もAIならば大量にさばけますので、そこで取引を大幅に増やすことで収益貢献もできると思います。

第2弾の出店売上予測ソリューションについては、AIにより良質の物件を獲得できるという効果がありますし、商圏分析の業務効率化や、その精度向上による減損の圧縮で収益拡大も考えられます。

これらの取り組みは来期以降に本格化しますが、我々としては、このサービスは他社へも展開可能だと考えています。最大手の1社とともにスタートできたことは、営業面でも大きな一歩だと考えています。

質疑応答:ストック型売上とスポット型売上の見通しについて

司会者:「通期予想から逆算した第4四半期の売上高は、かなり大きな金額になります。フローの大型案件が期ズレしない前提では、売上高のストックとフローの構成はどのような比率になる想定ですか? スライド18ページに出ているストック型売上は第2四半期の水準程度まで戻せるのでしょうか? それとも、ストックは若干の戻りになるのでしょうか?」というご質問です。

米倉:まず、大きなスポット売上を想定しています。ストック売上については粗利率のお話もしましたが、どちらかというと意図的に落としたという経緯があり、一気に戻るような状況ではないと考えています。ただし、第4四半期ではそこまで大きくはないものの、その後はかなりのペースで積み上がっていくと考えています。

質疑応答:コスト削減・業務効率化へ業容拡大した狙いについて

司会者:「守りのDXへの業容拡大を行っていますが、コスト削減・業務効率化へ業容拡大した狙いは何ですか?」というご質問です。

米倉:どの日本企業も、これから非常に大変な局面になっていくのではないかと思います。特に採用が難しくなり、コスト高にも直面します。そのような中で成長投資ができなくなっていくのは負のスパイラルなので、これを正のスパイラルに持っていく必要があると思っています。

そのためにはお客さまをファンにするための投資だけではなく、お客さまのコストを削減・最適化することにも併せて取り組む必要があると感じています。これによって、正の成長スパイラルに向けた支援ができると思いますし、コストが削減できれば、その分を成長投資に回せるので、我々の攻めのソリューションにも費用を出していただけるという相乗効果もあるのではないかと思います。

質疑応答:ウエルシアへの新サービス導入に係る売上について

司会者:「ウエルシアの業績貢献が来期から本格化するというのは、フローの売上も第4四半期より来期のほうが大きいということですか? これは特定の四半期で計上されるのでしょうか?」というご質問です。

米倉:現在、複数のサービスを展開しています。従来の「ショッピングスキャン」というプラットフォームの上に、AI販促ソリューションと出店売上予測ソリューションがサービスインしたことをプレスリリースしました。これらは実際に使われるようになっていきます。

収益の立ち方はソリューションによって違い、どこかのタイミングで大きくはね上がることもありますが、どちらかというとストック型売上のほうが大きく積み上がっていきます。「ウエルシアの業績貢献が来期から本格化する」とお伝えしたのは、ストック型売上がどんどん積み上がっていくことを意味しており、第4四半期については、サービス導入初期のスポット型売上が一定程度入ることを見込んでいます。

質疑応答:今後の業界動向とその中でのポジショニングについて

司会者:「来期以降、貴社のサービスやリソースの優位性や競争力はどう高まっていくと考えていますか? 業界がどう形成されていくのか、その中で貴社のポジションがどう変化するのか、社長の見方を教えてください」というご質問です。

米倉:我々のサービスやリソースの優位性や競争力については、リテールデータが一番の強みだと思っています。これに、ソリューションを磨きながら組み合わせることで、大きく世の中を変えていくと考えています。

業界動向としては、AIプレイヤーがかなり出てくるのではないかと思っています。ただし、我々のデータプラットフォームは、お客さまへ用意した専用の環境にAIを付与すると稼働するという構造になっているので、そのようなAIプレイヤーとも我々は組むことができます。

そのため、お客さまが「自分たちの収益をDXで最大化していきたい」と考えたときに、ゼロからデータプラットフォームを作り直すのではなく、我々のデータプラットフォームに組み合わせてそれを実現することができます。これを拡張性と呼んでいます。

我々の従来からある「イーグルアイ」や「ショッピングスキャン」というサービスはもちろんですが、そうではないものも搭載して拡張していきます。これが我々のポジションだと思っています。これが将来に対して作ってきたギフト、あるいはデータプラットフォームの力だと思っています。

リソースについては、エンパワーメントな組織力を掲げ、専門人材以外の方を採用してから戦力化して、DXの第一線で活躍してもらうという実績が複数出てきています。このあたりもかなりユニークなのではないかと思います。

我々は、これらすべてを強化していきたいと考えています。このどれかに特化した会社は多いと思いますが、我々はリテールデータが一番の強みで、ソリューションに拡張性があり、エンパワーメントな組織力の実績がすでにあり、そこが我々の強みだと言えます。

質疑応答:来期の売上計上イメージについて

司会者:「資料27ページのパターン①のケースでは、第4四半期に大型案件の反動減があっても、来期第1四半期の売上総利益は第3四半期の水準までは落ちないイメージになっています。これは、来期第1四半期でもスポット案件が見込まれるということでしょうか? それとも、これが積み上がるストック型売上なのでしょうか?」というご質問です。

米倉:将来の売上高や営業利益については、読みづらいところはあります。基本的には、サービス導入初期に大きなスポット型売上が入った後は、それが大きければ大きいほど、ストック型売上も大きく積み上がるかたちになっています。そのような案件が複数あります。

案件の大きさはまちまちなので、どれがどのタイミングで入ってくるかによって前後することがあり、ぶれることがありますが、それが基本的な売上の構造です。

質疑応答:新規大型案件の獲得について

司会者:「この数ヶ月で、ウエルシアの大型案件以降の新しい大型案件はどれくらい獲得しているのでしょうか?」というご質問です。

米倉:これについては、今この場でご説明するのは適切ではないと思いますが、かなり大きな金額を見込んでいます。すなわち、すでに案件を受注しているということです。このようなお答えしかできませんが、ご理解のほど、よろしくお願いします。

質疑応答:伊藤忠商事との協業ビジネスについて

司会者:「第4四半期における伊藤忠商事との協業ビジネスの案件獲得見込みを教えてください。立ち上がりが急なほうが認知度上昇のインパクトを上げられるとは思いますが、慎重な立ち上げを志向されているのでしょうか? 相手があるところで難しいですが、数ヶ月前に比べてどの程度視界が開けましたか?」というご質問です。

米倉:おっしゃるとおり、相手があるところでご説明が難しいのですが、現場から経営レベルまで、お互いの気持ちがそろっていると実感しており、お互いにアクセルを思い切り踏んでいくことは間違いないと思っています。

それをもって視界が開けたかどうかはわかりませんが、我々としては、足並みをそろえてアクセルを踏んでいくことにより、両者ともに下から上まで意思統一されているということはお伝えできます。それによってどのくらいの数字ができていくのかは、状況を見ながらご判断いただければと感じています。

質疑応答:ウエルシアへの新サービスにおけるリスクについて

司会者:「ウエルシアの案件でリスクがあるとしたら何でしょうか? 例えば、クーポンの発券がそれほど進まない、AIの利用がそれほど進まない、などでしょうか?」というご質問です。

米倉:大型の小売業のシステム開発でよくあるのが、例えば、レシートクーポンの発券やアプリなど、いろいろなシステムをつなげて最適化していくため、お客さま側で基幹システムの開発などに課題が発生すると、導入が遅延するリスクが出てきます。早まることはおそらくないと思います。それが、我々の業績予想の数字や収益の成長という観点からはリスクと考えています。

一方、活用については、グローバルで見てもかなり使われている高精度のものを日本仕様にアレンジして持ち込んだため、そこまで心配していません。

それ以外には、現時点では特段リスクは感じていません。

質疑応答:2026年3月期以降の成長における基本方針について

司会者:「2026年3月期までの目標数値を開示していますが、それ以降の成長についての基本的な考え方を教えてください」というご質問です。

米倉:現時点で2026年3月期以降の成長についてお話しするのは時期尚早かと思いますが、基本的な考え方は2つあります。1つ目は、金額的にいくら成長したかではなく、トップライングロースの成長率にコミットしていきたいと考えています。

2つ目は、全社一丸となってファイティングポーズをとり、バリュエーションに向けてチャレンジするということです。また、プラスアルファとしては、バランスシートを活用した成長を上乗せしていくことを考えています。以上が、基本的な考え方です。

配信元: ログミーファイナンス

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