鉄道事業で発生する使用済みケーブルのリサイクルに関する研究開発を4月1日から開始

配信元:PR TIMES
投稿:2025/03/17 17:49
~銅と被覆材の循環により、廃棄物を減らす仕組みの確立を目指します~

国立大学法人東北大学(以下、東北大学)、東急株式会社(以下、東急)、東急電鉄株式会社(以下、東急電鉄)、三菱マテリアル株式会社(以下、三菱マテリアル)の4者は、鉄道事業で発生する使用済みケーブルのリサイクルに関する研究開発(以下、本研究開発)を2025年4月1日(火)から開始します。なお本研究開発は、独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)の令和7(2025)年度環境研究総合推進費に採択され、2028年3月までの3年間実施するものです。


本研究開発では、現状廃棄されている東急電鉄の電気設備のケーブルや線路脇の信号ケーブルをモデルケーブルとして、東北大学が主導して三菱マテリアルと共に開発してきた湿式剥離法の剥離原理(溶媒膨潤+衝撃付与)※を応用し、銅線と被覆材に剥離する新たな湿式剥離法(以下、本技術)を開発します。今回対象となるケーブルは、鉄道独自の外環境に耐えられるよう強度に優れている一方で、被覆線は細く、既存の被覆線処理技術では銅線と被覆材それぞれを高純度に選別することが困難なため、使用済みケーブルからのリサイクル可能な資源として回収できる素材は限定的です。東急電鉄では、このような使用済みケーブルが年間で平均約10t発生しています。本技術により回収した銅線と被覆材を使用して、東急電鉄をはじめとする、鉄道業界で使用する再生ケーブルとしてリサイクルすることを目指し、さらには、リサイクルによるCO2排出削減量および経済効果を定量化することで、将来の鉄道業界への波及効果を検証します。


本研究開発は、被覆線の湿式剥離法に関する研究・技術開発を先導してきた東北大学、脱炭素・循環型社会の実現に向け2022年3月に「環境ビジョン2030」を策定し、2030年までに廃棄物量10%削減を目指す東急、鉄道事業を通じて脱炭素・循環型社会の実現に向け、事業特性を活用した新たな価値創造・貢献などにより環境・社会課題の解決を目指す東急電鉄、銅をはじめとする非鉄金属の高度な製錬およびリサイクル技術を有する三菱マテリアルの、4者連携により実現しました。
本研究開発を通じて、鉄道事業のケーブルが再生ケーブルとしてリサイクル可能となり、将来的には鉄道業界、さらには他業界にも展開することで、可能な限り廃棄物を減らし、循環する仕組みの確立を目指します。

※ 湿式剥離法の剥離原理(溶媒膨潤+衝撃付与):有機溶媒にケーブルを浸漬すると被覆材が膨張(膨潤)します。その状態で金属などの小さなボールで衝撃を与えることで、銅線および被覆材を損傷させることなく、分離・剥離させることを「湿式剥離法」と呼んでいます。


▲線路脇に敷設されている信号ケーブル

▲有機溶媒によって膨潤した電線剥離の様子

▲湿式剥離法による剥離後の銅線と被覆材

【別紙】
■本研究開発 詳細
(1)研究開発ステップ
期間:2025年4月1日(火)~2028年3月31日(金)







(2)目的
現状廃棄されている東急電鉄の電気設備のケーブルや線路脇の信号ケーブルをモデルケーブルとして、東北大学が主導して三菱マテリアルと共に開発してきた湿式剥離法の剥離原理(溶媒膨潤+衝撃付与)を応用し、銅線と被覆材に剥離する技術の確立と、本技術により回収した銅線と被覆材を使用して、東急電鉄をはじめとする、鉄道業界で使用する再生ケーブルとしてリサイクルすることを目指します。


(3)各機関の役割



■湿式剥離法の剥離原理 概要
東北大学ではこれまでに、自動車由来のワイヤーハーネスに使用されている細い電線を対象に、湿式剥離法を開発してきました。ワイヤーハーネス(WH)に使用されているケーブルの被覆材には主にポリ塩化ビニルが使用されています。本技術では、被覆材を適切な有機溶媒かつ適切な条件下において浸漬することで膨潤させ、銅線と被覆材の間に隙間を形成します。続いて、膨潤したケーブルに対して、ボールミルなどにより適切な衝撃力を与えることで、銅線および被覆材の過度な破砕を抑制しながら銅線と被覆材を高精度に剥離することが可能になります。湿式剥離法はこれまでに、膨潤処理後に乾式ミルにより剥離する2ステッププロセス、膨潤と剥離を湿式ミルにより同時に行う1ステッププロセス、の2種類のプロセスを確立しています。本技術により回収された銅線および被覆材には、それぞれの破砕物の混入が抑制されるため、回収される銅の高品位化、回収された被覆材のリサイクル活用が期待できます。



【参考】
●国立大学法人東北大学1907年に創立。建学以来の伝統である「研究第一」と「門戸開放」の理念を掲げ、世界最高水準の研究・教育を創造し、研究の成果を社会が直面する諸問題の解決に役立て、指導的人材を育成することによって、平和で公正な人類社会の実現に貢献することを使命とする国立大学法人です。
公式HP: https://www.tohoku.ac.jp/japanese/







●東急株式会社216社7法人(2024年9月30日時点)で構成される東急グループの中核企業として、「美しい時代へ」というグループスローガンのもと、「まちづくり」を事業の根幹に置きつつ、長年にわたって、東急線沿線を中心としたお客さまの日々の生活に密着したさまざまな領域で事業を進めています。
公式HP: https://www.tokyu.co.jp/






●東急電鉄株式会社いかなる時代においても普遍的価値であり社会的使命である鉄道事業の持続的成長を果たし、移動がもたらす価値を通じて社会に貢献していきます。
2024年度を始期とする中期事業戦略で安全で安心な移動の
持続的提供を掲げており、鉄道事業を通じて脱炭素・循環型社
会の実現に向けた責務を果たすと共に、事業特性を活用した新たな価値創造・貢献などにより、環境・社会課題の解決を目指します。
公式HP: https://www.tokyu.co.jp/railway/







●三菱マテリアル株式会社銅を中心とした非鉄金属素材、付加価値の高い機能材料や製品を製造する非鉄金属メーカーとして、「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを「私たちの目指す姿」と定めています。
目指す姿の実現に向け、資源循環・脱炭素・自動車・半導体などの分野で高品質の非鉄金属素材および付加価値の高い製品を提供しています。
公式HP: https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/



以   上







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