1990年代から始まった長年のタマネギ研究の成果により食卓に嬉しい変化と新たな食の楽しみを拡げ“タマネギの新しい喫食機会”を提供
ハウス食品グループ本社株式会社は、カレー作りには⽋かせない食材であるタマネギについて、1990 年代より約30年以上研究を行っております。この度、2025年3月4日に公益社団法人 日本農芸化学会 2025年度札幌大会において、当社の「涙のでないタマネギ『スマイルボール』とその関連技術の開発」が農芸化学技術賞※を受賞したことをお知らせいたします。
※農芸化学分野において注目する実用的価値ある技術的業績をあげた正会員あるいは賛助会員に授与する。

日本農芸化学会 2025年度 札幌大会 授賞式の様子

涙のでないタマネギ「スマイルボール」
■新しい野菜(涙のでない、⾟みのないタマネギ)を開発し、お客様の食の楽しみを拡大
レトルトカレーの製造現場でごくまれに起きる、製造ロスにも繋がる変⾊現象(タマネギとニンニクを焙煎した時に緑⾊になる)の解明とその解決に向け研究が1990年代からスタートしました。その過程でタマネギを切った時に目にしみる成分(催涙成分)生成のカギとなる酵素として、催涙成分合成酵素(Lachrymatory Factor Synthase︓LFS)を発見。催涙成分の生成の仕組みを明らかにしたことを始まりとして、1.涙のでない、⾟みのないタマネギの開発(明らかになった催涙成分の生成の仕組みを逆手にとって催涙成分のできないタマネギをつくる)、2.保存性の高い催涙キットの開発(催涙成分を人為的に生成させることの医療・研究への応用)、3.⾟み成分の生成に関わる酵素であるLFSの働きを抑えた時に生成する新たな機能性成分の発見、など研究成果を多方面へ展開してきました。
調理しても涙がでず、⾟みのないタマネギは、「スマイルボール」と命名し、2015年から⻘果として販売しています。催涙成分は生タマネギのひりひりした⾟みの成分でもあります。ゆえに、スマイルボールは切った時に涙がでないことに加えて、⾟みがないので“水さらし”をすることなく生食できることから、調理時の手軽さを提供できます。さらに、水さらしによる成分の流出を抑え、タマネギ本来の⽢さや栄養をまるごと摂取することにも繋がります。厚切りタマネギを生食したり、ジュースにして飲んだりといった“タマネギの新しい喫食機会”を提供することができる新しいタマネギです。
このような一連の基礎研究から始まり、そこで得られた知見を基にして、新しい野菜(スマイルボール)を開発し、お客様の食の楽しみを拡大することへ繋がったことが評価され、今回の受賞となりました。
■約30年以上に及ぶハウス食品グループのタマネギ研究の道のり
1990年代~
レトルトカレーの製造時にタマネギとニンニクを炒めるときつね⾊にならず、緑⾊に変⾊してしまうことがあった。この製造工程の不具合の原因解明・解決の研究を始める。研究を進めていく中、それまでの定説ではタマネギが涙のでる成分(催涙成分)を作る仕組みを説明できないことに気づき、研究を進める。

左:きつね色になった普通のペースト右:緑色になったペースト
2002年
催涙成分を作り出す新規酵素(LFS)を発見し、催涙成分の生成が下図のようにアリイナーゼとLFSが順番に働くことで進むことを明らかにし、学術雑誌「Nature」に発表。

タマネギ催涙成分生成の反応経路
催涙成分が生成される仕組みが解明できたことで、この仕組みがない新品種のタマネギが作れれば「涙のでないタマネギ」が開発可能と考える。研究は次のステップとなる重イオンビームを用いた突然変異育種による品種作出をスタート。
2012年
催涙成分を生成する2段階反応のうち酵素「アリイナーゼ」の量が⾮常に少ないため涙がでない、⾟みのないタマネギ(後に“スマイルボール”)を作ることに成功。
2013年
2002年の「Nature」掲載論文が評価され、イグ・ノーベル化学賞を受賞。涙がでる⾟み成分を生成するきっかけとなる催涙因子合成酵素の発見は「タマネギが人を泣かせる生化学的なプロセスは、科学者が考えていたより複雑であることを、明らかにした」と評価。

イグ・ノーベル化学賞受賞時の様子
2015年
「スマイルボール」の販売を開始。『涙を流さなくなることで、全てのお客様が笑顔になる新しいタマネギでありたい。これまでのタマネギにとらわれず、新しい食べ方や食シーンをお客様と一緒に(キャッチボールをしながら)創造できるタマネギでありたい。』という想いを込め、“笑顔”と“ボール”を組み合わせて「スマイルボール」と命名。


2021年
LFSを抑制することで、タマネギ中で増加する新たな機能性成分を発見。
2022年
保存性の高い催涙キットを開発し、弘前COI※)の大規模健診にて涙液採取に活用。涙液成分と健康との関係を解析する研究を展開。
※2013年から弘前大学を中心に活動する「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」の一つ。10年後のあるべき社会や暮らしの実現に向け、課題に対して産学連携で研究を重ね、社会実装を目的とする取り組み

催涙キット

大規模健診にて涙液を採取
■生で食べても⾟くない、栄養をまるごと摂れる、涙がでない。魅力たっぷりのスマイルボール
一般のタマネギは、リンゴやナシに近い10~11度の糖度を示します。しかし、切ったときに発生する⾟み成分が⽢みを隠してしまい、⽢みを感じにくくしています。
スマイルボールは⾟み成分の発生に関わる酵素が少なく⾟みをほとんど感じないので、タマネギの持っている⽢みをそのまま実感することができます。また、生で食べる時に水にさらす必要がないスマイルボールは、調理の手間が省けるうえ、栄養成分の流失を抑えることができます。切ったとき目にしみることがなくニオイも手に付きづらいので、調理のハードルも低くなります。
生で食べても⾟くない、栄養をまるごと摂れる、涙がでない。魅力たっぷりのスマイルボールは、料理をする人も食べる人もハッピーにする新しいタマネギです。

*)ポリフェノールの一種。タマネギに多く含まれる健康成分として近年注目されています。
■「スマイルボール」の特徴を手軽に体感いただけるメニュー
●スマイルボールのフレッシュチップス
(1)スマイルボールをくし形8等分に切り、さらに半分にします。(2)ハーブソルト・オリーブオイル、(1)をボウルに入れて混ぜます。
(3)お⽫に盛りつけて出来上がりです。

■食卓価値を示す野菜をお届けし、お客様の食をもっと楽しく
スマイルボールを通じて、生でそのまま食べても⾟みが弱い、水さらししないから手軽に1品加えることができるという食卓価値をお届けしています。また、季節関係なくサラダでタマネギをより手軽で美味しく食べていただけることから、お客様の食卓に変化をお届けしていると考えております。
今後も食卓価値を示す野菜をお届けし、お客様の食をもっと楽しいものにしていくことを目指し研究開発に取り組んでいきます。
<参考>「スマイルボール」特設ページURL︓https://housefoods-group.com/activity/smilebal
ハウス食品グループ本社株式会社は、カレー作りには⽋かせない食材であるタマネギについて、1990 年代より約30年以上研究を行っております。この度、2025年3月4日に公益社団法人 日本農芸化学会 2025年度札幌大会において、当社の「涙のでないタマネギ『スマイルボール』とその関連技術の開発」が農芸化学技術賞※を受賞したことをお知らせいたします。
※農芸化学分野において注目する実用的価値ある技術的業績をあげた正会員あるいは賛助会員に授与する。

日本農芸化学会 2025年度 札幌大会 授賞式の様子

涙のでないタマネギ「スマイルボール」
■新しい野菜(涙のでない、⾟みのないタマネギ)を開発し、お客様の食の楽しみを拡大
レトルトカレーの製造現場でごくまれに起きる、製造ロスにも繋がる変⾊現象(タマネギとニンニクを焙煎した時に緑⾊になる)の解明とその解決に向け研究が1990年代からスタートしました。その過程でタマネギを切った時に目にしみる成分(催涙成分)生成のカギとなる酵素として、催涙成分合成酵素(Lachrymatory Factor Synthase︓LFS)を発見。催涙成分の生成の仕組みを明らかにしたことを始まりとして、1.涙のでない、⾟みのないタマネギの開発(明らかになった催涙成分の生成の仕組みを逆手にとって催涙成分のできないタマネギをつくる)、2.保存性の高い催涙キットの開発(催涙成分を人為的に生成させることの医療・研究への応用)、3.⾟み成分の生成に関わる酵素であるLFSの働きを抑えた時に生成する新たな機能性成分の発見、など研究成果を多方面へ展開してきました。
調理しても涙がでず、⾟みのないタマネギは、「スマイルボール」と命名し、2015年から⻘果として販売しています。催涙成分は生タマネギのひりひりした⾟みの成分でもあります。ゆえに、スマイルボールは切った時に涙がでないことに加えて、⾟みがないので“水さらし”をすることなく生食できることから、調理時の手軽さを提供できます。さらに、水さらしによる成分の流出を抑え、タマネギ本来の⽢さや栄養をまるごと摂取することにも繋がります。厚切りタマネギを生食したり、ジュースにして飲んだりといった“タマネギの新しい喫食機会”を提供することができる新しいタマネギです。
このような一連の基礎研究から始まり、そこで得られた知見を基にして、新しい野菜(スマイルボール)を開発し、お客様の食の楽しみを拡大することへ繋がったことが評価され、今回の受賞となりました。
■約30年以上に及ぶハウス食品グループのタマネギ研究の道のり
1990年代~
レトルトカレーの製造時にタマネギとニンニクを炒めるときつね⾊にならず、緑⾊に変⾊してしまうことがあった。この製造工程の不具合の原因解明・解決の研究を始める。研究を進めていく中、それまでの定説ではタマネギが涙のでる成分(催涙成分)を作る仕組みを説明できないことに気づき、研究を進める。

左:きつね色になった普通のペースト右:緑色になったペースト
2002年
催涙成分を作り出す新規酵素(LFS)を発見し、催涙成分の生成が下図のようにアリイナーゼとLFSが順番に働くことで進むことを明らかにし、学術雑誌「Nature」に発表。

タマネギ催涙成分生成の反応経路
催涙成分が生成される仕組みが解明できたことで、この仕組みがない新品種のタマネギが作れれば「涙のでないタマネギ」が開発可能と考える。研究は次のステップとなる重イオンビームを用いた突然変異育種による品種作出をスタート。
2012年
催涙成分を生成する2段階反応のうち酵素「アリイナーゼ」の量が⾮常に少ないため涙がでない、⾟みのないタマネギ(後に“スマイルボール”)を作ることに成功。
2013年
2002年の「Nature」掲載論文が評価され、イグ・ノーベル化学賞を受賞。涙がでる⾟み成分を生成するきっかけとなる催涙因子合成酵素の発見は「タマネギが人を泣かせる生化学的なプロセスは、科学者が考えていたより複雑であることを、明らかにした」と評価。

イグ・ノーベル化学賞受賞時の様子
2015年
「スマイルボール」の販売を開始。『涙を流さなくなることで、全てのお客様が笑顔になる新しいタマネギでありたい。これまでのタマネギにとらわれず、新しい食べ方や食シーンをお客様と一緒に(キャッチボールをしながら)創造できるタマネギでありたい。』という想いを込め、“笑顔”と“ボール”を組み合わせて「スマイルボール」と命名。


2021年
LFSを抑制することで、タマネギ中で増加する新たな機能性成分を発見。
2022年
保存性の高い催涙キットを開発し、弘前COI※)の大規模健診にて涙液採取に活用。涙液成分と健康との関係を解析する研究を展開。
※2013年から弘前大学を中心に活動する「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」の一つ。10年後のあるべき社会や暮らしの実現に向け、課題に対して産学連携で研究を重ね、社会実装を目的とする取り組み

催涙キット

大規模健診にて涙液を採取
■生で食べても⾟くない、栄養をまるごと摂れる、涙がでない。魅力たっぷりのスマイルボール
一般のタマネギは、リンゴやナシに近い10~11度の糖度を示します。しかし、切ったときに発生する⾟み成分が⽢みを隠してしまい、⽢みを感じにくくしています。
スマイルボールは⾟み成分の発生に関わる酵素が少なく⾟みをほとんど感じないので、タマネギの持っている⽢みをそのまま実感することができます。また、生で食べる時に水にさらす必要がないスマイルボールは、調理の手間が省けるうえ、栄養成分の流失を抑えることができます。切ったとき目にしみることがなくニオイも手に付きづらいので、調理のハードルも低くなります。
生で食べても⾟くない、栄養をまるごと摂れる、涙がでない。魅力たっぷりのスマイルボールは、料理をする人も食べる人もハッピーにする新しいタマネギです。

*)ポリフェノールの一種。タマネギに多く含まれる健康成分として近年注目されています。
■「スマイルボール」の特徴を手軽に体感いただけるメニュー
●スマイルボールのフレッシュチップス
(1)スマイルボールをくし形8等分に切り、さらに半分にします。(2)ハーブソルト・オリーブオイル、(1)をボウルに入れて混ぜます。
(3)お⽫に盛りつけて出来上がりです。

■食卓価値を示す野菜をお届けし、お客様の食をもっと楽しく
スマイルボールを通じて、生でそのまま食べても⾟みが弱い、水さらししないから手軽に1品加えることができるという食卓価値をお届けしています。また、季節関係なくサラダでタマネギをより手軽で美味しく食べていただけることから、お客様の食卓に変化をお届けしていると考えております。
今後も食卓価値を示す野菜をお届けし、お客様の食をもっと楽しいものにしていくことを目指し研究開発に取り組んでいきます。
<参考>「スマイルボール」特設ページURL︓https://housefoods-group.com/activity/smilebal
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