EG Research Memo(3):ネットセキュリティの大手。SNS投稿監視などのサービスをワンストップで提供(2)

配信元:フィスコ
投稿:2024/12/26 15:33
*15:33JST EG Research Memo(3):ネットセキュリティの大手。SNS投稿監視などのサービスをワンストップで提供(2) ■イー・ガーディアン<6050>の会社概要

2. 事業概要
売上高の主力はソーシャルサポートであり、2024年9月期で売上高の59.3%を占める。ゲームサポート(同13.9%)、アド・プロセス(同12.4%)、サイバーセキュリティ(同7.9%)が続く。その他はハードウェアに対するデバッグなどである(同6.5%)。

(1) ソーシャルサポート
ソーシャルサポートは、ソーシャルWebサービスなどの様々なインターネットサービスを対象に、投稿監視、カスタマーサポート及び風評調査などを提供する。豊富な実績のある人材による監視サービス(有人監視)に加え、専門特化した監視ツール(システム監視)を併用するのが同社の特長である。独自開発されたAI判別システムは低コストかつ高品質なサービス提供をするうえで武器になっている。2024年9月期は、EC・フリマサイト向けのカスタマーサポートサービスが堅調に推移したものの、上半期の既存顧客の需要の落ち込み等を補完できず、売上高は前期比1.3%減の6,758百万円となった。

(2) ゲームサポート
ゲームサポートは、ソーシャルゲームを対象に、主にカスタマーサポート及びデバッグ業務などを提供する。ゲームをリリースする前に行うデバッグ作業からリリース後のプロモーション、問い合わせ対応まで一気通貫でサポートする体制を確立している。近年は国内のゲーム市場のヒットタイトルが減少し厳しいなか、国内ゲーム会社の海外進出及び中国や韓国など海外のゲーム会社の日本進出など海外案件の獲得に注力している。英語対応はフィリピン、日本語対応はベトナムなど海外拠点も活用する。2024年9月期は、国内ゲーム市場は変わらず大型のヒットタイトルに恵まれず、売上高は前期比で15.8%減の1,578百万円と減収となった。

(3) アド・プロセス
アド・プロセスは、広告審査業務をはじめ、広告枠管理、入稿管理、広告ライティングなどの運用代行業務を提供する。同社センターで請負う場合と派遣・常駐する場合がある。広告関連の業務は、従来、労働集約的な面が強かったが、同社独自のAIシステムやRPA(Robotic Process Automation)を活用し生産性が向上している。近年は、成長が続く動画市場において、動画に掲載される広告に対する審査業務が増加している。2020年には、(株)サイバー・コミュニケーションズとネット広告関連業務BPOを行う合弁会社である(株)ビズテーラー・パートナーズを設立し、受注チャネルを拡大した。2024年9月期前期比は、デジタル広告市場の規制強化に対する需要やインフルエンサーマーケティング関連の需要の拡大するなかで新規顧客開拓に取り組んだものの、既存顧客の売上高の減少を吸収できず、売上高は前期比で8.3%減の1,407百万円と減収となった。

前述3業務の業務モデルの特長は、対応量(件数)に応じた課金体系であり、リーズナブルな料金で長年のサービス経験に基づく専門的なサービスを提供でき、導入までのスピードが速いことである。

(4) サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティは、セキュリティ業界の第一人者である徳丸浩(とくまるひろし)氏率いる専門家集団が脆弱性診断、WAF、SOCサービス、セキュリティの経営課題を解決するコンサルティングサービスなどの総合的なサイバーセキュリティサービスをワンストップで提供している。2022年9月には、多様なWebサイトのセキュリティ対策をサポートするべく、クラウド型WAFの提供を開始し、足元拡販に成功している。2024年9月期の売上高は前期比16.8%増の903百万円と、特に脆弱性診断サービスが好調に推移し2ケタ増収となった。各企業のセキュリティ強化、サプライチェーンリスク低減などサイバーセキュリティ需要は拡大しており、今後もさらなる成長が期待できる。

(5) その他
その他には、ハードウェアのデバッグ事業が含まれる。子会社EGテスティングサービスが30年以上の経験とノウハウに裏打ちされた高品質なサービスを行っている。2021年には八王子テストセンターを開設し、多面的機能テストの需要へ対応する体制が整った。2024年9月期の売上高は前期比15.2%減の744百万円となった。

3. 強み
同社の業務は人材による監視サービス(有人監視)から始まっており、現在でも「人」にしかできない業務や「人」ならではの業務において20年以上の運用実績を積み上げてきた。一方で、早期から、システム化可能な業務は積極的にシステム活用をとってきた。2010年代に入り、AI型投稿監視システム「E-Trident」や人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」が併用されるようになると、業務は格段に進歩し、他社にはない低コスト及び高品質が実現できるようになった。2018年からは、自社開発のRPAを活用した業務の自動化に取り組み、アド・プロセス分野での広告審査・広告運用業務の効率化に役立てている。2022年には、テキスト・画像・動画・音声などの幅広い投稿をより正確にスピーディーにチェックすべく、新たな投稿監視システム「kotonashi(コトナシ)」を開発し導入した。2023年のチェンジHDとの提携によりAI開発体制が強化され、将来的に映像や音声を対象として自動化・省力化ツールの強化が進行中である。このように同社の強みは、「人」が運用ノウハウやデータを蓄積し、それを活用して独自開発した「AI・システム」により運用を効率化することで、低コストで高品質なサービスを提供できる点にある。結果として高い収益性(2024年9月期の売上高営業利益率は15.0%)が実現している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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配信元: フィスコ

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