【QAあり】チノー、すべてのセグメントで増収増益を達成 燃料電池評価試験装置や水電解評価装置の需要が継続
2025年3月期第2四半期決算説明
豊田三喜男氏:社長の豊田です。本日は、どうぞよろしくお願いします。
みなさま、こんばんは。本日は、みなさまにはご多用のところ、当社のWebセミナーにご参加いただきまして、誠にありがとうございます。
それではさっそくになりますが、これから当社の事業内容と2025年3月期第2四半期の決算についてご説明しますが、当社の事業をご理解いただくための簡単な動画を用意しましたのでご覧ください。
目次
それでは、ここから、この目次に沿ってご説明していきます。
1. チノーグループの概要
最初に、先ほどの動画と重複しますが、当社グループの概要についてご説明します。
会社概要
当社は、温度を軸とした計測・制御・監視に関わるセンサと機器や、それらを組み合わせてお客さまの課題を解決するシステムや装置の開発・設計・製造・販売をしているメーカーです。
創業が1913年、株式会社として設立したのが1936年で、今年で創業111年、設立88年になる会社です。
当社の生産拠点・販売拠点
国内の生産拠点は、群馬県の藤岡市、埼玉県の久喜市、山形県の天童市にあります。販売拠点としては、全国に16の営業所と1つの出張所、1つの分室を設けています。
国内グループ会社(6社)
また、ご覧のように、国内には6つのグループ会社があります。左上のチノーソフテックスは当社製品の組み込みソフトやPCアプリなどの開発、またその下の浅川レンズ製作所は放射温度計用のレンズの生産など、当社の生産や開発を担っているグループ会社で、他の4社は、独立系のグループ会社になります。
左下の三基計装はクリーンルームなどの空調設備の設計・施工や植物工場の管理機器のご提供が主なビジネスになります。
右側上段のアーズは、いろいろな企業から受託するソフト開発に強みがあり、またアドバンス理工は金属材料などの熱物性分析・評価用の装置に強みを持っています。
明陽電機は船舶関係のセンサなどを主な事業としています。各社ともに、チノーとシナジー効果を生む活動を推進しています。
海外グループ会社(6社)
海外のグループ会社は、中国に当社製品の販売会社と生産工場の2社の他、韓国、インド、タイ、アメリカにあります。また欧米・台湾・アセアン地域にも代理店があり、世界に向けても当社の製品や技術をお届けしています。
沿 革
このスライドは、当社の沿革になります。冒頭にもお話ししましたが、1913年に創業し、徐々に事業を拡大しながら、今日に至っています。
1986年の設立50周年のタイミングで、千野製作所からチノーへと社名を変更しています。
また、2011年には藤岡事業所に生物多様性の保全をめざした、ビオトープを開設しました。そして2022年4月には、東証市場第一部より東証プライム市場に移行しています。
企業理念と経営ビジョン
当社の事業ドメインとしては、企業理念で示しているように、「計測・制御・監視」の分野で、お客さまにおける課題を解決することでお役に立つことにより、産業の発展に寄与し、社会に貢献していくことです。
この経営ビジョンは、2021年度から2026年度に向けて推進している中期経営計画において策定したものになります。
共創・特長・信頼のコアバリューでビジョンを示して活動しているところです。
2. 事業の概要
次に、当社事業の概要についてご説明します。先ほど申し上げたとおり、当社は温度を軸としたセンサや機器、およびシステムや装置のメーカーです。
温度計測というと、身近なところでは体温計などを思い浮かべるかもしれませんが、当社の扱っている製品は、ものづくり現場や研究・開発用途向けのBtoBが主力となります。
当社グループの事業セグメント
これは、当社グループの事業セグメントになりますが、計測制御機器、計装システム、センサ、その他の大きく4つに分類しています。
これから、各セグメントの製品についてご説明します。
<計測制御機器>
まず、計測制御機器です。このセグメントには、温度などを記録・監視する「記録計やグラフィックレコーダ」、温度制御などに使われる「調節計」、調節計からの信号でヒータなどの熱源を操作する「電力調整器(サイリスタレギュレータ)」、そして温度などを収録するロガーなどのラインナップがあります。
<計装システム>
次に、計装システムです。当社は、お客さまの目的に合わせて、機器やセンサをアプリケーションソフトも含めてコーディネートする計装システムをご提供しています。
特長ある技術を活かし、30年以上にわたって、車や次世代電源などで使われている酸素と水素から電気を起こす燃料電池の性能を評価する試験装置をご提供してきました。
また、最近ですと水から燃料電池で使われる水素を生成する装置を評価する水電解評価装置や、車や家電のエアコンで使われるコンプレッサの性能を試験する装置、また、「ものづくり」における温度制御・温度管理システム、具体的には、生産現場の設備の温度・湿度制御や機械の稼働率、設備の異常などをモニタリングするシステムをはじめ、機器・センサなどを組み合わせてお客さま現場の課題を解決するためのシステムをご提供しています。
<センサ>
続いて、センサです。当社のセンサには、物体に接触して温度を測定するセンサと、物体から放射している赤外線エネルギーを捉えて温度に変換する非接触の放射温度計や、熱を2次元で捉えて画像化する熱画像装置(サーモグラフィ)、赤外線技術を利用した水分計・成分計、そのほか湿度計やCO2濃度計、水素濃度計などがあります。
また、測定値の正しさを検査・確認・補正するための校正装置なども取り揃えています。
セグメント別売上高
このスライドは、今ご説明した各セグメント別の2023年度の売上状況です。年度によって多少の変動はありますが、それぞれが約30パーセントずつを占めています。
地域別売上高
15ページの円グラフは、2023年度の地域別売上高ですが、海外売上高は約20パーセントで、主な販売先は中国と韓国になっています。
3. チノーの強み
次に、事業展開する上での当社の強みについてご説明します。
事業の特長 ループソリューションによる顧客価値の創造
当社の事業領域としては、主に温度を軸に、さまざまな産業のお客さまの課題解決をご支援しています。当社グループのお客さまは製造業が主で、自動車・航空機、エネルギーをはじめ、さまざまなお客さま現場の課題解決のためのセンサ・機器・システムでソリューションをご提供しているところです。
お客さまの生産や試験・研究の場においては、計測・制御・監視されているいろいろな物理量がありますが、特に温度は、品質や生産性向上、安全安心の面でしっかりと管理しなければなりません。
当社は、その温度を計測するセンサ、制御・記録・監視する機器や、またシステム化する技術をすべて持ち合わせています。そのため、お客さまの課題を解決する最適な、いわば温度に関わるループソリューションをワンストップでお客さまにお届けできるということが、当社の特長の1つと言えると思っています。
ループソリューションとは
そのループソリューションについてご説明を加えておくと、このスライドは、産業のさまざまな分野で使われている電気を利用して金属などの材料を加熱処理する電気炉で、ある材料を熱処理しているところを示しています。
このような現場においては、単に温度を測定するだけでなく、品質良く作るための温度制御、正しく物ができているかを監視・管理と、このスライドのように計測・制御・監視のループでお客さまは操業することになります。
この、温度に関わる一連のソリューション機能をループソリューションと言っています。ちなみにループソリューションは当社の登録商標になります。
校正事業、標準温度センサ(世界29か国で採用)
また、海外においても、当社の温度に関する技術に信頼を置いていただいている証として、正確な計測結果を担保するための温度標準となる当社のセンサや機器をご利用いただいているところでもあり、世界29ヶ国で標準温度センサとして採用されています。
このような信頼していただける温度に関する技術力も当社の特長の1つであると思います。
当社の強み
ということで、当社の強みとしては、あらゆる産業で必要不可欠である温度管理の分野で、「マイナス270度近辺の極低温から3,500度の超高温まで計測・制御・監視することができる」センサや機器のご提供、それらを組み合わせたシステムのご提供、そして先ほどのスライドでご説明した「標準温度センサなどのご提供」、またGX(グリーントランスフォーメーション)においては「燃料電池や水電解の研究開発用装置・システムのご提供」など、温度に関する技術力・信頼性が当社の強みとなっていると思っています。
4. ソリューション事例
それでは、どのような場面で当社の製品が使われているかについて、いくつか事例をご紹介します。
産業別ソリューション
先ほどお話ししたように、温度はさまざまな現場で管理されますので、当社のお客さまは多岐にわたっています。温度に関する課題解決は、それぞれの現場でそれぞれの課題があります。
温度帯別ソリューション
この図は、温度帯別のソリューション例の概略を示しています。このように、各産業により必要とされる温度帯が異なりますが、当社はこのようなレンジ幅の広い温度帯に対応できますので、各産業現場の温度管理をサポートすることができるわけです。
これからご紹介するのは、この図で言いますと2,000度あたりの半導体の結晶成長やマイナス温度から2,000度の電子部品関連、数百度から1,000度あたりまで管理する燃料電池や水電解関連、1,000度から2,000度で成形する炭素繊維、マイナス数十度のコロナワクチン管理などの事例などになります。
半導体関連(製造プロセスの温度管理)
最初に、半導体分野での2,000度あたりの事例です。半導体の製造プロセスはさまざまな工程から成り立っています。半導体の基になるのはご案内のように、シリコンウェハがありますが、最近ですとパワー半導体SiCがあり、その基になるシリコンやSiCの結晶を作る上では厳密な温度管理が必要になります。
当社は、このような超高純度の単結晶シリコンなどの製造現場に、以前より赤外線放射温度計をご提供しています。
電子部品関連(AEC規格の信頼性適合試験)
次に、チノーの特徴ある温度センサのソリューションをご紹介します。当社には、ファイ0.1ミリメートル(100ミクロン)の髪の毛ほどの極細のシース熱電対があり、このスライドにはファイが0.5ミリメートルと0.15ミリメートル(150ミクロン)のセンサの写真が載っていますが、このような細いセンサも作ることができます。
このような極細のセンサは、特に物体の表面温度の測定で使用されており、リチウムイオン電池の安全性評価試験や、小さなチップコンデンサの特性試験などに用いられています。実際には、被試験体の表面に張り付けて測温します。
水素関連①(水素を「使う」)
次は、水素社会実現に貢献するシステム例で、燃料電池評価試験装置があります。燃料電池は、水素と酸素を化学反応させることで電気と水を発生する電池であり、温室効果ガスを出さずに発電する有効な手段として以前より注目されています。
燃料電池は近年、自家用車のみならずフォークリフトや鉄道・バス、エネファームなどでも利用されていますが、この装置は、燃料電池が効率よく電気を起こしているかどうか、また耐久性はどうか等を評価する装置になります。
燃料電池を利用した脱炭素の動きはグローバル規模で今後ますます加速されるものと思われます。
水素関連②(水素を「作る」)
これは水電解評価装置です。みなさまは、中学校の理科の実験で水の電気分解を行ったことがあるかと思います。水電解評価装置は、簡単に言えば、水を水素と酸素に電気分解して、効率よく水素を取り出せるかどうかを評価する装置になります。
先ほどの燃料電池は水素と酸素から電気を起こしますが、水電解は、それとは逆に水を電気分解して水素を取り出すことになります。
機能的には燃料電池の逆の流れになりますが、燃料電池評価試験装置で培った技術を応用したものになります。水素は脱炭素社会の有望なエネルギーであり、当社はその生成で重要な役割を担っていると思っています。
このスライドにある水電解評価装置は、水から水素を作り出すところにおいて、その効率や触媒の研究などにおける評価試験の基本システムです。実際にはもっと大掛かりなシステムになりますが、水素を作る上での試験・研究などで当社は多くの企業さまにご協力していますし、今後も拡大する水素エネルギー需要に対応していきたいと思います。
医薬品関連(血液保管庫の温度監視)
28ページは医薬品関連の事例です。当然のことですが、医療・医薬品関連の保管管理では確実にかつ正確に行うことが必要で、特に血液関連などの温度管理には当社の温度のモニタリングシステムが重宝されており、各所で数多くご採用いただいています。
また、コロナワクチンの保管・管理にも、このようなシステムをご利用いただいています。
新素材関連(CFRP成形)
次に新素材関連です。航空機や車の軽量化・強靭化では、かなり前から使われ始めている鉄の4分の1の重さで、強度が数倍あるCFRP、CFRTPなどの炭素繊維強化プラスチックといった新素材があります。身近なところでは、ゴルフのシャフトや釣り竿などがありますが、航空機や自動車の部材などでも使われます。
この部材では、要求特性やコスト、生産量やその成形方法に応じて炭素繊維材料や樹脂材料が開発されており、このスライドは金型を計装モジュール・調節計で温度コントロールしながら、大きな部材をプレスで成形加工している様子を示しています。
食品関連(HACCP<ハサップ>への対応)
次に、食品市場での事例になります。食品の製造・流通のグローバル化を受け、2021年6月からすべての食品関連事業者に「HACCP完全義務化」が求められています。
このHACCPというのは、食品の原料を入荷して保管するところから、調理加工、出荷、さらには運んでいる時の温度管理に関する規定となっています。
いわゆる食の安全安心を担保するトレーサビリティを管理する場面でも当社機器などをご利用いただいています。
環境関連(エアコンの自然冷媒対応)
続いて、空調用コンプレッサ性能試験装置です。今やエアコンは生活する上でなくてはならないものとなっていますが、一方で、エネルギー問題としても、高効率で省エネなエアコンを普及させるために、空調機メーカーさまは研究開発に注力していらっしゃいます。
エアコンの性能は、冷媒と呼ばれるものが決め手で、その冷媒が、室内の暑さを外に運ぶ役割をします。
冷媒は長らく、性能の良いフロンガスが用いられていましたが、オゾン層を破壊するので使用が制限されつつあり、空調機メーカーさまは自然由来の冷媒、例えば、二酸化炭素や炭化水素などになりますが、それらへの移行を進めています。
当社もエアコンメーカーさまの自然冷媒ガスを利用したコンプレッサ開発における評価試験を支援しています。
再生可能エネルギー関連(バイオマス発電)
脱炭素関連では、「再生可能エネルギー発電」の取組みも活発化しています。バイオマス発電の燃料には木材チップなどがありますが、その木材チップの保管場所における安全管理で発熱しないか、発火しないかの監視用に、当社のセンサやシステムをご活用いただいています。
このスライドは、木材ペレットの温度を熱画像センサで監視している事例になります。
その他のソリューション事例
その他当社が提供しているソリューション事例については、当社HPに数多く掲載していますので、ぜひご覧いただければと思います。
5. 決算概要
34ページからになりますが、ここから2025年3月期第2四半期の決算についてご説明します。
当上期の日本経済は、長期化するウクライナ情勢、中東情勢の緊迫化など地政学的リスクが継続し、エネルギー価格高騰、中国経済の低迷など、不透明な状況が続きました。
決算ハイライト
そのような状況の中での当上期の連結業績ですが、受注高は、計装システムセグメントの受注が、お客さまの発注の時期ズレといったタイミングによる影響もあり129億2,600万円で、前年同期比わずかながら0.6パーセント減となりましたが、脱炭素関連である燃料電池評価試験装置や水電解評価装置の需要は継続しています。
売上高については、当社グループの事業全般に関係する製造業の設備投資が堅調に推移したこともあり、131億6,600万円で、前年同期比9.7パーセント増となりました。
利益面については、増収による効果や継続的な原価低減の取組みに加え、今年4月に実施した製品価格改定の効果が表れ、営業利益は10億6,600万円(前年同期比16.7パーセント増)、経常利益は11億4,300万円(同7.4パーセント増)、中間純利益は6億3,300万円(同2.5パーセント増)と増益となり、増収増益となりました。
受注高の四半期別推移
このグラフは、当社の四半期ごとの受注高推移を示しています。受注高は、先ほども申し上げたように、第1四半期では前年同期比で減少となりましたが、脱炭素関連の需要は堅調であり第2四半期では前年同期比で増加となりました。
売上高の四半期別推移
このグラフは、当社の四半期ごとの売上高推移を示しています。売上高のほうは、第1四半期、第2四半期ともに前年同期比で増加となりました。
当社の特徴としては、大きな売上を計上するシステムや装置の案件がお客さま都合などでこのグラフのように、第4四半期に集中することもあり、毎年度、第4四半期に売上高が大きくなる傾向があります。今年度も同じようになると予想しています。
セグメント別業績
38ページはセグメント別のまとめとなっています。受注高は前年同期と比べ、計測制御機器、センサは増加しましたが、計装システムは減少しました。
また、セグメント別の売上高と営業利益については、前年同期と比べ、すべてのセグメントにおいて増収増益となりました。
業績動向 計測制御機器
まず、計測制御機器セグメントの実績は、売上高は48億8,400万円、セグメント利益は7億1,400万円と増収増益となりました。主に半導体・電子部品の製造設備や熱処理装置向けを中心に需要が堅調であったことにより増収となりました。利益面では、製品価格改定(本年4月実施)の効果が表れ増益となりました。
業績動向 計装システム
次に、計装システムですが、売上高は39億8,000万円、セグメント利益は5億7,400万円と増収増益となりました。
内容としては、脱炭素化関連として、自動車向けなどの燃料電池評価試験装置や、水素のエネルギー利用での研究・開発用途の水電解評価装置の需要が継続したことや自然冷媒対応エアコンのコンプレッサ評価試験装置の需要が増加していることに加え、工場管理のIoT化などに対するシステム対応などにより、増収となりました。
また、利益面では、主に増収効果などにより増益となっています。
業績動向 センサ
センサセグメントについては、売上高は38億300万円、セグメント利益は6億5,800万円と増収増益となっています。
内容としては、電子部品の製造装置や熱処理加工向けを中心に需要が堅調であったことや、グループ会社の明陽電機の増収が寄与したことなどにより増収となりました。
また、利益面では、増収効果などにより増益となりました。
FY2024の業績予想(2024年5月13日発表から変更なし)
続いて、2024年度の業績予想についてですが、2024年5月発表時からの変更はなく、売上高は前期比で3.9パーセントプラスの285億円、営業利益は同じく12.7パーセントプラスの24億5,000万円です。
6. 今後の取組み
43ページからになりますが、ここから、当社の今後に向けた事業活動における方針・方向性について簡単にご説明します。
事業環境認識
まず、事業環境の大括りな認識ですが、ご案内のように、ここ数年の間で、国際的な政治情勢の不安定化、継続するウクライナや中東の戦火、歴史的な円安などに異常気象や生成AIなどの技術的革新なども加わり社会環境・経済環境が大きく変化しています。
これらを背景に、当社を取り巻く事業環境も大きく変わっています。
2024年度の設備投資の状況
そのような変化の中でも、当社の業績はお客さまの設備投資に大きく影響されます。
このスライドは、2024年度の設備投資状況を示していますが、今年8月に公表された日本政策投資銀行の調査によると、全産業では前年比で21.6パーセントの大幅増の計画となっています。
2024年度の設備投資の特徴
2024年度の設備投資の特徴は、デジタル化の加速による半導体の製造能力増強、自動車の電動化対応による電池や新素材開発への投資拡大、それから脱炭素関連が牽引している点です。
また、政府の「水素基本戦略」「戦略物資生産基盤税制」などもあって、青線で囲っている「半導体・EV関連」や「省エネ・脱炭素関連」については、当社の貢献できる領域・分野が広がっているということもあります。
水素社会に向けた事業活動
特に、当社事業に関係する領域としては水素関連分野があります。水素を「作る、運ぶ、貯める、使う」といったそれぞれの現場では、生産性・コスト・効率などの解決していかなければならない課題が、まだ数多くあります。
当社としても、かねてから、サプライチェーンの高度化を目指す各研究機関や企業さまのイノベーションをご支援するかたちで、数多くのシステムやセンサ・機器をご提供してきました。
今後も、脱炭素社会実現の軸となる水素関連では、当社がこれまで培ってきた知恵・知識や新たな技術で貢献していきたいと思います。
成長市場拡大にむけて
それから、水素以外にも注目されている市場がありますが、例えば、IoT化やAIなどでは、半導体や電子部品関係の需要の拡大が見込まれますし、また自動車の電動化に伴って、次世代電池の開発や、先ほどソリューション例でもお話しした車体の強靭化、軽量化では新素材など開発も活発化しています。
ここに示している分野など、各企業さまの動きもさらに活発化すると予想される市場・分野があります。
このような成長市場分野に向けても、当社として特徴あるソリューションをグローバルにお届けできるよう、活動していきたいと思います。
海外戦略(2026年度海外売上70億円に向けて)
これは、海外戦略のスライドです。市場ごとに、ご覧のような戦略を立てていますが、海外戦略は大きく2つあります。
1つ目は、海外市場でターゲットを絞ったマーケットニーズ・お客さまの困りごとを把握し、それに合致したグローバル専用製品を開発して、販売を拡大することを推進しています。そのためのマーケティング機能を現地と連携して高度化しているところです。
2つ目として、現在、機器のアセアン地域向けの販売については、中国の製造子会社の生産能力を向上させ、そこから海外市場に直販することなどで、価格競争力を強化して販売を拡大させる活動を進めています。
このような活動を促進することで、中期経営計画の最終年度である2026年度の海外売上高70億円の達成に向けて取り組んでいきたいと思います。
7. トピックス
次にトピックス、みなさまへのお知らせになります。
プライム市場の適合状況等(2024年9月末)
まず、当社のプライム市場の適合状況です。2024年9月末時点においても、プライム市場への上場維持基準をクリアしています。
「チノーレポート2024」を発行
2つ目のお知らせになりますが、2024年10月に財務・非財務情報を統合した「チノーレポート2024」を発行しました。
当社のホームページに掲載していますので、みなさまにもぜひご一読いただき、さらに当社グループについてご理解賜ればと思います。
展示会への出展
それから、当社はお客さまとのコミュニケーションの強化の取組みとして積極的に展示会に出展しています。こちらに掲載されている展示会は、今年度実施した代表的なものになります。
当社ホームページにも「オンライン展示会」がありますので、ぜひご覧ください。
8. 株主還元等
続いて、株主さまへの還元施策についてです。
株主還元(配当方針)
配当方針については、公表しているとおり、中期経営計画の最終年度である2026年度の配当性向を40パーセントまで引き上げていくことを目指しています。
引き続き、持続的な利益成長を通じて増配を実現していきます。
株主還元
これは、当社の配当金の推移を示しています。2024年度の配当についてですが、中間配当については前期より5円増配し25円としました。
なお、2024年度の年間配当は、先ほどの配当方針に基づき、前期より10円増配し、 1株当たり70円と予想しています。
株主優待制度①
また、株主のみなさまの日頃からのご支援に感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を一層向上させ、より多くの株主さまに中長期的に保有していただくことを目的に2022年3月期より株主優待制度を導入しています。
毎年3月末現在の株主名簿に記載または記録された、当社株式3単元である300株以上を保有する株主さまが対象となり、株主さまの保有株式数に応じてポイントを贈呈し、Webサイト「チノー・プレミアム優待倶楽部」において、食品、電化製品等、5,000種類以上の商品と交換できるようになっています。
株主優待制度②
株式数と付与ポイントはこのようになっています。例えば、700株保有の場合は、2万5,000ポイントが付与され利回りが良くなっています。
株価推移(過去10年間)
こちらのグラフは当社株価の過去10年間の推移になります。当社の株価は12月10日終値で2,144円、時価総額は198億円でPBRは0.88倍となっています。
また、「12月10日の終値ベースの売買最低代金」は21万4,000円程度となっています。
ぜひ、当社株式の保有をご検討いただければと思います。
当社ホームページのご案内
最後に当社ホームページのご案内です。ホームページには、当社の事業紹介、サステナビリティに対する取組みのほか、トピックスやIR情報も随時開示していますので、お気軽にアクセスしていただければと思います。
Appendix
Appendixとして「財務データ」「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」「中期経営計画」等を記載しています。
私からのご説明は以上となります。本日は、最後までご清聴いただき、ありがとうございました。
質疑応答:温度ループソリューションについて
質問:スライド18ページでご説明があった「温度ループソリューション」について質問させてください。「温度ループソリューションが他社にはない御社の特長」ということですが、もう少し詳しくご説明をお願いします。
回答:当社は、先ほどご説明したとおり、製品の品揃えとして、温度を計測するセンサや機器、制御用の調節計や電力調整器、監視用の記録計、そして、全体を管理するPCソフトウエアまで取り揃えています。これは、他社にはない当社の特長です。
というように、製品単品だけでなく、製品を組み合わせるノウハウが当社にはありますので、ユーザーである研究機関や工場のものづくり現場の課題解決を最適な組み合わせで提供することができます。
ノウハウという部分については、正確に測るために、センサをどこにどう配置するとか、赤外線放射温度計で精度よく計測するための設置方法とか、また制御については、センサの位置はどうするか、どのように調節計のパラメータを設定すれば良いかなど、ノウハウも含めた計測・制御の組合せのループで検討していくことによって、お客さまの課題をスピーディに解決していくことができる場面がたくさんあります。
センサや機器を別々でご提供するのではなく、この図のようなループのソリューションをワンストップで提供することにより、トータルでお客さまの課題解決をお手伝いできることになりますし、お客さまにも喜んでいただけることになります。
質疑応答:競合先や業界シェアについて
質問:御社製品の競合先・業界シェアを教えてください。
回答:こちらは説明資料のAppendix69ページのスライドでご説明します。
当社製品すべてにわたる調査結果はありませんが、計測・制御・機器関係の製品別のシェアについては富士経済さまが調査をされており、実際には各メーカーに聞き取り調査するわけですが、2023年の販売実績について調査した結果を公表されていますので、ご紹介します。
国内のシェアになりますが、販売金額・販売数量ベースの調査結果です。販売金額で比較すると、記録計は横河電機さま、キーエンスさまと当社の3社でほぼ90パーセントになり、販売金額では、当社は国内市場シェア15.1パーセントで国内3位となっています。
調節計は数多くの企業がそれぞれの得意分野で展開していますが、7社でほぼ90パーセントとなっており、当社のシェアは4.8パーセントで5位となっています。
電力調整器は、こちらも7社ほどで90パーセントのシェアになります。トップには電力インフラ関係で強い富士電機さまがいらっしゃいますが、当社は販売金額の市場シェア19.9パーセントで国内2位となっています。
これらの製品を扱っている企業によって、それぞれ得意市場としている分野の違いもありますので、この結果もそのような視点でご覧いただければと思います。
得意分野ということでは、当社は熱処理関係のお客さまが多いのが特徴となります。なお、放射温度計は国内1位だと思います。
質疑応答:中期経営計画の進捗状況や今後の成長戦略について
質問:中期経営計画の進捗状況、今後の成長戦略について教えてください。
回答:こちらは説明資料のAppendix66ページから68ページのスライドでご説明します。
当社の中期経営計画は、2021年度から2026年度の6年間の計画で、前半3年間の2021年度から2023年度をPhase1として、成長の基盤作りをしっかりとやり、後半3年間の2024年度から2026年度をPhase2として、成長を加速させ、最終の2026年度には連結ベースで売上高300億円、営業利益27億円を目標としています。
2023年度(昨年度)は、2026年度に向けた、弊社中期経営計画Phase1の最終年度でした。
その業績数値面での中計の進捗状況ですが、中期経営計画6年間の売上高の年平均進展率目標6.1パーセントに対して、2023年度までの前半3年間の実績は9.2パーセントとなっています。
同じく営業利益の年平均進展率目標15.5パーセントに対して、3年間の実績は24.1パーセントと想定を上回り順調な成長ペースを確保しています。
また2024年度の上期決算については、本日ご説明しましたが、売上高、営業利益ともに業績予想を上回ることができました。
今後の成長戦略についてですが、今年度よりPhase2である「成長の加速フェーズ」がスタートしており、引き続き、このスライドにある、中期経営計画の「4つの基本戦略」を実行していきます。
1つ目は「成長分野のさらなる開拓・拡大」です。
こちらは「今後の取組み」でご説明させていただきましたが、そのターゲットとしている成長分野として、「脱炭素、水素」分野以外にはこのスライドにある「半導体・電子部品」「次世代電池」「新素材」「医薬医療食品・ロジスティクス」を取り上げて、他社と差別化した特徴あるソリューションをグローバルにお届けできるよう、活動していきます。
基本戦略の2つ目は「コア事業の高度化と価値創造」、3つ目は「海外事業の基盤強化と拡大」になります。そして、これら3つの基本戦略を実行する上で土台となる経営基盤を強靭化し、顧客価値の創造とお客さまを増やすための連携・共創の体制整備や仕組み作りをさらに進めていきます。
また、当社の製品・サービスの差別化と市場での優位性を高めるため、「ループソリューション力」のさらなる高度化に取り組みながら、2026年度の目標を実現していきたいと思います。
質疑応答:センサ事業の製品について
質問:スライド13ページのセンサ事業のご説明で、湿度計や二酸化炭素、水素の濃度計の取扱いがあるとお話しいただきました。温度とは関係ない製品だと思うのですが、なぜ、御社で生産・販売されているのでしょうか?
回答:放射温度計は物体から発する赤外線をセンサで検知し、電気エネルギーに変換して温度を計測しています。
少々専門的な話になって恐縮ですが、赤外線は電磁波つまり光で、ある物質によって透過したり吸収したりする特性があります。
そのような赤外線の特性を利用する技術や当社にあるノウハウを応用することにより、温度とは異なる湿度、二酸化炭素濃度、水素濃度、水分量やいろいろなフィルムの厚さなどを計測することができるようになっています。このような、赤外線技術も当社の強みとなっています。
質疑応答:身近なところで使われている製品について
質問:御社の製品は産業用向けが多いとのご説明がありましたが、我々の身近なところで目にするような製品はありますか?
回答:こちらは説明資料のAppendix71ページ、72ページのスライドでご説明します。このスライド右側にあるような製品を空港などでご覧になったことはないでしょうか?
これは熱画像カメラ「サーモグラフィ」といいますが、コロナウイルス感染拡大防止のために、不特定多数の人の中から発熱の疑いがある人を特定する製品です。熱(温度)を2次元の画像に映し出す装置です。
当社は主に産業用の分野に、マイナス20度あたりから2,000度を超える温度を測れる赤外線放射温度計やサーモグラフィーである熱画像装置をご提供していますが、コロナ感染者など、発熱者の検知用に、温度測定範囲を体温付近がしっかりと測れるように仕様・機能を変えてご提供してきました。
これは、産業用で培った信頼がおける品質や技術で日常生活にも貢献している例になります。
また、これは、熱中症予防関連のセンサシステムになりますが、当社の「暑さ指数WBGT監視システム」は、測定した「気温・湿度等」から暑さ指数であるWBGTを算出することで、熱中症の予防監視を行うことができ、学校や企業でも導入していただいています。
みなさまの中でもご覧になった方がいらっしゃるのではと思いますが、2024年8月にTOKYO MXテレビでも紹介されました。
質疑応答:マイナス270度付近の温度計測事例について
質問:スライド23ページで「温度帯別ソリューション」のご説明がありましたが、スライド左側の「マイナス270度近辺の事例」を教えてください。
回答:先ほど、ご説明したスライドですが、当社製品はこのような広い温度帯をカバーしています。マイナス270度近辺には超電導とか水素があります。
その極低温測定の事例の1つになりますが、説明資料のAppendix73ページのスライドでご説明します。
マイナス270度近辺といった極低温に近い温度計測の例ですと、このスライドにもあるように「液体水素はマイナス253度」で、液体水素の輸送時の温度管理などがあり、当社グループ会社の明陽電機の「液体水素用測温抵抗体」が使用されています。
同社のセンサ技術により、揺れが多い海上輸送においても正確に温度管理することができるようになっています。
質疑応答:他社と比較した強みについて
質問:スライド20ページで御社の強みのご説明がありましたが、他社と比較して強みについて教えてください。
回答:当社の強みとしては、温度に関する技術力・信頼性が当社の強みとなっていると思いますが、先ほどもご説明したように、1つ目として、あらゆる産業で必要不可欠である温度管理の分野で、同業他社に真似できない品揃えで「マイナス269度の極低温から3,500度の超高温まで計測・制御・監視することができる」といった、顧客ニーズへの対応力が挙げられます。
2つ目は、温度ループソリューションのところでご説明しましたが、温度センサと計測制御機器を組み合わせたお客さまへの最適なソリューションがご提供できることです。
3つ目は、海外29ヶ国へ標準温度センサをご提供できることです。
4つ目は、30年以上のノウハウの蓄積がある「燃料電池評価試験装置」やその技術を応用した「水電解評価装置」のご提供による脱炭素社会実現への貢献です。
また、販売後のアフターケアである、顧客密着型のサービスを強化している点が同業他社との差別化となっている強みであると思います。
質疑応答:明陽電機について
質問:センサセグメントの業績説明でグループ会社である明陽電機が貢献したとご説明がありましたが、どのような会社なのかご説明をお願いします。また売上高や営業利益の規模についても教えてください。
回答:当社は2020年度に、今ご質問があった明陽電機を連結子会社化しました。
明陽電機は1948年設立の船舶用の温度センサおよび各種船舶搭載機器メーカで、世界9ヶ国の舶用規格を有して事業を展開しており、また、防衛用のセンサ需要も獲得しています。
明陽電機の業績については個別に開示していませんので、具体的な数字は控えますが、売上高は30億円程度、営業利益は数億円程度となります。
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