*13:03JST ニーズウェル Research Memo(3):売上高構成比は「業務系システム開発」が66.2%を占め、売上の主軸
■ニーズウェル<3992>の会社概要
3. 事業内容
同社は、独立系の情報サービス企業として、技術革新の激しい情報サービス産業において蓄積したノウハウや技術を生かしている。エンドユーザーから直接受託したシステムの構築、システムインテグレータやメーカーを経由して受託した企業向けの社内システムの構築などの案件に参画し開発・保守を行っている。契約形態は受託開発と社員派遣の2種類がある。
2024年9月期のサービスライン別の売上高構成比は「業務系システム開発」が66.2%、「IT基盤」が17.7%、ソリューションが16.1%である。
(1) 業務系システム開発
業務系システム開発の業務は、システムの企画からコンサルティング、課題解決の提案、要件定義、基本設計、詳細設計、プログラミング、各種テストを経て納品に至るまで、さらに納品後の保守・運用などシステム開発のライフサイクル全般に及ぶ。新規導入に限らず導入後も顧客先に常駐または自社への持ち帰りにより保守を行い、顧客の新商品販売等のシステム対応から各種機能の追加・拡張等に対処している。
(a) 金融系システム
金融系企業では汎用機システムが多く利用されており、2025年の崖※への対応が急務となっている。課題解決のためには、汎用機システムのオープン化への移行及び同システムの継続・保守が必要となる。同社には、オープン系・汎用系両方のシステム技術者が所属しており、一般的に技術者が不足している汎用系システムにも対応できる体制を整えている。保険会社には、本社部門における契約管理・保全、請求・収納、顧客管理、データウェアハウス・分析などのシステム、営業職員向けの顧客管理、営業支援、設計書・申込書作成などのシステムを提供している。銀行には、流動性預金、国内・外国為替などの勘定系システム、データウェアハウス、データマート、顧客管理、収益管理などの情報系システム、全銀システム・日銀ネットなどの外部接続系システム及びインターネットバンキングなどのチャネル系システムを提供している。クレジットカード会社には、請求、与信管理、顧客管理システムなどを提供している。
※ 2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート」で使用されたワード。国内企業がDXに十分に取り組まず複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システム(汎用機システムなど)が残存した場合、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失リスクがあることを示す。
(b) 物流系システム
国内の物流分野は少子高齢化により人手不足が深刻化しており、各物流会社同士の垣根を越えた共同物流やより精度の高いトレーサビリティ※1の重要性が高まっている。また増大・複雑化する倉庫内業務に対応するため、倉庫設備の自動化・ロボティクスの導入など物流業界の構造的変革も進んでいる。こうした状況の下、同社は2021年7月にWMS※2を開発し、提供を開始した。同社独自の倉庫管理システム「SmartWMS」は、入庫・在庫・帳票類の発行・出荷・棚卸など倉庫業務全般を一元化し、ペーパーレス化と高度な分析機能による生産性向上を実現、物流現場の省人化・効率化に寄与している。
※1 商品の生産から消費までの過程を確認できる仕組みのこと。
※2 Warehouse Management Systemの略。倉庫管理システムのこと。
(c) 通信系システム
通信キャリアに対し、ウェブサイト、受付窓口、代理店・量販店など消費者との接点となるシステムから、顧客登録、顧客情報管理、課金・入金、データ収集及び共通プラットフォームなど、業務の中核となるシステムのサービスを提供している。具体的には、モバイル端末申し込み・申し込み審査、電話・ネットワーク開通といった顧客管理系システムや、進捗管理・通信費再計算、基幹システム連携などの携帯電話再販システムなどを開発する「業務アプリケーション開発」、顧客とのコンタクト履歴を収集・蓄積し、分析業務等に活用するためのシステム構築「データレイク」などを提供している。
(d) 流通・サービス・公共系システム
ホテル分野では10年以上IT部門の業務代行を行っており、ホテルにおける宿泊予約・フロントシステムの開発・保守・運用などを請け負っている。不動産分野では、デザイン会社と連携してCMS(Contents Management System)を導入し、物件の検索や空室管理などを行う物件情報システムや既存賃貸物件の家賃審査システムの開発を行っている。そのほかにも電子書籍配信・販売システム、電力・ガス等の社会インフラシステム、建設・建機系システムなどのサービスを提供している。
(e) コネクテッド開発
2024年9月期第1四半期に「業務系システム開発」に統合された。インターネットに接続された機器類から収集したデータを業務系システムに連動させて活用し、医療機器や車載機器に組み込まれるアプリケーション等の開発を行っている。
(2) IT基盤
「基盤構築」から「IT基盤」に名称を変更した。アプリケーション開発に限らず、ハードウェアやネットワークまでを含めた総合的なIT環境について、顧客に最適な提案を行い、ITシステムの基盤となるサーバー等ハードウェアの環境設計・構築・導入や、ネットワーク環境における通信機器の設定等を行っている。主に、保険業務における業務系システムを搭載する機器の切り替え業務や証券会社におけるクラウドサービスに伴うネットワーク機器の設定業務などがある。2024年9月期第1四半期よりISO/IEC/IEEE 29119に沿ったテストプロセス※を実施する「ソフトウェアテスト(第三者検証)」を「業務系システム開発」から移行した。新規サービスとして、「ITサポート」「ITアウトソーシング」も加えた。
※ ISO/IEC/IEEE 29119はソフトウェアテストの統合的な世界規格で、テストプロセスを「組織のテストプロセス」「テストマネジメントプロセス」「動的テストプロセス」の3階層に分けて方針・戦略・管理・テスト等の方法を定義している。
(3) ソリューション
自社及び他社のソリューション製品を活用し、5Gとテレワークで重要となる情報セキュリティ対策をサポートする「情報セキュリティソリューション」、RPA※やクラウドでテレワークを効率化し働き方改革の推進と人手不足解消をサポートする「業務効率化ソリューション」、AI技術でDXを支援する「AIソリューション」など、顧客のビジネスの目的に合わせたソリューションサービスを提供している。
※ Robotic Process Automationの略。人間にしかできなかったとされる作業を、AIや機械学習などを活用し人間に代わって行う仕組みのこと。
同社は、出張・経費管理・請求書管理クラウドシステムの世界的シェアを持つ「SAP Concur」の認定パートナーであり、「Concur Japan Partner Award」を2019年、2021年~2024年と5度受賞している。「SAP Concur」は出張・経費管理プロセス全体をクラウド技術により一元化し、様々なサービス事業者と連携することで、出張・経費管理を自動化できるシステムである。ソリューションサービスにおいて同社はこのシステムを利用して顧客のDXを推進している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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3. 事業内容
同社は、独立系の情報サービス企業として、技術革新の激しい情報サービス産業において蓄積したノウハウや技術を生かしている。エンドユーザーから直接受託したシステムの構築、システムインテグレータやメーカーを経由して受託した企業向けの社内システムの構築などの案件に参画し開発・保守を行っている。契約形態は受託開発と社員派遣の2種類がある。
2024年9月期のサービスライン別の売上高構成比は「業務系システム開発」が66.2%、「IT基盤」が17.7%、ソリューションが16.1%である。
(1) 業務系システム開発
業務系システム開発の業務は、システムの企画からコンサルティング、課題解決の提案、要件定義、基本設計、詳細設計、プログラミング、各種テストを経て納品に至るまで、さらに納品後の保守・運用などシステム開発のライフサイクル全般に及ぶ。新規導入に限らず導入後も顧客先に常駐または自社への持ち帰りにより保守を行い、顧客の新商品販売等のシステム対応から各種機能の追加・拡張等に対処している。
(a) 金融系システム
金融系企業では汎用機システムが多く利用されており、2025年の崖※への対応が急務となっている。課題解決のためには、汎用機システムのオープン化への移行及び同システムの継続・保守が必要となる。同社には、オープン系・汎用系両方のシステム技術者が所属しており、一般的に技術者が不足している汎用系システムにも対応できる体制を整えている。保険会社には、本社部門における契約管理・保全、請求・収納、顧客管理、データウェアハウス・分析などのシステム、営業職員向けの顧客管理、営業支援、設計書・申込書作成などのシステムを提供している。銀行には、流動性預金、国内・外国為替などの勘定系システム、データウェアハウス、データマート、顧客管理、収益管理などの情報系システム、全銀システム・日銀ネットなどの外部接続系システム及びインターネットバンキングなどのチャネル系システムを提供している。クレジットカード会社には、請求、与信管理、顧客管理システムなどを提供している。
※ 2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート」で使用されたワード。国内企業がDXに十分に取り組まず複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システム(汎用機システムなど)が残存した場合、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失リスクがあることを示す。
(b) 物流系システム
国内の物流分野は少子高齢化により人手不足が深刻化しており、各物流会社同士の垣根を越えた共同物流やより精度の高いトレーサビリティ※1の重要性が高まっている。また増大・複雑化する倉庫内業務に対応するため、倉庫設備の自動化・ロボティクスの導入など物流業界の構造的変革も進んでいる。こうした状況の下、同社は2021年7月にWMS※2を開発し、提供を開始した。同社独自の倉庫管理システム「SmartWMS」は、入庫・在庫・帳票類の発行・出荷・棚卸など倉庫業務全般を一元化し、ペーパーレス化と高度な分析機能による生産性向上を実現、物流現場の省人化・効率化に寄与している。
※1 商品の生産から消費までの過程を確認できる仕組みのこと。
※2 Warehouse Management Systemの略。倉庫管理システムのこと。
(c) 通信系システム
通信キャリアに対し、ウェブサイト、受付窓口、代理店・量販店など消費者との接点となるシステムから、顧客登録、顧客情報管理、課金・入金、データ収集及び共通プラットフォームなど、業務の中核となるシステムのサービスを提供している。具体的には、モバイル端末申し込み・申し込み審査、電話・ネットワーク開通といった顧客管理系システムや、進捗管理・通信費再計算、基幹システム連携などの携帯電話再販システムなどを開発する「業務アプリケーション開発」、顧客とのコンタクト履歴を収集・蓄積し、分析業務等に活用するためのシステム構築「データレイク」などを提供している。
(d) 流通・サービス・公共系システム
ホテル分野では10年以上IT部門の業務代行を行っており、ホテルにおける宿泊予約・フロントシステムの開発・保守・運用などを請け負っている。不動産分野では、デザイン会社と連携してCMS(Contents Management System)を導入し、物件の検索や空室管理などを行う物件情報システムや既存賃貸物件の家賃審査システムの開発を行っている。そのほかにも電子書籍配信・販売システム、電力・ガス等の社会インフラシステム、建設・建機系システムなどのサービスを提供している。
(e) コネクテッド開発
2024年9月期第1四半期に「業務系システム開発」に統合された。インターネットに接続された機器類から収集したデータを業務系システムに連動させて活用し、医療機器や車載機器に組み込まれるアプリケーション等の開発を行っている。
(2) IT基盤
「基盤構築」から「IT基盤」に名称を変更した。アプリケーション開発に限らず、ハードウェアやネットワークまでを含めた総合的なIT環境について、顧客に最適な提案を行い、ITシステムの基盤となるサーバー等ハードウェアの環境設計・構築・導入や、ネットワーク環境における通信機器の設定等を行っている。主に、保険業務における業務系システムを搭載する機器の切り替え業務や証券会社におけるクラウドサービスに伴うネットワーク機器の設定業務などがある。2024年9月期第1四半期よりISO/IEC/IEEE 29119に沿ったテストプロセス※を実施する「ソフトウェアテスト(第三者検証)」を「業務系システム開発」から移行した。新規サービスとして、「ITサポート」「ITアウトソーシング」も加えた。
※ ISO/IEC/IEEE 29119はソフトウェアテストの統合的な世界規格で、テストプロセスを「組織のテストプロセス」「テストマネジメントプロセス」「動的テストプロセス」の3階層に分けて方針・戦略・管理・テスト等の方法を定義している。
(3) ソリューション
自社及び他社のソリューション製品を活用し、5Gとテレワークで重要となる情報セキュリティ対策をサポートする「情報セキュリティソリューション」、RPA※やクラウドでテレワークを効率化し働き方改革の推進と人手不足解消をサポートする「業務効率化ソリューション」、AI技術でDXを支援する「AIソリューション」など、顧客のビジネスの目的に合わせたソリューションサービスを提供している。
※ Robotic Process Automationの略。人間にしかできなかったとされる作業を、AIや機械学習などを活用し人間に代わって行う仕組みのこと。
同社は、出張・経費管理・請求書管理クラウドシステムの世界的シェアを持つ「SAP Concur」の認定パートナーであり、「Concur Japan Partner Award」を2019年、2021年~2024年と5度受賞している。「SAP Concur」は出張・経費管理プロセス全体をクラウド技術により一元化し、様々なサービス事業者と連携することで、出張・経費管理を自動化できるシステムである。ソリューションサービスにおいて同社はこのシステムを利用して顧客のDXを推進している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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