*16:05JST RIZAP-G Research Memo(5):コンビニジム「chocoZAP」の社会インフラ化が進展(2)
■RIZAPグループ<2928>のchocoZAP事業
3. 顧客満足度向上策を推進中
同社では、2025年3月期の方針として既存会員の満足度向上を掲げ推進中である。chocoZAPはサブスクリプション方式であるため、会員数の増加に伴い、解約率を一定以内に抑制する重要度が高まる宿命にある。同社が打ち出す方向性は“人×DXの最適化”であり、具体的には、ちょこっとサポート導入(トレーナー配置)、コンシェルジュ導入(コールセンター)、清掃の強化、である。ちょこっとサポートは、プランづくりやアプリの使用方法、運動や食事のアドバイス、マシンメンテナンスや清掃など多様な役割を担うRIZAPトレーナーを巡回させる取り組みであり、新規会員やトレーニング初心者にとっては頼りになる存在である。ちょこっとサポートの実績としては、700名(活動を1時間以上実施した人数)が活動を行う体制が整備され、RIZAPボディメイクの紹介やchocoZAPの入会案内・体験などでも貢献している。清掃頻度1店舗当たり週17回(年初の1.7倍)が実現し大幅にサービスレベルが向上し、顧客の評価も向上している。
マシン故障対応に関しては、サポートセンターの設置(2022年7月~)、故障カード導入(2023年9月~)、チェックシート導入(2023年11月~)など段階的に対応を強化してきた。2024年の年末を目途に導入を計画するのは、「お店の状況わかるナビ!」及び「QRコード導入」である。「お店の状況わかるナビ!」は全店舗のマシンの故障・対応状況、清掃状況、備品補充状況などが一覧できるWebページである。「QRコード導入」は各マシンに貼られたQRコードから誰でもすぐにスマホで連絡可能であり、対応完了予定日もひと目で分かる。既に1,000店舗に配備済みであり、年内に全店舗展開予定である。
4. ヘルステックのフル活用
chocoZAPの急成長の要因として、ヘルステックの活用が不可欠である。chocoZAPアプリは、入退会、日々の入退館、混雑情報の確認、ライフログ・顧客特性からAIが最適な運動を提案、おすすめ動画の配信、継続を支えるゲーム機能(くじ引き・すごろくなど)、顧客同士のコミュニティ機能などで不可欠な存在となっている。また、各店舗に平均10台設置された監視カメラ映像をAIが解析し、「不審な行為」や「転倒」を検知した場合には、適切な対処を遅延なく行える体制が整っており、無人店舗のセキュリティ確保に大きく貢献している。また、体組成計、ヘルスウォッチ、様々な新規アプリによるライフログの蓄積は顧客サービスにおいて重要な役割を果たしている。
同社は2022年6月にDX専門子会社であるRIZAPテクノロジーズ(株)を新設した。Web・UIUXデザイナー、デジタルマーケター、データアナリスト、エンジニアなどのDX人財を積極的に採用し、育成している。現在では、同社のDX人財は総勢130名超となり、ヘルステック企業としてだけでも大手に位置付けられることになる。内製化率100%となったことでナレッジ資産蓄積や開発速度の向上が成果として顕在化する。筋トレやトレーニングジムの業界にはない発想と専門性で、chocoZAP事業の集客や満足度向上に貢献している。
5. 大きな出店ポテンシャル
chocoZAPは大都市を中心に店舗網を広げ、2024年11月14日現在で1,755店舗に拡大した。同社では、中期経営計画2026年3月期に2,800店舗、2027年3月期に3,800店舗、長期的には1万店舗以上を目指すというビジョンを掲げている。その背景には、小商圏で確実な会員獲得や収益化が可能であることに確信を持っている点がある。chocoZAPの店舗利用者は1km以内に居住する人が60%、2km以内に居住する人が85%である。つまり、1~2km圏内に一定以上の人口があれば成立する小商圏ビジネスモデルと言える(コンビニエンスストアの商圏は500m前後と言われている)。また、地方都市への拡大も可能性を拡げた。2024年9月末時点では、既設店舗の64%が大都市店舗(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県)であるのに対し、36%はそれ以外の地方都市の店舗であり、地方都市の店舗の比率は1年前に比べ大きく上昇した。店舗当たりの会員数では大都市店舗を下回るものの、固定費を安く抑えられることで十分収益性が成り立つ。当初計画していた必要最低限の商圏人数(5千人/km2)を大幅に下回る人口密度でも店舗展開が可能であることが証明されてきており、今後の出店可能立地は飛躍的に拡大している。
新たな立地タイプ・店舗タイプの可能性も見えてきている。都心において10坪から20坪の小規模店舗の出店も始まっており、洗濯・乾燥機のみ、カラオケのみなど機能を絞った店舗が成立する可能性が出てきた。2024年5月には、高速道路店舗である「chocoZAP日本平PA(上り、E1東名高速道路)」、2024年10月にはホテル内に立地する「chocoZAPホテル信濃路店」が開店した。2024年12月には阿蘇くまもと空港内にも出店予定である。
さらに、大きなポテンシャルを秘めるのが、企業内出店である。2024年10月に同社は、初の単独企業内出店としてchocoZAPクボタ グローバル技術研究所店をオープンした。国内企業の94.2%※は、福利厚生にフィットネス関連補助を未導入である。一方で、フィットネス補助をいち早く導入した企業では、働きやすさの評価が上がり、業績の向上が見込まれるという調査結果もある。上記事例では、chocoZAP導入により社内コミュニケーションの向上に好影響があったという評価もあった。
※ 経済産業省委託事業「令和4年度ヘルスケアサービス社会実装事業(国内外での健康経営の普及促進に係る調査)報告書」(2023年3月24日)による
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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3. 顧客満足度向上策を推進中
同社では、2025年3月期の方針として既存会員の満足度向上を掲げ推進中である。chocoZAPはサブスクリプション方式であるため、会員数の増加に伴い、解約率を一定以内に抑制する重要度が高まる宿命にある。同社が打ち出す方向性は“人×DXの最適化”であり、具体的には、ちょこっとサポート導入(トレーナー配置)、コンシェルジュ導入(コールセンター)、清掃の強化、である。ちょこっとサポートは、プランづくりやアプリの使用方法、運動や食事のアドバイス、マシンメンテナンスや清掃など多様な役割を担うRIZAPトレーナーを巡回させる取り組みであり、新規会員やトレーニング初心者にとっては頼りになる存在である。ちょこっとサポートの実績としては、700名(活動を1時間以上実施した人数)が活動を行う体制が整備され、RIZAPボディメイクの紹介やchocoZAPの入会案内・体験などでも貢献している。清掃頻度1店舗当たり週17回(年初の1.7倍)が実現し大幅にサービスレベルが向上し、顧客の評価も向上している。
マシン故障対応に関しては、サポートセンターの設置(2022年7月~)、故障カード導入(2023年9月~)、チェックシート導入(2023年11月~)など段階的に対応を強化してきた。2024年の年末を目途に導入を計画するのは、「お店の状況わかるナビ!」及び「QRコード導入」である。「お店の状況わかるナビ!」は全店舗のマシンの故障・対応状況、清掃状況、備品補充状況などが一覧できるWebページである。「QRコード導入」は各マシンに貼られたQRコードから誰でもすぐにスマホで連絡可能であり、対応完了予定日もひと目で分かる。既に1,000店舗に配備済みであり、年内に全店舗展開予定である。
4. ヘルステックのフル活用
chocoZAPの急成長の要因として、ヘルステックの活用が不可欠である。chocoZAPアプリは、入退会、日々の入退館、混雑情報の確認、ライフログ・顧客特性からAIが最適な運動を提案、おすすめ動画の配信、継続を支えるゲーム機能(くじ引き・すごろくなど)、顧客同士のコミュニティ機能などで不可欠な存在となっている。また、各店舗に平均10台設置された監視カメラ映像をAIが解析し、「不審な行為」や「転倒」を検知した場合には、適切な対処を遅延なく行える体制が整っており、無人店舗のセキュリティ確保に大きく貢献している。また、体組成計、ヘルスウォッチ、様々な新規アプリによるライフログの蓄積は顧客サービスにおいて重要な役割を果たしている。
同社は2022年6月にDX専門子会社であるRIZAPテクノロジーズ(株)を新設した。Web・UIUXデザイナー、デジタルマーケター、データアナリスト、エンジニアなどのDX人財を積極的に採用し、育成している。現在では、同社のDX人財は総勢130名超となり、ヘルステック企業としてだけでも大手に位置付けられることになる。内製化率100%となったことでナレッジ資産蓄積や開発速度の向上が成果として顕在化する。筋トレやトレーニングジムの業界にはない発想と専門性で、chocoZAP事業の集客や満足度向上に貢献している。
5. 大きな出店ポテンシャル
chocoZAPは大都市を中心に店舗網を広げ、2024年11月14日現在で1,755店舗に拡大した。同社では、中期経営計画2026年3月期に2,800店舗、2027年3月期に3,800店舗、長期的には1万店舗以上を目指すというビジョンを掲げている。その背景には、小商圏で確実な会員獲得や収益化が可能であることに確信を持っている点がある。chocoZAPの店舗利用者は1km以内に居住する人が60%、2km以内に居住する人が85%である。つまり、1~2km圏内に一定以上の人口があれば成立する小商圏ビジネスモデルと言える(コンビニエンスストアの商圏は500m前後と言われている)。また、地方都市への拡大も可能性を拡げた。2024年9月末時点では、既設店舗の64%が大都市店舗(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県)であるのに対し、36%はそれ以外の地方都市の店舗であり、地方都市の店舗の比率は1年前に比べ大きく上昇した。店舗当たりの会員数では大都市店舗を下回るものの、固定費を安く抑えられることで十分収益性が成り立つ。当初計画していた必要最低限の商圏人数(5千人/km2)を大幅に下回る人口密度でも店舗展開が可能であることが証明されてきており、今後の出店可能立地は飛躍的に拡大している。
新たな立地タイプ・店舗タイプの可能性も見えてきている。都心において10坪から20坪の小規模店舗の出店も始まっており、洗濯・乾燥機のみ、カラオケのみなど機能を絞った店舗が成立する可能性が出てきた。2024年5月には、高速道路店舗である「chocoZAP日本平PA(上り、E1東名高速道路)」、2024年10月にはホテル内に立地する「chocoZAPホテル信濃路店」が開店した。2024年12月には阿蘇くまもと空港内にも出店予定である。
さらに、大きなポテンシャルを秘めるのが、企業内出店である。2024年10月に同社は、初の単独企業内出店としてchocoZAPクボタ グローバル技術研究所店をオープンした。国内企業の94.2%※は、福利厚生にフィットネス関連補助を未導入である。一方で、フィットネス補助をいち早く導入した企業では、働きやすさの評価が上がり、業績の向上が見込まれるという調査結果もある。上記事例では、chocoZAP導入により社内コミュニケーションの向上に好影響があったという評価もあった。
※ 経済産業省委託事業「令和4年度ヘルスケアサービス社会実装事業(国内外での健康経営の普及促進に係る調査)報告書」(2023年3月24日)による
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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