*14:01JST GMOリAI Research Memo(2):リサーチ業務を完結できるプラットフォームや調査用パネルを提供
■会社概要
1. 会社概要
GMOリサーチ&AI<3695>はフィロソフィーに「想いを、世界に」を掲げ、GMOインターネットグループにおいてインターネットリサーチ分野を担い、日本・アジアを中心としてグローバルに市場調査・マーケティングで新しい価値を創造する企業である。傘下にシンガポール、中国、インド、マレーシア、米国の海外5社を擁する。
2002年4月にGMO総合研究所(株)を設立した。2006年9月にGMOインターネットグループ内でインターネットリサーチ事業を行う旧 GMOリサーチ(株)を吸収合併し、商号をGMOリサーチ(株)へ変更した。2024年5月には、AI技術をもってリサーチ業界においてリーダーシップを強化し、業界革新の先導を図る意欲を示すために、商号を現在のGMOリサーチ&AIに変更した。
2014年10月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズへ株式上場したが、2022年4月に東証の市場区分見直しに伴い、東証グロース市場へ上場した。
2. ビジネスモデル及び主力サービス
市場調査は、消費財メーカー等の一般事業会社が「自社商品の市場における位置付け」「新商品のニーズ」「広告・キャンペーンの施策やその効果」「商品に対する満足度」など、一般消費者の行動や意識の実態・変化を的確に捉えるために、市場調査活動※を行うが、その多くはマクロミル<3978>、クロス・マーケティンググループ<3675>、ネオマーケティング<4196>などの一般事業会社が市場調査専門会社に調査を委託している。
※ 対面でアンケート・インタビュー回答する調査、アンケート用紙を郵送・返送する郵送調査、インターネット上でアンケート調査を行うインターネットリサーチなど。
同社のビジネスモデルは、日本・アジアを中心とするグローバルなインターネットリサーチ市場において、インターネット上でリサーチ業務※1を完結できるプラットフォームやパネル※2を、市場調査会社や自社で市場調査を行う事業会社等に対して提供することを主力としている。アンケート調査を行う顧客企業(調査会社、事業会社など)と、アンケート調査に回答するパネル(消費者)をつなげるビジネスモデルとなっている。
※1 調査設計~Web調査画面作成~アンケート実施~パネル管理・Cloud Panel利用~精査・集計~レポート作成。
※2 パネルとは、インターネットを通じて調査に回答する一般消費者やビジネスパーソンのことで、同社はその集合体を消費者側プラットフォームの「ASIA Cloud Panel」と称している。
主力サービスは、国内外の調査会社(シンクタンク、コンサルティング会社等を含む)向けプラットフォーム「GMO Market Observer」(同社の登録商標)と、国内の一般事業会社(学校、官公庁等を含む)向け完全DIY型(セルフ型)プラットフォーム「GMO Ask」である。
「GMO Market Observer」は、インターネット上でリサーチ業務のすべてを完結できるリサーチソリューションプラットフォームの総称である。従来各社ごとに開発されていたインターネットリサーチツールを標準化し、低コストで提供することを可能にしたことが顧客側のメリットとなっている。
「GMO Ask」は、同社のDIY型アンケートツールや調査用パネルネットワークを利用して、一般事業会社が自社でアンケート作成・配信等を行える手軽なセルフ・プラットフォーム・サービスである。市場調査業務のオンライン化・小型化・ライト化・内製化等の需要が高まっているため、「GMO Ask」によって国内事業会社市場の開拓を推進している。
日本・アジア最大規模のパネルネットワークが強み
3. 特徴・強み
同社の特徴・強みとしては、日本・アジア最大規模のパネルネットワーク「ASIA Cloud Panel」を構築していること、不正回答の排除や最適なターゲティング配信など高品質・利便性が高いパネルであることが挙げられる。
同社の調査用パネル「ASIA Cloud Panel」は、独自テクノロジーやAIの活用による不正回答の排除・回答品質の確保、アンケート回答のデータベース化によるアンケートの最適なターゲティング配信などにより、常にアップデートされている。
パネル数は2024年10月現在で、451社(媒体)のロイヤルティー会員保有企業(媒体)とAPI接続し、アジア(日本を含む)16の国と地域において合計6,744万人に達している。そしてパネル提供市場における同社のシェアは、同社資料によると日本1位(市場シェア80%)、世界9位(同2%)の規模となっている。2024年1月にはパネルネットワーク拡大やパネル会員定着率向上を目的として、SNOWBALLからCASHMART事業を譲り受けた。CASHMART事業は独自開発したスマホアプリにおいて約50万人のユーザーを有するとともに、アンケートを収集する仕組みや動画広告を使った会員エンゲージメントコンテンツを保有している。
なお同社は、パネルネットワークに登録された調査対象者に対してアンケートへの参加を依頼し、回答者に謝礼としてポイントを付与している。回答者はポイントを現金・商品券・商品などに交換することができる。このポイント発行費等が案件実施原価として同社の売上原価の大部分を占めている。
利益率の高い取引へシフト
4. 売上区分
同社の報告セグメントはインターネットリサーチ事業の単一セグメントだが、事業売上区分(2024年12月期より変更)を販売チャネル別に「事業会社」「調査会社(国内と海外)」「グローバルパネル会社」としている。2024年12月期第3四半期累計の事業別売上高は、事業会社が483百万円(売上構成比13.2%)、調査会社が国内2,216百万円(同60.6%)で海外697百万円(同19.1%)、グローバルパネル会社が259百万円(同7.1%)となった。同社は成長戦略の一環として、利益率の高い国内事業会社向けの拡販を推進するとともに、利益率の低いグローバルパネル会社向けの販売を戦略的に海外調査会社へシフトさせている。なお2023年12月期の平均粗利率は国内事業会社が74%、国内調査会社が59%、海外調査会社が51%、グローバルパネル会社が37%となった。
プラットフォーム・サンプルパネル提供市場は拡大基調
5. リスク要因・収益特性及び課題・対策
インターネットリサーチ業界の一般的なリスク要因としては、景気変動等による需要変動、競合激化、技術革新への対応遅れ、システム管理・情報セキュリティ対応、法的規制などがある。
市場調査全体及びインターネットリサーチの需要については景気減速によって一時的に減少する可能性があるものの、同社が展開するセルフサービスプラットフォーム・サンプルパネル提供市場は、市場調査業務のオンライン化・小型化・ライト化・内製化等のニーズが高まりにより拡大基調となっており、このトレンドは中長期的にも変化はないと考えられる。また、市場革新に対応したサービスの開発や機能拡充などによって競合優位性の維持・強化に取り組んでいる。
なお季節要因として、一般的に市場調査は事業会社の次年度のマーケティング計画策定のための調査やクリスマス商戦に向けた事前調査として、1月~3月及び10月~12月に偏重する傾向がある。このため同社の場合は第1四半期(1月~3月)及び第4四半期(10月~12月)に売上が偏重する傾向がある。また第4四半期に売上計上を予定していた案件が期ズレとなった場合等に、一時的要因として業績に影響を与える可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<NH>
1. 会社概要
GMOリサーチ&AI<3695>はフィロソフィーに「想いを、世界に」を掲げ、GMOインターネットグループにおいてインターネットリサーチ分野を担い、日本・アジアを中心としてグローバルに市場調査・マーケティングで新しい価値を創造する企業である。傘下にシンガポール、中国、インド、マレーシア、米国の海外5社を擁する。
2002年4月にGMO総合研究所(株)を設立した。2006年9月にGMOインターネットグループ内でインターネットリサーチ事業を行う旧 GMOリサーチ(株)を吸収合併し、商号をGMOリサーチ(株)へ変更した。2024年5月には、AI技術をもってリサーチ業界においてリーダーシップを強化し、業界革新の先導を図る意欲を示すために、商号を現在のGMOリサーチ&AIに変更した。
2014年10月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズへ株式上場したが、2022年4月に東証の市場区分見直しに伴い、東証グロース市場へ上場した。
2. ビジネスモデル及び主力サービス
市場調査は、消費財メーカー等の一般事業会社が「自社商品の市場における位置付け」「新商品のニーズ」「広告・キャンペーンの施策やその効果」「商品に対する満足度」など、一般消費者の行動や意識の実態・変化を的確に捉えるために、市場調査活動※を行うが、その多くはマクロミル<3978>、クロス・マーケティンググループ<3675>、ネオマーケティング<4196>などの一般事業会社が市場調査専門会社に調査を委託している。
※ 対面でアンケート・インタビュー回答する調査、アンケート用紙を郵送・返送する郵送調査、インターネット上でアンケート調査を行うインターネットリサーチなど。
同社のビジネスモデルは、日本・アジアを中心とするグローバルなインターネットリサーチ市場において、インターネット上でリサーチ業務※1を完結できるプラットフォームやパネル※2を、市場調査会社や自社で市場調査を行う事業会社等に対して提供することを主力としている。アンケート調査を行う顧客企業(調査会社、事業会社など)と、アンケート調査に回答するパネル(消費者)をつなげるビジネスモデルとなっている。
※1 調査設計~Web調査画面作成~アンケート実施~パネル管理・Cloud Panel利用~精査・集計~レポート作成。
※2 パネルとは、インターネットを通じて調査に回答する一般消費者やビジネスパーソンのことで、同社はその集合体を消費者側プラットフォームの「ASIA Cloud Panel」と称している。
主力サービスは、国内外の調査会社(シンクタンク、コンサルティング会社等を含む)向けプラットフォーム「GMO Market Observer」(同社の登録商標)と、国内の一般事業会社(学校、官公庁等を含む)向け完全DIY型(セルフ型)プラットフォーム「GMO Ask」である。
「GMO Market Observer」は、インターネット上でリサーチ業務のすべてを完結できるリサーチソリューションプラットフォームの総称である。従来各社ごとに開発されていたインターネットリサーチツールを標準化し、低コストで提供することを可能にしたことが顧客側のメリットとなっている。
「GMO Ask」は、同社のDIY型アンケートツールや調査用パネルネットワークを利用して、一般事業会社が自社でアンケート作成・配信等を行える手軽なセルフ・プラットフォーム・サービスである。市場調査業務のオンライン化・小型化・ライト化・内製化等の需要が高まっているため、「GMO Ask」によって国内事業会社市場の開拓を推進している。
日本・アジア最大規模のパネルネットワークが強み
3. 特徴・強み
同社の特徴・強みとしては、日本・アジア最大規模のパネルネットワーク「ASIA Cloud Panel」を構築していること、不正回答の排除や最適なターゲティング配信など高品質・利便性が高いパネルであることが挙げられる。
同社の調査用パネル「ASIA Cloud Panel」は、独自テクノロジーやAIの活用による不正回答の排除・回答品質の確保、アンケート回答のデータベース化によるアンケートの最適なターゲティング配信などにより、常にアップデートされている。
パネル数は2024年10月現在で、451社(媒体)のロイヤルティー会員保有企業(媒体)とAPI接続し、アジア(日本を含む)16の国と地域において合計6,744万人に達している。そしてパネル提供市場における同社のシェアは、同社資料によると日本1位(市場シェア80%)、世界9位(同2%)の規模となっている。2024年1月にはパネルネットワーク拡大やパネル会員定着率向上を目的として、SNOWBALLからCASHMART事業を譲り受けた。CASHMART事業は独自開発したスマホアプリにおいて約50万人のユーザーを有するとともに、アンケートを収集する仕組みや動画広告を使った会員エンゲージメントコンテンツを保有している。
なお同社は、パネルネットワークに登録された調査対象者に対してアンケートへの参加を依頼し、回答者に謝礼としてポイントを付与している。回答者はポイントを現金・商品券・商品などに交換することができる。このポイント発行費等が案件実施原価として同社の売上原価の大部分を占めている。
利益率の高い取引へシフト
4. 売上区分
同社の報告セグメントはインターネットリサーチ事業の単一セグメントだが、事業売上区分(2024年12月期より変更)を販売チャネル別に「事業会社」「調査会社(国内と海外)」「グローバルパネル会社」としている。2024年12月期第3四半期累計の事業別売上高は、事業会社が483百万円(売上構成比13.2%)、調査会社が国内2,216百万円(同60.6%)で海外697百万円(同19.1%)、グローバルパネル会社が259百万円(同7.1%)となった。同社は成長戦略の一環として、利益率の高い国内事業会社向けの拡販を推進するとともに、利益率の低いグローバルパネル会社向けの販売を戦略的に海外調査会社へシフトさせている。なお2023年12月期の平均粗利率は国内事業会社が74%、国内調査会社が59%、海外調査会社が51%、グローバルパネル会社が37%となった。
プラットフォーム・サンプルパネル提供市場は拡大基調
5. リスク要因・収益特性及び課題・対策
インターネットリサーチ業界の一般的なリスク要因としては、景気変動等による需要変動、競合激化、技術革新への対応遅れ、システム管理・情報セキュリティ対応、法的規制などがある。
市場調査全体及びインターネットリサーチの需要については景気減速によって一時的に減少する可能性があるものの、同社が展開するセルフサービスプラットフォーム・サンプルパネル提供市場は、市場調査業務のオンライン化・小型化・ライト化・内製化等のニーズが高まりにより拡大基調となっており、このトレンドは中長期的にも変化はないと考えられる。また、市場革新に対応したサービスの開発や機能拡充などによって競合優位性の維持・強化に取り組んでいる。
なお季節要因として、一般的に市場調査は事業会社の次年度のマーケティング計画策定のための調査やクリスマス商戦に向けた事前調査として、1月~3月及び10月~12月に偏重する傾向がある。このため同社の場合は第1四半期(1月~3月)及び第4四半期(10月~12月)に売上が偏重する傾向がある。また第4四半期に売上計上を予定していた案件が期ズレとなった場合等に、一時的要因として業績に影響を与える可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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3675
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700.0
(15:30)
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(-4.76%)
|
3695
|
2,817.0
(14:24)
|
+66.0
(+2.39%)
|
3978
|
1,190.0
(15:30)
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