ダスキン、ミスタードーナツの好調によりフードグループが前年比で大幅増収 営業利益も前年比+33%と大幅増
連結業績ハイライト(前年同期比・予想比)
大久保裕行氏:株式会社ダスキン代表取締役社長執行役員の大久保です。2025年3月期第2四半期の決算概要、ならびに最終年度を迎えている中期経営方針の進捗等についてご説明します。
スライド2ページには、2025年3月期第2四半期累計の業績概要をまとめています。売上高については、ミスタードーナツが好調をキープしているフードグループが前年同期比で大幅な増収となったほか、訪販グループ、その他も増収しました。
利益面でも、フードグループの増収効果がありました。さらに、前々期から行っていたマット・モップへのRFID(電子タグ)の取り付けが前期中におおむね終了し、それに伴う原価削減を主因として、大幅な営業増益となりました。
加えて、前期に持分法適用会社となった、子育て支援事業のリーディングカンパニーである株式会社JPホールディングスの持分損益を前期第4四半期から取り込んでいるため、経常利益はさらに増益となりました。
特別損益については、計画に沿って進めている政策保有株式の売却益の計上、また清算手続き中であるダスキン香港の生産前配当に伴う為替差益計上等により、増加しました。
一方で、税引前利益が増加したことに加え、第1四半期より税金費用の計算方法を変更したことによって法人税等が増加した結果、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比8億4,100万円の増加となりました。
前年同期比増減
3ページには、事業セグメントごとの売上高、営業利益の前年同期比を一覧にして示しています。事業別セグメントについては、いずれも増収増益となりました。
スライド下段には、連結営業利益の主な増減要因を記載しています。主な増益要因は、フードグループの増収に伴う粗利の増加、RFID(電子タグ)取り付け終了に伴う原価減少です。
一方で、原材料・物流費等の上昇に伴う原価の増加や人件費等の増加もあり、営業利益は前年同期比10億円の増加にとどまりました。
予想比乖離
4ページには、5月15日に公表した業績予想との比較をセグメントごとに記載しています。概要は11月5日に開示したとおり、連結売上高は上振れ、連結営業利益は下振れしました。
スライド下段には、営業利益の主な乖離要因を記載しています。原材料費や物流費等が想定以上に高騰したことに伴う原価の上昇、そして下期に使用を予定していた訪販グループの販売促進費用を上期に前倒しで使用したこと、これら2つが大きな下振れ要因です。
連結貸借対照表の状況
貸借対照表です。連結総資産は前期末から59億5,000万円、連結純資産は前期末から40億8,200万円、それぞれ減少しました。
5月23日に開示した自己株式の取得を進めています。上期中の取得は、発行済株式総数の1.86パーセントとなる92万7,500株、取得額は34億3,600万円です。
訪販グループ 業績概況(前年同期比・予想比)
6ページ以降は、セグメントごとの業績を示しています。訪販グループからご説明します。
売上高は前年同期比3億900万円、0.6パーセント増加の537億4,300万円でした。営業利益は前年同期比4億5,300万円、17.3パーセント増加の30億7,300万円と、増収増益となりました。
一方で、期初に公表した予想との比較では、売上高が3億5,600万円、0.7パーセント下振れ、営業利益も24億2,600万円、44.1パーセント下振れしました。
主力のクリーンサービス事業は、営業専任組織による活動に引き続き注力しており、参加店は昨年と比べて30店増加、227店となっています。
また、参加店の状況を見ると、新規顧客獲得軒数・解約軒数ともに前期を上回っており、かつ新規獲得のほうが解約よりも多い状況になっています。
訪販グループ 営業利益(前年同期比・予想比)
訪販グループの営業利益について、前年同期比の増減要因および期初公表予想との乖離要因を示しています。
前年同期比では増益となりましたが、主な要因はRFID(電子タグ)の取り付け終了に伴う原価の減少です。
一方で原材料・物流費等が高騰し、4億5,300万円の増益にとどまりました。期初公表の業績予想比では大きな下振れとなっており、最大の要因は原材料・物流費等の高騰による影響です。
その他には、前期3月に発売したペット用のフロアモップが順調に推移していることに伴い、ペット用のおそうじセットとして組み合わせて販売している置き型掃除機「MuKuモップクリーナー」の投入原価が想定以上に上回ったこと、販売費用の使用時期を下期から上期に前倒したことなどが、主な下振れの要因となっています。
フードグループ 業績概況(前年同期比・予想比)
フードグループの業績をお示ししています。売上高は前年同期比52億2,300万円、20.1パーセント増加の311億6,800万円でした。営業利益は前年同期比6億4,500万円、20.8パーセント増加の37億5,400万円となりました。
期初公表予想との比較でも、売上高は19億6,800万円、6.7パーセント上振れ、営業利益は8億5,400万円、29.5パーセントと大きく上振れしました。
ミスタードーナツは、ドリンク類も含めると、ここ2年半で4回の価格改定を実施していますが、ご来店お客さま数の減少は見られず、むしろ増加しています。スライドにも記載したとおり、お客様売上は既存店ベースでも全店ベースでも26ヶ月連続で増加しています。
また、前期に子会社化した健康菜園株式会社グループの損益を当期から取り込んでおり、若干ですがこちらも寄与しています。
フードグループ 営業利益(前年同期比・予想比)
フードグループの営業利益について、前年同期比の増加要因および期初公表予想との乖離要因を記載しています。
前年同期比では増益、予想対比でも上振れましたが、いずれも売上の好調が主な要因です。前年同期比では、原価率が低い健康菜園株式会社の損益を取り込んだことも増益に寄与しています。
一方で、アルバイトの給与をはじめとする人件費や、運賃、SNSを使用した広告費用の増加等、経費面では減益要因もあり、6億円の増加にとどまりました。
予想との比較ではミスタードーナツのロイヤルティ収入が上振れたことにより、原価率が低減されたことも利益上振れの要因となっています。
その他 業績概況(前年同期比・予想比)
その他のセグメントについてご説明します。売上高は前年同期比4億4,100万円、5.7パーセント増加の82億4,100万円となりました。営業利益は前年同期比6,900万円、28.7パーセント増加の3億1,300万円となりました。
国内にある子会社である、リースおよび保険代理業を行うダスキン共益株式会社、病院施設のマネジメントサービスを行う株式会社ダスキンヘルスケアの両社が増収となったほか、海外事業も円安の影響を受け、売上高は前年同期を上回りました。
また、海外事業にはミスタードーナツの海外への原材料売上も含まれていますが、昨年5月に進出したシンガポールのミスタードーナツがお客さまから非常に支持され、6月末の段階で7店舗に増加しています。原材料売上の増加も、海外売上の増加に寄与しました。
2025年3月期 連結業績予想(2024年11月5日修正開示)
通期の業績予想です。営業利益の下振れについては、次のスライドでセグメントごとにご説明します。
下期については、計画に沿って政策保有株式の売却を進めていきます。この売却益を織り込むと、親会社株主に帰属する当期純利益は86億円となる予想です。期初に公表した100億円と比べ、14億円の下振れになると見込んでいます。
2025年3月期 セグメント別業績予想
セグメントごとの下期と通期の業績予想についてご説明します。下期について、訪販グループ以外は当初の計画どおりの業績になると見込んでいます。
訪販グループは、上期の売上動向、原材料価格、物流費等の高騰が継続すると想定している一方、経費節減を織り込んで再算定しました。その結果、下期の売上高を4億円、営業利益を15億円下方修正しています。
フードグループは、近年ミスタードーナツが好調なことを受け、当期も通期で前期比12.5パーセント増、上期では12.6パーセントの増加計画になっています。
上期が大きく上振れした要因は、民放のテレビ番組でミスタードーナツを取り上げていただいたことが大きく作用しています。その影響を除外しても、新商品が支持されたことで概ね計画どおりに推移したと思っています。
下期については、現段階では計画どおり織り込んでいます。
株主還元
株主還元については、11月5日に行った業績予想の修正に伴い、配当予想も修正しました。当期の1株当たりの配当金は、前期の100円から10円増配の110円とする予定です。その結果、当期の配当総額は51億6,000万円になると見込んでいます。
自己株式の取得については、5月23日に公表した自己株式の取得を現在も進めているところです。上期中の取得は、発行済み株式総数の1.86パーセントとなる92万7,500株、総額は約34億円となりました。
また、スライドに過去2期の実績と当期の見込み、中期期間3年間の合計の見込みを記載しています。中期期間3年間の配当合計額は、143億5,300万円です。
自己株式の取得は、当期中に取得予定の50億円を加えますと、中期期間3年間の合計は約100億円となり、総還元額は243億5,300万円、総還元性向は119.5パーセントとなる見込みです。
中期経営方針2022
「中期経営方針2022」の取り組みについてご説明します。「中期経営方針2022」における3つの主な取り組みは、スライドに記載している「テーマ1」「テーマ2」「テーマ3」の3点です。
「中期経営方針2022」の取り組み 訪販グループ
2025年3月期における第2四半期までの訪販グループの取り組みについてご説明します。
はじめに、開発戦略の取り組みについてです。鍵の交換や修理などに対応する「ダスキン レスキューサービス」は、現在、東京、名古屋、大阪の直営3拠点でサービスを提供しています。上半期のお問い合わせ実績は1万件を超え、売上は前年同期と比較して約2倍に拡大しました。
来期より、加盟店でもサービスを展開することを見据え、現在はシステム等の整備を含めた準備を行っています。
次に、クリーンサービス事業では、2024年3月から「ペット用おそうじモップセット」のレンタルを全国で開始しました。契約数は5万本超となり、好評をいただいています。
また、防災時に避難所で生活する上で必要となる電源確保の発電機や冷暖房機器、空気清浄機など衛生管理の備品機器、マット、モップなどを提供する「防災サポートサービス」は、9月末で85自治体と提携しています。
最後に、スライドの一番下段にも記載していますが、株式会社クラシアンと大阪の直営拠点で相互送客テストを実施しました。モップのお試し件数は800件となり、順調に推移しています。
また、株式会社クラシアンが行っている水回り緊急駆け付けサービスを利用するお客さまを当社から100件紹介、受注をいただいています。
「中期経営方針2022」の取り組み 訪販グループ
お客さまとの新たな接点作りを目的とした組織戦略では、対面によるお客さまの開拓を推進しています。また、家庭用営業専任組織の活動を、全国の加盟店に向けて順次拡大しています。
加盟店は2024年9月末時点で227店となり、昨年から約30店増加しています。新規の契約件数も、前年同期比8.5パーセント成長しています。
あわせて、ケアサービス事業のマネジャーライセンス取得者が156人増加したことで、組織力の強化にもつながっています。ケアサービス事業は好調に推移しているため、繁忙期にはお客さまのご注文にお応えできないこともありました。今期も、ケアサービスのマネージャーライセンスの増加に取り組んでいきます。
また、市場の需要にお応えするための拠点戦略として、ケアサービス事業では新たに46店の新規加盟、シニアケア事業関連では3店の新規加盟となりました。今後もお客さまのご要望にお応えできるよう、営業体制の強化に力を注いでいきたいと思います。
続いて、CX戦略です。Web広告強化などの取り組みにより、レンタル品のお試し申し込み軒数は、前期の同期間と比べ52パーセントの増加となりました。
当社が運営する会員サイト「DDuet」会員数は、前期比5.2パーセント増加の約178万人となりました。引き続き、マイページの機能拡充を図っていきたいと思います。
最後に、物流戦略です。物流戦略として、1月にRFID(電子タグ)を導入しました。当初は今期4月からの展開予定でしたが、当社のモップを作っている能登半島の工場が被災したため、全国運用は3ヶ月遅れて7月からの開始となりました。
「中期経営方針2022」の取り組み フードグループ
フードグループにおいては、誰もがいつでも「しあわせな時間」を過ごせるようなショップを目指し、おいしさ、楽しさの提供を追求しています。そのために新業態開発、既存バリューチェーンの強化、マーチャンダイジングに注力して取り組みを進めています。
既存ブランドとは異なる立地、客層、利用動機に対応する、新たな業態の開発に対しての取り組みとして、イタリアンレストラン「ナポリの食卓」、とり重レストラン「とり弁鶏」など、5業態のレストランを北関東を中心に運営している株式会社ボストンハウスの統括会社である健康菜園株式会社を、2024年3月期に子会社化しました。
こちらをフランチャイズで展開していくことで、現在はフランチャイズパッケージの開発を進めています。
既存バリューチェーン強化の取り組みでは、内製化対象品の開発テスト販売を実施しました。現在はまだテスト段階のため詳細はお伝えできませんが、内製化に向けて取り組みを深化したいと考えています。
「中期経営方針2022」の取り組み フードグループ
ミスタードーナツ事業においての開発戦略の取り組みです。「misdo meets 祇園辻利」第2弾や「白いポン・デ・いちごみるく」などを発売し、好評をいただいています。
「ミスドゴハン」シリーズでは、ざっくりもっちり食感の「ザクもっちドッグ」を販売しました。また、ハロウィン向けのドーナツとして開発した「MISDO HALLOWEEN」は、ブラックサンダーと提携しました。ブラックサンダーのチョコレートを活用した商品も、非常に好評をいただいています。
出店戦略に関しては、新規出店が21店、ショッピングセンターの改装などに伴う閉店等が8店あり、実質13店の増加となりました。これにより、稼働店舗数は3月末時点の1,017店から1,030店へ増加しました。
新たな取り組みの1つとして、東京の信濃町に無人レジシステムを導入した店舗をテスト的に展開しています。お客さまの利便性向上や駅前等の狭小立地に向けた出店、就労人口の減少を踏まえた取り組みとしてご理解いただければと思います。
「中期経営方針2022」の取り組み
海外戦略では、日本のほか、タイ、フィリピン、台湾、インドネシア、シンガポールでミスタードーナツ事業を展開しています。
今年4月には、香港の企業であるドラゴンサークル社(Dragon Circle Enterprise Limited)とマスターフランチャイズ契約を締結、10月26日に香港第1号店をオープンしました。
「中期経営方針2022」の取り組み
新しい成長機会への投資についてです。保育園等を約300ヶ所運営している株式会社JPホールディングスと出資および事業提携契約を締結、新たに子育て支援領域への取り組みを行っています。
現在は株式会社JPホールディングスが運営する子育て会員サイトへ、商品・サービスのお知らせをテスト的に開始しました。両社のノウハウを活用し、若い子育て層への子育て支援教育支援という新たな提供価値の開発を進めています。
「中期経営方針2022」の取り組み
経営基盤の構築についてです。人的資本経営の推進として、適材適所の人員配置および事業ポートフォリオの変革に必要な人材を育成するための「タレントマネジメントシステム」の導入に加え、「個性診断」「成長診断」を上期に実施、人材ポートフォリオの策定を進めています。
DX推進の取り組みとして、データ分析体制の確立を目指し、PDCAを回していきながらデータ利活用の体制を構築しました。
さらに、教育面においても社内で自律的に学べる教育ツールを導入し、学習時間は昨年と比べて1.6倍となりました。従業員がこのような教育ツールを活用することで、それぞれのスキルを上げていくことにも取り組んでいます。
「中期経営方針2022」の取り組み
社会との共生についてです。主な取り組みとして、今年4月からミスタードーナツ事業の物流センターや他社から発生する廃棄原材料で発電するバイオマス電力を使用し、本社ビルを含む周辺5施設すべての電力を、実質再生可能エネルギー100パーセントに切り替えました。
また、昨年より検証を実施していたEV車の導入に関しては、訪販グループの直営関係会社において、まだ電気自動車化されていない4WDなどを除いた営業車両に、EV車両を順次導入していくことを決定しています。
さらに、「ダスキン環境ビジョン2050」を策定しました。詳細はホームページに記載していますので、ぜひご確認いただければと思います。
以上で、私からのご説明を終わります。ありがとうございました。
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