【QAあり】関東電化工業、特殊ガスの増収や電池材料の棚卸資産評価損の減少により、営業利益は前年比+21億円と大きく改善
損益計算書
新美和生氏(以下、新美):取締役常務執行役員の新美です。いつも大変お世話になっています。まず、本日ご参加の各社さまにおかれましては、日頃より当社のIR活動に多大なご協力を賜っていますことを、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
2025年3月期第2四半期の決算概要についてご説明します。
まず、損益計算書の概要についてご説明します。売上高は、前年同期比35億円減収の312億円となりました。特殊ガスは半導体メーカーの稼働率向上により増収となりましたが、電池材料はEV市場の成長鈍化による需要減や技術支援料の減少があり、減収となりました。
営業利益は、前年同期比21億円増益の17億円となりました。売上高の減収がありましたが、原材料価格の改善と棚卸資産評価損の減少により、大きく改善しました。
経常利益は、前年同期比22億円増益の24億円となりました。為替差益の減少がありましたが、営業利益の増益や受取配当金の増加などにより、増益となりました。
税金等調整前中間純利益は、前年同期比15億円増益の20億円となりました。投資有価証券売却益の減少や環境対策費の計上がありましたが、経常利益の増益により増益となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期比11億円増益の14億円となりました。
貸借対照表
貸借対照表の概要についてご説明します。2024年9月末の総資産は1,217億円となり、前期末比で35億円減少しました。資産の中で、現金および預金が59億円減少していますが、これは主に有利子負債の返済によるものです。
負債は542億円となり前期末比で54億円の減少、純資産は675億円となり前期末比で19億円の増加となりました。自己資本比率は54.2パーセントとなり、前期末比で3.1パーセント増加しました。
基礎化学品事業部門
セグメント別の概況についてご説明します。まず、基礎化学品事業についてです。売上高は、前年同期比4億円減収の39億円となりました。有機製品の販売数量は増加しましたが、海外安値品の流入による販売価格の低下によって、減収となりました。
営業利益は、前年同期比5億円減益のマイナス5億円となりました。売上高の減収と、固定費の増加によって減益となりました。
精密化学品事業部門
精密化学品事業です。売上高は、前年同期比33億円減収の248億円となりました。特殊ガスは、半導体メーカーの稼働率向上の影響を受け増収となりましたが、電池材料についてはEV市場の成長鈍化による需給環境の悪化を受けて、販売数量、販売単価ともに減少したことに加え、技術支援料の減少により減収となりました。
営業利益は、前年同期比27億円増益の18億円となりました。売上高の減収影響はありましたが、電池材料の原材料価格の改善、棚卸資産評価損の減少により増益となりました。
鉄系・商事・設備事業部門 (連結調整を含む)
その他の事業セグメントについてご説明します。売上高は、前年同期比2億円増収の24億円となりました。設備事業、商事事業は減収でしたが、鉄系事業は増収となりました。
営業利益は、前年同期並みの4億円となりました。
鉄系事業の増収はありましたが、商事事業、設備事業の減収影響を受け、昨年度並みとなりました。
営業利益差異分析 (前年同期比較)
営業利益の要因分析についてご説明します。まず、販売・生産要因です。特殊ガスの販売数量の増加がありましたが、電池材料の販売数量の減少と販売単価の低下、および技術支援料の減少があり、6億円の減益要因となりました。
原燃料価格については、タングステン、無水フッ酸が悪化となりましたが、リチウム化合物、電力の改善により、20億1,000万円の増益要因となりました。
在庫影響については、前年同期はリチウム化合物などの棚卸資産評価損がマイナス30億9,000万円ありましたが、今年度はマイナス7億6,000万円に縮小し、23億4,000万円の増益要因となりました。
その他16億2,000万円の減益要因は、子会社の収益の悪化、もしくは連結調整、固定費の増加などによるものです。
営業利益・営業利益率の推移
スライドのグラフは、過去5年の営業利益と営業利益率、EBITDAマージンの推移を表したものです。2025年3月期第2四半期までの営業利益は17億円、営業利益率は5.5パーセント、EBITDAマージンは18.4パーセントとなりました。
設備投資額・減価償却費・研究開発費の推移
設備投資額、減価償却費、研究開発費の推移です。2025年3月期第2四半期の設備投資額は63億円、減価償却費は40億円、研究開発費は8億円でした。通期においては、設備投資額は128億円、減価償却費は82億円、研究開発費は18億円となる見通しです。
関東電化グループ(連結子会社)
グループ会社の状況です。当社グループは、関東電化工業とスライドに記載の計7社で構成されています。グループ会社の売上高は、前年同期比17億円減収の187億円となりました。
私からの説明は以上となります。
業績予想(セグメント別)
長谷川淳一氏(以下、長谷川):平素より当社にご関心をお寄せいただきまして、ありがとうございます。代表取締役社長の長谷川です。それでは私から、業績見通し、今後の動向についてご説明します。
初めに、通期のセグメント別の業績予想についてご説明します。2025年3月期の当初見込みは、5月15日に公表した予想数値です。見直し後見込みは、11月8日に公表した予想数値となります。
見直し後の売上高は634億円となり、当初見込みに比べ56億円の減収となる見通しです。営業利益は38億円となり、当初見込みに比べ11億円の減益となる見通しです。
セグメント別では、基礎化学品の売上高は85億円、営業利益はマイナス3億円となる見通しです。
精密化学品の売上高は500億円となり、当初見込みに比べ60億円の減収となる見通しです。特殊ガスは増収となる見通しですが、電池材料で米国のインフレ抑制法にかかわる重要鉱物要件による引き合いの実現が来年度以降に後ろ倒しとなる影響で、減収の見通しです。営業利益は33億円となり、当初見込みに比べ12億円の減益となる見通しです。
鉄系、商事、設備事業の合算であるその他の売上高は48億円、営業利益は8億円となる見通しです。
為替レートは1ドル150円を前提としています。外貨建ての売上と仕入れが大部分相殺されるため、為替の変動が業績に与える影響は軽微であると考えています。
設備投資額は、投資の時期を見直し、今年度は128億円となる見通しです。減価償却費は82億円、研究開発費は18億円を予定しています。
当初上期見込と実績の比較 (セグメント別)
当初上期見込みと実績の比較です。セグメント別では、基礎化学品事業の売上高は39億円となり、2億円の減収、営業利益はマイナス5億円となり、3億円の減益となりました。
精密化学品事業の売上高は248億円となり、1億円の増収、営業利益は18億円となり、8億円の増益となりました。
その他の売上高は24億円となり、3億円の増収、営業利益は4億円となり、2億円の増益となりました。
営業利益差異分析 (当初上期見込 対 上期実績)
営業利益の要因分析についてご説明します。販売・生産要因では、電池材料の販売数量の減少と販売単価低下がありましたが、特殊ガスの販売数量増加により、7億円の増益要因となりました。原燃料価格は4,000万円の減益要因、減価償却費は9,000万円の増益要因、在庫影響は2億4,000万円の増益要因となりました。
その他、2億7,000万円の減益要因は、連結調整、固定費の増加などによるものです。
業績予想 上下比較 (セグメント別)
上期実績と下期見込みの比較です。2025年3月期下期の売上高は321億円となり、上期に比べ8億円増収の見通しです。
セグメント別では、基礎化学品事業の売上高は45億円となり、6億円の増収、営業利益は1億円となり7億円の増益の見通しです。下期黒字化の改善策については後ほどご説明します。
精密化学品事業の売上高は251億円となり、2億円の増収、営業利益は15億円となり、3億円の減益の見通しです。
その他の売上高は24億円、営業利益は4億円となり、上期並みとなる見通しです。
営業利益差異分析 (上期実績 対 下期見込)
営業利益の要因分析についてご説明します。販売・生産では、上期に電池材料で技術支援料を計上したことによる減益要因がありましたが、特殊ガスの販売数量増加により1億3,000万円の増益要因となる見通しです。
原燃料価格は6,000万円の増益要因、減価償却費は1億2,000万円の減益要因、在庫影響は7億4,000万円の増益要因となる見通しです。
その他4億5,000万円の減益要因では、連結調整と子会社収益で改善しますが、固定費が増加する見通しです。
課題への対応
事業環境が悪化している基礎化学品、電池材料に対する改善策についてご説明します。基礎化学品については、国内市場への海外安値品の流入や、原材料価格の高騰、設備老朽化による維持費の増加により、収益性が悪化しています。採算是正のため、無機製品の値上げを実施し、下期より黒字化を目指します。
また、中期経営計画で示しているとおり、原材料供給機能に特化した事業規模への再編を計画しています。
電池材料については、EV市場の成長鈍化により、昨年度に引き続き厳しい事業環境が続いています。国内唯一の「六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)」メーカーとして、米国IRA法に準拠した原料調達、設備対応、評価を進めていきます。
また、米国でのライセンスビジネス拡大のため、技術開発を前進させます。リチウム回収技術の実証についても早急に進めていきます。
トピックス(海外工場)
海外工場についてご説明します。初めに、韓国工場の関東電化ファインプロダクツ韓国です。既存工場の隣地を新たに賃借しました。敷地面積は既存工場の約3倍で、韓国半導体メーカーの増産に対応していきます。なお、生産品目については検討中です。
次に、中国工場の宣城科地克科技有限公司です。第1期工事は生産・販売を開始しています。第2期工事も終了し、現在は顧客での認定作業を進めています。
トピックス(KSGシリーズ)
新規ガスであるKSGシリーズの進捗です。「KSG-14」「KSG-5」については、すでに販売を開始しており、2026年3月期の売上高は約40億円となる見通しです。
低温エッチング向けの「KSG-22」については、現在量産を検討しており、2027年3月期の売上高は約5億円の規模を見込んでいます。
トピックス(主な設備投資の状況)
設備投資の状況をご説明します。半導体用エッチングガスの「ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン(C4F6)」は、年間600トンの製造設備を建設中であり、2025年度に稼働予定です。
「硫化カルボニル(COS)」は年間50トンの増強を行い、2025年度に稼働予定です。
リチウムイオン2次電池用電解質の「六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)」は、増設工事がほぼ完了したため、需要動向を見て稼働時期を判断します。
新規エッチングガス「KSG-14」は、年間150トンの量産設備を建設中であり、2025年度に稼働予定です。
リチウムイオン電池用新規添加剤は、蓄電池換算で年間65ギガワットアワー相当分の設備投資を行い、2025年度第2四半期より稼働開始予定です。
以上で、2025年3月期第2四半期決算の説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:米国のIRA法や次期大統領選挙の結果が業績に与える影響について
司会者:「業績の修正について、米国のインフレ抑制法に係る重要鉱物要件による引き合いの実現が来年度以降に後ろ倒しになると資料に記載されています。米国での大統領選挙の結果を受け、この引き合い自体に変化はありますか?」というご質問です。
長谷川:インフレ抑制法は、米国の現政権が出しているため、次期大統領選挙の終了時点では、引き合い自体に急激な変化は見られません。ただし、今年はEV産業の減速の影響を大きく受け、需要が後ろ倒しになっている状況です。
新政権下でのインフレ抑制法の行方に我々も注目していますが、電池やEV関連の事業者のみなさまも、この大統領選の結果に非常に注目していたと思います。
今後の変化を予測するのは困難ですが、関税の引き上げや中国との貿易摩擦の増大などの可能性があります。そのような状況下で、当社が進めている事業形態がどのように変化していくかについて、注視しています。当然、大きく変わっていく可能性もあると思います。
現在の予定では、2027年1月からIRA法が施行されます。これが予定どおり進めば、事業者としては2026年の第1四半期頃から、IRA法に準拠した材料供給、そして米国市場での直接的な工場設立、立ち上げを行う動きが出てくると思います。これに関連した引き合いが、今、少しずつ増加しています。
2026年度の業績に寄与する引き合いが十分に入りつつあるため、当社としては業績向上に対する自信を少しずつ深めているところです。
質疑応答:汎用メモリの中国市場における売上状況と競合環境について
司会者:「汎用メモリ市場において、中国ローカルメモリメーカーの存在感が増しているように思います。これにより、どのような影響が想定されるでしょうか? 現在のシェアを維持できるのか、また、現在の中国での比率と競合状況について教えてください」というご質問です。
長谷川:中国のメモリメーカーについては、先日も新聞で報じられていましたが、中国政府が自給率を上げようと、相当力を入れていると認識しています。
中国では材料メーカーも続々と台頭しており、現在、世界の半導体用特殊ガスの約25パーセントが中国で消費されていると推測します。なお、当社の中国での売上高比率は10パーセントです。
今後の取り組みについては、補足資料にも記載していますが、当社では宣城科地克科技有限公司という工場を設立し、稼働を開始しています。さらに、第2期工事のガスの生産についても、来年度早々より開始する予定で準備を進めているところです。
現状、当社の売上全体に占める中国の比率は低いものの、今後は中国市場の成長に合わせて現地法人の稼働率を上げ、中国および半導体事業の成長に寄与していきたいと思っています。
したがって、現時点では中国市場における当社のシェアは低いかもしれませんが、今後大きく伸ばしていける可能性があると考えています。
質疑応答:建設仮勘定の主な内訳と稼働開始時期の見通しについて
司会者:「建設仮勘定が9月末時点で135億円ありますが、この主な内容と稼働開始時期の見通しについて教えてください」というご質問です。
新美:まず、建設仮勘定の内訳についてです。関東電化単体が65億円、海外が60億円、その他が10億円ほどとなります。単体の65億円の内訳は、特殊ガスが50億円、電池材料が10億円、残りはその他となっています。
稼働時期については、先ほどスライド21ページの「主な設備投資の状況」でご説明したとおり、お客さまの需要に合わせ、柔軟に稼働を開始していきたいと考えています。
質疑応答:フラッシュメモリの電極材料の変更に伴う対応について
司会者:「フラッシュメモリの板状電極がタングステンからモリブデンに変更されているようですが、対応できているのでしょうか?」というご質問です。
長谷川:あまり細かい情報は私のところには入ってきていませんが、当社には以前から「WF6」という製品があります。これは半導体の中の電極として、タングステンが残り、電気を通す接点の役割を担っています。半導体製造において、このタングステンがモリブデンに置き換わっていくという情報は、以前から耳にしており、当社も研究を進めてきました。
しかし、その中で我々が目指していた化合物と他のメーカーが開発していた化合物が、同じくモリブデンを使用するものの、若干異なっていることがわかりました。その結果、残念ながら半導体のお客さまは当社の製品ではなく、他社の製品をトライアルで使い始める可能性が高いという情報を受けています。
「量産でモリブデンに変わっているかどうか」については個別の情報になるため、この場では回答を控えますが、我々としては、いろいろなチャンスがあると考え、準備を進めている状況です。
質疑応答:海外の建設仮勘定の内容と生産拠点の稼働開始時期について
司会者:「先ほどのご回答についてのフォローアップです。海外の建設仮勘定の内容と稼働開始時期を教えてください。主に中国でしょうか?」というご質問です。
新美:中国の生産拠点の状況ですが、第1期工事の「フッ化アンモニウム」については、2023年9月から稼働を開始しています。そして、第2期工事の「C4F6」「CF4」「WF6」等は、現在、2025年の販売開始を予定しています。したがって、建設仮勘定はその時までに本勘定に振り替える見込みです。
質疑応答:2026年度に向けた引き合いが集まった時期と米国大統領選挙の関係について
司会者:「先ほどの『米国のIRA法や次期大統領選挙の結果が業績に与える影響』に関する追加質問です。引き合いが増えてきていると回答されていましたが、それは米国の次期大統領選挙の結果が出る以前の状況でしょうか? その場合、選挙後の状況はまだ把握されていないという理解でよろしいでしょうか?」というご質問です。
長谷川:引き合いが2026年度に向けて集まってきている状況は、次期大統領選挙の直前からです。
本当は、1年ほど前から「このIRA法に準拠するかたちでの取り組みを条件に出荷願いたい」という引き合いを多く受けており、それを見越して社内ではいろいろな準備を行っていました。上期の予想も、当初はそれを反映した数字でしたが、それが後ろ倒しとなり、下期の売上の見通しも減少している状況です。
その後、大統領選挙の直前に、2026年度からの供給といった引き合いが復活し始めましたが、選挙後にさらに活発になったということではありません。
質疑応答:「KSG-22」の売上目標達成に向けた設備投資や実施時期について
司会者:「『KSG-22』への設備投資規模や実施時期はどのように考えればよいですか? 5億円の売上目標は現状の設備で対応できるのでしょうか?」というご質問です。
長谷川:現在、「KSG-22」の試作ラインを保有しており、そちらで評価を続けています。ただし、実際の量産がどのようなかたちになるのか、当社以外の競合メーカーがどのような動きになるのか、また技術の動向についても、違ったかたちでのガスの形態になる可能性もあります。このような状況を見極めながら、量産を決定していくかたちになると思います。
ただし、マーケットの中での当社の立ち位置、シェア、販売チャンスを考えると、2027年3月期には5億円ほどの売上は十分に計上できるだろうという、目標も兼ねた数字となっています。
設備投資については、どのようなかたちになるかはまだ未知数です。したがって、利益がどこまで出るかということも検討しながら、設備投資の決定をしていかなければならないと考えています。
質疑応答:「KSG-22」の新規設備について
司会者:「『KSG-22』の新規設備を計画されていますが、どちらの工場への投資になるのでしょうか?」というご質問です。
長谷川:これはまだ決定していません。開発を進めながら試作ラインを充実させていく必要があれば渋川工場、また、原材料を確保しながら、人的な余裕や施設・設備がある場所を考えると水島工場でも良いとは考えていますが、まだ正式には決定していません。今、試作ラインがあるのは渋川工場です。
質疑応答:KSGシリーズの特徴について
司会者:「KSGシリーズ各種製品の特徴について教えてください」というご質問です。
長谷川:スライド20ページをご覧ください。「KSG-14」は、マスク材料に対して酸化膜・窒化膜の選択ができ、非常に縦方向のエッチング性能が良いことが特徴です。
「KSG-5」は、全般的なエッチング性能が優れています。
「KSG-14」「KSG-5」はともに環境性能に優れたガスであり、GWP値が1以下で二酸化炭素以下となっています。そのため、お客さまにおけるガスの使用では、環境特性という面で大きなメリットがあると考えています。エッチング特性についても、従来のガスに比べて格段に良いという、お客さまと共同開発した結果のデータも公表されています。
KSGシリーズでは、縦方向だけではなく、横方向のエッチングや、従来と異なる材料を対象としたエッチング特性など、さまざまなお客さまのニーズに備えた品種を作り出すことを、当社の開発の使命として進めています。
「KSG-22」は、新しいエッチング技術である低温エッチング技術に対応するガスです。こちらも今後バリエーションがいろいろ出てくる可能性があります。
当社としては、開発の方向を環境性能、そして新しいお客さまのエッチング技術に対する対応したガスとして、お客さまとともに、1日も早く他社に先んじて研究開発を進めていきたいと考えています。
質疑応答:KSGシリーズの販売先について
司会者:「KSGシリーズは複数顧客へ販売を広げていく予定なのでしょうか?」というご質問です。
長谷川:「KSG-14」「KSG-5」「KSG-22」は、すべてお客さまとの共同開発の中で生まれたものです。半導体の材料はそのお客さまに限ったもので、供給をお約束するということになると、お客さま1社が当社の設備投資やいろいろな費用を受け持ち、保証するかたちになります。
こちらについては、半導体関連のお客さまもなかなか認められないところがありますので、我々としてはやはり「ほかのお客さまにどんどん売ってもかまわないか」というお話をしています。
お客さまと共同開発して良いものを作り上げることができれば、値段で差をつけたり、あるいは発売時期に差をつけたりというかたちで、まずは一緒に開発したお客さまが共同開発のメリットをつかみ、その後は当社が自由に販売できる契約の取り組みを進めています。
質疑応答:建設仮勘定の10億円について
司会者:「国内の建設仮勘定が50億円、うち10億円が電池とのことでした。スライド21ページの主な設備投資の中の、「六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)」とリチウムイオン電池用新規添加剤が、電池の10億円に該当するのでしょうか?」というご質問です。
新美:先ほど内訳として、電池が10億円とお話ししました。スライド21ページに記載のリチウムイオン電池用新規添加剤については、2025年第2四半期の稼働開始予定であり、こちらの分も入っています。
金額的に大きいのは、「需要動向により稼働時期を判断」となっている、「六フッ化リン酸リチウム」の8,000トン化への投資であり、そちらの建設仮勘定が大半を占めています。
質疑応答:半導体特殊ガスの売上構成について
司会者:「半導体特殊ガスのフラッシュ、DRAM、ロジックの売上構成は今どうなっているでしょうか? KSGシリーズの売上目標としての比率も確認させてください」というご質問です。
長谷川:半導体のメモリが大きく、約65パーセントとなっています。ロジックの半導体向けが約35パーセントで、そのほかにも、今は少なくなってきていますが、液晶向けが一部あります。
メモリは、DRAMとNAND型フラッシュメモリに分かれますが、その2つではDRAM向けが約4割、NAND型フラッシュメモリ向けが約6割ということで、NAND型フラッシュメモリ向けのガスの比率が大きくなります。
KSGシリーズの売上については、スライド20ページに記載している「KSG-14」と「KSG-5」が、今量産工場の建設がほぼ完了しており、来年度から量産に入ります。これがやはり比率としては大きくなります。
2026年3月期は、40億円のうちの大部分が「KSG-14」の売上です。2027年3月期に入って「KSG-5」の量産ができるかどうかにかかっています。
質疑応答:中国におけるシェア拡大について
司会者:「中国では、第2期工事完成後に現地からの供給を増やしていくことでシェアを上げていくお考えとのことですが、現地生産に切り替えればシェアを取れるという単純な話ではないようにも思います。
日本からの輸出に比べて、現地生産によってコストが大幅に改善されるなど、競争力の向上が見込まれているのでしょうか? 第2期工事の生産品目の競合情報はどうなっていますか?」というご質問です。
長谷川:単純なことではないのは承知しています。中国の宣城工場が、来年度から稼働しますが、そこで生産する「CF4」「C4F6」「WF6」の3品目のうち、「CF4」「C4F6」については当社のシェアが比較的高いものであり、中国での成長に当社品が非常にマッチしていくだろうと思っています。
そのためにも品質面での優位性を評価してもらうことと、供給能力を上げていきます。「C4F6」については国内の増強も進めています。これと中国の工場の立ち上げにより、中国のマーケットに積極的に販売していこうと思っています。
ポイントとしては、やはり供給と品質の両面でお客さまにアピールしていくことです。「CF4」については、当社は世界で約50パーセントのシェアを持っています。「CF4」は単純な分子構造ですが、不純物のコントロールを非常に綿密に行うことができます。
また、実績も十分にあることから、半導体のお客さまが信頼して使ってくださっている、基本のエッチングガスです。この技術を使った中国の工場、そして渋川工場からのバックアップを、高く評価していただけると考えています。
「WF6」については、残念ながら原材料のタングステンが占める割合が非常に高くなっており、一時期安値競争のようなかたちで進んでしまいました。そのため、なかなか競争に打ち勝っていくことが難しいかもしれません。しかしながら、今も当社の品質を高く評価してくださっているため、この品質の面でも中国のお客さまにアピールしていきたいと思います。
中国のお客さまにおかれても、半導体のレベルがどんどん上がってきており、技術者も相当育成されています。当社の品質、そして実績を十分考えていただけるものと思っています。
もちろん広い中国ということもあり、いろいろなかたちでの拠点建設がこれから必要になると思っています。
質疑応答:中国での生産拡大のリスクについて
司会者:「今後の地場企業への支援などを考えると、中国生産の拡大は極めてリスクが高いようにも見えます。投資回収の時間軸、技術流出、コモディティ化の加速などに対する考え方を教えてください」というご質問です。
長谷川:中国に投資してスピーディに立ち上げることができれば、かなり戦略的に楽なものではあったのですが、新型コロナウイルスにより2年ほど遅れてしまいました。
この間に建設資材の高騰や、認可の大幅な延期、投資をどのように早く回収するか、あらためて戦略を検討しています。
しかし、中国には我々の古くからのパートナーや、我々の品質や販売力、ブランドを十分に理解してくれている協力企業もおられます。
また、水島工場や渋川工場、そして韓国の関東電化ファインプロダクツ韓国、中国の宣城科地克科技という4つの拠点と協力工場というネットワークを使いながら、中国のマーケットにしっかりといろいろな品種を販売し、中国の半導体の成長に貢献していこうと考えています。
具体的に今、どのように回収するかについてはお答えできませんが、早く利益を上げて、次なる戦略が打てるような活動をしていきたいと思っています。
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