*14:01JST GameWith Research Memo(1):2029年5月期に売上高70億円を目指す「ゲームのインフラ企業」
■要約
GameWith<6552>は、国内最大級のゲーム情報メディア「GameWith」を運営しており、2018年からは英語圏や繁体字圏向け攻略メディアなど海外事業を展開しているほか、NFT(非代替性トークン)ゲームやeスポーツなど新規事業への取り組みを近年積極化させている。同社の事業セグメントは3つに分かれており、ゲーム情報メディア「GameWith」等を展開する「メディア」、国内屈指のプロeスポーツチーム「DetonatioN FocusMe」の運営、所属クリエイターのマネジメントなどを行う「eスポーツ・エンタメ」、NFTゲームの運営、ゲーマー向け光回線の提供などを行う「新規事業(NFT・回線等)」となっている。
1. 2024年5月期の業績概要
2024年5月期の連結業績は、売上高3,497百万円(前期比0.4%減)、営業利益67百万円(同80.1%減)だった。期初に発表した会社計画値の売上高3,750百万円、営業利益350百万円を下回ったが、これは主力のメディア事業における第3四半期からの広告単価急落や、モバイルゲームでの新作リリース数の減少といったゲーム業界全体の減速影響を受けたことによる。また、新規事業においては回線事業の顧客数獲得のための積極的なマーケティングプロモーションを実施したことも損益の重石となった。当期純利益が赤字となったが、これはeスポーツを運営する子会社の(株)DetonatioNにおいてチーム強化のための投資を優先する方針へ変更し、それに伴い将来の利益計画の見直しを実施した結果、のれんや固定資産の減損を計上したことが大きく影響した。
2. 2025年5月期の業績見通し
2025年5月期の連結業績は、売上高3,500~4,000百万円(前期比0.1%増~14.4%増)、営業損失200百万円~200百万円の利益(同計算不能~198.0%増)と、市況や事業投資の変動リスクを考慮してレンジでの開示とした。主力のメディア事業においては、少なくとも上期においては広告単価が低い状態での推移が継続する可能性が高いこと、また、大型ゲームタイトルのローンチが引き続き期待しにくいことなどから全体として依然として厳しい事業環境を想定、下期からの市況回復を同社では見込んでいるが、想定どおり進捗するかはやや流動的だろう。またNFTゲーム事業では、新規タイトルの投入が2026年5月期の予定であることから大幅な売上増が期待しにくく、回線事業は引き続き先行投資フェーズとなるため損益の改善は期待しにくい。短期業績はやや逆風下にあるうえ、中期経営計画達成のための事業投資として回線事業への顧客プロモーション費用も嵩む可能性があり、同社の短期業績は厳しい状態が続くことを想定すべきだろう。
3. 中期経営計画
同社が新たに公表した中期経営計画は、2025年5月期を初年度、2029年5月期を最終年度とする5ヶ年の計画である。売上高は2024年5月期の35億円から2029年5月期には倍増の70億円へと大幅に拡大させることを目指す。同社の収益構造上、現在は利益率の高いメディア事業がキャッシュカウとなっているが、第2、第3の事業の柱を早期に構築することが経営課題である。同社が中期経営計画で掲げる基本方針としては、(1) メディア事業における市場規模の大きなグローバル展開と、AIを活用したリアルタイムでのゲーム攻略情報発信の進化による差別化の推進、(2) 回線事業で引き続き積極的なプロモーションを展開し、ゲームに特化した高品質な回線をゲーマー向けに提供することで競争優位性を構築し、営業利益ベースでも2027年5月期より黒字化を目指す、(3) NFTゲーム事業では現行タイトルで4年目を迎えている「EGGRYPTO(エクリプト)」の次期タイトル「EGGRYPTO X」、さらには新規タイトルである「AIM NOVA」を2026年5月期に投入予定、(4) eスポーツ事業では、同社の弱みとなっているインフルエンサービジネスの強化のため、ストリーマーを積極的に獲得することでブランディングを強化し、将来的には動画配信収益・グッズ販売などを増加させることで、大会賞金やスポンサー収入などだけでない安定した収益源の獲得を目指す、が主なものだ。いずれにおいても、同社はゲームメディアとして高い知名度を有していることから、それをどのように新規事業へ効率的に横展開できるかが計画達成のカギになるだろう。
■Key Points
・国内最大級のゲーム情報メディア「GameWith」を運営。eスポーツやNFTゲーム、回線事業といった新規事業の創出にも積極的に取り組む
・2024年5月期は期初計画未達。2025年5月期もゲーム業界の減速影響に加え、中計初年度の先行投資フェーズにあるため、短期的な事業環境は逆風下にある
・新たに策定した中期経営計画では最終年度の2029年5月期に売上高70億円と、2024年5月期比で倍増を狙う
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
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GameWith<6552>は、国内最大級のゲーム情報メディア「GameWith」を運営しており、2018年からは英語圏や繁体字圏向け攻略メディアなど海外事業を展開しているほか、NFT(非代替性トークン)ゲームやeスポーツなど新規事業への取り組みを近年積極化させている。同社の事業セグメントは3つに分かれており、ゲーム情報メディア「GameWith」等を展開する「メディア」、国内屈指のプロeスポーツチーム「DetonatioN FocusMe」の運営、所属クリエイターのマネジメントなどを行う「eスポーツ・エンタメ」、NFTゲームの運営、ゲーマー向け光回線の提供などを行う「新規事業(NFT・回線等)」となっている。
1. 2024年5月期の業績概要
2024年5月期の連結業績は、売上高3,497百万円(前期比0.4%減)、営業利益67百万円(同80.1%減)だった。期初に発表した会社計画値の売上高3,750百万円、営業利益350百万円を下回ったが、これは主力のメディア事業における第3四半期からの広告単価急落や、モバイルゲームでの新作リリース数の減少といったゲーム業界全体の減速影響を受けたことによる。また、新規事業においては回線事業の顧客数獲得のための積極的なマーケティングプロモーションを実施したことも損益の重石となった。当期純利益が赤字となったが、これはeスポーツを運営する子会社の(株)DetonatioNにおいてチーム強化のための投資を優先する方針へ変更し、それに伴い将来の利益計画の見直しを実施した結果、のれんや固定資産の減損を計上したことが大きく影響した。
2. 2025年5月期の業績見通し
2025年5月期の連結業績は、売上高3,500~4,000百万円(前期比0.1%増~14.4%増)、営業損失200百万円~200百万円の利益(同計算不能~198.0%増)と、市況や事業投資の変動リスクを考慮してレンジでの開示とした。主力のメディア事業においては、少なくとも上期においては広告単価が低い状態での推移が継続する可能性が高いこと、また、大型ゲームタイトルのローンチが引き続き期待しにくいことなどから全体として依然として厳しい事業環境を想定、下期からの市況回復を同社では見込んでいるが、想定どおり進捗するかはやや流動的だろう。またNFTゲーム事業では、新規タイトルの投入が2026年5月期の予定であることから大幅な売上増が期待しにくく、回線事業は引き続き先行投資フェーズとなるため損益の改善は期待しにくい。短期業績はやや逆風下にあるうえ、中期経営計画達成のための事業投資として回線事業への顧客プロモーション費用も嵩む可能性があり、同社の短期業績は厳しい状態が続くことを想定すべきだろう。
3. 中期経営計画
同社が新たに公表した中期経営計画は、2025年5月期を初年度、2029年5月期を最終年度とする5ヶ年の計画である。売上高は2024年5月期の35億円から2029年5月期には倍増の70億円へと大幅に拡大させることを目指す。同社の収益構造上、現在は利益率の高いメディア事業がキャッシュカウとなっているが、第2、第3の事業の柱を早期に構築することが経営課題である。同社が中期経営計画で掲げる基本方針としては、(1) メディア事業における市場規模の大きなグローバル展開と、AIを活用したリアルタイムでのゲーム攻略情報発信の進化による差別化の推進、(2) 回線事業で引き続き積極的なプロモーションを展開し、ゲームに特化した高品質な回線をゲーマー向けに提供することで競争優位性を構築し、営業利益ベースでも2027年5月期より黒字化を目指す、(3) NFTゲーム事業では現行タイトルで4年目を迎えている「EGGRYPTO(エクリプト)」の次期タイトル「EGGRYPTO X」、さらには新規タイトルである「AIM NOVA」を2026年5月期に投入予定、(4) eスポーツ事業では、同社の弱みとなっているインフルエンサービジネスの強化のため、ストリーマーを積極的に獲得することでブランディングを強化し、将来的には動画配信収益・グッズ販売などを増加させることで、大会賞金やスポンサー収入などだけでない安定した収益源の獲得を目指す、が主なものだ。いずれにおいても、同社はゲームメディアとして高い知名度を有していることから、それをどのように新規事業へ効率的に横展開できるかが計画達成のカギになるだろう。
■Key Points
・国内最大級のゲーム情報メディア「GameWith」を運営。eスポーツやNFTゲーム、回線事業といった新規事業の創出にも積極的に取り組む
・2024年5月期は期初計画未達。2025年5月期もゲーム業界の減速影響に加え、中計初年度の先行投資フェーズにあるため、短期的な事業環境は逆風下にある
・新たに策定した中期経営計画では最終年度の2029年5月期に売上高70億円と、2024年5月期比で倍増を狙う
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
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