電算システムHD Research Memo(8):2024年12月期の業績は増収増益を見込み、期初計画は据え置く(2)

配信元:フィスコ
投稿:2024/09/13 16:08
*16:08JST 電算システムHD Research Memo(8):2024年12月期の業績は増収増益を見込み、期初計画は据え置く(2) ■電算システムホールディングス<4072>の今後の見通し

2. セグメント別業績見通し
(1) 情報サービス事業
情報サービス事業の売上高は39,444百万円(前期比10.7%増)、営業利益は1,844百万円(同30.2%増)を見込んでいる。内訳は、SI・ソフト開発30,054百万円(同19.5%増)、情報処理サービス6,221百万円(同3.1%増)、商品及び製品販売3,085百万円(同29.0%減)、その他の収益85百万円(同8.1%減)である。

SI・ソフト開発では、市場が活況なことから同社への引き合いも活発で、クラウドサービスなど数件の案件が進行中である。従来SIビジネスでは顧客オーダーによるシステム受託開発が主流だったが、現在のDX推進の流れでは顧客との協働によるカスタマイズされたソリューションの提供が潮流だ。同社ではこれまでの実績に裏付けられた技術とノウハウを駆使し、顧客ニーズに応える方針だ。高成長のDX市場においては、顧客ニーズに応える技術、サービスの提供に向けて総力で取り組む。また、IT決済やBPO等における強みを組み合わせることでシナジーを発揮し、最適なソリューションを開発する。加えて、引き続き利幅の大きい大型案件の獲得に注力する。なお、大型案件においては、プロジェクト見積もり精度の向上や適切な人材の確保、効率的なプロジェクトチーム構築など、技術以外のソフト面も重視して一段と案件マネジメント力を強化する方針だ。また、技術の共有のみならずアイディア創出などにより、想定外の場面でもプロジェクトを計画どおりに進めることで、適正水準での利益確保を目指す。Google事業では、2024年4月にNECと協業を開始したNEXT GIGAの売上高は、2020年にGIGAスクール構想の「未来の教室」を支援するために参画した「Google for Education」で達成した約1,000百万円の倍の2,000百万円程度を見込んでいる。2025年12月期第1四半期にそのピークを迎えることを予想している。

BPO事業については、主力拠点である東濃BPOセンターでの運用業務を基軸として、伸び悩む状況を打開する。業務効率化などの課題を抱える企業が多いため、同社はこれまでの実績から得た知見を生かし、その課題を解決する画期的なBPOサービスを開発し需要を掘り起こす考えだ。ほかにも、グループシナジーを生かし、SI技術や決済システムなどほかのソリューションとの組み合わせにより、トータルソリューションとして独自性の高いBPOサービスを展開する。BPO請求書作成代行サービスに関しては、参入障壁が低く競合が激しいため、これまでに獲得した顧客基盤を維持するのみならず、新規顧客獲得も図り業績拡大を狙う。

(2) 収納代行サービス事業
収納代行サービス事業の売上高は26,256百万円(前期比9.5%増)、営業利益は2,256百万円(同11.4%減)を見込む。内訳は、収納・集金代行サービス23,821百万円(同8.3%増)、オンライン決済サービス1,257百万円(同26.5%増)、送金サービス302百万円(同17.6%減)、収納代行周辺サービス315百万円(同0.7%減)、その他の収益561百万円(同93.5%増)を計画している。

収納代行サービス事業は、新型コロナウイルス感染症拡大により新たな生活様式が定着したほか、政府の普及促進の後押しもあり、キャッシュレス化及びDXへの対応が急務となるなか、他社との競合は一層激化している。同社は、コンビニ収納代行等の決済サービスを長年展開してきた業界No.1企業として、これまで培ってきたノウハウと決済システムに関する開発力を生かして他社との差別化を図り、優位性を高める考えだ。

差別化のための具体策として、新たなサービスプラットフォームが挙げられる。この1つである「TREE PAYMENT」は、エンドユーザーである顧客が希望するタイミング・手段で決済できるプラットフォームだ。導入企業等の未収金回収をサポートする機能や、顧客自身でインターネットでの口座振替の受付を行える機能を提供し、さらには債権保証型口座振替機能(エンドユーザーの口座からの資金引き落とし不可能な場合に同社が資金を肩代わりする機能)を付加して、利便性の充実を図っている。2024年3月には、住友生命保険で扱う全商品にこの「TREE PAYMENT」での保険料払い込みについてキャッシュレス対応を開始した。

今後キャッシュレス決済がさらに浸透していくなかで、同社は顧客企業の決済機能に関するDXのニーズに応えるサービスを提供し、売上高全体に占めるストック型サービスの割合を高めていく考えだ。また新たな収納代行サービスとして、様々な決済メニューをシンプルかつ安価な手数料でワンストップで提供する新決済プラットフォーム「PayLabo」のサービス提供を2024年1月に開始した。このサービスは、エンドユーザーの購買やサービス利用に伴う多様な代金決済手段や、多種多様な決済事業者に柔軟に対応でき、かつ高度なセキュリティ機能が付加されていることから、「TREE PAYMENT」とともに、他社との差別化ツールとして活用していく。なお、前期第1四半期には、コンビニ収納代行サービスにおいて、顧客都合により大型取引が終了したが、それを補完するに値する規模の契約締結が完了しており、2024年12月期第3四半期以降に稼働する予定だ。現時点で計画どおりに進捗していることから、通期計画達成の確度は高いと弊社では見ている。

収納代行サービスの事業領域は比較的参入が容易なため、価格(手数料)競争が激化しやすい。同社は、顧客視点で利便性の高いサービスを提供すべく、今後は単独のソリューションではなく、スマホ決済やコンビニ収納代行サービス、その他クレジットなども包括した決済手段を開発し、トータル決済サービスとして提供して他社との差別化を図る。また、収益基盤拡大のため、新領域での需要創出にも乗り出す。ターゲット候補は、例えば施設利用料や保育料、公的教育機関での支払いなど、現金決済がメインのサービス系事業領域である。これらに対し、新しい収納代行ソリューションを開発し提供する計画だ。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

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