*11:36JST イード Research Memo(6):2025年6月期は増収かつ、営業利益と経常利益が3期ぶりの増益に転じる見通し
■イード<6038>の業績動向
3. 2025年6月期の業績見通し
2025年6月期の連結業績は、売上高で前期比9.4%増の6,700百万円、営業利益で同12.6%増の590百万円、経常利益で同7.7%増の590百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同126.8%増の370百万円を見込んでいる。売上高は過去最高を更新し、営業利益と経常利益は3期ぶり、親会社株主に帰属する当期純利益は4期ぶりの増益に転じる見通しだ。なお、同見通しには2025年6月期中にM&Aを実施した場合の効果は含んでいない。
事業環境として、インターネットメディア業界においてはネット人口の頭打ちによるユニークユーザー(以下、UU)数やPV数の成長鈍化、またクッキー制限等による広告単価下落の影響などもあり、メディア運営会社の収益源ともなっていたネット広告売上は苦戦し、一部の大手運営会社を除いては厳しい収益環境が続いている。同社ではこうした課題に対する対策として、1) 会員基盤の充実とLTVの向上、2) 広告以外のビジネス開発(360度ビジネス)、3) M&Aによる規模拡大、4) メディア運営支援による相互扶助型連合の拡大、の4点に引き続き取り組むことでネット広告に依存しない収益基盤の構築をさらに推進する。
主要メディアにおけるUU当たりの月額収益の推移を見ると、2022年は全体の約9割を広告収益で占めていたが、2024年6月時点では8割弱まで低下しており、代わりにサブスク収入が順調に拡大している。このため、今後は広告収入に影響するPV数よりも、有料会員化やEC販売なども含めたUU当たり収益をKPIとし、その向上に取り組む。サブスクビジネスは現状、自動車及びネットセキュリティ分野で法人向けを中心に伸びているが、金融や教育、エンターテインメント分野などでも成長ポテンシャルがあり、今後の取り組みが注目される。
一方、広告収益に関してはクッキー利用の減少に伴い低下したターゲティング精度を補うための独自データの獲得(会員登録情報、サイト閲覧情報、アンケート情報等)に注力することで、拡大を目指す。広告単価の下落については直近、沈静化しているようで、2025年6月期のネット広告売上は2022年6月期以来、実質3期ぶりの増収※に転じると見込んでいる。
※ 22/6期の売上高は1,757百万円と21/6期の1,846百万円から減少したが、収益認識会計基準等適用に伴う影響によるもので、同一会計基準ベースでは2,130百万円と実質増収であった。
また、メディア・システムはFITPのデータセンター向けファシリティマネジメント事業の拡大が見込まれる。データ・コンテンツ提供も「エンタメプリント※1」が企業の販促施策として順調に増加しているほか、新たに開始した「ゲムマイド※2」サービスも売上貢献が期待される。これら取り組みによりCP事業は増収増益となる見通しで、CS事業についても営業体制を強化することで増収増益を目指す。
※1 コンビニエンスストアに設置されているマルチコピー機で、人気キャラクター、アイドル、ゲームなどのブロマイドをはじめとした様々なジャンルのコンテンツを購入・プリントできるサービスで、「映画前売券付きブロマイド」などIPを活用したプロモーション施策として生かすことができる。2024年6月期の売上規模は数千万円。
※2 コンビニエンスストアでゲームが印刷できるサービス。
また、前期から取り組んでいるAI技術活用による生産性向上については、情報収集や制作・編集工程において順調に成果が上がっており、今後は配信や収益化(AIによる広告配置や配信の最適化)、営業部門などでも導入していく。AI導入で余剰となった人的リソースについては、サブスクビジネスなど注力事業に再配置する。実際、制作・編集部門の従業員比率は、2022年6月期は31%であったが、前期は29%に、2024年6月期は27%に低下した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
3. 2025年6月期の業績見通し
2025年6月期の連結業績は、売上高で前期比9.4%増の6,700百万円、営業利益で同12.6%増の590百万円、経常利益で同7.7%増の590百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同126.8%増の370百万円を見込んでいる。売上高は過去最高を更新し、営業利益と経常利益は3期ぶり、親会社株主に帰属する当期純利益は4期ぶりの増益に転じる見通しだ。なお、同見通しには2025年6月期中にM&Aを実施した場合の効果は含んでいない。
事業環境として、インターネットメディア業界においてはネット人口の頭打ちによるユニークユーザー(以下、UU)数やPV数の成長鈍化、またクッキー制限等による広告単価下落の影響などもあり、メディア運営会社の収益源ともなっていたネット広告売上は苦戦し、一部の大手運営会社を除いては厳しい収益環境が続いている。同社ではこうした課題に対する対策として、1) 会員基盤の充実とLTVの向上、2) 広告以外のビジネス開発(360度ビジネス)、3) M&Aによる規模拡大、4) メディア運営支援による相互扶助型連合の拡大、の4点に引き続き取り組むことでネット広告に依存しない収益基盤の構築をさらに推進する。
主要メディアにおけるUU当たりの月額収益の推移を見ると、2022年は全体の約9割を広告収益で占めていたが、2024年6月時点では8割弱まで低下しており、代わりにサブスク収入が順調に拡大している。このため、今後は広告収入に影響するPV数よりも、有料会員化やEC販売なども含めたUU当たり収益をKPIとし、その向上に取り組む。サブスクビジネスは現状、自動車及びネットセキュリティ分野で法人向けを中心に伸びているが、金融や教育、エンターテインメント分野などでも成長ポテンシャルがあり、今後の取り組みが注目される。
一方、広告収益に関してはクッキー利用の減少に伴い低下したターゲティング精度を補うための独自データの獲得(会員登録情報、サイト閲覧情報、アンケート情報等)に注力することで、拡大を目指す。広告単価の下落については直近、沈静化しているようで、2025年6月期のネット広告売上は2022年6月期以来、実質3期ぶりの増収※に転じると見込んでいる。
※ 22/6期の売上高は1,757百万円と21/6期の1,846百万円から減少したが、収益認識会計基準等適用に伴う影響によるもので、同一会計基準ベースでは2,130百万円と実質増収であった。
また、メディア・システムはFITPのデータセンター向けファシリティマネジメント事業の拡大が見込まれる。データ・コンテンツ提供も「エンタメプリント※1」が企業の販促施策として順調に増加しているほか、新たに開始した「ゲムマイド※2」サービスも売上貢献が期待される。これら取り組みによりCP事業は増収増益となる見通しで、CS事業についても営業体制を強化することで増収増益を目指す。
※1 コンビニエンスストアに設置されているマルチコピー機で、人気キャラクター、アイドル、ゲームなどのブロマイドをはじめとした様々なジャンルのコンテンツを購入・プリントできるサービスで、「映画前売券付きブロマイド」などIPを活用したプロモーション施策として生かすことができる。2024年6月期の売上規模は数千万円。
※2 コンビニエンスストアでゲームが印刷できるサービス。
また、前期から取り組んでいるAI技術活用による生産性向上については、情報収集や制作・編集工程において順調に成果が上がっており、今後は配信や収益化(AIによる広告配置や配信の最適化)、営業部門などでも導入していく。AI導入で余剰となった人的リソースについては、サブスクビジネスなど注力事業に再配置する。実際、制作・編集部門の従業員比率は、2022年6月期は31%であったが、前期は29%に、2024年6月期は27%に低下した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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