【QAあり】スマサポ、3Q売上高がYonY135.5%、通期予想を上方修正 新生活サポートサービスと入居者アプリが好調維持

投稿:2024/08/19 08:00

2024年9月期第3四半期決算説明

小田慎三氏(以下、小田):株式会社スマサポ代表取締役社長CEO小田慎三です。

藤井裕介氏(以下、藤井):株式会社スマサポ代表取締役副社長COOの藤井です。

小田:まず、昨日夕方に宮崎県日向灘沖で発生したマグニチュード7.1という非常に大きな地震により被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。また、余震など万が一に備え、避難準備やできるだけ事前の対策等、くれぐれもお気をつけいただきたいと思います。

ただいまより、株式会社スマサポの2024年9月期第3四半期の決算説明会を実施します。

NEWS

ニュースを2つご紹介します。まず、1つ目は売上高です。

メインサービスの「スマサポサンキューコール」と入居者アプリ「totono」が順調に伸びています。YoYでは5億3,400万円増、135.5パーセントで着地しています。

2つ目は、営業利益です。

こちらも売上増加に加え、2年前から継続して実施している取引条件の見直しと各種のアライアンスによる業務効率化などを積極的に進めてきました。その結果、黒字に転換し、YoYで1億8,000万円の改善となっています。

INDEX

本日のインデックスです。1つ目は、業績とKPIの進捗についてご報告します。2つ目は、スマサポについてです。毎回ご説明していますが、今回が初めてという方もいらっしゃいますので、あらためてご説明いたします。3つ目は、当社の成長戦略および事業計画をご説明いたします。

2024年9月期第3四半期 業績ハイライト

2024年9月期の第3四半期の業績のハイライトです。売上高は20億3,700万円、YoYで5億3,100万円の増収です。

また、営業利益についてもYoYで1億8,000万円改善しています。

続いて、トピックスについてご報告します。入居者アプリ「totono」が累計20万ダウンロードを突破しました。直近の8月2日のIRで発表したとおり、8月時点では25万ダウンロード突破となっています。

入居者アプリ「totono」はUI・UXのデザインを大幅にリニューアルしたところ、おかげさまで入居者のみなさまから大変ご好評をいただいています。「使いやすくなった」「色味がきれいになって非常に良くなった」というお声をたくさんいただきました。

管理戸数が8万戸を超え、東証プライム市場に上場されている株式会社ジェイ・エス・ビーに「totono」を導入していただきました。みなさまご存知のように、株式会社ジェイ・エス・ビーは学生専門の会社で、デジタルネイティブといわれる世代の方々に我々の「totono」を使っていただき大変ありがたく思っています。

業績の推移_全体

業績報告をスライドのグラフでご説明します。

売上高については、2024年9月期の現第3四半期時点で、2023年9月期通期の19億4,900万円をクリアできています。

前年は赤字決算となっていた営業利益についても、第3四半期は1億600万円の黒字となり、1億8,000万円の改善という大幅なV字回復を果たしています。

2024年9月期第3四半期 主要KPIハイライト

藤井:主要KPIについてご説明いたします。

「スマサポサンキューコール」の導入管理会社数は累計783社となりました。10月1日以来、前期末比で56社増加している状態です。

最重要視するKPIである入居者とのコンタクト数は23万9,188件です。これは入居者にどれだけ連絡を取ることができたかという数字で、商品数×単価でいうところの、商品数に当たります。

今期の目標進捗率は68パーセントと、第3四半期は本来75パーセントですので、想定していた件数よりも若干少なくなっていますが、1商材当たりの単価が非常に伸びています。

入居者とのコンタクト数は、今まで入居時の1点だけでしたが、入居後にサービスを提供するアプリ「totono」と主力の2つのサービスが有機的につながってきています。

従来はインターネットやウォーターサーバーなど、商材を限定して電話1本で販売していましたが、「スマサポサンキューコール」から「totono」へと有機的に連合することで、インターネットとウォーターサーバーに限らず、電気やガス、Wi-Fiなど、商材数が増加してきています。

コンタクト数は68パーセントという進捗ではありますが、連合により、1コンタクトにおける単価が非常に上がってきている状況です。

結果として、トータルの売上が20億3,700万円ですので、その75パーセントほどを占める「スマサポサンキューコール」の売上としては、15億円強が計上されるかたちとなっています。   一方、入居者アプリ「totono」のKPIとしては、不動産管理会社数が121社で、前期末比から17社増加しています。

アプリのダウンロード数に関しては24万2,746ダウンロードで、進捗のうち97パーセントを達成しています。足元では、先日のIRでもご報告したとおり、25万ダウンロードを突破しており、期中の目標をすでにキャッチアップしている状態です。

スマサポサンキューコールの主要KPIの進捗

スライドのグラフは、「スマサポサンキューコール」のKPIの進捗を示したものです。2024年9月期第3四半期のコンタクト数はYoYで3万4,975件増加している状況になります。

入居者アプリ「totono」の主要KPIの進捗

スライドのグラフは、入居者アプリ「totono」のKPIの進捗を示したものです。

契約管理会社数は通期予想154社に対し、4分の3が終わった第3四半期で121社となっています。期末までにあと33社増やすのは厳しいと思ってはいますが、先ほど小田からもありましたように、株式会社ジェイ・エス・ビーのような大口受注を獲得しています。

以前にも申し上げたように、管理会社数はあくまでも指標であり、管理会社が何戸管理しているかが一番重要になってきます。管理戸数でいうと、非常にありがたいことに比較的管理戸数を多く抱える会社と契約できていますので、アプリのダウンロード数に関しても順調に伸びている状況になります。

2024年9月期通期業績予想の修正

そのような状況を踏まえ、本日15時に、決算短信の配信と同時に適時開示というかたちで通期業績の修正も発表しています。本日の発表では、前回発表した25億1,300万円の売上に対し5,800万円の営業利益、26億円の売上に対し1億円の営業利益となり、母数の増減率は70パーセントという非常に大幅な上方修正をかなえることができました。こちらは件数も順調に増加しています。

それに加え、「スマサポサンキューコール」と「totono」のサービス同士の結びつきをしっかり行うことで、各商材を数多く販売することができています。結果として、1コンタクト当たりの単価が上昇していることが見て取れます。

さらに、粗利すなわち営業利益は、原価や販管費も非常にシビアにコントロールしており、前回予想の5,800万円から修正予想は1億円となっています。第3四半期末の実績は、営業利益率が5.2パーセントという状況になりますが、このあたりを引き続き改善していきたいと思っています。

通期の業績の中でいうと、足元の第3四半期終わりの着地が、売上高20億3,700万円、営業利益1億600万円となります。今回の修正で、営業利益1億円ということになりますので、第3四半期終わりで1億600万円あったものが、第4四半期終わりで1億円と、第4四半期単体で見ると赤字となるのが見て取れるかと思います。

これは、入居時サポートとなる「スマサポサンキューコール」の売上が、どうしても引っ越しのシーズンと連動するためです。我々のステージ上でいうと、3月・4月を含む第2四半期・第3四半期は売上が大きく上がり、10月・11月・12月とともに、7月・8月・9月を含む第4四半期は閑散期になります。

つまり、第1四半期と第4四半期に関しては比較的売上が少なく、第2四半期と第3四半期には多くなるという事業の季節性を有していますので、そのような事情から第4四半期に関しては赤字を見込んでいます。

加えて、各種投資を引き続き行っていきたいと思っています。第3四半期の営業利益は1億600万円での着地ですが、通期の着地としては修正後も1億円と見ています。経常利益、当期純利益の段階利益に関しては、営業利益から類推されるという状態になっています。

以上が、本日開示した決算短信および、通期業績予想の修正で発表した上方修正の詳細内容になります。

会社概要

小田:2つ目のインデックスのスマサポについて、あらためて私からご説明します。まずは、会社概要です。当社は、本社を東京に置くほか、大阪、福岡、北海道、和歌山白浜にも拠点を置いています。

経営陣の紹介

経営陣についてご紹介します。私をはじめ、副社長の藤井など、プロパーの役員全員が、不動産管理業界において、入居者と管理会社との問題に取り組んできたメンバーです。

ミッション

スマサポが掲げるミッションは「不動産とIT技術を融合させてsmartなくらしをsupport」です。これまでアナログだった不動産管理会社と賃貸入居者のコミュニケーションの領域で、データやテクノロジーを活用して新たな価値を創造し提供することを、ミッションに掲げています。

事業ドメイン

事業ドメインとしては、不動産の管理業界に対し、我々のアイデアで開発したソリューションをご提供しています。

不動産業界の課題

不動産業界には、書面など紙のデータや電話でのコミュニケーションなどの非効率なやりとりを中心に、さまざまな課題が山積しています。

スライド左側にあるとおり、不動産業界にはさまざまなプレーヤーが存在します。不動産オーナーや、不動産管理会社、不動産仲介会社、そして実際に部屋を探し入居する入居者など、不動産業界に存在するプレーヤー間のコミュニケーションが、どうしてもアナログであるために、さまざまな問題やトラブルが発生しています。

管理会社と入居者のコミュニケーション課題を解決

我々は、管理会社と入居者のコミュニケーションにフォーカスし、課題を解決していこうと立ち上げた会社です。

当社が提供するソリューション

当社が提供する主なサービスソリューションは「スマサポサンキューコール」です。

入居者が引っ越しをする時に必要となるインフラである、インターネットや電気、ガスのほか、ウォーターサーバーなどのご案内、取り次ぎを行っています。

今後、我々のキラーコンテンツとなる入居者アプリ「totono」は、管理会社と入居者との間でアナログかつ一方通行だったやり取りを、デジタルかつインタラクティブ、すなわち双方向でのやりとりに変えていきます。これによって、新たなビジネスのマネタイズや、ビジネスの創出ができると考えています。

こちらもIRで発表していますが、「SKB」は当初、賃貸の入居者と管理会社との鍵のやりとりを便利化しようと考えたサービスでしたが、今、地方自治体において、引き合いを多くいただいています。地方自治体は、例えば公民館や体育館、ゲートボール場のような施設の管理を、市役所の窓口1つで行っているところがあり、市役所にお勤めの方々にとっても鍵の管理が非常に面倒だったためです。

不動産に特化して作った商品でしたが、このあたりも新たな取り組みとして、売上利益に寄与できるものと考えています。

主要サービスのKPIサマリー

主要KPIでは、「スマサポサンキューコール」と入居者アプリ「totono」にフォーカスを当てています。「スマサポサンキューコール」では、契約管理会社のほか、何より入居者とのコンタクト数を重要と考えています。今、このコンタクト数の拡大と併せ、単価も増加しており、売上の増大に寄与しています。

また、入居者アプリ「totono」も契約いただいている管理会社数が増え、120社を超えていますが、それ以上に、実際にお使いいただいているアプリのダウンロード数が主要KPIとなっています。こちらが8月時点で25万ダウンロードを超えました。

スマサポサンキューコール:サービスの概要

「スマサポサンキューコール」のサービスの概要です。従来は、入居者が管理会社にコンタクトをとる機会というと、クレームとはいわないまでも、設備のトラブルや騒音など困り事があって初めてとなるのが主でした。管理会社の立場からすると、入居者とのコンタクトとは、入居者から何か連絡があった時に対応するという、どちらかというとリアクションが主でした。

それが、我々の「スマサポサンキューコール」が入ることにより、まず入居の際に我々からご連絡を差し上げて、これからの新生活におけるインフラの対応や取り次ぎに対応します。

同時に、管理会社の自己紹介ではありませんが、「これから管理会社さんがこのようなかたちで対応してくれますので、この電話番号にかけてください」という案内や、入居時のアンケート調査などを我々が行います。

従来のように何かあった時に初めて連絡するのではなく、まず入居の際に我々が代わりにしっかりとごあいさつして、住み心地の調査や入居時のインフラのお手伝いなどを行うというのが、この「スマサポサンキューコール」の概要となっています。

スマサポサンキューコール:ビジネスモデル

このように管理会社は、我々に業務を委託することによって収益が上がります。我々は入居者にインフラをご提供することで収益が上がります。こちらを管理会社とシェアすることで、管理会社にとっては非常に有益なサービスになります。

totono:サービスの概要

主力商品の入居者アプリ「totono」においては、入居者と管理会社のコミュニケーションを円滑にしていきます。これまではどうしても電話連絡が主になっていたため、就業時間中に電話しないといけなかったり、土日はつながりにくかったりということがありましたが、これをデジタルのチャットコミュニケーションに変えることで、入居者はいつでも気づいた時に連絡が取れるようになります。

totono:ビジネスモデル

これによって、コミュニケーションは活発になりますし、なによりも従来はリアクションばかりだった管理会社が、こちらからアクションをかけることができるため、さまざまなサービスを入居者に展開することも可能となっています。

したがって、冒頭にご説明したように、例えば地震や大型台風など、日本は自然災害と切り離せない生活になっていますが、そのようなことがわかった時にこちらから注意喚起していくことも可能です。地震発生時に対応がわからない、避難場所がわからないといった時も、管理会社の発信で避難誘導や安否確認ができるかたちになっています。

我々は、今後の賃貸不動産業界において、入居者アプリ「totono」はインフラとして欠かせないものと考えているため、いち早くみなさまのお手元に届くよう営業を強化していきたいと思っています。

成長戦略

成長戦略および事業計画についてです。2024年9月期の基本方針は、非連続的成長を図るため、入居者アプリ「totono」の先行投資の期間と位置づけ、「スマサポサンキューコール」とのバランスを見ながらの成長を目指します。

実質的なアクションプランとしては、3つ掲げています。1つ目が「スマサポサンキューコール」の拡大による安定収益の強化です。2つ目は入居者アプリ「totono」の管理世帯数の増加による収益基盤の拡大です。3つ目は入居者アプリ「totono」の他社連携等による収益機会の拡大です。

①「スマサポサンキューコール」の拡大による安定収益の強化

1つ目のアクションプランである、「スマサポサンキューコール」の拡大による、安定収益の強化についてです。昨年2023年8月より、日本最大の管理会社である大東建託グループへサービスの提供を開始し、1年が経過しましたが、順調に稼働を続けています。

また、株式会社リクルートの「申込サポート by SUUMO」という電子申込システムとの連携も果たし、こちらも順調に拡大を続けています。

申込関連業務は今後、紙からデジタルに変わっていきます。株式会社リクルートが提供する「申込サポート by SUUMO」で電子申し込みを行うことにより、我々の「スマサポサンキューコール」と自動連携するため、「SUUMO」の電子申し込みが増えるにしたがって「スマサポサンキューコール」も拡大していくような座組みになっています。

②入居者アプリ「totono」の管理世帯数の増加による収益基盤の拡大

2つ目のアクションプランである、入居者アプリ「totono」の管理世帯数の増加についてです。2024年6月時点で120社を超える契約者数を突破していること、また非常に重要なダウンロード数は8月時点で25万ダウンロードを超えることから、さまざまなアライアンス先との提携が叶っていきます。

③入居者アプリ「totono」の他社提携等により収益機会の拡大

3つ目のアクションプランである、入居者アプリ「totono」の他社連携事例についてです。現在はブックオフグループホールディングスと提携し、引っ越しの際に必ず出る不用品買い取りを宅配で行うようなサービスもスタートしています。

また、警察OBからなる株式会社ヴァンガードスミスという、近隣トラブルの対応、騒音・クレームに対応するコールセンターとも事業連携をしており、騒音・クレーム、近隣トラブルが起きた時はこの株式会社ヴァンガードスミスと「totono」の連携により、入居者には迅速な対応と事態の収束を提供することができます。

管理会社にとっても、従来は自社対応していたものを株式会社ヴァンガードスミスにアウトソーシングすることで、自社の管理業務の削減につながっています。当然ながら「totono」のダウンロード数の増加に伴って業務効率化が叶っていくため、これによって我々は非連続的な成長を目指していきたいと思っています。

成長ストーリー

我々が描く成長ストーリーについてです。当社は設立以来、「スマサポサンキューコール」を基盤として事業を拡大してきました。2022年12月にIPOをしましたが、入居者アプリ「totono」を賃貸業界のプラットフォームにすべく、営業を注力しており、現在は順調に拡大しています。

ここからの成長戦略としては、「totono」からBtoBtoCということで、実際に利用している入居者に対するサービス展開をすることにより、非連続成長を果たしたいと思っています。今はちょうどその過渡期であり、これからBtoBtoCモデルを確立していくフェーズに入る段階ですので、このあたりはぜひご期待いただきたい最重要なところです。

SNSを活用したIR情報の発信

このような我々の取り組みや、新たなアライアンス先との提携といった情報は、株主や投資家のみなさまには、逐一ご報告、配信しています。「X(旧・Twitter)」「note」でIR情報を随時配信しているため、スライドのQRコードからアクセスいただければと思います。頻繁にIR情報を発信しておりますので、ぜひ楽しみにご覧いただけたらとIRチーム一同思っています。

以上が、2024年9月期第3四半期の決算説明です。

質疑応答:来期以降の投資の方針について

小田:「上方修正の数字を見ると、第4四半期単独では営業赤字の計算になります。来期以降に向けた投資を行う前提を可能な範囲で教えてください」というご質問です。

藤井:第4四半期の上方修正の数字から算出された、第4四半期の単独赤字に関してということですが、季節性が主になっています。ただし、季節性だからといって、我々は赤字を許容しているわけではなく、前期の第4四半期単体では5,000万円以上の赤字だったことからすると、600万円と非常に赤字幅を抑える状況になっています。

赤字幅を抑えていることに加え、上方修正を出せるまで利益剰余金もプラスに転じてきている状態からすると、上方修正したところからさらに非連続成長していくという、先ほどの小田の説明も含めると、基本的にはそちらをより強化する部分で投資も強く行っていきたいと思っています。

投資をしっかり行っていくという方針と、従来の季節性を合わせると、今は第4四半期単体では基本的に600万円ほどの赤字を計上している状態です。ただし、これは足元で取り組んでいることがすべてうまく運んでいる状態で、こちらに関しては前期との差異を積み上げて予算立案しているため、当然ながら若干保守的になっています。

足元がより良くなっているところなどを加味して、なんとかそれ以上の成果を収められるように事業展開していければと思いますが、ご質問にあった投資の前提としては、基本的には季節性と第4四半期に向けた投資を強化するという回答になります。

回答は以上ですが、併せて類似のご質問について回答いたします。

質疑応答:営業赤字想定の要因について

小田:「第4四半期単体で営業赤字の想定について、これは投資などの販管費の重さなのか、季節性によるものなのか、保守的な予想のためなのか、要因を教えてください」というご質問です。

藤井:こちらも先ほどの回答でカバーできるかと思いますが、販管費の重さということは特段ありません。事業の季節性とはつまり、売上の季節性にもなるため、結果として売上対比における販管費の重さはどうしても出てきます。つまり、第2四半期、第3四半期が売上としては高く、第1四半期、第4四半期が売上としては低いといったものです。

実際に今期に関しても、第2四半期と第3四半期は大幅黒字の展開で、第1四半期は若干赤字の展開というような状況から類推すると、このあたりは短期、単四半期ベースでも黒字化を図っていく道の半ばという状況になるかと思います。

そこを無理に黒字に持っていくよりも、我々は投資とのバランスを適正に図っていくことを最重要視している状況です。「保守的な予想なのか?」とのご質問に関しては、前期からの積み上げから考えているため、若干保守的にはなっているかと思います。第4四半期の単体赤字に関してはこのような理由です。

質疑応答:決算発表日の調整について

小田:「四半期ごとに自社で説明会を開かれてるのは良い取り組みだと思っています。一方、今回も決算が最も集中する日であり、投資家としては各社の決算を読み取りたいタイミングのため、参加を見送らざるを得ない方々も少なくない気がします。決算発表日の早期化などのご検討の余地はないでしょうか? 目に触れるべき取り組みがやや埋もれている印象で、もったいないと感じています」というご質問です。

藤井:ご質問のとおりだと思います。まず、毎四半期、自社で説明会を開催するのは、我々がIRに対して非常に積極的に考えているためです。これは、良くも悪くもあるかもしれませんが、継続的に投資家とリレーションを取っていくことに関しては当然、ポジティブです。

もう1つ、重要視しているのがフェア・ディスクロージャーです。我々の情報を、個人投資家から機関投資家まであまねくしっかりとお伝えしたいと思っており、毎四半期の自社による説明会は引き続き、開催していきたいと思っています。

一方、決算の集中日に関しては9月決算のため、どうしても3月、6月、9月、12月となりますが、我々も上場2年経って体制の強化なども進んでいることも踏まえて検討しています。

ご指摘の決算発表の早期化に関しては、東証の要請でもあるため、当然ながら他社も早期化していく状況はあるかと思いますが、我々は基本的に決算は15時の場閉まり後と思っています。昨今はチャートがいろいろ動いていますが、我々の基本方針としては、みなさまがしっかりと決算概要をご覧になり、ファンダメンタルをしっかりご理解いただいた上で中長期的な投資をしていただくことに変わりはないため、ご指摘の決算の早期化などを含め、当然検討しています。

また、「目に触れるべき取り組み」とは非常にありがたいお言葉ですが、この点は本日のアーカイブや書き起こし、また「X(旧・Twitter)」や「note」でも多面的に、時間と場所を限定する情報ではなく、いろいろな媒体で当社にアクセスいただければしっかりと対応ができるように努めています。

余談ですが、今お答えしているようなご質問に関しても、「QA Station」という媒体を利用して、一人ひとりのご質問にお答えするようにしています。みなさまにとって気になる部分だと思いますので、それに関してもどんどん開示していくといった姿勢で、我々は引き続き積極開示というIR方針を取っていきたいと思います。

質疑応答:営業利益率などの来期展望について

小田:「営業利益率などの来期の展望について、触れられる範囲でお聞きしたいです」というご質問です。

藤井:営業利益率は、第3四半期終了時点で5.2パーセントほどとなっています。通期では当然ながら第4四半期が少しへこむため、4パーセント前後になります。前回も同じようなご質問をいただき、同じようにお答えしていますが、基本的に目指すべき営業利益水準は2桁パーセントと社内でも共有しています。

それをいつまでに、どのように達成するかに関しては、現状の取り組みをさらに強化し続けて、前期赤字から営業利益率5.2パーセントまで飛躍的に伸びたところのため、この取り組みをしっかり継続的に行うことで、例えば通期5パーセントから期初が始まったとすると、期末10パーセントまで達成したとしても、通期ベースではおそらく7パーセントほどになると思うため、そのような段階を一度挟んで、早期に2桁パーセントを展開していきたいと思っています。

当然、諸々の外的要因もある中ですが、しっかりと利益を積み増していきます。一方、先ほどからご説明しているとおり、我々はグロース段階のため、入居者アプリ「totono」を中心に、より大きな売上、中長期的に見て大きな売上が得られるべき開発に関しては、未来への投資を惜しまず行いたいと思っています。

ただし、当然ながら、ルールなく目先のお金をすべて使うといった姿勢ではなく、営業利益率のバランスをもちろん見ながら進めていきたいと思っています。したがって、結論としては、営業利益率は来期の展望として、改善していく部分になるかと思います。

『四季報』の是非ではありませんが、そういったところからも出ている数字から割り戻すと、営業利益率として7.5パーセントと出ていたため、その水準は我々の考えと大きな相違がないだろうと考えている次第です。

質疑応答:今後における取引条件改定の見込みについて

小田:「取引条件の改定について、今後もさらなる向上が見込めるのかの手応えについて教えていただきたいです」というご質問です。

藤井:我々は売上のトップラインを作っていくことと利益率の改善を並行して行っています。取引条件の改定には2つの側面があります。1つは原価をしっかりコントロールすること、もう1つは売上に商材を追加していくことです。

この2点は、いち担当部署ではなく全社的に取り組んでいるため、料率もルールをもとに進めています。クライアントとのコミュニケーションは、我々にとって最も重要な資産であり、バランスシートには表れない信頼関係という資産をもとにしています。

ご質問については、さらなる向上を見込んでいます。そのことが売上の向上や利益率の向上につながり、それがあって初めて新たな投資にもつながると考えています。個人的に手応えとして感じているところではありますが、この手応えを継続していくということが非常に重要になると思っています。

質疑応答:株式市場の出来高と新規保有者増加への対策について

小田:「現在、株式市場における出来高が非常に少なく、板が薄いことから取引しづらい環境にあり新規保有者が増えづらい状況にあると思います。これに対する対策があれば教えていただきたいです」というご質問です。

藤井:いわゆる板が薄いという状況に関して、我々も出来高を非常に重要視しています。もちろん、今日の株価に対して明日や昨日の株価が何円高くなったか、安くなったかは大切ですが、株式市場ですので上がり下がりが常にあると思います。しかしながら、出来高は1種の人気の指標だと捉えていますので、出来高に関して「まぁ、このぐらいでいいか」とはまったく考えていません。

小田や私をはじめ、経営陣、IR陣全体で、出来高をどのように増やしていくかをプロジェクト的に取り組んでいます。ただし、これは一朝一夕で解決するものではありません。例えば明日が非常に大きな出来高で明後日が少ないということではなく、継続的に出来高を増やしていきたいと思っています。

テクニカルな部分については詳細な回答を避けますが、取り組みベースの話で言うと、このようなIR活動も当てはまります。

「X(旧・Twitter)」をご覧いただくと、証券会社の主催などを含めて、リアル、Webを含めてかなりの数の会社説明会を実施しています。出来高について私個人的な考え方になりますが、何があった時に買うのか売るのかというところで言うと、まず認知していただくことだと思っています。

今回、株式市場は非常に乱高下していますが、このような状況で売る、買うというところも含めて、まずは我々のことを認知していただいています。どのような事業を行っていて、どのような成長性を持っているのだということをしっかりご理解いただくことが、中長期的な出来高の維持につながっていきます。

今日は非常に多くて明日は非常に少ないなど、出来高が安定しなければ、取引はしづらくなります。流動性が低いと売る時に売れない、買いたい時になかなか買えないとなるため、我々は、流動性をしっかり高めるためにIR活動に注力しています。つまり、販管費的なところにコストをかけています。

昨年は通期で赤字が続いていたため、このような活動ができませんでしたが、現在はコストもかけつつ、全国津々浦々で個人投資家や機関投資家のみなさまに対するセッションを行っています。それらの間には情報の格差なく、フェアにディスクローズを行っています。

ご質問に対しては、即時にしっかりと応えるように努め、このような決算説明会も毎回しっかり行っています。ライブ視聴が難しい方には、アーカイブや「X(旧・Twitter)」「note」、文字起こしなどで情報を提供しています。

我々がどのような会社で、どのような取り組みをしているのかを継続的に知っていただく努力が、まず基本だと思っています。

つまり、出来高を増やすために、発行済み株数がそれほど多くない当社の場合、株のシェアの配分などテクニカルな対策もあります。しかし、その前に今お伝えしたところを強化していくことがまず対策の基本だと思っています。

しっかりと出来高を伴い、株価が上昇局面に入ることで、安定した時価総額を目指します。これは、現状の時価総額や今週初の暴落を抜きにしても同様です。小田や私、社内IRチームを含めて決して満足している水準ではないため、我々のファンダメンタルをよりご理解いただきたいと思っています。

質疑応答:機関投資家との面談件数の推移について

小田:「機関投資家との面談件数は増加傾向にあるのでしょうか?」というご質問です。

藤井:先ほどの出来高の話ともリンクしますが、我々の規模や出来高からするとまだまだと思われるかもしれません。しかし非常にありがたいことに、上場以来、ビジネスモデルや今期の実績がしっかりついてきていることも含めて、機関投資家との面談は、毎期、毎四半期ごとに着実に忙しくなる程度の件数をこなしています。

基本的に私が対応していますが、具体的に言うと2桁の件数に達しています。そのため、増加傾向にあるかと言われると難しいですが、一定数に高止まりしています。機関投資家の中には、いわゆる大口のファンドから独立してマイクロファンドを運営されている方も当然います。

そのような方と、対ファンドのことだけではなく個人的なコミュニケーションを重ねていますので、そのような意味では増加傾向ないし高止まりの傾向がしっかりあります。

また、今回の上方修正を含め、我々が現在取り組んでいることは単に業績やKPIの伸びではなくて、KPIの成長がしっかりと売上や利益に反映されてきています。

今期以降、この第3四半期でもいろいろな取材や面談を行っていきますが、そこもより増やしていきますし、我々としても伝えたいことを伝えやすくなっているロケーションだと思っています。

個人投資家へのIRと機関投資家の面談におけるIRには当然差が出ないように、何度もフェアにディスクローズをしていく方針のもと、件数の増加や1件当たりの理解度や解像度をより高めていきたいと思っています。

質疑応答:金利や為替の変動が業績に与える影響について

小田:「金利や為替の変動が、業績に与える影響について教えていただきたいです」というご質問です。

藤井:金利や為替の変動についてお答えします。我々もマクロ的な視点で状況を見ていますが、例えば先週末から今週にかけて株価が下落しました。このような状況では、景気の影響を受けるのは避けられません。ただし、業績にフォーカスを当てると少し異なります。

国内の金利が上がると、最初に影響を受ける可能性がある部分は、我々のお客さまで言うと不動産管理業者です。不動産管理業とは、いわゆるオーナー業であり不動産保有業ではありません。

不動産オーナー業からすると、ファイナンスの元から金利が上がります。そこで、家賃を上げられればかもしれませんが、リアルタイムに上げるのが難しければオーナーの収支が悪化します。

そうすると不動産管理会社からしても「今までのような管理料で運営ができるのか?」という話になると思います。そうなった時に、我々のクライアントである不動産管理会社の業績に影響するかと言えば、間接的に影響を受ける可能性があると思います。

ただし、この影響とは、今の話の流れから悪影響のように思われるかもしれませんが、我々は好影響になる可能性もあると思っています。

それは何かというと、不動産管理会社やオーナーの収益が悪化することによって「今までと同じ運営ではいけない」という話になる可能性があるのです。

そうなった時に、今まで行ってきた業務を業務委託したり、業務をより簡素化させてコスト削減を図らなければいけないと意識するかもしれません。管理会社にそのような意識がより強く芽生えると、我々スマサポでは入居時に「スマサポサンキューコール」、入居後に「totono」というコンテンツを使って、不動産管理業における入居者業務をすべて請け負うことになります。

我々は単なるSaaSのサービス業者ではありません。これまでの説明会でも何度かお伝えしましたが「システムを作ってそれを卸して終わりです。あとはサブスクで利用されるのでMRRがかかります」という世界ではなく、導入したあともしっかりとコミュニケーションが取れるところが我々の強みです。

実際「totono」上でのチャットの返信とかいうBPO業務に関しても非常に伸びてきていることを考えると、そのように金利等が上昇するということによって、オーナーの状態が変わって管理会社の状態が変わり、結果的に我々の存在価値をより高めていくことができます。

その意味で言うと、個人的な考えではありますが、良い影響を受ける可能性は十分にあり得ると思います。当然、不動産業全体がシュリンクする可能性もあるため、悪い影響も睨んでおく必要があると思います。

このように、金利が上がった場合に、ひどい悪影響を受けて困るマーケットではないと考えています。

また、為替に関しても同様に、基本的にはドメスティックな商売をしているため、一般的な輸出企業のように、為替における影響が直接あって、想定為替レートから高い、低いという影響は基本的にはありません。

ドメスティックに為替が大きく動く局面で言うと、やはり我々のように為替の影響を受けづらく、かつファンダメンタルでしっかり伸ばしていく会社には、存在価値があり、株の受け皿として有効だと思っています。

このあたりに関しても、悪い影響というよりはむしろ良い影響が及ぼされると思います。これは業績の話ですし、株価ということに関しては、冒頭でお伝えしたように、さまざまな影響があると思います。

いずれは、狼狽売りやチャート的な買いなどもあると思いますが、中長期的に見るとファンダメンタルの決算や業績をしっかりと伸ばしていける会社だと考えているため、そのような影響を見込んでいます。

質疑応答:中期経営計画の策定について

小田:「中期経営計画の策定の予定はありますか?」というご質問です。

藤井:中期経営計画の策定については、前回の決算でお話ししたように、予定はあります。

ただし、中期経営計画で端的に3ヶ年を見通そうとした場合に、前期取り組んできたことがあって当期の足元で反映されています。我々は今期は業績が上方修正と非常にポジティブな状態です。

中期経営計画は、基本は現在の通期をもとにするべきだと考えています。そのスタートとなる1期がどのような状態なのかというところをベースに考える必要があります。数値に落とし込まず、単純に中期の方針のような話であれば、先ほどの成長戦略のように言えると思います。

しかし、投資家のみなさまに対して責任を持って開示するのであれば、数値を伴った中期経営計画でなければ意味がないだろうという考えが大前提です。それを考えた時に、今の進行期である既存の1期をしっかりキャッチアップして終わることを、まず最優先としました。

例えば単価の話、取引先別収支の話、販管費の構造の話など、当然経営陣は毎月経営会議であり取締役会であり、そこのところをかなり議論していますので、このようなところをしっかりと、この体制でいくらまでの売上が維持できるのかというようなことも含めました。

先ほどのご質問に関連するかもしれませんが、目標とされる営業利益率をしっかり示せる段階で中期経営計画をローンチしたいと思っています。

一方、中期経営計画をローンチしたいという気持ちがある一方で、入居者アプリ「totono」の導入が進むにつれて、ニーズの形が変化しています。現在、100社を超えて全国の都道府県にご利用いただいています。

冒頭、日向灘の地震の話もありましたが、今年の元日には石川県能登で地震がありました。そのような災害時のいわゆるインフラとして、安否確認も含めて入居者の生活や家屋の損壊状況の確認でも「totono」を活用いただいている管理会社が増えてきています。

地震や震災などネガティブな話ばかりでしたが、このようなことを入居者に伝えたいんだというところを含め、しっかりとポジティブに活用できている管理会社が増えてきています。

そこで我々としては「totono」における開発や機能開発、プロモーションに関しては、中期経営計画の利益率のように縛られるものではなく、投資家のみなさまもそこだと思いますが、中期的に伸びていくところがあると思います。

その伸びに対する期待に応えられるような、投資はしっかり行いたいと思います。中期経営計画の中でも、投資計画に関しては、しっかりと練った上で出していきたいと思っています。

入居者アプリ「スマサポサンキューコール」もそうですが、取引先が増えてダウンロード数が増えてくるのは非常に良いことです。ダウンロード数が増えてくることによって、どのようにチャットを返せるか、このような機能が必要だという改善活動を、実際の現場でも行っています。

システム納品して終わりという単なるSaaSの会社の場合、その後の改良は自社で対応していくことになると思います。我々は、管理会社や入居者に提供した後のチャットの返信など、現場にまで踏み込んでいるため、現場と改良のチームが定期的に打ち合わせを行う環境を整えています。

この状況で、よりお客さまにとって使い勝手の良いものにしていくところが、非常に重要だと思います。そのあたりも踏まえて、中期経営計画を練っていきたいと思っています。

私としても、早く出せるようにしたいと思う一方、しっかりとしたものを練らなければならないと思っていますので、このあたりを踏まえて策定をしていきたいと考えています。

小田氏からのご挨拶

小田:何か追加で質問がある時には、スライドにある「X(旧・Twitter)」、「note」などを通じて、当社にご連絡いただければと思います。よろしくお願いします。

それでは本日の第3四半期の株式会社スマサポの決算説明会を終了したいと思います。本日は本当にたくさんのみなさまにお集まりいただきまして、ありがとうございます。引き続き株式会社スマサポをよろしくお願いします。ありがとうございました。

藤井:ありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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