円高の暴風雨は一旦収束か
![ユーロ/円・週足・複合チャート](https://tatsujin.minkabu.jp/wp-content/uploads/2024/08/20240809_chart.png)
【注目ポイント】「162.620円」を上抜けブレークするか否か
【シナリオ①】同レート超えなら、「170.000円」付近までの上昇を想定
【シナリオ②】同レート超え失敗(=上値抑制)なら、「153.000円」割れを模索する動き
【今後1カ月程度の“主戦場”(コアレンジ)】「153.000~170.000円」
先月11日に史上最高値となる「175.391円」を付けた後、「上値抑制」→「下値切り下げ」の動きとなっているユーロ/円。今週5日の急激なリスク回避の動きに伴う円高フロー、いわゆる“植田ショック”もあり、一時昨年12月以来の安値となる「154.295円」まで下落。その後は、「下げ過ぎの反省/修正相場」→「反発/上昇フロー」となり、足もとでは160円台を回復する動きとなっています。
週足チャートの各メルクマールをそれぞれ見ていくと、1) 26週および52週MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態になっていること、3) BB(ボリンジャーバンド)・±2σラインが26週MAに対してパラレル推移となっていること、そして4) ローソク足の上方に青色雲(=先行スパン、サポート帯)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があることから、現在のユーロ/円・週足チャートは、レンジ相場を示すチャート形状であると判断します。
他方、足もとではユーロ/円の下げ過ぎからの反発/上昇フローを示唆する2つのメルクマールが出現しています。
1つ目は、チャート下部にあるオシレーター系指標であるスローストキャスティクス。足もとでは、同指標を構成する2本の線(上図赤色および青色線)が「売られ過ぎ」を示す20%ライン付近で交差しつつあります(上図青色点線丸印)。仮に同ライン付近で両線が交差し、その後右肩上がりとなる“ゴールデン・クロス”(上図青色丸印)が示現した場合は、「下値固め完了」→「反発/上昇フロー」のトリガーとなり得そうです。
そして2つ目は、今週のローソク足形状。本稿執筆(9日午前8時)時点では、“安値圏からの上昇転換”を示唆する「下影(したかげ)陽線」(上図黄色丸印)となっています。今週の終値ベースで同形状が維持された場合は、上述したスローストキャスティクスの“ゴールデン・クロス”と合わせる形で、「下値固め」→「反発/上昇フロー」となる蓋然性(がいぜんせい)が高そうです。
上述した2つのメルクマールについては、“フェイク(ダマし)”にも十分留意しつつ、着目すべきでしょう。
そんな中、目先注目すべきポイントは・・・約1年間における市場参加者の平均コストを示す52週MAをメドとする「162.620円」(上図黄色矢印および黒色線)を上抜けブレークするか否か。
筆者が想定する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)
[シナリオ①]
今後、「162.620円」を終値ベースで上抜けブレークした場合は、「重要ライン突破」→「もう一段の上値追い」となりそうです。当該ケースでは、「遅行スパンのローソク足への近接継続」や「(約半年間における市場参加者の平均コストを示す)26週MA(≒166.430円)超え」、また「スローストキャスティクスの“ゴールデン・クロス”示現」なども伴いながら、BB・+1σラインをメドとし、同時に心理的な節目である「170.000円」(上図Ⓐ赤色線)付近までの上昇を想定すべきでしょう。
[シナリオ②]
一方で、「162.620円」の上抜けブレークに失敗(=上値抑制)した場合は、「上値抵抗圧力の強まり」→「下値切り下げ」となりそうです。当該ケースでは、「遅行スパンの“逆転”」や「下降バンドウォークの示現」、また「スローストキャスティクスの20%ライン付近での揉み合い」なども伴いながら、昨年12月7日に付けた安値水準である「153.000円」(上図Ⓑ水色線)割れを模索する動きとなりそうです。
上記シナリオ①および②を概括すると、現下のユーロ/円は急激な下落フローからの自律反発を模索する相場付きとなる中、当面※は「153.000~170.000円」を“主戦場”(コアレンジ)とする動きになりそうです。 (※ここでの「当面」は、1カ月程度のスパンを想定しています。)
足もとでは、7日の内田日銀副総裁による“植田ショック”火消し発言もあり、一時のパニック的な円高フローにやや落ち着きが見られます。ただし、「8月相場は円高・株安フローになりやすい」という季節的なアノマリーが厳然と存在するため、引き続き注意が必要です。
また、イランによる対イスラエル報復といった地政学リスクや本邦自然災害観測等の漠たる不安要素がある中、本邦市場(東京時間)の取引参加者が減少する次週のお盆休みの期間中は流動性が低下することが想定されます。そのタイミングで何らかの材料となり得る事象が発生した場合は、ボラティリティが急激に上昇する可能性もあるため、十分な注意・警戒が必要です。トレードに際しては、『休むも相場』も取り入れつつ、リスク管理主体で臨んでいただくようくれぐれもお願いします。
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