S&P500 月例レポート ― ギャング・オブ・フォーが最高値更新を牽引 (4) ―

配信元:株探
投稿:2024/04/19 11:41

●個別銘柄

 ○ディスカウントストア大手のダラー・ツリーは、企業合併後の統合不良、インフレ、万引きの影響を理由に、今後数年間で低所得層向けファミリー・ダラーの1万6700店舗のうち約1000店舗を閉鎖すると発表しました。

 ○メキシコ料理のファストフードレストラン、チポトレ・メキシカン・グリルは、株主の承認を条件に、50対1の株式分割を実施すると発表しました。現在、1株当たり2900ドルで取引されている同社の株式(S&P500指数の構成銘柄のうち、株価が4番目に高い銘柄。ちなみに、住宅建築業者NVRの株価は7900ドル)は、株式分割後の株価が58ドルとなります。

 ○米司法省は、アップルをスマートフォン市場の独占による連邦独占禁止法違反で提訴しました。

 ○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、ヘルスケア企業のソルベンタムと資本財・サービス企業のGEベルノバ(ゼネラル・エレクトリックからスピンオフ)をS&P500指数 に加え、アパレル企業のV.F. Corporationと歯科用医療機器メーカーのデンツプライ・シロナを同指数から除外しました。

●注目点

 ○ビットコインは2021年11月10日に記録した高値の6万8789ドルを上回る7万3750ドルをつけ、最高値を更新しました。その後、急落して一時5万9000ドル台をつけ、6万5420ドルで3月の取引を終えました。

 ○金価格も1トロイオンス=2215ドルをつけて過去最高を更新し、2184ドルで月末を迎えました。

 ○米国政府は半導体メーカー大手インテルに対し、米国内の新工場の建設資金として、2022年CHIPS法(CHIPS and Science Act)を通じた最大85億ドルの補助金と、110億ドルの融資を提供すると発表しました。

 ○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、オンライン小売りのアマゾン・ドット・コムをダウ平均に追加し、小売ドラッグストアのウォルグリーン・ブーツ・アライアンスを同平均から除外しました。

 ○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、テクノロジー企業のスーパー・マイクロ・コンピューターと靴メーカーのデッカーズ・アウトドアをS&P500指数に採用し、家電製品メーカー大手のワールプールと地方銀行のザイオンズ・バンコープを同指数から除外しました。

●配当金

 ○2024年第1四半期の配当支払い額は1株当たり18.06ドルで、過去最高を記録した前四半期の18.38ドルから1.7%減、前年同期の17.54ドルから3.0%増となりました。支払総額は1516億1000万ドルで、前四半期の1541億ドルからは減少、前年同期の1467億6000万ドルからは増加しました。

 ○2024年3月の配当支払い額は前年同月比9.0%減少しました(2024年1月は同7.4%増、2月は同11.1%増)。年初来の第1四半期の配当支払い額は前年同期比で3.0%増加しました。

  ⇒3月の配当支払額は前年同月の1株当たり6.36ドルから5.79ドルに減少し、支払総額も前年同月の532億3000万ドルから486億ドルに減少しました。

 ○2024年3月は、増配が15件、配当開始が0件、減配が1件で、配当停止は0件でした。2023年3月は、増配が26件、配当開始が0件、減配が2件、配当停止が1件でした。

  ⇒年初来の第1四半期では、増配が119件、配当開始が3件、減配が7件、配当停止が0件となっています。2023年第1四半期は、増配が134件、配当開始が1件、減配が6件、配当停止が2件でした。

  ⇒2023年通年では、増配が348件、配当開始が11件、減配が26件、配当停止が4件ありました。2022年は、増配が377件、配当開始が7件、減配が5件で、配当停止はありませんでした。

 ○3月の増配率の中央値は、2月の6.80%および1月の6.90%から7.14%に上昇し、年初来では6.80%となっています。3月の平均増配率は2月の8.91%から8.04%に低下し、年初来では8.46%となっています(いずれも2倍以上になった銘柄を除く)。2023年の年間の増配率の中央値は7.01%(2022年と2021年はともに8.33%)、平均値は8.68%(同11.80%、同11.76%)でした。

 ○2024年の配当に関して、予想は増加となっており、年間の増配率は1936年以降の平均である5.79%前後となる見通しです。この予想ではFRBによる2024年第2四半期末時点での利下げ開始に加えて、景気の大幅な減速は回避され、政府の財政政策の大きな調整はない(政策とインセンティブの継続を予想)ことを織り込んでおり、2024年の実際の現金支払額は、2023年の5880億ドルから約6.0?6.5%増加して、6290億ドルになると予想しています(2023年は5.05%増、2022年は10.80%増)。これにより2024年の現金配当は、15年連続の増加と13年連続の過去最高の更新が見込まれます。

●インデックス・レビュー
◇S&P500指数

 S&P500指数は上昇基調が続き、終値での史上最高値を複数回更新しました。同指数は5100と5200の水準を突破してそれを上回って推移し、3月に終値での最高値を8回更新して、年初来での最高値更新を22回としました(データが遡れる1929年以降で過去最多の1995年の77回を上回る勢い)。2023年は最高値の更新がなく、2022年も1回だけでした(最初の取引日の2022年1月3日)。S&P500指数は3月に3.10%上昇して、5254.35と史上最高値を更新して月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス3.22%)。2月は5096.27で終え、5.17%上昇(同プラス5.34%)、1月は4864.60で終え、1.59%の上昇(同プラス1.68%)でした。年初来の第1四半期では10.16%の上昇(同プラス10.56%)でした。

 3月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は0.73%と2月の0.74%から低下し、年初来では0.75%となっています。なお、2023年通年は1.04%、2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした(長期平均は1.42%)。3月の出来高は、2月の前月比4%増加の後に、同5%増加し(営業日数調整後)、前年同月比では12%減少しました。2024年3月までの12ヵ月間は前年同期比5%減少しています。2023年通年では前年比1%減で、2022年通年は同6%増でした。

 3月は2月と同様に11セクターすべてが上昇しました(1月は5セクターが上昇)。年初来の第1四半期では11セクター中10セクターが上昇しています。3月のパフォーマンスが最も良かったのは、10.43%上昇したエネルギーです(年初来では12.69%上昇、2021年末比では70.61%上昇)。騰落率最下位となったのは一般消費財で、3月は0.01%の上昇(同4.75%上昇、同7.78%下落)でした。

 S&P500指数は1月の6回、2月の8回に続き、3月に8回史上最高値を更新し、これで年初来の史上最高値の更新回数は22回となりました。3月は1%以上変動した日数は20営業日中3日(上昇が2日、下落が1日)で、2%以上上昇した営業日はありませんでした。2月は1%以上変動した日数は20営業日中4日(上昇が3日、下落が1日)でした。年初来では、1%以上変動した日数は10日(上昇が7日、下落が3日)で、2%以上変動した日数は1日(上昇)でした。2023年通年は、1%以上変動した日数が250営業日中63日(上昇が37日、下落が26日)、2%以上変動した日数が2日(上昇が1日、下落が1日)でした。

 3月は20営業日中5日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上の変動はありませんでした。対して2月は1%以上の変動が20営業日中4日で、2%以上の変動はありませんでした。年初来では、13日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上の変動はありませんでした。2023年通年では1%以上の変動が113日、2%以上の変動が13日で、3%以上の変動はありませんでした(直近で3%以上の変動があったのは2022年11月30日)。2022年は1%以上の変動が218日、2%以上の変動が89日、3%以上の変動が20日でした(4%以上の変動が4日、5%以上の変動が1日)。

 3月は値上がり銘柄数が増加し、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回りました。3月の値上がり銘柄数は402銘柄(平均上昇率は6.32%)と、2月の351銘柄(同7.33%)から増加しました。年初来では369銘柄(同13.41%)が上昇しています。3月の10%以上上昇した銘柄数は72銘柄(同13.88%)と、2月の96銘柄(同15.04%)から減少し、25%以上上昇した銘柄も1銘柄と、2月の4銘柄から減少しました。一方、3月の値下がり銘柄数は100銘柄(平均下落率は3.57%)と、2月の151銘柄(同4.21%)から減少しました。3月は10%以上下落した銘柄数は5銘柄(同14.62%)で、2月の9銘柄(同14.57%)から減少し、25%以上下落した銘柄は2月と同様にありませんでした。

 2024年年初来では、値上がり銘柄数は369銘柄(平均上昇率は13.41%)で、199銘柄(同20.27%)が10%以上上昇し、35銘柄が25%以上上昇しました。一方、値下がり銘柄数は134銘柄(平均下落率は6.70%)で、28銘柄(同17.03%)が10%以上下落し、4銘柄が25%以上下落しました。2023年通年では2022年から改善し、値上がり銘柄数は322銘柄で、値下がり銘柄数は179銘柄でした。10%以上上昇した銘柄数は248銘柄、10%以上下落した銘柄数は85銘柄でした。143銘柄が25%以上上昇し、20銘柄が25%以上下落しました。


[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト


※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。

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