*13:28JST 窪田製薬HD Research Memo(8):NASA向けプロジェクトは中断中だが政権交代で再開される可能性も
■主要開発パイプラインの概要と進捗状況
4. 宇宙飛行士向け超小型眼科診断装置「SS-OCT」
窪田製薬ホールディングス<4596>は2019年に、宇宙飛行で発症する眼疾患に関する研究を行うための超小型眼科診断装置「Swept Source-OCT(以下、SS-OCT)」の開発プロジェクトに関してNASAと開発受託契約を締結し、2020年初に第1フェーズの開発ミッションを完了した。開発の第2フェーズについては2021年に米政府が民主党に政権交代したことや、コロナ禍の影響で国家予算がコロナ対策に振り向けられた影響でNASAの開発予算が削減され、その後は中断状態が続いている。
同プロジェクトは、長期的な宇宙飛行を経験した宇宙飛行士の約69%が、視力障害や失明の恐れがある神経眼症候群を患っているという研究報告※をもとに、宇宙飛行が眼領域に与える影響を研究することが目的である。現在、国際宇宙ステーション(International Space Station、以下、ISS)で使用されている市販のOCTは据え置き型で操作が複雑であり、数ヶ月間のISS滞在中に宇宙飛行士は3回しか検査できていなかった。今回、開発する超小型SS-OCTは、飛行士自身が毎日測定して記録を保存することが可能で、宇宙飛行が眼疾患に与える影響をより詳細に分析することで、疾患リスクの軽減や予防などに役立てていく。
※かすみ目や視神経乳頭浮腫、眼球後部平坦症、綿花状白斑等の眼疾患症状が報告されている。
開発フェーズは全体で3ステップに分かれており、第1フェーズのミッションは、耐久性と安価な光源であるレーザーを使用した概念実証(POC)の確認で、複数のレーザーを用いて視神経乳頭の形状を高解像度で測定する装置を開発することであった。2020年1月にNASAで実施したデモンストレーションでは、NASAのプロジェクト担当者から高い評価を受けた※。2020年2月に第1フェーズの開発を終了し、同年4月に開発報告書をNASA及びTRISHに提出し、開発受託収入37百万円を2020年12月期に事業収益として計上した。
※NASA担当者から、次のようなコメントが寄せられた。「小型でありながら操作が簡単で、データ処理が早い。宇宙飛行中の眼球への影響を研究するために、ISSで大いに役立つと信じている」「フェーズ1の使用条件を満たしているだけでなく、期待以上の完成度であった。外見も洗練され、軽くて持ちやすい。フェーズ2での仕上がりが楽しみである」
第2フェーズは、同装置を用いてどのような画像解析手法で宇宙飛行に起因する眼疾患の検証を行うか、運用上で必要となる要件定義を固める工程となり、最終の第3フェーズでは、実際に宇宙飛行環境において使用可能な装置の開発を進める工程となる。具体的には、宇宙放射線被ばくに対する耐久性を持ち、無重力環境下で宇宙飛行士自身が操作できるハードウェアの開発を提携企業と共同開発することになる。
現在はプロジェクトが中断中であるが、NASAのプロジェクト担当者とは定期的にミーティングを行っており、継続の意向を確認している。このため、今後開発予算が付き次第、再開されるものと予想される。NASAでは月面飛行プロジェクトが動き始めるなど予算が再び付き始めていることから、今後プロジェクトが再開される可能性は十分にあると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<AS>
4. 宇宙飛行士向け超小型眼科診断装置「SS-OCT」
窪田製薬ホールディングス<4596>は2019年に、宇宙飛行で発症する眼疾患に関する研究を行うための超小型眼科診断装置「Swept Source-OCT(以下、SS-OCT)」の開発プロジェクトに関してNASAと開発受託契約を締結し、2020年初に第1フェーズの開発ミッションを完了した。開発の第2フェーズについては2021年に米政府が民主党に政権交代したことや、コロナ禍の影響で国家予算がコロナ対策に振り向けられた影響でNASAの開発予算が削減され、その後は中断状態が続いている。
同プロジェクトは、長期的な宇宙飛行を経験した宇宙飛行士の約69%が、視力障害や失明の恐れがある神経眼症候群を患っているという研究報告※をもとに、宇宙飛行が眼領域に与える影響を研究することが目的である。現在、国際宇宙ステーション(International Space Station、以下、ISS)で使用されている市販のOCTは据え置き型で操作が複雑であり、数ヶ月間のISS滞在中に宇宙飛行士は3回しか検査できていなかった。今回、開発する超小型SS-OCTは、飛行士自身が毎日測定して記録を保存することが可能で、宇宙飛行が眼疾患に与える影響をより詳細に分析することで、疾患リスクの軽減や予防などに役立てていく。
※かすみ目や視神経乳頭浮腫、眼球後部平坦症、綿花状白斑等の眼疾患症状が報告されている。
開発フェーズは全体で3ステップに分かれており、第1フェーズのミッションは、耐久性と安価な光源であるレーザーを使用した概念実証(POC)の確認で、複数のレーザーを用いて視神経乳頭の形状を高解像度で測定する装置を開発することであった。2020年1月にNASAで実施したデモンストレーションでは、NASAのプロジェクト担当者から高い評価を受けた※。2020年2月に第1フェーズの開発を終了し、同年4月に開発報告書をNASA及びTRISHに提出し、開発受託収入37百万円を2020年12月期に事業収益として計上した。
※NASA担当者から、次のようなコメントが寄せられた。「小型でありながら操作が簡単で、データ処理が早い。宇宙飛行中の眼球への影響を研究するために、ISSで大いに役立つと信じている」「フェーズ1の使用条件を満たしているだけでなく、期待以上の完成度であった。外見も洗練され、軽くて持ちやすい。フェーズ2での仕上がりが楽しみである」
第2フェーズは、同装置を用いてどのような画像解析手法で宇宙飛行に起因する眼疾患の検証を行うか、運用上で必要となる要件定義を固める工程となり、最終の第3フェーズでは、実際に宇宙飛行環境において使用可能な装置の開発を進める工程となる。具体的には、宇宙放射線被ばくに対する耐久性を持ち、無重力環境下で宇宙飛行士自身が操作できるハードウェアの開発を提携企業と共同開発することになる。
現在はプロジェクトが中断中であるが、NASAのプロジェクト担当者とは定期的にミーティングを行っており、継続の意向を確認している。このため、今後開発予算が付き次第、再開されるものと予想される。NASAでは月面飛行プロジェクトが動き始めるなど予算が再び付き始めていることから、今後プロジェクトが再開される可能性は十分にあると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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