【QAあり】THECOO、新しい価値の創造の実現、新規ファン・コミュニティ獲得を掲げ、利益体質への転換を図る
“できっこない”に挑み続ける
平良真人氏(以下、平良):本日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。最初に、会社・ビジネスの概要についてご説明します。
私どもが最も大事にしている考え方は、「“できっこない”に挑み続ける」です。こちらの考えに共感した社員とともに、さまざまな事業を興してきました。これからも失敗を恐れることなく、新しいビジネス、事業にチャレンジしていきたいと考えています。
会社概要
会社概要です。2014年1月に創業し、現在は原宿にオフィスを構えています。140名超のメンバーとともに、主に2つの事業を行っています。
2つの主力事業
2つの事業についてご説明します。祖業であるインフルエンサーマーケティングを中心としたデジタルマーケティング事業と、成長事業として位置づけているファンビジネスプラットフォーム事業で私どものビジネスは成り立っています。
事業内容
それぞれの事業のビジネスモデルについて、簡単にご説明します。デジタルマーケティング事業は、オンラインの代理店事業に近しいものがあります。デジタルマーケティングの運用のコンサルテーションやインフルエンサーのマーケティングを中心としたソリューションを広告主に提供し、フィー並びにマージンをいただく代理店ビジネスモデルです。
成長事業であるファンビジネスプラットフォーム事業は、「Fanicon」という月額会員制のファンコミュニティプラットフォームを提供しています。月額会費を支払うことにより、さまざまなアイコンのコミュニティに入会でき、ファンのみなさまからお金をいただくことで当社とアイコンがレベニューシェアをするビジネスモデルです。
新時代のファンコミュニティ
成長事業の「Fanicon」について、詳しくご説明します。「Fanicon」は新時代のファンコミュニティと位置づけています。ファンベースは大小問わず、誰でも簡単に自分のコミュニティ・ファンクラブが開設できるプラットフォームです。ファンは月額会費を支払うことにより、自分の推しであるアイコンのコミュニティに入会可能です。
ファン・アイコン、ファン同士の双方向でコミュニケーションをすることにより、さらに高いエンゲージメントが生まれ、自分の推しのアイコンの活動を支えることでファンも自ら楽しめるプラットフォームです。
なぜ完全有料制・完全会員制なのか
大きな特徴として、完全有料制・完全会員制にした理由についてご説明します。これには大きく3つ理由があります。
1つ目は、ファンやファンベースの大小問わず、必ずコアなファンがいるため、完全有料制・完全会員制で運営することで、コアなファンとともに成長していくことができます。エンゲージメントを高めて熱量を維持していくことが可能です。
2つ目は、ファンから応援していただくことで、結果として安定した収益がアイコンに還元されます。
3つ目が特に大事で、自分が推しているアイコンのコミュニティに入ることで、アンチのいない安心安全な空間が作られます。心理的安全性が担保されることにより、アイコンはファンとの距離をさらに縮めることができ、エンゲージメントを高めることが可能です。
ご利用中のアイコン一例(一部抜粋)
現在、多数のアイコンのみなさまにご活用いただいています。スライドに掲載しているアイコンはごく一部の例ですが、アイドルやアーティスト、俳優、ミュージシャン、タレント、インフルエンサー、スポーツチーム、K-POPアイドルなど、さまざまなカテゴリーやジャンルのみなさまに活用されています。
【デジタルマーケティング事業】インフルエンサーセールス事業の特徴
当社の特徴と強みについてご説明します。まずはデジタルマーケティング事業の特徴と強みです。インフルエンサーセールス事業は、インフルエンサー側ではなく、もともとマーケティングやセールスを担当していたメンバーで創業しています。
そのような特徴を活かして、データに基づいたインフルエンサーの提案、インフルエンサーマーケティングのソリューションを提供しています。そのツールの中心には、自社で開発した「iCON Suite」があります。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】 SNS全盛期におけるファンコミュニティの在り方
ファンビジネスプラットフォーム事業の特徴と強みについてご説明します。スライドには、これまでのスターやアイコンとファンがどのように触れ合い、コミュニケーションを取り、ファンベースを広めていったのか、その違いを図で示しています。
従来のマスメディアはテレビが中心で、2000年代までは一部の限られた人が出演し、多くのファンを獲得していく流れが続いていました。
その後、パソコンの普及により、インターネットを使ったコミュニケーションがスタートしました。2020年代に入るとSNSやスマホの普及により、誰もが自分を表現したり、アート作品を作ったり、ファンとの交流ができるようになり、ファンも自分の嗜好に合ったアイコンを見つけて推すことが可能になりました。
簡単に言いますと、これまでは「1対N」のコミュニケーションだったものが、「N対N」に大きく変わってきたのが、時代の大きな変化だと考えています。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】 新たなサービスが求められるエンタメ領域
インターネット上のツールやアプリケーションの普及により、さまざまなコミュニケーションをとることができるようになりましたが、ファンビジネスにおいては通常のSNSには多くの課題があると認識しました。そのため、ファンビジネスプラットフォームである「Fanicon」をスタートし、大きく成長してきました。
課題は、大きく3つあると考えています。1つ目の課題は収支面で、限られたアイコンのみが開設可能となっていたことです。ある程度のファンベースがないとファンクラブが開設できず、1つのファンクラブを開設・運営するには非常にコストがかかることが、アイコン側の課題としてありました。
ファン側からすると、自分が推したいアイコンやアーティストがいても、ファンクラブが存在しないという課題がありました。
2つ目の課題は、サービスラインナップです。SNSが普及する中で、双方向のコミュニティがオープンなプラットフォームですでに存在しているにもかかわらず、アイコン側からすると、コアなファンに対するサービスができませんでした。ファンからすると、従来のファンクラブと同様に、チケットやグッズを購入するという、コミュニケーション以外の目的しかありません。
3つ目は2つ目の課題にも近いところで、コミュニケーションです。双方向のプラットフォームがある中で、コアなファンとアイコンの間でコミュニケーションが起きていないことが大きな課題としてありました。結果として、アイコンはリアルな現場以外ではファンの声をリアルタイムに聞くことができませんでした。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】 新しい “コミュニティ” プラットフォーム『Fan』+『Icon』=「Fanicon」
これらの課題を解決するためにスタートしたのが、「Fanicon」です。「Fanicon」は、スタート当初からファン・アイコン双方向のコミュニケーションを非常に重視したサービスを提供しています。
双方向ということで、「N対N」のコミュニケーションができることにより、ファン・アイコン、ファン同士のつながりが強くなり、さらに強いエンゲージメントが達成できるプラットフォームになっています。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】 アイコン・ファンによる“コミュニティ”の共創
アイコンとファンによるコミュニティの共創が「Fanicon」で生まれています。「N対N」のコミュニケーションによる高いつながり・エンゲージメントが起きており、双方向で新しいアイディア・動きが発生しています。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】 Faniconのビジネスモデル
「Fanicon」のビジネスモデルについてご説明します。現在、2,900組以上のアイコンに「Fanicon」を使っていただいており、ユーザー数は27万5,000人を達成しています。すべて、月額会費を支払っている有料課金ユーザーです。
ファン・アイコンの間のコミュニケーションやコミュニティを楽しみ、売上高を折半してアイコンに還元するビジネスモデルです。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】 類似サービスとの比較
「Fanicon」と類似サービスの比較として、スライドに記載している図では、横軸がファンベースの大小、縦軸がコミュニケーション(双方向・一方通行)を表しています。
当社の分析では、「Fanicon」はファンベースの大小問わず、誰でも開設できるポジショニングとなっています。「Fanicon」のサービス開発そのものがコミュニティからスタートしているため、高いエンゲージメントを実現するプラットフォームのポジショニングを保っています。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】 Faniconの特徴:多機能性
このようなポジショニングを可能にしている特徴についてご説明します。「Fanicon」は、コミュニティと言ってもさまざまな機能があり、コミュニケーションを実現するための機能が多数揃っています。
スライドの図に記載のとおり、ライブ配信、限定投稿、グループチャットなどは、すべてコミュニケーションを軸とした機能です。アイコンは、ファンとの距離感に応じて上手に使いこなしています。
コミュニティから始まった「Fanicon」ですが、従来型のファンクラブとしても活用したいという多くの声をいただき、チケットやグッズを販売できる機能も追加しています。
収益化の大きな軸としては、スクラッチというオンラインくじがあります。ファンがポイントを購入してくじを引くことで、楽しみながら収益を還元できる機能として、多くのユーザーにご利用いただいています。
このように、ファンコミュニティやファンクラブなど、さまざまな使い方ができ、ファンとアイコンの距離感に応じて機能を使うことが可能です。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】 Faniconの特徴:アイコンとファンをつなぐ配信スタジオ
ライブ配信もコミュニケーションやエンゲージメントを高める大きな機能の1つで、多くのアイコンに使われており、ファンに楽しんでいただいています。それらを促進するために、2021年からオンライン配信専用のスタジオ「BLACKBOX3」を常設しています。
さまざまな配信のシチュエーションに応じるため、「GONDOLA RECORDS」「空中酒場」といったスタジオも併設しています。オンラインだけではなく、ファンに実際に来ていただくオフラインのイベントも可能なスタジオも提供しています。オフラインでもさらなるエンゲージメントを高めるサービスの提供を実施しています。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】Faniconはストック型のビジネスモデル
「Fanicon」のビジネスモデルの特徴についてご説明します。「Fanicon」の売上は、「有料ファン会員数×ARPU」で出されます。それぞれのKPIをさらにブレークダウンすると、有料ファン会員数はアイコン数とアイコンの解約率、ARPUは月額課金(サブスク)とポイント収益(サブスク外の収益)の2つに分解できます。
スライドの図は、それぞれを掛け算した四半期ごとのユーザー数の当社の売上高の貢献を示しており、「Fanicon」はストック型のビジネスモデルであることが見てとれます。つまり未来の売上予測が立てやすいビジネスモデルと言えます。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】 KPI アイコン数とファン数
ファン数のKPIを図で示しました。アイコン数はYoYで16.7パーセント増、ファン数はYoYで30.0パーセント増と、ともに順調に右肩上がりです。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】 KPI ARPU
ARPUについてグラフで示しています。多少の凹凸はありますが、安定して推移しています。補足すると、ARPUはネットでの売上計上を適用する個別アプリでのファン数が継続して増加しているため、多少下降傾向にあると言えます。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】 流通総額
ただしグロスで見ると、スライドのグラフで示しているとおり、「Fanicon」ならびに個別アプリを含めたファンビジネスプラットフォーム事業を通じて、エンターテイメント業界に貢献している流通総額は大きく右肩上がりに成長しています。
デジタルマーケティング事業の市場規模
デジタルマーケティング事業の市場規模についてご説明します。主戦場であるインターネット広告市場とそのシェアですが、2023年はYoYで7.8パーセント増え、3兆3,300億円規模となっています。さらに、その中のインフルエンサーマーケティング市場はインターネット広告市場の伸び以上で、YoY20.5パーセント増で推移しています。
急成長中のファンコミュニティビジネス市場
ファンコミュニティビジネスも、市場として急成長しています。矢野経済研究所の「ファンコミュニティビジネス2022」によると、2022年は前期比39.8パーセント増の580億円を予想し、高成長で推移しています。
ファンビジネスプラットフォーム事業のSAM(ファンコミュニティ市場規模)
ファンビジネスプラットフォーム事業のSAMについて、KPIの要素であるファン数とARPUで考えると、スライドの図で示しているように、非常に大規模であると認識しています。
ファンビジネスプラットフォーム事業のTAM
ファンビジネスプラットフォーム事業のTAMについても、ファンコミュニティ市場、ライブ・エンターテイメント市場、デジタルコンテンツ市場を加えると国内だけでも最大4.2兆円の巨大な市場となっています。
デジタルマーケティング事業のSAM・TAM
デジタルマーケティング事業のSAM・TAMについても、先ほどお伝えしたとおり、インターネット広告市場におけるインフルエンサーマーケティング市場の高成長により、TAMで2.6兆円、SAMで0.7兆円と、大きな市場だと認識しています。
売上高100億円を目指す エンタメ業界のデジタル化を促進する
このように大きく成長している市場における当社の成長戦略についてご説明します。大きな目標として、「売上高100億円を目指す エンタメ業界のデジタル化を促進する」を掲げ、戦略の軸と考えています。
中長期で売上高100億円を目指す
「中長期で売上高100億円を目指す」ということで、2024年12月期の業績予想も含め売上高の推移を示しました。全社売上高CAGR(年平均成長率)は2015年12月期から43.8パーセントと高く推移しています。成長速度を緩めることなく、中長期で100億円を目指したいと考えています。
【デジタルマーケティング事業】2023年12月期の振り返り
2023年12月期のデジタルマーケティング事業の振り返りです。当社の業界内でのポジションをさらに強化するために、具体的な施策を推し進めています。
ホワイトペーパーやセミナーなどを活発に行ってプレゼンスを上げるという点については、ある程度は進められたとして黄色信号で示しました。積極的に自社コンテンツを発信することで、2023年12月期は新規顧客からの商談創出が過去最高数を記録し、着実に成果を上げることができたと考えています。商談成約率の引き上げと新規顧客の継続顧客化については、今後の課題として改善していきます。
また、インフルエンサーマーケティングのデータベース「iCON Suite」の開発強化により、さらにデータドリブンな提案を可能にしていくと掲げていました。「iCON Suite」は、2023年9月に「TikTok」のデータに対応し、「TikTok」を活用したインフルエンサーマーケティング施策の提案が可能となりました。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】 2023年12月期の振り返り①
2023年12月期のファンビジネスプラットフォーム事業の振り返りです。商品とサービスの多角化については、自社スタジオ「BLACKBOX3」を活用し、アイコンと共同でイベントを多数開催しました。これらのイベントを通じ、企画立案からチケット販売、グッズ制作・販売、イベント連動スクラッチの実施に至るまで、一連のプロセスを統合的に手がける新しいスキームを立ち上げました。
配信の安定化と強化については、上半期に多くのエンジニアを採用し、年間を通じてライブ配信環境の安定化に重点を置いた開発を行ってきました。その結果、繁忙期であるハロウィン、クリスマス、年末といったシーズナルイベントにおいても、安定したライブ配信が可能となりました。
カスタマーサクセス施策のデジタル化については、オフラインに集中することなく、デジタル化を促進することにより、一定の達成ができたと認識しています。コミュニケーションを促すスタンプを定期的に導入し、1回の配信ごとの売上高が向上しました。また、スクラッチカードの景品をデジタル化することにより、コスト削減を実現しつつ、ユーザーの課金単価を高める施策を実施しました。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】 2023年12月期の振り返り②
急激な拡大・成長を支えるために、攻めの策だけではなく、バックエンドとオペレーションの立て直しも行いました。オペレーションの改善については、オペレーション部を新設し、倉庫の配送および保管コストの見直しを行い、倉庫事業者の支払いコストを大幅に削減しました。さらに、当社の管理システムと制作業者のシステムをAPIで連携させることにより、オペレーションの効率化も実現しています。
新サービスのローンチについても、コラボ配信機能が本格稼働し、ファン・アイコンの要望に応え、コミュニティの垣根を超えた配信が実現しています。
ECサービスの新機能「オンデマンド製造」の提供も開始しました。オフラインイベントにおいては、景品を直接引き換えられる「現地引き換えスクラッチ」システムの提供を開始するなど、さまざまなサービス改善とバックエンドの強化を行いました。
【全社と投資】 2023年12月期の振り返り
全社と投資の振り返りです。会社基盤の着実な整備に加え、不正発注の発覚を受けて内部統制を徹底的に強化してまいりました。
サービス認知度向上については、情報発信を「note」に集約し、「Fanicon」のコミュニティの事例や、アイコンが実施するイベントに関するレポートなどを、月10本程度のペースで発信しています。
採用に関しては、前期の期首に年間60名の採用と発表しましたが、下半期に採用目標の調整を行い、事業計画遂行において重要となるポジションを充足させました。
また、多くのみなさまにご心配をおかけした内部統制についても、強化・徹底しました。期首よりJ-Sox対応を進めていたところ、4月に発覚した不正事案を通じさまざまな課題が露呈しました。内部統制を社の最優先課題として掲げ、プロジェクトチームを組成、専門家を招聘し、下半期に必要な対策を講じました。
最後に、予実管理の徹底です。予実管理を厳格に行い、下半期の修正予算の目標を達成しました。2024年12月期に向けて予算の精度をさらに向上させるため、強化された管理体制を導入しました。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】アイコン増加施策①:多種多様な領域への拡大による成長
成長戦略のポイントをご説明します。「Fanicon」の成長には、アイコンの新規獲得が重要です。アイコンの獲得に関しては、2つの施策にリソースを集中させています。
1つ目は、さまざまなジャンルのアイコンのみなさまへの「Fanicon」の活用・普及です。特にスポーツの領域は、まだ多くの可能性、市場があると認識しています。
現在はアーティスト、インフルエンサー、俳優、アイドルのみなさまに使っていただいていますが、それ以外の多くのジャンル・カテゴリーのみなさまにも使っていただくべく、認知度向上と営業活動を行っています。
多種多様な領域への拡大の進捗
結果として、スライドに記載しているとおり、2023年12月期は多種多様な領域のみなさまが「Fanicon」をスタートしています。
【ファンビジネスプラットフォーム事業】アイコン増加施策②:海外展開の本格化
2つ目は海外への展開です。「Fanicon」はすでに6ヶ国語に対応しており、中国語を繁体字と簡体字に分けると7ヶ国語対応となります。「Fanicon」内のコミュニケーションにおいては、アイコン・ファンそれぞれの言語でテキストを自動翻訳する機能を取り入れています。
このように、決済も含めて海外のユーザーおよびアイコンのみなさまに使っていただけるプラットフォームとなっています。特にK-POP、韓流の俳優といった韓国のアイコンに使っていただくことにより、多くのグローバルなファンを獲得できるため、韓国でのアイコン獲得を加速させています。
韓国展開の進捗
韓国展開の進捗としては、大きく2つあります。韓国文化体育観光主催イベント「KOREA SPOTLIGHT 2023」では、日本の文化庁にあたるような国家機関・政府機関とともに、韓国アーティストやK-POPのアーティストを日本のエンタメ業界のみなさまに知っていただく機会を提供しています。
このように、当社のサービスを韓国の市場に大きく広めていくために、韓国の政府機関とともに活動しています。結果としてスライド右側に記載しているとおり、著名なK-POPアーティストが「Fanicon」を開始しています。
Faniconプロダクト開発
「Fanicon」のプロダクト開発についてご説明します。2017年12月に、最小限の機能で「Fanicon」を開始しました。当初はiOSのみ対応で、タイムラインとグループチャット機能しかありませんでした。
スタート以降、ファン・アイコンのみなさまのリクエストをスピーディに聞き入れ、社内のエンジニアにより最大公約数となる機能を効率よく開発し、追加していきました。プロダクト開発が功奏し、現在は多くのユーザー・アイコンに使っていただけるプロダクトとなっています。
今後は、下半期に採用した優秀なエンジニアとともに、さまざまなサービスを開発し、2024年12月期はファイナンス関連の新サービスのローンチを予定しています。
2023年12月期は、主にサービスの安定供給にエンジニアのリソースを使ってきました。引き続き2024年12月期も現状のサービスの安定供給に努め、新しいサービスも並行して開発・ローンチしていきたいと考えています。
【全社】2023年12月期 通期業績PL
2023年12月期の通期業績についてご説明します。第2四半期に発覚した当社従業員による不正発注の影響を強く受け、当期純損失は7億6,400万円となっています。売上高はYoYで11.1パーセントの減少、売上総利益率はYoYで0.5ポイント改善しています。
不正に関する独立調査委員会の調査費用で、約1億9,000万円を特別損失として計上しています。
事業別通期売上高推移
事業別通期売上高の推移です。スライド左側がファンビジネスプラットフォーム事業、右側がデジタルマーケティング事業です。
ファンビジネスプラットフォーム事業の売上高はYoYで11.6パーセント増加しました。デジタルマーケティング事業は毎期、順調に売上高を伸ばしてきましたが、第2四半期の不正発注の影響で、YoYで41.1パーセント減少しています。
スライドを見てもおわかりいただけると思いますが、ファンビジネスプラットフォーム事業が順調に成長していることが非常に大事なポイントになります。
事業別通期営業利益推移
事業別通期営業利益の推移です。ファンビジネスプラットフォーム事業は、売上高・売上総利益ともにYoYで増加しましたが、主にエンジニアを中心とした人件費関連費用と、オフィス移転による賃料の増加により、YoYでほぼ同じ利益水準となっています。
デジタルマーケティング事業は、第2四半期に発覚した不正発注の影響で、売上高と売上総利益が大幅に減少し、営業赤字となりました。
事業別通期販売管理費
事業別通期販売管理費です。ファンビジネスプラットフォーム事業は、通期で販促費をコントロールしましたが、主に開発部門の人員増による人件費増加と、オフィス移転に伴う賃料増加の影響で、YoYでプラス4.6パーセントの14億7,700万円となりました。
デジタルマーケティング事業は、人員増による人件費の増加、オフィス移転に伴う賃料増加の影響で、YoYでプラス21.8パーセントの5億7,400万円となりました。
【全社】2024年12月期 業績予想
2024年12月期の通期業績予想です。生産性の向上、販売管理費の抑制により、利益体質への転換を図りたいと考えています。事業計画上必要な人員は概ね充足しており、期初時点での既存の経営リソースを効率よく使い、着実な成長を目指します。
スライドの表の一番上が2024年12月期の業績予想です。左から2番目の縦の列が売上高、その右から順に営業利益、経常利益、当期純利益となっています
売上高は45億8,000万円、営業利益はマイナス4億円と予想しています。
2024年12月期 営業利益予想の考え方
2024年12月期の営業利益予想の考え方です。ファンビジネスプラットフォーム事業・デジタルマーケティング事業のいずれでも売上総利益が拡大する予想です。特にファンビジネスプラットフォーム事業が成長を牽引しています。
事業計画上必要な人員は充足していますので、期初時点の経営リソースを効率よく使い、生産性の高い成長を目指します。結果として、2024年は4億円の赤字を予想しています。
2024年12月期方針
2024年12月期の方針です。デジタルマーケティング事業に関しては、メンバー各々がデジタルマーケティングのプロフェッショナルとして成長・変化し、新しい価値の創造を実現したいと考えています。
ファンビジネスプラットフォーム事業においては、「新規ファン・コミュニティ獲得」を強化し、さらなるサービスの成長を図りたいと思っています。ファンビジネスプラットフォームの最前線を走り抜けるべく、サービスをさらに安定的に提供できる状態を実現します。
全社としては、内部統制の浸透と定着を徹底し、前期に行った改善をさらに定着していくことが大事になると考えています。
また、予実管理を徹底し、この2024年12月期の予算を達成したいと考えています。
質疑応答:個別アプリについて
質問者:個別アプリとは、「Fanicon」とは別のアプリケーションを指しているのでしょうか? 「Fanicon」の中の特別な機能のことでしょうか?
平良:個別アプリとは、「Fanicon」同等の機能を持つ別のアプリで、芸能事務所や音楽事務所のみなさま、もしくはアーティストが自身で開発したアプリのように使えるOEM化したものを指します。
例)
「+KIRARI」はSDRが運営をするファンコミュニティアプリ
プレスリリース:Fanicon、株式会社SDRオリジナルアプリ「+KIRARI」を開発支援
https://news.thecoo.co.jp/release179/
質疑応答:中長期目標について
質問者:中長期の成長イメージとして、2022年12月期第2四半期に、2025年に売上高100億円・営業利益8億円と開示されましたが、3ヶ月後には撤回されました。それ以降、達成時期の開示がありません。現時点でも時期および達成時の利益は未定でしょうか?
平良:売上高100億を達成する時期については、明言するのは難しいのですが、先ほどご説明したとおり、ファンビジネスプラットフォーム事業の売上高は右肩上がりで順調に推移しています。
この勢いをどのように加速させていくかが大きな課題になっているのは重々理解していますし、きちんと課題と向き合い、ファン・アイコン数を増やしていくことで、近い将来、売上高100億円を達成できると考えています。
利益については未定ですが、インターネット上のアプリ開発ビジネスは一般的に収穫逓増型のビジネスモデルといわれています。初期投資はかかりますが、ユーザー数がある一定数を超えると大きな投資機会が減少し、利益は出しやすくなる構造となっています。それを達成すべく邁進してまいります。
質疑応答:内部統制関連人事について
質問者:内部統制を担ってきた森CFOが2024年3月末で退任と発表がありました。後任は置かないのでしょうか? コーポレート本部を引き継ぐのは下川取締役とみていますが、今後、内部統制を懸命に行っていく中で下川取締役の負担が非常に増えてしまうのではないでしょうか? あるいは、掌握している業務に悪いインパクトを与えるのではないでしょうか?
下川弘樹氏:コーポレートの管掌役員として内部統制を含め、中心的な役割を担ってきた森の引き継ぎは私がしています。
私はもともと、デジタルマーケティング事業本部の管掌役員をしていた関係で、今回起きた不祥事の詳細や原因を把握していますので、私が引き継いで、内部統制を推し進めていきます。
私は、2024年4月から森の後を引き継いで管理本部長というポジションに就きますが、私自身の力だけで全部できるものではありませんので、後任の人事を進めており、同時に後任のCFOも探しています。
質疑応答:同業2社の経営統合について
質問者:SKIYAKIとスペースシャワーネットワークが経営統合しますが、SKIYAKIはテックの分野が強く、スペースシャワーはイベントやフェスなどのリアルが強いと聞いています。相乗効果で成長していく目論見だと思いますが、御社はこの経営統合をどのように受け止めていますか?
平良:スペースシャワーとSKIYAKIの経営統合に関して開示された資料を拝見し、非常に興味深い新たな戦略だと認識しています。他社の戦略に関してのコメントは差し控えますが、当社の戦略に関して、あらためてご説明します。
先ほど「BLACKBOX3」についてご説明しましたが、当社は当初からオンラインだけではなくオフラインも含めたコミュニティを盛り上げてきました。コロナ禍においても、いち早くアーティストのオンライン配信ライブが実現可能となるサービスを提供し、さまざまな状況において、アーティスト・ファン・アイコンのみなさまを満足させるようなサービスを拡充してきました。
テクノロジー中心の新しいサービスをローンチしていくことにより、ファン・アイコンのみなさまがオンライン・オフラインともに満足できるようなサービスに拡充し、市場を拡大できると考えています。
平良氏からのご挨拶
平良:前期に発生した不正発注に関して、株主のみなさまから多くのご不安・ご懸念をいただいたことを大変申し訳なく思っています。
これに端を発し内部統制を徹底し、これまで以上に株主のみなさまが安心して当社の経営を見ていただけるように努めてきました。今後に関しても、経営陣が中心となり、内部統制を社員に徹底していくことで、株主のみなさまが安心できるような経営を行っていきたいと考えています。
一方で、当社が大事にしている「“できっこない”に挑み続ける」に共感して集まった社員とともに成長戦略を達成し、大きな成長を遂げていきたいと考えています。
今後もぜひ応援していただけるとうれしく思います。本日はお忙しい中、お集まりいただき誠にありがとうございました。
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