今週のポイント
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)が3月に利下げを行うとの見方が有力です。今後発表される米国の経済指標やFOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーの発言を受け、FRBの金融政策に対する市場の見方が変化するかどうかに注目です。FRBの利下げ観測が後退する場合には米ドルが全般的に堅調に推移して、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは下値を試し、一方で米ドル/カナダドルは上値を試す展開になりそうです。
カナダの23年12月CPI(消費者物価指数)が16日に、豪州の12月雇用統計が18日に発表されます。これらが市場予想からかい離する結果になれば、カナダドルや豪ドルが反応しそうです。市場予想は本稿執筆時点で、カナダのCPIが前年比3.4%、豪州の雇用統計は失業率が3.9%、雇用者数が前月比1.50万人増です。
米国など主要国の株価に大きな動きがみられれば、株価動向も材料になるかもしれません。主要国の株価が上昇を続ける場合、リスクオン(リスク選好)の動きが強まるとともに、円や米ドルの重石になる可能性があります。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.06500NZドル~1.08300NZドル>
“RBA(豪中銀)とRBNZ(NZ中銀)のいずれも、次の一手は利下げになる”と市場は予想しています。OIS(翌日物金利スワップ)によれば、市場ではRBAの利下げは6月に開始されて24年末までに合計0.50%、RBNZの利下げは5月に開始されて24年末までに合計1.00%行われるとの見方が有力です。RBAとRBNZの金融政策の方向性は同じになると考えられるものの、市場が予想する合計の利下げ幅を比較すれば、豪ドル/NZドルの下値は堅いかもしれません。
今週(1/15- )は、18日に豪州の23年12月雇用統計が発表されます。この結果に豪ドル/NZドルが反応する可能性があります。RBAの利下げ観測が後退する場合、豪ドル/NZドルは堅調に推移しそうです。豪ドル/NZドルの上値メドとして、1.08269NZドル(1/2高値)が挙げられます。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.32000カナダドル~1.36000カナダドル>
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は3月に利下げするとの見方が有力です(次回1月30-31日のFOMCは政策金利の据え置きを予想)。米国の小売売上高やベージュブック(米地区連銀経済報告)などで市場のFRBの金融政策見通しが変化するかどうかに注目です。
カナダの23年12月CPI(消費者物価指数)が16日に発表されます。BOC(カナダ中銀)は1月と3月の政策会合で政策金利を据え置いて、4月に利下げを行うとの観測があります。CPIが市場予想を下回る結果になれば、BOCの利下げ観測が強まりそうです。
FRBの利下げ観測が後退して、一方でBOCの利下げ観測が強まる場合、米ドル/カナダドルは上値を試す展開になると考えられます。米ドル/カナダドルは、1.36141カナダドル(23/12/7高値)が上値メドです。
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