S&P500月例レポート(23年9月配信)<後編>

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インデックス・レビュー

◇S&P 500指数

 S&P500指数は8月に1.77%下落して4507.66で月を終えました(配当込みのトータルリターンはマイナス1.59%)。7月は4588.96で終え、3.11%の上昇(同プラス3.21%)、6月は4450.38で終え、6.47%の上昇(同プラス6.61%)でした。過去3ヵ月では7.84%の上昇(同プラス8.28%)、年初来では17.40%の上昇(同プラス18.73%)、過去1年では13.97%の上昇(同プラス15.94%)でした。2022年は19.44%の下落(同マイナス18.11%)、2021年は26.89%の上昇(同プラス28.71%)、2020年は16.26%の上昇(同プラス18.40%)、2019年は28.88%の上昇(同プラス31.49%)、2018年は6.24%の下落(同マイナス4.38%)でした。

 2022年1月3日の高値からは6.02%の下落(同マイナス3.39%)、コロナ危機前の2020年2月19日の高値からは33.12%の上昇(同プラス41.00%)でした。8月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は7月の0.68%から再び1.01%に上昇(6月は0.88%、5月は0.96%、4月は0.92%、3月は1.51%)、年初来では1.09%となりました。2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした。8月の出来高は、6月に前月比4%増加、7月に同10%減少した後、1%増加し(営業日数調整後)、前年同月比では12%の増加でした。2023年8月までの過去1年では前年比16%増加しました。2022年は同6%の増加でした。

 8月は1%以上変動した日数は23営業日中5日(上昇が2日、下落が3日)でした。7月は20営業日中に前日比で1%以上変動した日はありませんでした。6月は1%以上変動した日数は22営業日中4日(4日全て上昇)でした。年初来では、1%以上変動した日数は167営業日中46日(上昇が27日、下落が19日)、2%以上変動した日数は2日(上昇が1日、下落が1日)でした。2022年は、1%以上変動した日数は122日(上昇が59日、下落が63日)、2%以上変動した日数は46日(上昇が23日、下落が23日)でした。2021年は、1%以上変動した日数は55日(上昇が34日、下落が21日)、2%以上変動した日数は7日(上昇が2日、下落が5日)でした。

 8月は23営業日中12日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上の変動と3%以上の変動はありませんでした(7月は21営業日中2日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上と3%以上の変動はありませんでした)。年初来では1%以上の変動が80日、2%以上の変動が12日、3%以上の変動はありませんでした(直近で3%以上の変動があったのは2022年11月30日)。2022年は1%以上の変動が218日、2%以上の変動が89日、3%以上の変動が20日、4%以上の変動が4日ありました。2021年は1%以上の変動が93日、3%以上の変動が3日ありました。

 8月は11セクター中10セクターが下落しました。7月と6月は11セクターが揃って上昇しました(5月は3セクター)。8月のパフォーマンスが最高だったのは1.27%上昇して唯一プラスのセクターとなったエネルギーで、年初来では0.77%上昇とプラスに転じ、2021年末比では60.26%の上昇でした(指数内で最高)。8月の騰落率2位となったのは下落率を0.40%に抑えたコミュニケーション・サービスで、年初来では44.14%上昇(指数内で最高)、2021年末比では14.12%の下落でした。金融は8月に2.86%下落し、年初来では0.17%上昇、2021年末比では12.21%の下落となっています。ヘルスケアの下落幅も限定的で、8月は0.80%下落、年初来では2.28%下落、2021年末比では5.75%下落となりました。

 一般消費財セクターは8月に1.30%下落し(年初来では33.75%上昇、2021年末比では16.51%下落)、生活必需品は3.82%下落(年初来では1.94%下落、2021年末比では5.05%下落)しました。情報技術は8月に1.45%下落し、年初来では43.69%上昇、2021年末比では2.15%の上昇となりました。騰落率最下位となったのは公益事業で、8月は6.72%下落、年初来では11.37%下落、2021年末比では12.64%の下落でした。不動産は8月に3.14%下落、年初来では下落に転じて0.17%安となり、2021年末比では28.57%の下落となりました。

 8月は値上がり銘柄数が減少し、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を大幅に上回りました。8月の値上がり銘柄数は153銘柄(平均上昇率は3.92%)で、7月は362銘柄(同6.24%)、6月は454銘柄(同8.90%)でした。10%以上上昇した銘柄数は13銘柄(同13.81%)で、7月は77銘柄(同14.55%)、6月は155 銘柄(同16.00%)でした。25%以上上昇した銘柄は1銘柄(同25.88%)で、7月は4銘柄(同32.83%)、6月は10銘柄(同34.82%)でした。

 一方、8月の値下がり銘柄数は350銘柄(平均下落率は6.45%)で、7月は141銘柄(同4.02%)、6月は49銘柄(同3.83%)でした。8月は10%以上下落した銘柄数が58銘柄(同15.50%)で、7月は12銘柄(同11.39%)、6月は3銘柄(同12.97%)でした。25%以上下落した銘柄数は4銘柄で、7月と6月はゼロでした。

 過去3ヵ月間では、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差が広がりました。値上がり銘柄数は364銘柄(平均上昇率は12.87%)で、7月末の340銘柄(同13.45%)から増加しました(6月末は304銘柄で同11.10%)。値下がり銘柄数は139銘柄(平均下落率は6.42%)と、7月末の163銘柄(同6.88%)、6月末の199銘柄(同7.74%)から減少しました。10%以上上昇した銘柄数は210銘柄(平均上昇率18.68%)と、7月末の190銘柄(同19.99%)から増加し、10%以上下落した銘柄数は29銘柄(平均下落率は17.04%)と、7月末の38銘柄(同15.53%)から減少しました。過去3ヵ月間で25%以上上昇した銘柄数は39銘柄(7月末時点は36銘柄)で、4銘柄(同3銘柄)が25%以上下落しました。

 年初来では、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差は縮小しましたが、依然として値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回っています。値上がり銘柄数は283銘柄(平均上昇率は23.22%)と、7月末の329銘柄(同22.23%)から減少し、値下がり銘柄数は218銘柄(平均下落率は12.33%)と、7月末の174銘柄(同9.89%)から増加しました。10%以上上昇した銘柄数は203銘柄(平均上昇率は30.29%)と、7月末の222銘柄(同30.28%)から減少し、10%以上下落した銘柄数は117銘柄(平均下落率は19.11%)と、7月末の72銘柄(同17.39%)から増加しました。年初来で25%以上上昇した銘柄数は90銘柄(7月末は98銘柄)で、23銘柄(同9銘柄)が25%以上下落しました。

 2022年通年では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を大幅に上回り、値上がり銘柄数は139銘柄(平均上昇率は22.21%)、値下がり銘柄数は363銘柄(平均下落率は24.58%)でした。10%以上上昇した銘柄数は93銘柄(平均上昇率は30.94%)、10%以上下落した銘柄数は283銘柄(平均下落率は30.02%)でした。2022年通年で41銘柄が25%以上上昇し、162銘柄が25%以上下落しました。

◇世界の株式市場:S&Pグローバル総合指数

 S&Pグローバル総合指数は、5月の1.45%下落、6月の5.64%上昇、7月の3.72%上昇の後に、8月は3.08%下落しました。グローバル市場は、5月は米国の0.25%上昇を除くと3.78%下落、6月は米国を除くと4.11%上昇、7月は米国の3.51%上昇を除くと4.03%の上昇となった後に、8月は米国の2.13%下落を除くと4.46%の下落となりました。グローバル市場は過去3ヵ月間では6.20%上昇、米国の8.11%上昇を除くと3.48%上昇、年初来では12.51%上昇、米国の16.81%上昇を除くと6.67%上昇しました(2022年通年では20.04%下落[11月末時点では16.82%下落]で、米国の20.73%下落[同15.66%下落]を除くと19.13%の下落[同18.48%下落]でした)。

 2023年8月までの過去1年間では、S&Pグローバル総合指数は11.00%上昇、米国の12.89%上昇を除くと8.30%上昇しています。より長期で見ると、グローバル市場は過去2年間では9.00%下落しましたが、米国の3.88%下落を除くと、15.79%の下落でした。過去3年間では16.65%上昇しましたが、米国の26.46%上昇を除くと、4.34%の上昇でした。2020年11月3日の米大統領選以降では、グローバル株式市場は19.53%上昇しましたが、米国の30.31%上昇を除くと6.13%の上昇でした。

 S&Pグローバル総合指数の時価総額は2023年8月に2兆3520億ドル減少し(7月は2兆6780億ドル増)、年初来では7兆8600億ドルの増加となって、総額は73兆6190億ドルとなりました。米国以外の市場の時価総額は8月に1兆3860億ドル減少し(同1兆1590億ドル増)、総額は29兆6090億ドルとなり、年初来では1兆7460億ドル増加した一方、米国市場の時価総額は8月に9660億ドル減少し(同1兆5180億ドル増)、総額は44兆90億ドルとなり、年初来では6兆1140億ドル増加しました。2022年に、グローバル市場の時価総額は13兆3950億ドル減少し、米国以外の市場の時価総額は4兆2960億ドル減、米国市場の時価総額は9兆990億ドル減でした。

 セクター間のリターンのばらつきは拡大し、8月は11セクター中10セクターが下落しました。7月と6月は全11セクターが上昇、5月は2セクターが上昇していました。8月のパフォーマンスが最高のセクター(エネルギー、0.61%上昇)と最低のセクター(公益事業、5.92%下落)の騰落率の差は6.53%と、7月の5.64%から拡大しました(6月は7.45%、5月は18.50%)。年初来でのパフォーマンスが最高のセクター(情報技術、36.35%上昇)と最低のセクター(公益事業、6.20%下落)の騰落率の差は42.55%となっています。2022年のパフォーマンスが最高のセクター(エネルギー、28.08%上昇)と最低のセクター(コミュニケーション・サービス、36.30%下落)の騰落率の差は64.38%でした。

 新興国市場は5月の2.33%下落、6月の3.68%上昇、7月の5.56%上昇の後に、8月に全体で5.34%下落しました。新興国市場は過去3ヵ月間では3.61%上昇、年初来では2.89%上昇しています(2022年は20.46%の下落を記録)。過去1年間では0.78%下落、過去2年間では22.03%下落、過去3年間では7.18%の下落となっています。

 8月は24市場中3市場が上昇し、7月の22市場、6月の18市場、5月の6市場を下回りました。8月はトルコのパフォーマンスが最も良く(トルコは7月もパフォーマンスが最高、6月はパフォーマンスが最低)、10.34%上昇し、年初来では0.87%上昇、過去1年間では68.83%上昇しました。2番目はエジプトで8月は9.73%上昇し、年初来では5.64%上昇、過去1年間では68.83%上昇しました。3番目はハンガリーで8月は5.32%上昇し、年初来では31.92%上昇、過去1年間では49.74%の上昇でした。

 コロンビアのパフォーマンスが最低となり、8月は12.83%下落し、年初来では2.79%下落、過去1年間では5.02%下落しました。これに続いたのがパキスタンで8月は11.98%下落し、年初来では19.65%下落、過去1年間では26.03%下落しました。3番目は南アフリカで8月は11.09%下落し、年初来では9.20%下落、過去1年間では4.79%下落しました。

 先進国市場は、5月の1.35%下落、6月の5.87%上昇、7月の3.51%上昇の後に、8月に全体で2.82%下落しました。先進国市場は米国を除くと、5月の4.26%下落、6月の4.26%上昇、7月の3.52%上昇の後に、8月に4.16%下落しました。先進国市場は過去3ヵ月間では8.72%上昇、米国を除くと2.62%上昇しています。年初来では13.70%上昇し、米国を除くと8.00%の上昇です(2022年のリターンは20.55%の下落で、米国を除くと19.26%下落)。過去1年間では12.49%上昇、米国を除くと11.68%上昇、過去2年間では7.30%下落、米国を除くと13.50%下落、過去3年間では19.95%上昇、米国を除くと8.70%上昇しています。

 8月は、5月の3市場、6月と7月の全25市場に対して、2市場が上昇しました。パフォーマンスが最も良かったのはデンマークで8月は3.22%上昇し、年初来では16.48%上昇、過去1年間では33.86%の上昇でした。2番目はルクセンブルグで8月は0.15%上昇、年初来では8.31%上昇、過去1年間では5.87%上昇しました。3番目はフィンランドで8月は1.91%下落、年初来では6.97%下落、過去1年間では0.45%上昇しました。

 パフォーマンスが最低だったのはオランダで8月は10.03%下落し、年初来では10.59%上昇、過去1年間では19.51%上昇しました。2番目は香港で8月は9.61%下落し、年初来では15.58%下落、過去1年間では12.07%下落しました。これに続いたのがシンガポールで8月は8.68%下落し、年初来では1.66%下落、過去1年間では0.97%上昇しました。

 注目すべき点として、日本は8月に2.02%下落し、年初来では11.49%上昇、過去1年間では12.50%上昇しました。カナダは8月に4.33%下落、年初来では5.07%の上昇、過去1年間では2.18%の上昇となりました。ドイツは8月に4.68%下落、年初来では11.97%の上昇、過去1年間では25.99%の上昇となりました。


 

 

 

 

 

 
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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配信元: みんかぶ株式コラム