ナレルグループ、技術者派遣業界において「採用力×単価向上余地」、未経験者採用を強みにさらなる成長を目指す

投稿:2023/09/11 17:00

会社概要

小林良氏:株式会社ナレルグループ代表取締役の小林良です。当社は2023年7月21日に東証グロース市場に上場いたしました。当社の「事業計画及び成長可能性に関する事項」について、ご説明させていただきます。

当社は2008年に建設技術者派遣のワールドコーポレーションを設立し、現在の事業の軸となる未経験人材の育成を軸とするモデルを2012年より開始いたしました。

そして2019年にアドバンテッジパートナーズによる出資を受け、2021年にナレルグループとしての組織体制の再編を経て、現在は建設派遣のワールドコーポレーション、IT技術者派遣のATJC、人材プラットフォームの運営をしているコントラフト、職人紹介事業の職業紹介である全国建設請負業協会、合計4つの事業を展開しています。

当社は、業界では後発組ながらも未経験人材を正社員として採用し、教育して派遣していくというビジネスモデルを業界でいち早く着手したことによって、今では売上100億円を超える規模にまで成長し、建設派遣業界では大手と呼ばれる地位を確立しております。

業績においては、2020年10月期から2022年10月期の年平均成長率が売上高18.7パーセント、営業利益9.0パーセントと、業界内においても高成長・高収益を実現しております。

グループ概要図

当社グループは、建設ソリューション事業とITソリューション事業の2つのセグメントにて事業展開しております。建設派遣のワールドコーポレーションを中心に、コントラフト、全国建設請負業協会の3社により建設ソリューション事業、IT技術者派遣のATJCによりITソリューション事業を構成しております。

ナレルグループのミッション/ビジョン

当社のミッション・ビジョンについてご説明します。建設業界は戦後高成長を続けた後、日本のバブル崩壊とともに景気が悪くなり、リーマンショックまでの約20年間、採用活動を抑制してきました。その間、建設業界は「3K」と呼ばれる、「危険・汚い・きつい」業種の代表的な業界になってしまい、不人気業種の1つと数えられるようになってしまいました。

しかし、建設業界は我が国のGDPの1割を担う巨大産業であり、大きい建物を職人さんたちの力を借りながら、長い時間をかけて作っていく達成感、国土のインフラを作っていくという社会的使命も感じられる、非常にやりがいがある仕事です。

我々の使命は、この業界の正しさやすばらしさを若い世代に伝えて、興味を引き付けることで、彼らが入社して一生やりがいを持って働いてもらうことです。1人でも多くの若い人材に将来の建設業界を担ってもらうことです。

そして人材の需給ギャップを少しでも埋められるように、IT・DXによる業務効率化の支援も同時に行っていきたいと考えております。

ワールドコーポレーション:事業内容①

事業内容です。まず、ワールドコーポレーションですが、ゼネコン・工務店から派遣依頼や図面発注を受け、施工管理者、いわゆる現場監督と呼ばれる建設技術者の派遣を主に行っております。

施工管理者の主な業務は、品質管理、工程管理、安全管理であり、依頼元であるゼネコンと、現場作業員である職人の間を繋ぐ重要な役割となっております。

ワールドコーポレーション:事業内容②

建設業における建築、土木、空調衛生、電気設備など、さまざまな領域に技術者を派遣しております。派遣現場の事例としては、TSMCの熊本工場や東京オリンピック関連の建設現場、主要都市での再開発工事、リニア・風力発電事業など、大型案件に対しても幅広く人材を派遣しています。

ATJC:事業内容

ATJCにて、ITソリューション事業を展開しております。ITエンジニアを雇用し、育成した上で、クライアントであるシステム開発企業に対して、SESサービス及び派遣サービスを提供しております。主なエンドユーザーとしては、通信業、金融業向けの開発案件が挙げられます。

コントラフト・全国建設請負業協会:事業内容

技術者派遣で蓄積した求職者情報を活用し、コントラフト及び全国建設請負業協会にて職人の人材紹介ビジネスを展開しております。建設業の有料職業紹介事業は認定団体のみ職業紹介が可能であり、全国で3団体のみが認定を受けています。

カンパニーハイライト

カンパニーハイライトです。建設業の有効求人倍率は5.51倍となっており、圧倒的な人材不足を背景に、建設技術者派遣市場は今後も高い成長性が期待されています。

また、当社は未経験者採用を強みにしており、業界トップクラスの成長性と収益性の実績を有しております。

そして、成長戦略としては、建設人材プラットフォームとして、派遣事業のさらなる拡大、人材紹介事業への展開、建設ICTコンサルティングの展開の3本を軸にさらなる成長を目指してまいります。

建設技術者は慢性的な人手不足

市場の成長性についてお話しさせていただきます。建設業の有効求人倍率は、2013年の約3倍から足許は5倍を超える水準まで上昇しており、国内において特に人手不足が深刻化している市場になります。

全職業と比較しても約5倍の差が開いており、一般的に人材不足のイメージが強い業種である情報処理系、つまりIT業界の有効求人倍率が1.5倍程度の水準であることを考えると、建設業界が如何に人手不足な市場であるということをご認識いただけるかと思います。

建設技術者派遣が建設市場を下支えする業界構造

このような市場環境を背景に、建設投資額は横ばいで推移している一方で、建設就業者数は減少していることが建設業界の大きな課題となっております。そのため、建設業者は構造的に派遣会社を活用しなければならない状況となっています。建設技術者派遣労働者数は年々増加傾向にあり、建設業の派遣に対する依存度は益々高まっている状況です。

このように、建設技術者を採用・育成し、市場に供給することができる当社の存在意義は益々高まっていくものと考えております。

建設市場の成長には人材の安定確保が重要

スライドのグラフは緑の線が「建設就業者比率を維持できた場合の建設投資額の予想」、グレーの線が「維持できない場合」となっております。建設投資額は「人さえいれば右肩上がり」が予想されており、我々のような建設市場の技術者派遣企業の存在意義は、益々高まってきております。

人手不足を背景に高まる建設技術者派遣需要

また、人材の需給ギャップは今後も埋まらないことが見込まれ、人材需給の観点からも、建設技術者派遣の見通しは引き続き底堅いことが予想されます。

ナレルグループの業界

建設技術者派遣業界における当社の事業規模ですが、当社の主力事業子会社であるワールドコーポレーションの売上高は129億円と、競合企業と比較しても、すでに一定の規模を有しております。

業界No.1の収益性・成長性

当社は、2008年に創業と技術者派遣業界において後発組ながらも、独自の取り組みにより、直近3ヶ年の売上高成長率は18.7パーセント、営業利益率は14.0パーセントと、上場企業の技術者派遣業界の中でも、業界No.1の成長性・収益性を誇っております。

高成長・高収益を支えるナレルの仕組み

当社の高成長及び高収益を支える仕組みとして、1つ目は、未経験者採用戦略によって安定的な人材確保が可能な高い採用力、2つ目は需要の高い若手技術者を教育し、供給し続けることで、継続的な契約単価向上を実現している単価向上余地、この2点によるものだと自負しております。

ナレルの未経験者採用戦略

当社が業界屈指の成長性及び収益性を実現している最大の要因は、「未経験者」に特化した採用戦略を推進していることにあります。

建設派遣業界では、即戦力となる経験者採用が主流となっておりますが、建設業界全体の課題となっている経験者人材の減少や高齢化が加速している中で、採用難及び採用コストの増加が問題となっております。

そのため、当社は潜在的な供給力が非常に高い未経験者層を採用ターゲットとしております。その中で、長年蓄積した採用や教育ノウハウを活用することで、安定的に技術者人材を比較的低コストで採用し、即戦力人材として育成することが可能であり、技術者派遣業界の中でも高い成長性と収益性を実現することができています。

また、未経験者は若手を中心に採用しているため、さらなる単価向上が期待できることに加え、高齢化が加速する建設業界における当社の存在意義は、今後も引き続き高まるものと考えております。

未経験者採用は年間1,000人を超える採用体制や、教育体制の構築が大きなハードルとなっており、他社が簡単に参入できないという優位性も有しております。

未経験者採用戦略に支えらえた高い採用力

建設技術者の新規求職者数ですが、3Kと呼ばれる「危険・汚い・きつい」のマイナスイメージも相まって減少傾向にあります。一方で、当社は未経験者を中心に採用活動を行うこと、また採用時にわかりやすく建設業のおもしろさや成長性を伝えることで、採用難の中でも年間1,000人以上の採用者数を確保できております。

若手技術者中心の年齢構成

建設業界は若手人材の新規参入が少ないため、高齢化が他業種と比較しても特に加速している業界です。

当社の年齢構成は39歳以下が90パーセントとなっているため、需要の高い若手人材を安定的に供給できることから、構造的に契約単価の引き上げがしやすい年齢構成となっております。これは継続的な契約単価の向上を実現する一因となっております。

ナレルグループの人材育成メソッド

また、当社は未経験者に対して充実した研修制度を構築しております。1年目に限らず、2年目、3年目以降も各人の業務スキルに合わせて、スキルアップ研修を充実させることで、技術力の向上を図っております。

現場での実績も踏まえた2年目以降の技術者数も順調に増加しており、全社平均の契約単価も着実に向上しております。現在、4年目以降の経験豊富な技術者数は500名を超えており、業界内でも類をみない質の高い若手技術者集団としてのポジショニングを築きつつあります。

グループ成長戦略

当社のグループ成長戦略は、大きく3つ掲げております。1つ目は、自社メディアの活用による効率的な経験者採用システムの構築と、ITやプラント、施工図/BIM等の領域への展開による、派遣事業のさらなる拡大です。2つ目は、職人紹介事業への参入による、人材紹介サービスへの展開です。3つ目は、建設ICTツールの導入支援等、建設ICTコンサルティングへの展開です。

派遣領域の拡大

未経験者採用及び経験者採用ともに、それぞれの技術者増加に向けた施策を行うことで、派遣領域の拡大を図っていきたいと考えております。

未経験者採用においては、ワールドコーポレーションで培った未経験者採用と教育ノウハウを、IT派遣等の他領域に移植することで、人手不足市場へのさらなる新規開拓を進めてまいります。

経験者採用においては、従来は外部メディアの利用に伴い、費用対効果が低かったのですが、「セコカンNEXT」という経験者採用に特化した自社メディアを立ち上げたことにより、採用費を抑えつつも、経験者を採用することができるようになりました。今後は、この自社メディアを最大限活用し、建設技術者増加をさらに加速させてまいります。

IT派遣領域における成功事例(1/2)

IT領域における成功事例を示しております。当社は2020年にSE派遣を行うATJCをグループに迎え入れました。建設業界と同様にIT業界も人材不足が深刻化している業界であり、ATJCも採用面において大きな課題を抱えておりました。

そこで、2020年に人材採用ノウハウを持った当社グループと連携することにより、事業のさらなる成長を見込み、当社グループに参画いただきました。

IT派遣領域における成功事例(2/2)

当社の最大の強みである、未経験者採用及び教育ノウハウを、IT領域においても活用した結果、新規採用者数は大幅に増加し、エンジニア在籍人数は当社グループ参画後約2年半で2倍以上となりました。

このように、当社の未経験者採用モデルを活用することで、さまざまな派遣領域への展開が可能となっており、今後の派遣事業の拡大は大いに期待できるものと確信しております。

自社メディアの活用による派遣単価向上

経験者採用に関しては、自社メディアである「セコカンNEXT」による経験者採用の強化を図ってまいります。

経験者採用は、広告費等の採用コストが高くなってしまう傾向にありますが、自社メディアの強みを活かし、ターゲットの絞り込みを行うことで、高単価の即戦力人材を低コストで採用することが可能です。「セコカンNEXT」の登録者数は順調に増加しており、今後も採用力強化が期待されます。

プラント派遣市場の動向と需要

プラント派遣市場については、老朽化設備の更新や環境投資の高まりから、市場規模が約20兆円の巨大かつ成長市場であり、プラント派遣のポテンシャルは高いと考えております。

当社のプラント派遣における成長戦略

プラント領域では、これまでワールドコーポレーションで培った採用戦略を踏襲し、プラントのメンテナンス会社と提携して、プラント現場の実地研修を実施しております。

このような取組みにより、多くの専門技術者を擁する当社グループは、設計・調達・建設を行うプラントエンジニアリング会社からのCADオペレーター等設計段階の派遣ニーズ、プラントのメンテナンス会社からの日常保全業務・定期修繕を実施できる技術者への派遣ニーズに対応することができます。

建設現場で高まるBIM人材需要

BIM領域については、国土交通省によるBIM/CIM推進を背景として、活用業務・工事の件数は大幅に増加しております。2023年の公共工事のBIM/CIM原則適用に伴って、BIM人材需要はさらに高まることが期待されています。

ナレルのBIM技術者育成方針

BIM領域については、施工図/BIM推進部を設置し、BIM技術者派遣を本格的に始動したことにより、クロスセルを強化し、BIM技術者の派遣者及びその他の施工図技術者双方の派遣者数の増加に繋げております。3ヶ月研修や請負業務における先輩社員のOJT等、教育体制の整備によって、BIM技術者の育成に注力してまいります。

職人紹介サービスの今後の事業展開プラン

成長戦略の2つ目である人材紹介サービスへの展開ですが、今後は職人の人材紹介ビジネスの展開に注力してまいります。現在は、施工管理者等の技術者の派遣を中心としておりますが、職人や一人親方も人手不足が課題となっている中で、人材紹介サービスを通じて、建設業界で人手不足に苦しむすべての企業に対してサービスが提供できる唯一無二の存在を目指していきたいと考えております。

職人紹介サービスの事業展開戦略

建設業の有料職業紹介事業は認定団体のみが職業紹介が可能であり、全国で3団体のみが認定を受けています。実態としては我がグループの全国建設請負業協会だけが人材紹介業の活動をしておりますので、日本で唯一、職人紹介事業を手掛けている団体となります。

当社は、技術者派遣で蓄積した求職者情報を活用することで、職人紹介向けのプラットフォーマーとして、人材紹介ビジネスを展開していきたいと考えております。

職人プラットフォームのKPI推移

職人プラットフォームの登録求職者数及び登録会員数は、職人紹介を行うコントラフトの設立以降、順調に増加しており、今後もさらなる拡大が期待されます。

建設ICT市場の拡大余地

最後に、建設ICTコンサルによる新規人材サービスの展開についてご説明します。建設現場では、生産性向上の観点から、建設ICTの導入需要は非常に高まっており、今後の建設テック市場規模も大幅に拡大することが予測されております。

一方、建設現場においては、建設ICTツールを上手く使いこなせる人材も不足している状況であり、導入の進捗は、他の業界と比べても大きく遅れているのが現状です。そのため、建設ICTツールを使いこなせる人材需要は非常に高まっております。

建設ICTコンサルによる新規人材サービスの確立

そこで、当社は建設ICTサービスの確立に向けて、ICT専門部隊を確立しました。既存顧客に対して、現場の課題やニーズをヒアリングした後、適切なICT人材やサービスを提供してまいります。

具体的な支援内容として、DX推進サービスでは「SPIDERPLUS」や「デキスパート」の導入支援、ソリューションサービスでは点群計測や3Dモデリング等、ICT施工のノウハウがわかる人材によるコンサルティング支援を想定しております。

事業計画及び成長可能性に関する事項についてのご説明は以上になります。我々は今までもこれからも人の潜在能力を開花させ、働く人々に成長体験をさせ、1人でも多くのプロ人材を育てて、社会に貢献してもらいたいと考えております。ありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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